土地の売却や購入を進める際には、時価を把握することが大切です。
しかし、土地には時価以外にも価格があるため価格の違いを押さえておく必要があります。
この記事では、土地の時価の調べ方や、他の価格との違いを詳しく解説します。
土地の時価とは?
まずは、土地の時価をみていきましょう。
現時点で取引されている価格のこと
時価とは、現時点で取引されている価格のことです。
実際に売買された価格、つまり相場に近いイメージと考えるとよいでしょう。
後ほど説明しますが、時価は土地価格の種類である「実勢価格」とほぼ同じ意味合いです。
ただし、時価であっても必ずその価格で売買できるわけではありません。
時価は過去に取引された価格に基づきますが、土地の価格は経済情勢や需要に大きく左右されます。
また、売買成立までには売主と買主の交渉も加わるため、時価とイコールにならない可能性もあるのです。
そのため、時価はあくまで目安として考えておきましょう。
土地の価格は複数ある
土地の価格は実勢価格以外にも、公示地価や基準地価など複数の価格があります。
それぞれの価格はすべて同じにはなりません。
売買や税金計算の目安というように、価格の種類ごとに示す意味合いが変わってくるので、違いを押さえてうえで目的に応じた価格を活用することが大切です。
土地の6つの価格
土地の価格には以下の6つの種類があります。
- 実勢価格
- 公示地価
- 基準地価
- 相続税路線価
- 固定資産税評価額
- 不動産鑑定評価額
それぞれ内容が異なるので、利用目的 に合わせて使い分けるようにしましょう。
実勢価格
実勢価格とは、実際に土地の売買が成立した価格です。
この価格は売主と買主の合意で決まるため、たとえば、公示地価が1,000万円の土地であっても、1,500万円で売主と買主が合意すれば、その1,500万円が実勢価格になります。
実勢価格は、過去に取引された価格であるため、土地売買の参考として用いられます。
しかし、前述したように土地の価格はそのときの情勢や需要に大きく左右されるため、実勢価格が常に売却額になるとは限りません。
また、売主や買主の事情も反映されるため、同じエリアでも価格が異なることがあります。
とくに、人気のあるエリアなどは直近での取引が多く、実勢価格を参考にしやすいです。
一方、需要の少ないエリアや長く住んでいる住宅街などでは取引数が少なく、実勢価格が参考にならない可能性もあるので注意しましょう。
公示地価
公示地価とは、国が公表する土地の価格です。
土地売買や公共事業などの取引を円滑に行うための適正な価格として、国土交通省が毎年1月1日時点の標準地の適正価格を3月頃に公表しています。
公示地価は国土交通省の不動産情報ライブラリで誰でも確認できます。
エリアや用途区分・調査年などで絞って検索し、該当のエリアの地価をチェックしましょう。
ただし、公示地価は全国すべての土地ではなく標準地が対象です。
令和7年では26,000の標準地点が選定されていますが、都市計画区域外など含まれない土地もあります。
公示地価がないエリアでは、近隣の公示地価や基準地価を参考にします。
▼関連記事:不動産情報ライブラリで不動産の価格を調べる方法
基準地価
基準地価とは、都道府県が公表する土地の価格です。
毎年7月1日時点の基準地の価格を9月頃に公表しています。
公示地価では基本的に都市計画区域内が対象なのに対し、基準地価は都市計画区域外も対象です。
このように、基準地価は公示地価と発表時期やエリアが異なることから、公示地価の補完として用いられます。
基準地価は国土交通省の不動産情報ライブラリや各都道県のホームページなどで調べられるので、チェックしてみるとよいでしょう。
相続税路線価
相続税路線価とは、主要道路に面する土地1㎡あたりの価格です。
国税庁が毎年1月1日時点の価格を7月頃に公表しており、相続税や贈与税などの計算のもととなる価格として用いられます。
路線価には相続税路線価と固定資産税路線価の2種類がありますが、一般的に路線価と言えば相続税路線価を指します。
相続税路線価で土地の価格を調べる場合は、相続税路線価を調べて土地の面積を乗じることで大まかな土地の価格を算出できます。
相続税路線価は国税庁のホームページで確認できるので、チェックしてみるとよいでしょう。
なお、相続税路線価は全ての土地に設定されているわけではありません。
設定されていない地域は、倍率方式と呼ばれる設定された倍率に固定資産評価額を乗じる方法で土地の価格を算出するので注意しましょう。
固定資産税評価額
固定資産税評価額とは、土地や家屋といった不動産ごとの価格です。
東京23区は都、他のエリアは市区町村が不動産ごとに個別に算出し、3年に一度評価が見直されます。
固定資産税評価額は固定資産税・都市計画税また登録免許税などの基準として用いられる価格です。
毎年送付される固定資産税納税通知書の課税明細書や自治体の窓口で確認できるので、チェックしてみましょう。
上記の計算ツールでは、固定資産税評価額を基にした簡単な計算式から目安の売買価格を算出可能です。
不動産鑑定評価額
不動産鑑定評価額とは、不動産鑑定士と呼ばれる国家資格を有する人が不動産鑑定評価基準に基づいて算出する価格です。
税務や裁判資料といった法的な資料として利用できる価格のため、法人間での取引や相続・贈与などで用いられます。
ただし、不動産鑑定評価額を調べるには鑑定事務所などへの依頼が必要となり、数十万円ほどの費用がかかります。
売却を目的として土地の価格を知りたい場合は、不動産会社の査定や前述した公的な価格を用いれば十分でしょう。
土地の時価を調べる方法
これから売却する土地の時価を調べる場合、以下の3つの方法があります。
- 近隣物件の売出価格を調べる
- 過去の成約価格を調べる
- 公的価格を参考にする
それぞれ解説します。
近隣物件の売出価格を調べる
売出価格とは、売却をスタートするときの価格です。
近隣の類似物件の売出価格を調べ、自分の土地にあてはめるとおおよその価格が分かります。
売出価格は、不動産ポータルサイトやチラシなどで近隣エリアの売出情報をチェックするとよいでしょう。
なお、売出価格は売主が自由に決められるものです。
少しでも高く売りたいから相場より高くする、早く売りたいから相場よりも下げるといったケースもあるので、類似物件でも自分の土地とはかけ離れる可能性がある点は覚えておきましょう。
過去の成約価格を調べる
過去の成約価格、いわゆる実勢価格を用いれば、実際に取引された価格を参考にしやすくなります。
過去の成約価格は、以下のサイトでチェックできます。
- 国土交通省の不動産情報ライブラリ
- 不動産流通機構のレインズマーケットインフォメーション
どちらも過去の取引を検索できるので、エリアや物件で絞って近隣エリアの類似物件を調べてみるとよいでしょう。
ただし、検索範囲は市区町村までの大まかなエリアに限られるため、ピンポイントでの確認は難しいでしょう。
また、売出価格が売主の事情に反映されるように、成約価格も売主と買主の事情に左右される点にも注意が必要です。
たとえば、なかなか売れずに売主が値引きしたり、買主から価格交渉されるケースも少なくありません。
そのため、同じエリアでも自分の土地の売却価格とは異なる可能性があります。
公的価格を参考にする
公的価格とは、公示地価・基準地価・相続税路線価・固定資産税評価額を指します。
これらには以下のような関係があります。
- 公示地価と基準地価は同じ程度
- 相続税路線価は公示地価の80%が目安
- 固定資産税評価額は公示地価の70%目安
また、実勢価格は公示地価の1.1~1.2倍となることが多いため、それぞれの公的価格から以下の式で実勢価格を算出できます。
公的価格の種類 | 実勢価格の算出方法 |
公示地価 | 公示地価×土地の面積×1.1 |
基準地価 | 基準地価×土地の面積×1.1 |
相続税路線価 | 相続税評価額÷0.8×1.1 |
固定資産税評価額 | 固定資産税評価額÷0.7×1.1 |
相続税路線価と固定資産税評価額は割り戻して公示地価の価格を求めてから、1.1倍することで実勢価格の目安となります。
実勢価格は実際に取引が行われなければ算出できませんが、「公示地価」を100%としたとき、おおむね110%程度の価格になります。
ただし、相続税路線価を用いて実際の土地の評価額を算出する際には、土地の形状などに応じた補正が必要になる点には注意しましょう。
また、都市部など需要の高いエリアは公示地価の1.5~2.0倍で取引されるケースも珍しくありません。
公的価格から算出する価格はあくまで目安として活用しましょう。
売却を考えているのであれば不動産会社に査定依頼するのがおすすめ
実勢価格はその時の情勢や需要、売主と買主の事情も反映します。
どんなに類似する物件であっても、土地の形状や面積・立地条件などがすべて一致する土地はなく、調べた価格と自分の土地の価格がイコールになるわけではありません。
売却を目的とし、より自分の土地に適した価格を知りたいなら、不動産会社に自分の土地を査定してもらうのがおすすめです。
不動産会社のプロに売却できる価格を調べてもらえる
不動産会社の査定では、不動産の状況や市場を考慮し売却できる価格が提示されます。
査定基準や算出方法は不動産会社によって異なりますが、一般的には3か月以内に売れるであろう価格です。
不動産会社の査定には「机上査定」と「訪問査定」の2種類があります。
机上査定とは築年数などのデータをもとに査定する方法です。
データさえあれば査定でき、即日から数日ほどの短期間で結果が分かるというメリットがありますが、データのみでの査定となるため、不動産の状況など個別の事情は反映されません。
一方、訪問査定は不動産会社の担当者が実際に不動産をチェックして査定する方法です。
査定に時間はかかるものの、建物の状態や周辺環境なども反映されるので、より精度の高い査定が期待できます。
とりあえず大まかな価格が知らいたいなら机上査定、売却を本格的に進めるための価格が知りたいなら訪問査定が適しているでしょう。
また、不動産会社によって査定額が異なるため、査定時にはできるだけ多くの会社に依頼し比較することが大切です。
なかには、媒介契約獲得のために相場よりも極端に高値を提示する不動産会社もあるので、数字の根拠などもしっかりチェックしましょう。
買取という方法もある
買取とは、不動産会社が直接土地を購入する売却方法です。
売主と買主の間に不動産会社が入る仲介とは異なり、不動産会社が直接買主になります。
仲介の査定で提示される価格は、あくまで売れるであろう価格です。
実際の仲介での売却では、最終的に買主との合意で売却額が決まるため、査定額と売却額がイコールになるとは限りません。
一方、買取は不動産会社との合意ですぐに売却となるため、査定額がほぼ売却額となります。
確実に売れる価格が知りたいなら、買取の査定を検討するのもよいでしょう。
ただし、買取の売却額は仲介よりも下がるのが一般的です。
すぐに売りたい事情がある場合や、仲介での売却が難しい土地であれば買取が適していますが、時間をかけても少しでも高く売りたいなら仲介が向いているでしょう。
不動産の状況や売却希望などから、適した方法を選ぶことが大切です。
イエウリなら仲介・買取両方の査定を受けること ができる
仲介か買取かで悩むなら、まずは両方の査定を比較してから検討するのも一つの方法です。
イエウリでは、仲介・買取両方の査定に対応しています。
査定時には不動産会社に個人情報が伝わらないため、査定直後から営業電話に悩まされる心配もありません。
また、査定数にも上限がないので、より多くの不動産会社との比較が可能です。
売却を検討している方は、イエウリの査定をお気軽にご利用ください。
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土地の時価に関するよくある質問
最後に、土地の時価に関するよくある質問をみていきましょう。
土地の時価は実勢価格のこと?
一般的には土地の時価といえば実勢価格を指します。
しかし、土地の価格には公示地価や基準地価などさまざまな種類があるので、何の価格を知りたいのかによって使い分けることが大切です。
売却を目的とした時価を知りたいなら、実勢価格を活用するとよいでしょう。
土地の時価を国税庁で調べることはできる?
国税庁のホームページでは時価を調べることはできません。
ただし、相続税路線価を調べることはできるので、相続税路線価からおおよその時価を算出することは可能です。
土地の時価と公示価格の違いとは?
土地の時価は一般的に実勢価格を指し、公示地価とは異なりま す。
実勢価格とは、過去に実際にあった土地取引の価格です。
対して、公示地価は国が公表する標準値の価格です。
公示地価は土地取引を公平かつ円滑に行う目安としての適正価格ですが、実際に取引される価格と同じになるわけではありません。
ただし、実勢価格は公示地価の1.1~1.2倍になるといわれているので、公示地価から実勢価格の目安を算出することは可能です。
まとめ
土地を売却するにあたり時価を調べておくことが大切です。
土地の時価は実勢価格や公的価格などから調べられるので、チェックしてみるとよいでしょう。
ただし、より明確に自分の土地の売れる価格を知りたいなら不動産会社の査定を受けるのがおすすめです。
自分で調べた価格に加えて、複数の不動産会社の査定を比較することで、自分の土地の価格を正確に見極められるようになるでしょう。
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