両親から相続した土地を活用できず放置しているといった方もいらっしゃるでしょう。
そうした方の中には何らかの方法で土地活用したいものの、具体的にどんな方法がいいのか迷っているという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
本記事では具体的な土地活用法についてご紹介すると共に、それぞれのメリット・デメリットや事例などご紹介していきます。
土地を活用しないと損する3つの理由
空き地など活用できていない土地がある場合、活用できていないという機会損失だけでなく、所有するだけで損をしているということを意識すべきだといえます。
具体的には、以下のような損失が発生してしまいます。
- 固定資産税と都市計画税がかかる
- 維持費用がかかる
- 近隣とのトラブルの原因になる
それぞれについて見ていきましょう。
固定資産税と都市計画税がかかる
不動産は所有しているだけで毎年固定資産税と都市計画税を支払わなければなりません。
具体的には毎年1月1日時点の所有者に納付書が送付されます。これはもちろん、土地を何らかの形で活用していても、空き地のまま放置していても同じことです。
むしろ、土地の上に建物が建っていると固定資産税の納税額が最大6分の1になる軽減特例の適用を受けられますが、空き地だとこの特例の適用を受けられません。
さらに、2015年に施行された空き家対策特別措置法により放置された空き家で一定の要件を満たすと「特定空き家」として指定され、指定されると建物が建っていても上記特例の適用を受けられなくなりました。
元々の納税額より最大6倍になる可能性があるため、十分注意する必要があるでしょう。
維持費用がかかる
さらに、空き地は放置していると雑草が生えてきて景観を害するなどして近隣住民に迷惑をかけてしまいます。
また、雑草が生い茂ったままだと不法投棄されてしまうケースもあります。
一定期間毎に自分で草刈に行ったり、それができない場合には専門業者に頼ん だりして手間や費用がかかることになるでしょう。
近隣とのトラブルの原因になる
放置された空き家は景観を害したり、害虫の発生や不法投棄の危険性があったりと、近隣のトラブルになってしまう可能性があります。
こうした、空き地を放置することによる問題は何らかの方法で土地活用することでほとんど解消できるでしょう。
しばらく放置することが見込まれる場合は、早い段階で土地活用を検討することをおすすめします。
ベストな土地の活用方法を決めるための3つのポイント
空き地は放置しておくといろいろな問題が発生する可能性がありますが、土地活用を実施することでその問題のほとんどを解消できます。
かといって、具体的にどのような土地活用をすればいいか迷うという方もいらっしゃるでしょう。
そうした方は、まずはベストな土地活用法を知るための以下の3つのポイントを押さえておくとよいでしょう。
- 法規制を確認する
- 周辺のニーズを確認する
- 土地活用の目的を明確にする
それぞれについて解説していきます。
法規制を確認する
土地活用するには土地の上に何らかの建物や構造物を建てることになりますが、その際、法律の規制を受けることになります。
土地活用の方法を決める前に、まずは所有している土地でどのような土地活用が可能なのかを確認しておくとよいでしょう。
具体的には、以下の3つを確認しておく必要があります。
- 市街化調整区域か市街化区域か
- 用途地域
- 「容積率」と「建ぺい率」
1.市街化区域か市街化調整区域か
日本では、都市計画に基づいてエリアごとに市街化区域と市街化調整区域、それ以外の区域に分けられています。
市街化区域とは市街化を積極的に行っていくエリアで、市街化調整区域は市街化を抑制するエリアに指定されるものです。
一般的には、市街化区域は住宅街や繁華街に指定されて、市街化調整区域は田や畑、山などの多いエリアに指定されると考えるとよいでしょう。
特に市街化調整区域に指定されているエリアについては、建物を建築できないこともあるため、注意が必要です。
2.用途地域
都市計画よりさらに細かく分類したものが用途地域です。
住居専用地域や商業地域、工業地域など13種類に分けられており、例えば第一種低層住居専用地域では大規模な施設を建てることができず、工業専用地域では住宅を建てられないなど用途地域ごとに建てられる建物の種類に制限が課されます。
3.「容積率」と「建ぺい率」
さらに、エリアごとに指定される容積率や建ぺい率についても注意が必要でしょう。
容積率とは「敷地面積に対する延床面積の割合」のことで、建ぺい率とは「敷地面積に対する建築面積の割合」のことです。
簡単にいえば、容積率は1階や2階などの合計面積が、敷地面積に対してどのくらいの割合かを指し、建ぺい率が建物を上から見たとき(水平投影面積といいます)に敷地面積に対してどのくらいの割合かを指します。
都市計画や用途地域の条件を満たしていても指定容積率や建ぺい率が少ないエリアだと、十分な大きさの建物を建てられない可能性がある点に注意が必要です。
周辺のニーズを確認する
法規制に関する問題を解消できたら、周辺のニーズを確認するようにしましょう。
例えば、住宅地にある土地の活用であればアパートやマンションが候補になります。
しかし、周辺にすでにたくさんのアパートやマンションが建っており、競合に負けてしまうようであれば十分な収益を見込めない可能性もあるでしょう。
この段階で競合の家賃などから設定家賃を想定し、収支のシミュレーションまでやっておくと万全だといえます。
土地活用の目的を明確にする
土地活用の目的を明確にしておくことも大切なことです。
土地活用にもいろいろな方法がありますが、原則としてはハイリターンな方法ほどハイリスクです。
例えば、同じ土地でもアパートやマンションによる土地活用、駐車場による土地活用、借地による土地活用などが検討できるケースもあるでしょう。
こうした場合、アパートやマンションが一番ハイリターンを目指せますが、初期投資が必要になり、入居者をうまく集められなかった場合は多額の赤字になってしまうこともあるなどリスクがあります。
一方、駐車場による土地活用であれば初期投資額もそこまで大きくないため、リスクは限定的です。
さらに、借地による土地活用であれば金銭的なリスクはほとんどないこともあります。
とはいえ、駐車場による土地活用や借地による土地活用だと大きな収益を見込むことができません。
あらかじめ、大きな収益を目指したいのか、長期的に安定した活用をしたいのかなど、目的を明確にしておくことが大切です。
土地活用は大きく分けて4種類!あなたにぴったりなのはどれ?
土地活用にはさまざまな方法がありますが、それらを分類すると大きく4つに分けることができます。
- 自己活用
- 共同活用
- 貸し出し
- 売却
それぞれについて見ていきましょう。
自己活用
土地の上にアパートやマンションなど自分の資金や借入で建物を建てて活用する方法です。
初期投資額が大きくなることも多いですが、その分大きな収益を得やすい活用法だといえます。
共同活用
土地の活用を不動産会社などに委託する方法です。
自分で初期投資額を負担する必要がなく、自己活用と比べてリスクを低く抑えることができます。
ただし、契約内容によっては赤字が出たときは負担しなければならないこともあるなど、リスクが全くないわけではありません。
貸し出し
土地を貸し出すことで収益を得る方法です。
基本的には土地オーナーが金銭的なリスクを負うことはありません。
ただし、借地契約を結ぶと10年単位で借地契約を解消できなくなる点に注意が必要です。
また、借地料の相場は固定資産税の3倍程度となっており、大きな収益を期待することはできません。
▼関連記事:土地を貸すにはどんな準備が必要?賃料相場の調べ方やメリット・デメリットを解説
売却
土地に合った活用法が見つからない場合には売却してしまうのも一つの方法です。
土地を売却してしまえば、固定資産税を支払う必要もありませんし、維持管理のための手間や費用も不要となります。
ただし、売却時にまとまった資金を得ることができますが、土地活用して継続的に収益を得ることはできなくなる点に注意が必要です。
土地を「自己活用」するメリット・デメリット
ここでま、土地を自己活用する方法について、いくつかの土地活用法と共にそれぞれのメリット・デメリットをお伝えしていきます。
- アパート・マンション経営
- 戸建て賃貸
- 駐車場
- 商業施設経営
- トランクルーム
- 太陽光発電
- コインランドリー
- 老人ホーム
アパート・マンション経営
土地の上にアパートやマンションを建てて入居者から家賃を得る方法です。
アパート・マンション経営のメリットとしては以下のようなことが考えられるでしょう。
<メリット>
- 家賃収入がある/収益性がある
- 節税効果が高い
アパート・マンションを建てて家賃収入を得る方法では、仮に土地が狭くとも階数を高くすることで縦に活用できるようになり、収益性を高めることが可能です。
また、固定資産税や都市計画税の軽減特例を受けられるのに加え、相続税についても高い節税効果を期待できます。
<デメリット>
- 空室や家賃滞納、災害などのリスクを伴う
- 収益性を高めることができる一方で、初期費用も高く失敗した場合、借金を負うこともある
- 立地や周辺のニーズを調査する必要がある
一方で、収益性を高めるために大きな建物を建てると、それだけ必要な初期投資額が大きくなり失敗したときの損失額も大きくなる点に注意が必要です。
また、立地が悪かったり、周辺のニーズと合わないと空室が生じて収益を得られない空室リスクに十分注意する必要があります。
<向いている土地>
- 駅から徒歩圏内のエリア
アパートやマンションに向いている土地は駅から徒歩圏内にある土地です。
競合が多く存在するということもあり、なによりも立地が重要な土地活用法だといえるでしょう。
戸建て賃貸
戸建て賃貸は戸建て住宅を建てて賃貸に出して、入居者から家賃を得る方法です。
以下、戸建て賃貸のメリット・デメリットについて見ていきましょう。
<メリット>
- 高い収益性を期待できる
- 節税効果が高い
戸建て賃貸は主にファミリー層をターゲットにするという点や、アパート・マンションに比べると競合が少ないということもあり、家賃設定を高めにしやすいという特徴があります。
また、アパート・マンションと同様、固定資産税・都市計画税に加えて相続税の節税効果も期待できます。
<デメリット>
- 立地に影響されやすい
- 賃料の設定が難しい
戸建ての賃貸はマンションやアパートと比べて、まだ需要が小さい傾向にあります。そのため、立地の悪い場合や、賃料の設定での間違いがある場合、借り手がつかないことがある点に注意が必要です。
<向いている土地>
- 様々な土地で対応可能
- 住環境のいいエリア
戸建て賃貸はアパート・マンションほど駅までの距離を気にしなくともよいという特徴があります。地方であれば、自動車での移動を想定できます。
その他、公園や学校、買い物施設など住環境のいいエリアが向いているといえます。
駐車場
土地を駐車場として貸し出すことで利用料を得る方法です。
<メリット>
- 比較的初期投資が少なく済む
- 他の活用法への転用性が高い
駐車場は初期投資額を抑えた活用が可能です。
また、一旦駐車場として活用しておき、将来的にはアパートやマンションでの土地活用を考えるなど、転用性の高さを活かした活用も考えられるでしょう。
<デメリット>
- 大きな収益性を見込めない
駐車場投資は初期投資額を抑えられるものの大きな収益を見込むことができない点に注意が必要です。
なお、駐車場には2つの種類があり、それぞれ以下のような特徴があります。
月極駐車場
- 機械の導入が不要のため、初期費用を安く抑えることができる
- 転用性が特に高い
コインパーキング式
- 機械を導入する費用はかかるが、立地によっては月極駐車場と比較すると収益性が高い
<向いている土地>
- 両方:駅の近く
- 月極駐車場:住宅地の近く
- コインパーキング:商業エリア・観光地の近くなど
駐車場が向いている土地は、月極駐車場かコインパーキングかで上記のように異なります。
それぞれ、周辺に商業施設があるかどうかや車通りの多さなど見て判断することが大切です。
商業施設経営
土地の上に商業施設を建てて自分で経営する方法です。
<メリット>
- 居住用物件より高い賃料を設定できる
- 初期費用をテナントが負担する場合もある
商業施設経営の場合、アパートやマン ションなどの居住用物件より高い賃料を設定できることが多く、その分高い収益性を期待できます。
一方で初期投資額が大きくなりがちですが、入居予定のテナントとの契約内容によっては、テナントが初期費用を負担するような形を検討できる点もメリットだといえるでしょう。
<デメリット>
- 特定の業種に限定した設備の場合、次のテナントが見つかりづらい場合がある
- テナントが埋まらなかった場合に、ダメージが大きい
例えばコンビニエンスストア用の商業施設を建てるようなケースでは、最初に入居したテナントが業績不振で撤退してしまうと、次のテナントも業種が限定されるといったデメリットがあります。
同じ業種だと業績不振で撤退したような建物に入居しづらいといった心理も働きやすいといえるでしょう。
建物を建てる前により慎重にマーケティングを行うことが大切だといえます。
<向いている土地>
- 駅から近い土地
- 人が多く集まるエリアに近い土地
商業施設経営が向いているのは繁華街の他、駅から近い土地や人が多く集まるエリアに近い土地です。
周辺の競合の有無についても事前にしっかり確認しておくことが求められます。
トランクルーム
土地の上にトランクルームを建てて、利用者から利用料を受け取る土地活用法です。
<メリット>
- 初期費用の負担が少ない
- 転用性が高い
- 立地の影響を受けにくい
トランクルームは駐車場よりやや初期投資額が多く得られる収益も高いといったイメージを持つと よいでしょう。
荷物を保管するだけの場所であり、住環境には適していないような立地でも活用することが可能という点もメリットとして挙げられます。
<デメリット>
- 集客が難しく、収益性が低くなる
一方、まだまだ需要が高いとはいえず、集客面での難易度が高いです。
また、仮に満室になったとしても1つあたりの賃料が低く大きな収益にはつながらないという点もデメリットだといえるでしょう。
<向いている土地>
- 住宅地・事務所の多いエリアの近く
トランクルームは郊外での活用も可能ですが、利用者の出し入れ時の手間を考えると、住宅地や事務所の多いエリアの近くが向いているといえます。
郊外での土地活用も目指せますが、集客に苦労する可能性があります。
太陽光発電
土地の上に太陽光発電システムを設置して、売電収入を得る方法です。
<メリット>
- 劣化が緩やかでメンテナンスの負担が少ない
- 立地を気にしないでよい
太陽光発電の最大のメリットは集客を気にしなくてよいという点です。陽当たりのよいエリアであればどこに設置しても得られる収益は同じのため、地価の低い田舎の土地でも十分活用可能です。
<デメリット>
- 初期費用の負担が大きい
- 立地・周辺環境に影響される
一方で、特に市街地での活用を考えるのであれば、周辺に太陽光を遮る障害物が無く、南向きにパネルを設置する音ができるようなある程度の広さを持つ土地に限定されるという点はデメリット だといえます。
<向いている土地>
- 郊外の陽当たりの良いエリア
太陽光発電は集客を気にする必要はありませんが、陽当たりが良いことが求められます。このため、郊外の土地の方が向いているといえるでしょう。
コインランドリー
土地の上にコインランドリー用の施設を建てて利用者から利用料を得る方法です。
<メリット>
- 人件費がかからない
- 狭い土地でお活用することができる
メリットとしては、コインランドリー用の施設を設置できれば狭い土地でも活用できるということが挙げられるでしょう。
自動車移動が前提のエリアだと駐車場の確保も求められますが、駅近くなど徒歩移動前提のエリアであれば駐車場用のスペースも不要となります。
<デメリット>
- 初期費用が比較的高い
- 売上が天気に左右される
コインランドリーは施設を建てるだけでなく、中に高性能な洗濯機など設置する必要があるなど、初期費用が比較的高い点に注意が必要です。
また、雨の日が多いと利用者が増え、晴れの日が多いと利用者が減るなど経営が天気に左右されてしまう点もデメリットだといえます。
<向いている土地>
- 住宅地の近く
コインランドリーは住宅地の近くの方が多くの利用者が見込めるでしょう。周辺に競合がどのくらいあるのかなど事前にマーケティングしておくことが求められます。
老人ホーム
土地の上に老人ホームを建てて入居者から賃料を得る方法です。
< メリット>
- 高い収益性
- 需要が高く、空室リスクも少ない
- 補助金や税制優遇を受けられる可能性がある
老人ホームは今後高齢化の進む日本において需要が増えていくことが想定されるため、将来性の高い土地活用法だといえます。
初期投資額が高い傾向にありますが、条件を満たすことで補助金や税制優遇を受けられるという点も大きなメリットです。
<デメリット>
- 初期費用と継続的なメンテナンスの負担が大きい
- 転用性が低い
- 介護人材の確保が大変
一方、デメリットとしては介護人材の確保の難しさが挙げられるでしょう。自分で経営する場合はもちろん、介護業者に委託する場合でも、仮に委託先が倒産してしまった場合、他の委託先を検討できるのかなど調べておくことが大切です。
<向いている土地>
- ある程度の広さを持つ土地
老人ホームはある程度の広さを持つ土地が必要です。特に郊外に老人ホームを建てる場合には、十分な台数の駐車場を確保できることもポイントとなるでしょう。
土地を「共同活用」するメリット・デメリット
次に、土地を共同活用する方法について、それぞれの土地活用法ごとにメリット・デメリットを見ていきます。
等価交換
土地の所有者が土地を出資し、デベロッパーが建築費用を出資して建物を建築するという方法です。出資比率に応じて、建築した建物を所有し収益を得ることができます。
以下、等価交換についてメリット・デメリットを見ていきましょう。
<メリット>
- 土地を提供するだけで収益を得られる
- 節税効果がある
等価交換のメリットは土地を提供するだけで収益を得られるため、金銭的にはノーリスクで土地活用できるということが挙げられるでしょう。
また、等価交換方式は固定資産税、都市計画税、相続税いずれの方法でも高い節税効果を期待できます。
<デメリット>
- 区分所有となるため、自由に管理ができない
- 優良なデベロッパーを探すことが困難
一方で、等価交換後は区分所有になるため、自由に管理できないというデメリットがあります。
また、賃貸に出す場合はデベロッパーにプラン次第で収益が大きく変動するため、優良なデベロッパーに依頼することが重要です。
<向いている土地>
- 都心など、人が多く集まり大規模な建物を建築可能な土地
等価交換はそもそもデベロッパーが収益性を確保できると判断できなければ契約できないため、立地が重要なポイントとなります。
土地信託
土地信託とは、所有している土地の活用・運用を信託会社に依頼することです。
土地の預け先が得た利益の一部を受け取ることができます。
<メリット>
- 最終的に手元に土地が返ってくる=所有権は譲渡しない
- 経営的な知識が不要
土地信託は土地の活用をプロに任せることになるため、経営的な知識をつける必要がありません。また、最終的には土地が手元に返ってくる契約である点もメリットだといえるでしょう。
<デメリット>
- 収益を得られるかどうか、信託会社にかかっている
- 土地活用に関する知識が蓄積しない。
一方で、収益が得られるかどうかは信託会社次第であり、場合によっては赤字を負担しなければならない点に注意が必要だといえます。
また、経営を任せっきりにするので自分に土地活用に関する知識が蓄積しません。
場合によっては、法外な手数料を取られていたということにもなりかねない点に注意が必要です。
<向いている土地>
土地信託が向いている土地は、こちらも等価交換と同じく、信託会社に収益性が高いと判断されなければ契約できません。
このため、基本的には立地がよく、高い収益性を見込める土地が向いているといえるでしょう。
土地を「貸し出して活用」するメリット・デメリット
次は土地を貸し出して活用する方法についてメリット・デメリットを見ていきたいと思います。
定期借地
定期借地とは、あらかじめ設定した借地期間が経過したら、更新なしで土地の返却を受けられる契約方法です。
<メリット>
- 最終的に土地が返ってくる=所有権は譲渡しない
- 初期費用が必要ない
- 安定的な収入を見込める
借地契約は10年単位で契約を結ぶことになるため、長期的に安定した収益を得られるというメリットがあります。
また、契約に際して基本的に地主側が負担する金銭的なリスクは全くありません。
<デメリット>
- 賃貸期間中に賃料を変更することができない
- 収益性が低い
借地料の相場は固定資産税の3倍程度となっており、収益性が低いという点は大きなデメリットです。
また、定期借地では、原則として借地期間中に賃料を変更できません。
土地を「売却」するメリット・デメリット
最後に土地を売却するメリット・デメリットを見ていきましょう。
<メリット>
- 現金化できる
- その後に税金を支払う必要がなくなる
- 維持管理の手間や費用が要らなくなる
土地を売却してしまえば、まとまった現金を入手できるのに加え、固定資産税や都市計画税といった所有することで発生する税金を支払う必要がなくなります。
また、維持管理費用など不要になる点もメリットだといえるでしょう。
<デメリット>
- 譲渡所得税などの費用がかかる
- 今後、収益を得ることが不可能になる。
一方、土地を売却してしまえば、その後土地活用して継続的に収益化するといったことができなくなります。
また、売却するとその利益額に応じて譲渡所得税を納めれなければならない点にも注意が必要です。
【ケース別】オススメの土地活用の方法は?
最後に、いくつかのケースに分けてそれぞれオススメの土地活用法について見ていきましょう。
高い収益性を目指したいとき
土地活用で高い収益性を目指したいというときには、以下のような土地活用がおすすめです。
- アパート/マンション経営
- 介護施設経営
- 商業施設経営
いずれも経営がうまくいけば高い収益を得ることができます。
それぞれ向いている土地が異なるため、所有土地がどの活用法に向いているか慎重に判断する必要があるでしょう。
また、それぞれ収益性が高い一方で初期投資額も大きく、リスクが大きいという点にも注意が必要です。
都市部に土地があるとき
都市部の土地の活用には以下の土地活用法がおすすめです。
- マンション・アパート経営
- 商業施設
- 駐車場
都市部に一定程度の広さのある土地を所有している場合は、マンション・アパート・商業施設の経営がおすすめです。一方で、所有している土地が狭い場合は駐車場経営を考えるとよいでしょう。
ただし、狭い土地であっても建ぺい率や容積率が高く設定されているエリアであればアパート・マンションや商業施設でも十分に可能性はあります。
地方(田舎)に土地があるとき
一方で、地方の土地を活用する場合には、以下のような方法がおすすめです。
- 太陽光発電
- 戸建賃貸経営
- トランクルーム
- 売却
戸建て賃貸やトランクルームは地方で比較的高い需要があります。
また、利便性が低いなど集客を期待できない場合には、太陽光発電による土地活用もおすすめです。
将来的にも収益性が乏しいと感じる場合は、売却し現金化することも視野に入れておくとよいでしょう。
リスクを低く抑えたいとき
リスクを低く抑えたときの土地活用法は以下の通りです。
- 駐車場経営
- トランクルーム経営
- 共同活用
- 借地
リスクを低く抑えたという方には駐車場経営やトランクルーム経営がおすすめです。
万が一経営がうまくいかなくとも初期投資額がそこまで高額でないためリスクを抑えた土地活用が可能です。
また、共同活用や借地であればリスクを全く取らずに土地活用できます。
転用性を高くしたいとき
- 駐車場経営
- トランクルーム経営
転用性を高くしたいときには駐車場経営やトランクルーム経営がおすめです。
転用とは、土地を他の方法で活用することです。
例えば、最初は駐車場経営を初めて、後からアパートやマンション経営に転用するといったことができます。
一方で、最初にアパートマンション経営を始めて、後で駐車場経営に転用すると、アパートマンションを取り壊さなくてはなりません。
現役時代はリスクを抑えた方法で活用して、将来より収益性の高い土地活用を検討したいといった方に向いているといえます。
更地に戻すことが容易な平面式駐車場と屋外型トランクルームが特におすすめです。
土地活用の詳細は相談する
本記事でご紹介した通り、土地活用にはさまざまな方法があり、土地によって向いているものと向いていないものがあります。
また、自分がどの程度の収益を得たいかなどによってもおすすめの土地活用法は異なります。
具体的に、どのような土地活用が向いているかについては、ハウスメーカーや土地活用専門の業者に相談するべきだといえるでしょう。
その際には最初から1つの会社に絞るのではなく、複数の会社に相談しながらプランの提案を受け、その中でどのプランがいいのか、自分で判断していくことをおすすめします。
まとめ
所有している土地を活用しないと生じる損失や、土地活用の方法、おすすめの土地活用法の選びからなどご紹介しました。
活用せずに土地を放っておくと活用しないという機会損失だけではなく、税金の負担や維持管理費用、近隣とのトラブルの可能性などさまざまな損失が生じてしまいます。
活用できていない土地を所有されている方は、本記事の内容を参考に土地活用について考えるか、土地活用しないのであれば売却も検討してみるとよいでしょう。