ご自分が所有する不動産を売却するときは、購入者に対して内見および対応の実施が必須です。不動産は安いものでも数百万円、ものによっては数千万円以上もする大きな買い物です。
そのため、内見の対応によって物件の印象が変わり、売れるまでの時間に影響することもありますし、場合によっては値段も変化する可能性があります。
この記事では、不動産の売却で購入希望者の内見対応をする際に、どのような点に注意すべきかをお伝えします。
内見対応の意味
まず、内見対応はなぜ、必要なのでしょうか。
内見を実施する意味だけではなく、購入したい人、つまりは買主が内見する意味を知っておくことで内見対応に対する取り組みを意義のあるものにできます。
買主が家の状態を事前に知るために行う
内見は、買主が家の状態を事前に知るために行うものです。
外観はどの程度綺麗なのか、デザインは自分たちの趣味に合ったものか、現地で判断します。
家の中に入り、家の中の広さや部屋の数、様々な部分の状態などをチェックします。
そこで、自分たちの予算に合うか、広さは十分か、設備で故障している箇所などの確認を行い、予算と趣向に合致すれば購入に繋がるのです。
売主としては買主が何を求めているのかを知っておけば、それに応じて適切な内見対応が可能になります。
家の周辺の環境を見るために行う
内見時に見るのは、家そのものだけではありません。
その家に住んだときの周辺の環境を知る目的もあるのです。
- 駅からの距離はどの程度なのか
- 駅や家の周辺には買い物がしやすい環境が整っているのか
- 子どもが通う学校や幼稚園はどの辺りにあるのか
など、通学環境について重視する人は多いです。
その他にも、ゴミ出しの環境や周囲の治安などもチェックする人がいます。
この点に関しては自分の工夫ではどうにも変えられないポイントですが、周辺の住環境について購入希望者がどのようなことを求めているかを考え、質問があれば答えられるようにしておくのが望ましいでしょう。
売主の人間性を見るために行う
意外とチェックされるのがあなた自身、つまり売主の人間性です。
売主が信用できる人であり、家を丁寧に使っていた人間だと分かれば、家を買っても問題がないと捉えてくれるのです。
売主であるあなたが、内見対応時にそっけない対応をする人物であったら、または、愛想が悪くて相槌しか打たないような人間であったら、買主からはどう思われるでしょうか。
「内見したが、なんとなくこの人は気に入らないから買うのをやめよう」と思われてしまうことすらあるのです。
単純なことですが、愛想が良い方が話も弾みやすく「よし、これなら家を買ってみよう」と買主の背中を押す効果があります。
家の状態をよく見せるには
それでは、早く、そして、高く売るための工夫をポイント別に説明します。
まずは家の状態を良く見せていくためには、どういった点に工夫を凝らせば良いでしょうか。
できるだけ物を減らして生活感が出ないようにする
内見時に理想とするのは、マンションなどのモデルルームです。
モデルルームは家の中に余計なものを置いていないために生活感がなく、シンプルかつ高級、上品な雰囲気に包まれている部屋が多いです。
かといって、急に家具を入れ替えたりするのは、なかなか難しいところでしょう。
お金をかけずにできる対策としては、できるだけ物を少なくし、生活感のない広々とした空間にしましょう。
どうせ自分たちはいずれ引っ越すことが決まっているのですから、不要なものは処分します。
そして、買主から見られるリビングを中心に、部屋の中を整理整頓しましょう。
清潔感が漂う部屋になれば、内見者の第一印象がとても良くなります。
細々とした物を置かなければ部屋の中が広く見え、「こんな広い家で生活したいな」と思ってもらえるようになります。
ホームクリーニングを行う
少しお金をかけてもいいのであれば、ホームクリーニングを実施しましょう。
特に効果的なのが玄関、お風呂やキッチンなどの汚れやすい場所です。
こういった場所の汚れは何年も溜まりがちであり、なかなか普通のクリーニングでは汚れが落ちません。
そこで、ホームクリーニング業者に依頼してピカピカの新品状態にします。
それだけで購入する人の好感度が大きくアップするので す。
特に家探しの最終局面においては、家事を担当することが多い女性の意見が強いと言われています。
これから先に、汚いキッチンで家事をしたいという人は、あまりいないでしょう。
キッチンや水周りを入念に綺麗にしておけば、「こんなに綺麗で広いキッチンなら、ずっと使ってみたい」と思ってもらえるのです。
ホームステージングも検討する
費用をかけられるのであれば、ホームステージングの実施も検討しましょう。
ホームステージングとは、家の中の家具や調度品を新しいものに変え、上質な雰囲気が漂う空間を演出することです。
まさに家の中のモデルルーム化です。
どうしても費用はかかってしまいますが、用意した家具やインテリアなどの価格を上乗せして売ることもできるので、実際の出費は少なく抑えることが可能です。
さらに内見時には豪華な印象を与えられるので、「モデルルームのような素敵な家だな」と思ってもらえて売れやすくなるのです。
場合によっては、ホームステージングのためにかけた費用よりも高い値段で売れることでしょう。
日本ではあまり導入されている売却対策でありませんが、中古物件の売買が盛んなアメリカなど海外では一般的に行われています。
周辺の環境を良いものと思ってもらうには
次に、周辺の環境が良い物件と思ってもらうための対策です。
自分で周辺の環境自体を変えることはできませんが、周辺の環境を良く知ってもらうための工夫はできます。
周辺で聞かれそうなポイントをチェックする
周辺の環境として、まずは内見時にどういっ た点がよく聞かれるかをピックアップしておきましょう。
内見に来た人の質問に的確に回答できれば、内見に来た人も疑問を解消できるので、家を購入する意欲が大きく増すものです。
具体例としては、先に挙げたように
- 買い物の環境
- 通学の環境
- 駅への通勤の環境
などがよく聞かれる質問です。
その他にも町内会や消防団に入る必要性など、その自治体ならではの取り組みについて聞かれる可能性もあります。
駅から自宅までによく使うルートなども教えてあげると親切でしょう。
女性の問い合わせには女性が対応する
できれば、女性の問い合わせには女性が対応してあげると良いです。
あくまでも一般論ですが、女性は男性からどうしても威圧感を覚えることが多く、なかなか女性側が家主の男性に根掘り葉掘り聞きにくいことがあるのです。
女性同士であれば、家事や買い物についての話も合わせやすく、会話が弾むこともあります。
男性は聞かれたことだけに最低限答えるようにして、基本的な対応は女性が行うと良いでしょう。
不動産会社に相談し、聞かれそうなことをチェックしておく
仲介に入ってもらう不動産会社から、あらかじめ聞かれそうなことを教えてもらうことも重要です。
不動産会社は物件仲介のプロですから、何度も内見の場に立ち会っています。
何を聞かれることが多いのか、またどういった対応が適切なのかはよく知っているでしょう。
そういった予習をしておき、回答を準備しておくことで内見者への対応力が上がるのです。
売主としての印象を良く するには
売主本人としての印象をよくすることも、早くかつ高く売るために重要です。
これに関しては、どういった点に注意しておけばよいのでしょうか。
明るく朗らかに対応する
これは基本的な取り組みですが、まず聞かれたことには明るく朗らかに対応しましょう。
ぼそぼそとしか喋らない、仕方なく答えているような態度を示すと、買主も質問がしづらくなって帰ってしまうことがあります。
接客業の経験があれば接客をしているつもりで話し、相手に好印象を持ってもらえるように大きく、誇らかに、ハキハキと喋りましょう。
答えに詰まることは、悪いことではありません。
わからないとそっけなく言ったり、嘘を言ったりすることが問題なのです。
わからないことがあれば一緒にインターネットで調べ、「こうなっていますね」と説明した方が親近感をもってもらえます。
専門的なことは不動産会社に任せる
不動産の売買において法律に関する知識がない人も多いでしょう。
そういった場合、専門家である不動産会社の人間に任せます。
例えば、家を売る(買う)ときのタイムスケジュールの組み方、資金調達の組み方、土地の成り立ちなど、細かい点まで熟知してない人は多いものです。
しかし、不動産会社の人間、特に宅地建物取引士の有資格者は、不動産関係の法律に精通しており専門的な質問でも答えることができます。
分からないことは専門家に任せ、うっかりでも不正確な情報を言ってしまわないように注意しましょう。
まとめ
家を売るときの内見対応で最も重要なのは、まず家そのものをよく見せることです。
汚れていたり、散らかったりしている家の印象はどうしても悪くなってしまいがちです。
家の中を片付け、汚れやすいところは入念に掃除して可能な限り清潔な状態で内見者を迎えましょう。
そして、そういった基本的な対策を取った上で、買主から見た印象を良くするために、質問にはきちんと答える、対応をよくするといった態度を心掛けます。
そうすればきっと、あなたが大切にしてきた家を気に入ってくれる買主が現れるでしょう。