子どものことを考えて購入した家も、子どもが巣立っていった後は不要な部屋が残ってしまいます。そうでなくとも、老後は夫婦ふたりでゆっくりと過ごせる家が欲しいと思うのではないでしょうか。
本記事では、老後の住み替えのコツとして、基本的な内容から、買い換えと賃貸どちらがよいのかといったことまで解説していきます。
老後の住み替えに関する選択肢
家族のために購入した家も、老後の暮らしには大きく感じてしまうのではないでしょうか。大きさ以外にも、若いときには気にならなかった家の中の段差のない生活を送りたいといった方もいらっしゃるでしょう。
こうした問題を解決するには以下のような選択肢があります。
- リフォーム
- ダウンサイジング
- 高齢者向け住宅
- 二世帯住宅
それぞれメリット・デメリットがあり、どれが一番よいということはありません。一つ一つ比較してみて、自分にとって一番よいものを選ぶとよいでしょう。
リフォーム
今住んでいる家をリフォームして住み続ける方法です。
部分リフォームとフルリフォーム
リフォームには部分リフォームとフルリフォームがあります。
部分リフォームはお風呂やトイレ、キッチンなど気になる部分だけリフォームする方法で、費用を抑えられるのに加え、引っ越す必要がないといったメリットがあります。
一方で、リフォームしない部分については不具合が残ってしまうこともあるでしょう。
フルリフォームは建物全体をリフォームする方法で、少しずつリフォームしていく方法もありますが、リフォーム中に仮住まいが必要になることもあります。その他、部分リフォームと比べて費用がかかってしまう点にも注意が必要です。
リフォームでヒートショックを回避
老後の住み替えで意識しておきたいのがヒートショックです。
ヒートショックとは、冬場に暖房の効いた暖かい部屋から、廊下や浴室など寒いところに移動することで血管が縮み、その状態でお風呂に入ることで血管が急に広がり、心筋梗塞や脳卒中につながってしまう現象です。
東京都健康長寿医療センター研究所の調査によると、年間1万7000人がヒートショックで亡くなっているとのことで、この数は交通事故での死亡者数(年間4000人程度)を大きく上回ります1。
古い建 物は断熱性が低く、廊下や浴室が寒くなっているため、ヒートショックが起こりやすい環境です。
リフォーム時には、家の断熱性能を高めたり、お風呂に浴室暖房乾燥機をつけるなどして家の中での温度差を少なくし、ヒートショック対策を心がけましょう。
建物の躯体や基礎は古いまま
フルリフォームしてしまえば新築同様にできますが、建物の躯体や基礎は古いままです。
例えば、昭和56年以降に建てられた建物は全て耐震等級1以上の新耐震基準で建てられていますが、それ以前の建物については地震に弱い可能性があります。古い建物で、耐震性が気になる場合にはリフォームではなく建て替えや買い換えを検討したほうがよいでしょう。
老後の住み替えにリフォームを選ぶメリット・デメリット
老後の住み替えにリフォームを選ぶメリット・デメリットを改めて見てみましょう。
まず、メリットとしては他の方法と比べると費用を安く抑えやすいことが挙げられるでしょう。部分リフォームであれば数百万円で済みますし、フルリフォームであっても建て替えと比べたら安く済ませられます。
また、引っ越す必要がないという点もメリットです。一方、デメリットとしては建物の躯体や基礎部分に手を加えないため、耐震性や耐久性に難があることが挙げられるでしょう。
ダウンサイジング
ダウンサイジングとは、今の家より小さい家に引っ越す方法です。
老後の住み替えにダウンサイジングを選ぶメリット・デメリット
老後の住み替えの方法としてダウンサイジングを選ぶのにはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
まず、メリットとして挙げられるのは家が小さく、部屋が少なくなることで掃除の手間等がなくなることが挙げられるでしょう。
また、階段など段差のない家を選ぶことで、身体に余計な負担をかけなくてよくなります。その他、夫婦2人だけの生活を前提に家を選ぶことができるため、書斎や趣味の部屋など理想の住まいとしやすい点もポイントです。
一方、デメリットとしては費用の問題が挙げられるでしょう。ダウンサイジングするには、建て替えするか、今の家を売却して新しい家を購入する必要があります。
建て替えの場合、建物の解体費に加えて新しく家を新築するお金がかかるため、大きな資金が必要となります。
今の家を売却して新しい家を購入する場合は、家の売却代金を新居購入代金に充てることができますが、建物部分は築年数が20年程度以上ある場合、ほとんど価値がつきません。
土地価格だけで売却しなければならないことも多く、新居を購入するのにある程度資金を用意しなければならないケースも多いです。最初に家をいくらで売却できるかや、住み替えの費用としてどのくらいのお金を用意できるかを調べておくようにしましょう。
高齢者向け住宅
転居先に高齢者向け住宅を選ぶ方法です。
老後の住み替えに高齢者向け住宅を選ぶメリット・デメリット
老後の住み替えに高齢者向け住宅を選ぶメリットとしては、高齢者向けに設備の整った住宅に引っ越すことができるということが挙げられるでしょう。
また、介護サービスのある家もあるため、将来的な介護に関する家族への負担を和らげることができます。
一方、デメリットとしてはダウンライジングと同じく費用の問題が挙げられます。高齢者向け住宅はさまざまな設備が必要となるため、普通の住宅よりやや高い価格設定となっているということを頭に入れておきましょう。
また、老人ホームなど他の高齢者と集団生活するようなケースでは、集団生活自体が肌に合わないといった方もいらっしゃいます。
高額な費用のかかることなので、しっかり見学するなどして慎重に検討するとよいでしょう。
二世帯住宅
最後に、二世帯住宅に住む方法です。
二世帯住宅にはさまざまな形がある
一言で二世帯住宅といっても、キッチンやお風呂が1つしかない、やや大きめな家に二世帯が住むケースや、同じ建物ではあるものの建物内部でつながっていない完全分離型の二世帯住宅もあります。
費用の問題やプライバシーの問題、介護の問題など総合的に判断する必要があるといえるでしょう。
お金の支払いはどうなる?
二世帯住宅に住む場合、親世帯と子世帯でどのように費用を支払うかを話し合うべきです。
親世帯と子世帯とで共同でローンを組むこともできますが、この場合、それぞれどのくらいの割合で返済していくかを決めなければなりません。
また、親世帯が土地を提供したり、一定額を負担したりといったケースもあります。
老後の住み替えに二世帯住宅を選ぶメリット・デメリット
改めて、老後の住み替えに二世帯住宅を選ぶメリットとデメリットを見ていきましょう。
まず、メリットとしては子どもや孫と頻繁に会えるということが挙げられます。孫の送り迎えや世話を任せられるということで、そのことが生活にハリを与えてくれるという方も多いはずです。
また、子世帯と費用を分担するため、1棟まるごと購入したり建て替えしたりするのと比べると費用を安く抑えやすくなる点もメリットだといえます。
一方、デメリットとしては子どもの配偶者と一緒に暮らすことで生じるストレスや、プライバシーが確保されづらいといったことが挙げられるでしょう 。
夫婦2人で暮らすのと比べると、自由は少なくなってしまいます。
また、親子とはいえお互い気を遣わなければならないことも多く、それがストレスに感じてしまうこともあります。こうした問題は軽く考えず、一緒に住むことを決める前に実際の生活をしっかりとシミュレーションした上で決断することをおすすめします。
賃貸と買い換えはどっちが良い?
ここまで。買い換えや建て替えを前提に話をしていますが、上記のうちリフォーム以外ではいずれも賃貸物件に住むという方法もあります。
ダウンサイジングであれば、今より小さな賃貸物件を、二世帯住宅であれば二世帯用の賃貸物件を探せばよいのです。
また、高齢者向け住宅についても、分譲タイプではなく賃貸タイプのものが用意されていることがあります。
では、建て替えや買い換えと賃貸だとどちらがよいのでしょうか。賃貸のメリット・デメリットを見て比較してみましょう。
買い換えと比較した賃貸のメリット
まず、賃貸のメリットとしては以下のようなことが挙げられるでしょう。
- まとまったお金を用意する必要がない
- 失敗してもやり直せる
- 老後資金を手元に残しておける
それぞれ見ていきます。
まとまったお金を用意する必要がない
買い換えの場合、家を購入するのにまとまった費用が必要になりますが、賃貸ではその心配はありません。
とはいえ、仲介手数料や敷金、礼金等で数十万円の費用が必要になる点には留意しておきましょう。
失敗したらやり直せる
買い換えの場合、引っ越してから住み心地が悪く感じたとしても、やり直すには費用と手間がかかってしまいます。
一方、賃貸の場合、また別の賃貸に引っ越せばよいだけで、簡単にやり直すことができます。
老後資金を手元に残しておける
今まで住んでいた家を売却して賃貸に住む場合、売却資金を老後の貯蓄とすることができます。
買い換えだ と新居の購入に充ててしまうので、手元にお金は残りません。
特にぜいたくする気はなくても、ある程度まとまった資金があることで安心できるのではないでしょうか。
買い換えと比較した賃貸のデメリット
一方、デメリットとしては以下のようなことが挙げられるでしょう。
- 子どもに家を残すことはできない
- 基本的に融資は受けられない
- 老後は賃貸を借りづらくなる
それぞれについて解説します。
子どもに家を残すことはできない
買い換えや建て替えの場合、手元にお金はなくなってしまいますが、家という資産を子どもに残すことができます。
お金で残すより家で残した方が相続税の計算上、節税できるのも利点です。
家を相続した子どもは、売却してお金に換えてもよいですし、住むこともできるでしょう。
一方、賃貸の場合はこうしたメリットを得ることはできません。
基本的に融資は受けられない
老後の建て替えや住み替えの場合、基本的に住宅ローン等の融資を受けるのは難しく、手持ち資金で費用を賄う必要があります。
ローンで建て替えや住み替えを検討するのであれば、遅くとも50代前半頃までには計画を立て始めるのが良いでしょう。
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老後は賃貸を借りづらくなる
老後の住処を賃貸で利用することの最大のデメリットは、大家さんが孤独死等を懸念して高齢者を相手に物件を貸したがらないということが挙げられます。
また、賃貸で住んでいた建物の解体が決まり、退去しなくてはならない場合、次の住処を見つけられない可能性もあります。
そのため、不動産会社に家を買取してもらい、売却代金としてある程度まとまったお金を受け取り、リースバックを利用して家賃を支払いながら住み続けるという方法を選択する方も多くなってきました。
リースバックは通常の売却と異なり「相続資産として残せない」といったデメリットがありますが、老後の資金計画に不安がある方にとっては一定のメリットがあり、何より住み慣れた家に住み続けられる点が特徴です。
基本的には買い替えがおすすめ
老後の家を賃貸にするか、買い換えにするかですが、特に年齢を重ねるほど賃貸は借りにくくなることもあり、基本的には買い替えや建て替えを検討することをおすすめします。
賃貸には、家を売却して得たお金を手元に残しておけるというメリットがありますが、建て替えや買い替えであっても、いざというときは物件を売却することで現金に換えることができるため問題ないといえます。
買い換えするならできるだけ高く売却する方法を選ぼう
老後の住み替えで家を買い換えすることになった場合、できるだけ高く売却できる方法を選びたいですよね。
とはいえ、老後の住み替えではあまり時間がかかってしまうと自分の年齢の問題もあるため、短期間で売却を決めたいものです。
そこでおすすめなのが、「イエウリ」の買取マッチングサービスです。
「イエウリ」の買取マッチングでは、不動産会社に直接家を買い取ってもらうため、条件がまとまればすぐに現金を手にすることができます。
直接買取自体は他の不動産会社でも行っていますが、直接買取のデメリットは売却価格が安くなってしまうこと。
しかし、「イエウリ」では複数業者による入札制度を採用しており、売主は申込のあった不動産会社の中からより高い金額をつけた不動産会社を選ぶこと ができます。
これによって買取であっても高額売却を可能にしているのです。
老後の住み替えで、できるたけ早く、またできるだけ高額で売却したいという要望を叶えられるのは「イエウリ」ならではといえるでしょう。
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まとめ
老後の住み替えについて、4つの方法をお伝えするとともに、賃貸と買い換えどちらがよいのか確認しました。
4つの方法についてはいずれもメリット・デメリットがあり、どの方法がよいかは人によって異なります。
また、賃貸か買い換えかについても、高齢者は賃貸を断られることもあるため、基本的には買い替えをおすすめしますが、メリット・デメリットを見て総合的に判断するとよいでしょう。