不動産会社と媒介契約を結んで売却活動を進めていると、「担当者の動きが鈍い気がする」「囲い込みされているのでは」「そもそも売り出し価格は妥当なのか」など、別の不動産会社の意見を聞きたくなるタイミングは誰にでも訪れます。
しかし、「契約中に他社と接触したら違約金を取られるのでは」「今の担当者との関係が悪くなるのでは」という不安から、動けずにいる売主の方も多くいらっしゃいます。
結論からお伝えすると、査定依頼や相談自体は媒介契約の種類を問わず可能で、今の会社に他社への相談がバレることもほぼありません。
ただし、そのまま販売を切り替える場合は、契約形態と期間に応じた注意点があるため、先を見据えて準備を進める必要があります。
この記事では、媒介契約中に他社へ査定・相談するときの可否と注意点、売主のよくある不安別のおすすめアクションを整理してお伝えします。
媒介契約中でも査定依頼・相談はすべて可能
まず押さえておきたいのは、他社への査定依頼やセカンドオピニオンとしての相談は、どの媒介契約を結んでいても可能だということです。
媒介契約が制限しているのは「販売活動の依頼先」であって、売主が情報収集のために他社と話すこと自体を禁じるものではありません。
実際、専任媒介契約・専属専任媒介契約であっても、査定を受けたり売却方針について意見を求めたりすることに契約上の問題はないのです。
ただし、実際に「現在の契約会社から別の会社に切り替えて販売を任せたい」となると、話が変わります。によって、切り替えに必要な手続きや注意点が異なるためです。
媒介契約の種類別・他社依頼の可否
媒介契約は「」「」「」の3種類があり、他社への対応可否は次のとおりです。
| 他社への査定・相談 | 他社に販売を追加依頼 | 他社への切り替え | |
| 一般媒介 | ◯ | ◯(複数社OK) | 既存の会社に通知が必要な場合あり |
| 専任媒介 | ◯ | ✕ | 現契約の解除が必要 |
| 専属専任媒介 | ◯ | ✕ | 現契約の解除が必要 |
一般媒介契約は他社を追加することも、切り替えることも比較的柔軟に対応できます。
一方、専任媒介契約・専属専任媒介契約は、他社に販売を依頼するには現在の契約を解除する必要があります(他社への査定や相談自体に制約はないが、トラブル防止のために断られることもある)。
媒介契約を期間満了前に解除する場合は違約金が発生するケースもあるため、タイミングの見極めが重要です。
なお、専任媒介契約では「」も可能ですが、専属専任媒介契約ではこれも認められていません。
あなたの不安・動機はどれ?タイプ別のおすすめアクション
売主が媒介契約中に他社相談を検討する動機は、大きく7タイプに分かれます。タイプ1〜6は「現状への不満や疑念」から、タイプ7は「情報収集・選択肢比較」から生じるもので、性質がやや異なります。
ご自身の状況に近いタイプを参考に、まず取るべきアクションを確認してみましょう。
タイプ1:担当者や販売手法に不満がある
定期連絡が少ない、広告写真がスマホ撮影の暗いもの、紹介文が薄く物件の魅力が伝わっていない、担当者と話していてもフィーリングが合わない――こうした不満は多くの売主が抱えます。
この場合、いきなり会社自体を切り替えるのではなく、まず担当者変更や活動内容の改善要求を試すのが得策です。
大手や中堅の会社であれば担当者変更は現実的な選択肢ですし、本店や支店長に相談するという方法もあります。
少人数の会社で担当者変更が難しい場合や、改善を求めても動きが変わらない場合は、切り替えの検討段階に入ります。
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タイプ2:囲い込みが疑わしい
媒介契約中の不動産会社が、自社の利益を優先して「」を行っており、問い合わせが他社から来ないように制限されているのでは、という疑念を持つ売主の方も一定数いらっしゃいます。
2025年1月の宅建業法改正により、のステータス偽装は処分対象になりました。
囲い込みの有無は、媒介契約時に発行されるレインズ登録証明書のURLとパスワードから、売主自身がステータスを確認することで判断できる場合があります。
- 公開中
- 書面による購入申し込みあり
- 売主都合で一時紹介停止中
のいずれになっているかをチェックし、実態と異なる場合は確認・通報を検討しましょう。
詳しくは不動産は「囲い込み」されると売れない!悪質な会社の手口と対策をご覧ください。
タイプ3:査定価格・売り出し価格の妥当性に疑問がある
「他社に査定してもらって相場感を確認したい」というニーズは非常に多く、他社への査定依頼の動機として最も一般的です。
特に注意したいのは、媒介契約を獲得するために高めの査定額を提示する不動産会社がいるという事実です。
「このくらいで売れます」と強気の査定をされて契約したものの、売り出してすぐ「やはり相場に合わせて値下げを」と提案されるパターンは珍しくありません。
複数社の査定を取れば、相場感の目安が見えてきます。
詳しくは不動産の査定額は根拠の確認が重要の記事をご確認ください。
タイプ4:内見が入らない/商談につながらない
売り出してから一定期間経っても内見が入らない、または内見はあっても申し込みに至らない場合、価格・広告写真・掲載媒体の3点を先にチェックすることをおすすめします。
ポータルサイトで自分の物件を見てみて、写真・紹介文・掲載情報が買主目線で魅力的に見えるかを確認してください。改善の余地があれば、まずは現在の不動産会社に要望を伝えるのが先です。
それでも変わらない場合に、切り替えや他社相談を検討する段階になります。
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タイプ5:値下げ提案を受けたが、応じるべきか判断できない
不動産会社から「そろそろ価格を下げましょう」と提案されたものの、本当に値下げが必要なのか判断できないというケースも多くあります。
値下げが妥当なのは、相場から売り出し価格が明らかに乖離している場合です。
当初の査定額が「媒介契約を結ぶために高く提示されていた」という場合、その金額を参考に売り出しを続けるとデメリットも生じます。
一方で、反響が少ない原因が広告の質や営業活動の弱さにある場合、値下げしても効果は限定的。このような判断は、今の不動産会社だけの情報では難しいのが実情です。
他社のセカンドオピニオンを取ることで、「値下げが本当に必要か」「値下げ以外の改善余地があるか」を客観的に確認できます。
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タイプ6:売却が長期化している/売れ残りへの焦り
売り出しから3ヶ月・6ヶ月・1年と経つにつれ、焦りが募るのも当然です。
長期化には実害があります。物件が「売れ残り」とみなされると買主から足元を見られて値下げ交渉を受けやすくなり、ダブルローンや住み替えスケジュールにも影響します。
この状態で「今のままでいいのか」と感じたら、現契約を継続する/値下げする/他社に切り替える/に切り替えるなど、取りうる選択肢を全て並べて比較する段階と言えます。
詳しくは中古住宅は何カ月で売れる?売却までの期間・スケジュールをご覧ください。
タイプ7:買取の値段も知っておきたい
「で売り出しているけれど、なら今すぐ確実に売れるのなら、それも視野に入れたい」――このニーズも一定数存在します。
タイプ1〜6と異なり、現状への不満というより選択肢の比較が目的です。
買取会社への査定依頼自体は、どの媒介契約中でも打診可能です。
ただし実際に買取で進めるには制約があります。
買取に切り替える場合の3パターンと注意点
- 現仲介会社に買取会社を紹介してもらう → 仲介手数料が発生する可能性がある
- 媒介契約を解除してから買取会社に直接依頼 → 期間中の解除なら違約金のリスク
- 専任・一般媒介契約で自己発見取引として進める → 専属専任媒介契約ではそもそも不可
さらに現実的な壁として、自己発見取引が認められる契約形態であっても、仲介で販売中の物件には査定を出さない買取会社が多いという業界慣行があります。
買取価格は仲介での成約価格に比べて低くなるため、買取会社にとっては「売主が本気で買取を検討しているのか」が見えない段階で査定を出すのは、労力に見合わないリスクがあります。提示した金額が単なる相場確認や、さらに他の買取会社と値段交渉するための当て馬として使われてしまうケースが少なくないためです。
買取にするか判断に迷う場合
買取を視野に入れるかは、次の3点で決まります。
- 売却期限:買取は早ければ1ヶ月程度で決まり、引き渡しまで猶予を持たせてくれるケースもある。
- 売却目線の金額:買取価格は仲介成約価格の6〜8割が相場(さらに低くなることもある)。この差を許容できるか。
- 現在の仲介の手応え:内見や商談が動いているなら、仲介継続の方が高値期待は残る。
買取は価格が下がるリスクを売主が負う一方で、確実に売れる金額・時期が定まり、引き渡し時期の調整もしやすいため、「いくらなら売却を決断できるかの目線」を持っておくことが重要です。
「買取の価格も知っておきたい」ぐらいの動機で査定を依頼しても、買取会社に取り合ってもらえないことがある点に注意しましょう。
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他社への査定や相談は今の会社にバレる?
結論、ほとんどのケースでバレることはありません。ただし、状況によっては注意が必要です。
バレるリスクがほぼないケース
現在の不動産会社の販売手法や対応に不満があり、切り替えを視野に他社へ相談する場合は、情報が共有されることは基本的にありません。
注意が必要なケース
仲介で販売中に買取会社へ相談する場合、その買取会社が仲介会社から既に物件情報を得ていることがあります。この場合、紹介元の仲介会社とのトラブルを避けるために、買取会社側が事前確認を行うことがあります。
相談を断られるケースもある
不動産会社によっては
- 専任・専属専任で契約中は対応できない
- 解約後に来てください
- 期間満了で更新しないことを通知してから
など、条件を付けられることもあります。これは現契約会社とのトラブルを防ぐための配慮から来るものです。
スムーズに相談を進めるには、現在の契約形態・満了時期・違約金の有無を事前に把握した上で動くのがおすすめです。
当サイト「イエウリ」では、媒介契約を結んで売却活動中の売主様から相談をいただき、査定価格の見直しや買取会社の紹介を行っております。
不動産会社をご紹介する前に、業界での経験豊富なスタッフによるサポート対応を行っているため、売却の失敗リスクを避けて他社の意見を聞いてみたいという方は気軽にご相談ください。
他社への切り替えを決めた場合の注意点
相談や査定の結果、「やはり今の会社ではなく他社に切り替えたい」となった場合、タイミングと手続きの進め方で違約金の有無が変わります。
期間満了で更新しないのがベストタイミング
専任媒介契約・専属専任媒介契約の契約期間は最長3ヶ月です。期間満了時に更新しなければ、違約金なしで契約は終了します。
これが最も穏便な切り替え方法です。
一般媒介契約は契約期間の縛りが比較的緩く、違約金なしでの解除となるのが一般的ですが、契約書に特約がある場合は費用請求の可能性があります。
ただし、不動産会社側に義務違反(レインズ登録の怠り、活動報告の不履行など)があった場合は、期間中でも違約金なしでの解除が可能です。
また、期間満了時の解約でも、広告費・業者クリーニング費・測量費など「自社で売り出すことを条件」に無料サービスとして提供されていた費用が実費精算の対象になることもあるため、媒介契約書の条項は事前に確認しておきましょう。
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依頼先をスムーズに切り替えるためのスケジュール
期間満了時に契約する会社をスムーズに切り替えるには、他社への相談のタイミングも重要です。
次のような目安で進めると、スムーズに切り替えできるでしょう。
- 満了3週間前:他社にコンタクトを取り、現状・不満点・ 満了日を伝える。
- 満了2週間前:他社の提案を比較検討し、切り替え先を決定。現契約会社に「更新しない」旨を伝える。
→この際、レインズやポータルサイトの掲載を「いつまでに取り下げる」かも明確にしておきましょう。 - 満了翌日:新しい会社と媒介契約を結び、即日売却活動を再開。
このスケジュールで動ければ、販売の空白期間を最小化できます。
また、口頭でも契約解除は成立しますが、後のトラブル防止のため書面での通知が確実です(できれば内容証明、少なくとも簡易書留ぐらいは付けておくべき)。
まとめ
媒介契約中でも、他社への査定依頼や相談は可能です。
実際に販売を切り替えるかどうかは、契約形態と期間に応じた手続きが必要になりますが、情報を集めずに不安を抱えたまま契約を続けるより、まず他社の意見・査定を取って自分の状況を客観視することが納得のいく売却への第一歩です。
一度担当者と顔を合わせた関係は、情が湧いて切り替え判断が鈍りがちなもの。ただ、売主にとって不動産は人生でも指折りの大きな資産です。
情ではなく情報で判断するために、他の会社の意見を聞いてみることも視野に入れてみましょう。








