相続した実家が空き家になり売却しようにもなかなか売れない、というケースは少なくありません。
田舎の空き家で需要が低い・築年数が古いなど売れない理由はさまざまですが、いつまでも売れずに放置しているとトラブルに発展することがあります。
とはいえ、売れない実家をどうやって売却すればいいのでしょうか?
この記事では、空き家となった実家が売れない理由や放置するリスク、売るための対処法や売却事例など詳しく解説します。
実家の空き家が売れないよくある理由
売れない実家を売るには、売れない理由に合わせた対策が必要です。
まずは、なぜ売れないのかを把握するようにしましょう。
ここでは、実家の空き家が売れないよくある理由として、以下の5つを紹介します。
- 古い団地にある
- 旧耐震基準の建物である
- 再建築不可物件になってしまっている
- 相続人など関係者の意見をまとめることができず売り出し価格が高いまま
- 内見時の対応が悪い
それぞれ見ていきましょう。
古い団地にある
団地とは、まとまった敷地にある複数の住居が集合した建物です。
団地は、築年数が古かったり設備が劣化していたりといった理由で需要が低く、売りにくくなってしまっていることが多いです。
とくに、以下のような団地は売却が難しくなります。
- 築年数が古い
- 立地条件が悪い
- 管理ができていない
団地は戦後の住宅不足解消のため1960年代から普及し、1970年代にピークを迎えており、そうした団地の相続が進んでいます。
築年数が古い団地はそのままでは間取りや設備が今のニーズとあっていないため、需要は高くありません。
立地が悪い・管理組合が適切に管理していないといった条件が重なれば、さらに売却しにくくなってしまうでしょう。
旧耐震基準の建物である
1981年6月1日に建てられた建物は新耐震基準です。
一方、それ以前の建物は旧耐震基準で建設されており、現行の基準を満たしていません。
旧耐震基準であっても法律違反ではなく、地震が起きれば即倒壊となるわけではありませんが、新耐震基準に比べ倒壊リスクが高くなります。
仮に、耐震リフォームするにしても費用が高額になる恐れがあるでしょう。
このような地震への不安があることや、リフォーム費用が高額になることから、買主から避けられやすくなるのです。
また、旧耐震基準の建物は住宅ローン審査で不利になる・各種控除などを適用できないなど買主が資金面で不利になりやすい点も売却のしにくさにつながります。
再建築不可物件になってしまっている
再建築不可物件とは、現在建っている建物を取り壊すと新しい建物を建てられない物件のことです。
代表的な再建築不可物件に、接道義務を満たせない土地が挙げられます。
現行の建築基準法では、建物を建設するには「幅4m以上の建築基準法上の道路に土地が2m以上接する」という接道義務を満たす必要があります。
しかし、接道義務が設けられる以前の道路は、幅が狭いなどで接道義務を満たしていないケースがあるのです。
すでに建設されている建物は、現行の基準を満たしていなくても建築違反にはなりません。
しかし、その建物を解体すると接道義務を満たせないため再建築できなくなってしまうのです。
再建築不可物件は、購入しても新築できないなど活用が制限されるため、売却しにくくなってしまいます。
相続人など関係者の意見をまとめることができず売り出し価格が高いまま
相続した実家を相続人で共有し売却する場合、売却を進めるには相続人全員の合意が必要です。
しかし、相続人が複数人になると売却方針で揉めるケースが少なくありません。
とくに、売却価格は揉めやすいので注意が必要です。
売却価格を下げることに反対する相続人がいると、適切なタイミングでの値下げが難しくなり売却が長期化しやすくなります。
内見時の対応が悪い
物件や価格に問題がなくても、内見時の対応が悪く売却につながらないケースもあります。
内見時にマイナスな印象を与えやすい対応としては以下が挙げられます。
- 部屋が汚い
- 内覧できる日程が限定的
- 案内時の対応が悪い
部屋が掃除できずに散らかっている場合は、内覧者からの印象が悪くなり売却につながりにくくなります。
内覧できる日程が限定的で柔軟に対応できないケースでは、そもそも内覧してもらえません。
また、部屋をきれいにしていても、高圧的・愛想がない・質問に答えないなど、内覧時の態度が悪い場合も売主への信頼が損なわれ売却につながりにくくなってしまうのです。
実家の空き家が売れないまま放置するリスク
実家が売れないからといって放置すると、以下のようなリスクがあります。
- 景観が悪化し周辺住民とトラブルになる
- 倒壊や災害による損害賠償リスクがある
- 犯罪に利用されるケースがある
- 固定資産税がかかる
- 特定空家等に指定されると固定資産税が最大6倍になる
それぞれ見ていきましょう。
景観が悪化し周辺住民 とトラブルになる
空き家を放置することで、老朽化しボロボロになる・樹木が生い茂っているなど見た目が悪い状態になります。
自分の住んでいる家の隣が廃墟ともなれば、近隣住民は良い気分がしないでしょう。
また、廃墟があることで悪臭や害虫の発生、犯罪の温床になるのではといった不安も抱えることになります。
そのため、周辺住民からクレームが入るなどトラブルになる恐れがあるのです。
倒壊や災害による損害賠償リスクがある
空き家を管理せずに周辺住民や通行人に被害が出ると、損害賠償請求される可能性があります。
たとえば、放置した空き家の瓦が台風で飛んで通行人や近隣住居に被害を出した場合、空き家の管理ができていなければ所有者に責任が問われる恐れがあるのです。
とくに、築年数に古い実家を放置していると老朽化や災害時に倒壊のリスクが高くなるので、注意しましょう。
犯罪に利用されるケースがある
空き家は、不法侵入者による盗難や住みつきや放火などの被害を受けたり、たむろの場とされてしまったりと犯罪の温床となるリスクがあります。
また、ゴミが不法投棄されるケースも多く、一度放棄されると不法投棄が続きゴミ問題が悪化しかねません。
そのような治安の悪化は、周辺住民が生活するうえで安全面だけでなく精神的にも悪影響となるでしょう。
固定資産税がかかる
固定資産税は、不動産の所有者に毎年課せられる税金です。
空き家であっても不動産を所有している以上、固定資産税が毎年課税され、また市街化区域内の場合は都市計 画税も課せられます。
市街化区域とは、都市計画法によって指定された区域で、原則として住宅や商業施設などの開発が可能なエリアのこと。この区域では、都市基盤(道路、上下水道、公園など)の整備や維持管理のために都市計画税が課される。
所有しているだけでも毎年税金がかかるため、活用しない空き家はマイナスの資産となりやすいのです。
特定空家等に指定されると固定資産税が最大6倍になる
特定空家等とは、空き家特別措置法により自治体が指定する以下のような空き家です。
- 倒壊などが著しく保安上危険となる恐れがある状態
- 著しく衛生上有害となる恐れがある状態
- 著しく景観を損なっている状態
- 周辺の生活環境保全を図るうえで放置することが不適切な状態
放置した空き家は倒壊や犯罪・衛生上などさまざまな問題を引き起こしかねません。
そのような問題を防ぐ為に自治体は、状態の悪い空き家を特定空家に指定し、指示や命令などで改善を図るのです。
特定空家に指定され、勧告を受けると固定資産税の優遇措置の対象外となります。
固定資産税の優遇措置とは、居住用の建物が建っている土地の固定資産税が最大6分の1に軽減される制度です。
この優遇の対象外となることで、本来の高い税額で固定資産税が請求されてしまいます。
ただし、特定空家に指定されても、自治体の指導に従って状況を改善すれば指定は解除され、固定資産税の優遇を受けることが可能です。
なお、2023年の法改正にともない、特定空家になる前段階の空き家に対して管理不全空き家の指定が可能となっています。
管理不全空き家になった場合も、一定の条件で固定資産税の優遇の対象外となってしまうので注意しましょう。
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実家の空き家が売れないときの対処法
実家の空き家が売れないからといってすぐに諦める 必要はありません。
ここでは、実家の空き家が売れない場合の対処法を紹介します。
古家付き土地として売る
古家付き土地とは、その名の通り古い家の付いている土地です。
古い家は建っていますが、建物としての価値はほぼゼロとして土地として売却します。
中古住宅としての売却はあくまで建物の価値で売却するのに対して、古家付き土地は土地として売却するという点が異なります。
建物が古く売れない場合でも土地として需要があれば、売却が見込めるでしょう。
また、古家付き土地であれば売主が解体費用をかけずに済む点もメリットです。
ただし、古家付き土地は買い手が購入後に解体するため、その分相場よりも安値になるのが一般的です。
また、解体費用を嫌がった買い手から避けられたり、値下げしたうえでさらに価格交渉されたりする点に注意しましょう。
家を解体して更地として売却する
解体して更地として売却すれば、買い手はすぐに活用できるため立地がよければスムーズに売却できる可能性があります。
しかし、建物を解体すると固定資産税の優遇措置の対象外となる点には注意が必要です。
解体後売れない期間が長ければ税金の負担も大きくなるので、解体時期は慎重に検討するようにしましょう。
また、再建築不可物件は解体すると活用できないことから売却が難しくなるため、事前に再建築不可物件に該当しないかの確認が大切です。
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