戸建て住宅は「マンションより売れにくい」と言われることがあります。
実際、かつては戸建てのほうが売れにくい傾向にありましたが、新築住宅の価格高騰で中古住宅を選ぶ人が増えたことや、中古の戸建てでも住宅ローン控除を適用しやすくなったことから、首都圏ではマンションと戸建ての売れやすさに数字上の大きな違いは見られなくなりました1。
しかし、戸建てはマンションと比較して管理状態の差や周辺状況など「物件の個別性」が一軒ごとに異なるため、販売が長期化するケースも依然として多いのが実情です。
住み替えなどでスケジュールを立てる必要があり、できるだけ早く売りたいという方も多いでしょう。一般的な「仲介」での売却は早くても3カ月程度かかりますが、不動産会社に直接購入してもらう「業者買取」であれば、1カ月以内での売却も可能です。
ただし買取の場合は仲介よりも値段が下がってしまうため、物件の状態や売却の事情に応じて選択することが重要なため、この記事で買取向きの条件などを確認していきましょう。
▼この記事の結論
次の8つのいずれかに当てはまる戸建ては、仲介よりも買取での売却が向いています。
- 築年数が古い
- 間取りが現代的でない
- 土地・建物が大きすぎる/小さすぎる
- 既存不適格・違反建築
- 相続・転勤・離婚などで早く売りたい
- 売却を人に知られたくない
- 心理的瑕疵がある
- 遠方にある
また、判断の軸はシンプルで、基本的には「価格を優先するなら仲介、スピードと確実性を優先するなら買取」です。実際のデータでは、戸建ての成約日数は仲介の中央値152日に対し、買取は51日と約3分の1で売却できています(詳細は本文で解説します)。
戸建て住宅の売却方法:「買取」と「仲介」の基本
不動産会社に「家を売りたいです」と相談したときは、「不動産会社が代わりに買主を探す仲介」が提案されるケースがほとんどです。
一方で「買取」は、不動産会社が直接購入する売却方法です。
- 仲介:メルカリやヤフオクに出品して、自分で購入者を見つける
- 買取:ブックオフなどの店舗に商品を持ち込んで、お店に買い取ってもらう
日用品や家電の取引で例えると、上記のイメージに近いでしょう。
仲介とは
仲介では、不動産会社と媒介契約を結び、物件の購入者を探してもらう。
仲介とは、不動産会社に戸建て住宅売却の仲介役を引き受けてもらい、買主を探してもらう売却方法です。
買取とは
業者買取では、不動産会社と売買契約を結び、物件を直接買い取ってもらう。
買取とは、不動産会社に戸建て住宅を直接買い取ってもらう方法です。
買取した業者はリフォームをして再販売するので「買取再販」と呼ばれることもあれば、すぐに買い取ってもらうことから「即時買取」、あるいは不動産会社が直接購入するため「直接買取」と呼ばれることもあります。
戸建てを売るときの「買取」と「仲介」5つの違い
買取と仲介の違いとして確認しておくべきポイントを解説します。
買取と仲介の違い比較表
| 買取 | 仲介 | |
| 契約 | 売買契約 | 媒介契約 |
| 売却価格 | 相場価格よりも安くなる (相場価格の5~8割程度) | 相場価格で売れる可能性がある |
| 査定額 | 買取価格 (売れる金額) | 売り出しの参考価格 (売れる金額とは限らない) |
| 売却までの期間 | 引き渡しまで数週間 | 3~6カ月程度 (物件によってはそれ以上) |
| 諸費用 | 不要 | 仲介手数料 (解体・補修費用がかかることも) |
| 契約不適合責任 | 免責 | 引き渡しから3カ月 |
結ぶ契約の種類が違う
仲介と買取では不動産会社の役割は異なるため、結ぶ契約の種類にも違いがあります。
- 仲介:買主を探してもらうために媒介契約を結ぶ
- 買取:直接購入してもらうために売買契約を結ぶ
仲介の「媒介契約」は、不動産会社にレインズへの登録やポータルサイトへの広告掲載といった広告活動を行い、買主を探す販売活動を行ってもらうための契約です。
一方で買取の「売買契約」は文字通り 「不動産会社に物件を買ってもらうための契約」となります。
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売れる価格が違う
買取と仲介は売れる価格が違います。
買取では不動産会社は買い取った後、自社の利益を確保する必要があるため、高くても市場価格の8割程度での買い取りとなるのが一般的です。
不動産会社が買取して再販売する際のコストや利益を差し引いた金額で取引されるため、仲介よりも金額が安くなる。
一方、仲介の場合は相場価格通りで売却できる可能性があります。
とはいえ、仲介の場合でも、最終的にかなりの値引きをして売買契約を締結するといったこともあるため、必ずしも相場通りで売却できるというわけではありません。
「査定額」の意味が違う
不動産を売却する際は、仲介でも買取でもまずは不動産会社の査定を受けるところからスタートします。
算出された査定金額を確認するときの注意点は、仲介は売り出し価格の参考にする「市場で売れそうな価格」であり買取の場合は「その金額で不動産会社が購入する=売却金額となる」という点です。
仲介の方が相場価格付近で売れるため、買取の金額よりも査定額は高くなります。
しかし、その金額は「売れる金額」ではなく、「これぐらいで売れそうですので、うちで媒介契約を結びませんか?」という意図が含まれる提案の価格です。
仲介の査定金額通りに売れるとは限らず、むしろ買主からの値下げ交渉を前提に、少し高めの金額が算出されることが多いのです。
また、媒介契約を結ぶために、相場と比べると明らかに高い金額を提示して売主の気を引こうとする不動産会社も少なからずありますので、注意しておきましょう。
売れるスピードが違う
買取の場合、買主が不動産会社のため、ほとんどの場合現金一括払いです。
このため、条件がまとまれば売買契約~引き渡しまで1週間程度で終わってしまうことも珍しくありません。
一方、仲介の場合、おおむね3カ月以内に売れる価格で売り出しを始めることになりますが、タイミングが悪かったり、もしくは設定した価格が相場通りでなかったりした場合には、半年~1年以上売れ残ってしまうこともあります。
特に戸建ての場合、間取りや立地、周辺環境など個別性が高く、マンションに比べて相場通りの査定が簡単ではあり ません。
そのため、マンションよりもリフォームにかかる費用が見えにくく、一般の買主を仲介で探すのは難しいことも多いです。
仲介と買取で売れるまでにどれぐらいの差があるのか
実際に「イエウリ」で査定申し込みをした戸建て住宅が、仲介・買取でそれぞれ売買契約を結ぶまでに何日かかったかの統計は、以下の通りです2。
| 成約日数:戸建て | 平均値 | 中央値 |
| 仲介 | 184日 | 152日 |
| 買取 | 83日 | 51日 |
このデータも、売れるまでの日数を推測するまでの参考にできるでしょう。
| 成約日数:マンション | 平均値 | 中央値 |
| 仲介 | 121日 | 91日 |
| 買取 | 51日 | 38日 |
マンションの場合は上記の通りで、やはり戸建て住宅はマンションに比べて売れるまで時間がかかるケースが多いと言えます。
なお、東日本レインズの統計によると、2024年の中古戸建ての成約日数平均は97.3日であり、マンションの85.3日と比較すると若干長期化する傾向にあります。
ただし、冒頭でもお伝えした通り
- 新築住宅は高すぎるから、割安な中古戸建てを購入する人が増えた
- 住宅ローン控除適用の築年数に関する条件が緩和されたため、中古の戸建てが選択肢に入りやすくなった
といった事情もあり、特に1982年以降に建てられた新耐震基準の家であれば、仲介で売却する際のハードルは従来よりも低くなっています。
買取業者の「査定への参加・辞退」にも戸建てとマンションで差がある
売れるまでの日数だけでなく、「買取業者がどれだけ積極的に査定へ参加してくれるか」という点でも、戸建てとマンションには明確な差があります。
イエウリに登録された物件のうち、都市部(首都圏1都3県および全国の政令指定都市)の物件1,547件について、買取入札への参加状況を集計した結果が以下です







