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不動産の売り出し価格はどう決める?早く・高く売却するための価格設定とは

不動産の売却を検討したら、どんな人でも高く売却したいと思うものです。また、売却までの期間も、早く売却したい人が多いでしょう。

査定を受けた後は、営業活動の第一歩目としてまずは売り出し価格を設定するのですが、できるだけ早く、そして高く家を売るためには、どのように価格を決めれば良いかを解説します。

このページの目次
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査定を受けて売り出し価格を決める

不動産会社から査定を受けたら

家を売却することを決めた、あるいは検討中の方は、まず不動産会社の査定を受けましょう。一括査定などを利用して、査定を複数社から受けた場合には、各業者の査定額にばらつきが生じることもあります。

その際、どのような根拠でそのような金額になったのか、実際の営業方針なども聞くことができます。

たとえば、最初から決まる価格を設定したい(売れやすくする)最初は高く出してみたい(できるだけ高く売る)、などの価格戦略を伝えてくれる不動産業者も多いので、戦略と自分の事情を照らし合わせ、自分自身でも相場を理解した上で検討するのが良いでしょう。

不動産の価格は、安ければ早く売れますし、高ければ売れるまでに時間がかかったり、そもそも購入検討者が現れなかったりするものです。

転勤が決まっているなど、売却までに時間がかけられないケースでは、住宅ローン残高の他、売却までの期間も希望を伝えた上で価格を設定するのが良いでしょう。

なお、「できるだけ多くの不動産会社の査定金額を確認したい」という場合は「イエウリ」が便利です。

「イエウリ」では登録した不動産の情報を元に各業者が机上査定を行いますが、売主の電話番号などの個人情報は「査定額を確認して自分が選んだ会社にだけ開示」することができます。

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売り出し価格の決め方

売り出し価格は、物件の需要が大きければ値段を高めに設定しても売れやすいです。

また、売却が決まるまでの時間に余裕があれば、最初の売り出し額を高めに設定してから、買い手が現れなければ徐々に売り出し価格を下げていくことも可能です。

また、購入検討者からの値引き交渉があることを前提に少々高めの値段設定をするというケースもあります。

不動産業者は周辺の事例や経験を元に、どのように売却活動を進めれば良いかノウハウを持ち合わせていることもあるので、自分の事情を伝えた上で価格設定の相談をしてみるのも良いでしょう。

売却希望額と査定額とで差がある場合も相談をしてみましょう。

なお、一般媒介契約を結んで複数社に販売依頼をかける場合は、条件を横並びにする必要があります。

条件を変えてしまうと競争の意味をなさなくなってしまいますし、ポータルサイトなどで情報を確認した買い手が混乱してしまうことが考えられます。

高めに売り出す場合は、相場価格の5%増し程度が目安

東京カンテイの調査1によると、レインズに登録後、売り出し価格の値下げを行った物件の平均値下げ率は、当初の価格の5~6%で推移しています。

レインズやポータルサイトに表示する売り出し価格は、高すぎると内見予約すら入らないため「最初は高めに出しても、その後5%程度は値下げしている物件が多い」という傾向が見えてきます。

したがって成約が見込める相場価格が3,000万円の物件であれば、

  • 10%増しの3,300万円→内見や申し込みが入りにくく、売り出し価格も下げるべき
  • 5%増しの3,150万円→内見や申し込みが入りやすくなるが、さらに指値(値下げ交渉)が入る場合もある

ということが、上記データから推測できるでしょう。

実際は、さらに高値となる水準で売り出してから値下げしている例もあると思われますが、よほど好条件でない限り、相場の10%増しで売れる物件は少ないです。

売り出し価格を高めにしすぎると、売れ残って相場よりも安い価格で売らざるを得ないリスクもある。

最近は一般の方もインターネットで相場を調べやすくなったので、いくら売却を任せる仲介会社が優秀でも、高すぎる家は売れにくくなっています。

売却が長期化して後から結局値下げしなければならないのであれば、周辺の成約相場から5%増し程度の売り出し価格を設定するのが効率的です。

▼関連記事:相場より高めの「チャレンジ価格」で不動産は売れる?売り出し時の注意点を解説

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一般媒介契約と専任媒介契約

不動産会社は、左記の一般媒介契約よりも、自社のみが仲介可能な専任媒介契約をできるだけ取りたいと考えています。

したがって、査定額を高めに出し、まずは専任媒介契約を結んでもらうという営業スタイルの不動産業者は少なからず存在するでしょう。

しかし、いくら査定額が高くてもその値段で買い手が現れなければ、いつまで経っても物件は売れません。

そして、不動産業者は売買契約・決済が完了したときの成功報酬として仲介手数料を受け取っているので、媒介契約を受けて売却活動を始めてからの人件費・広告コストなどは、物件が売れなければ回収できません。

これらのことを考えると、

  • 媒介契約を取りたいがために査定額を高めに出しているのではないか
  • その後は、早く売るために売り出し価格をどんどん下げさせられるのではないか
  • 両手仲介を狙って囲い込みをされているのではないか

など、疑心暗鬼になってしまう方もいるかもしれません。

こうした不安を解消するためには、先ほど記した通り、複数の不動産会社の査定額を参考に売り出し価格を決めて、一般媒介契約で仲介を依頼する方法が考えられます。

しかし、市場であまり人気が出ない物件の場合、一般媒介契約では積極的に営業活動を行ってもらえない可能性もありますので、査定額の根拠を十分聞いた上で納得できるのであれば、専任媒介契約を視野に入れても良いでしょう

また、一定期間売れてない物件=市場価格よりも高い物件では、同じ価格で売却を続けても不動産会社には「どうせこの家はこの価格では売れない」と相手にされなくなってしまうこともあります。

こうした不動産会社側の事情も考慮した上で、売り出し価格や媒介契約の種類を検討してみましょう。

「まずは高く出してみる」ことの危険性

少しでも高く売ることは大きな目的だと思うので、相場よりも少し高めに売り出し価格を設定することは、試してみる価値はあるでしょう。ただし、売り出し価格を高めに設定することで、以下のようなデメリットが生じます。

買い手に物件を見つけてもらえない

最近はポータルサイトなど、Web上で物件検索をする人が増えてきました。

営業マンの提案で物件紹介をしてお客様が選ぶという探し方は近年では少なくなっており、お客様側から「この物件が気になります」とポータルサイトの情報を共有されることが多くなっているのです。

購入希望者は、まず予算とエリアの相場を照らし合わせて物件探しを行います。

中古物件で相場から明らかに高い価格設定は、内覧者すら現れない可能性があるので注意しましょう。

価格設定する際は、検索サイト上での「検索のされ方」に十分注意して価格設定をすることをおすすめします。

購入希望者は、検索の際に上限額を設定して検索します。

2010万円と2000万と1990万ではサイトによって検索結果が変わってくる場合もありますので、この点も頭に入れておきましょう。

売主は我慢が強いられる

不動産は基本的に「いつ売れるか」が正確にはわかりません

売りに出した後は購入希望者が現れるのを待つだけという辛抱の時間が続きます。

家を買うのであれば多少割安な中古物件よりも、少し頑張って新築物件を構える人も多いので、値段を高めに設定することは、購入希望者にとって中古物件を検討する一番の魅力である「安さ」を放棄することと同じことなのです。

▼関連記事:家を高く売る方法をゲーム理論で考察

高めに出す検討をしても良いケース

ニーズがあり競合が少ない

需要が大きく、かつ競合している物件が少ない場合は、高く出してみることは悪い選択ではありません。例えば、

  • 都心部など需要の多いエリア
  • 古すぎない(築20年以内)
  • 交通の便が良い

の三拍子が揃っているような物件は引く手あまたですので、売り手市場で高値での売却が狙える物件だと言えます。

売るのを急いでいない

売るのを急いでいない方は、少し高く出してみるのも良いかもしれません。段階的に価格を下げていく戦略も、物件によっては悪くない場合もあります。

また、期間が経過すると競合物件の状況も変わってくる場合があります。

ニーズがある地域は状況が変わる場合もありますので、周辺事情をよく知っている不動産会社から情報を聞くのも良いでしょう。

例えば、転勤の多い3月や10月に近づくと需要が高まるといった情報が得られることがあります。

ただし、待っていて競合が減って状況が良くなる場合もあれば、悪くなる場合もありますので一概に時間をかけるのが良いとも言えない点には要注意です。

▼関連記事:不動産売買における指値とは?価格交渉のポイントや注意点を売主・買主の視点で解説

急いでいる場合は買取の検討も

業者買取による売却

買取では不動産会社と売買契約を結ぶため、買主が不動産会社になる。

もし売却にそれほど時間をかけられない場合は、どうしても強気の価格設定ができません。そんなときには、買取保証のサービスを提供している不動産業者を利用するのも良いでしょう。

例えば2,000万円で3カ月仲介による売り出しをしてみて、売れなければ1,500万円で業者が購入するというサービスです。

買取の場合は、仲介のときに支払うべき仲介手数料が必要なく、瑕疵担保責任も多くの場合は免責で扱ってくれるというメリットがありますので、売却期間に制限がある場合は買取の査定も併せて取ってみることをおすすめします。

▼関連記事:不動産の「買取保証」はどんなシステム?仲介売却との違いや買取保証対応の不動産会社を探す方法を解説

まとめ

売主は物件を少しでも高く売りたいですが、不動産会社はできるだけ営業コスト・手間をかけたくないと思っている可能性もあります。不動産の営業コストの多くは人的リソースです。

「高く売りたい」と思っていても、売れる見込みの無い高値で売りに出すことは不動産会社の協力を得られなくなってしまうというリスクがありますので、注意しておきましょう。

良い売却活動のためには不動産会社との信頼関係がカギになります。自分の希望ばかり優先せず、不動産会社からの提案やアドバイスにも耳を傾ける姿勢が重要です。

1.
参考:東京カンテイ|中古マンション価格と各指標の推移(2024年9月24日)
執筆者
西原 太
西原 太

宅地建物取引士、ファイナンシャル・プランナー(AFP)  プリズム・エージェンシー株式会社 代表 不動産の売買・賃貸仲介の経験から、不動産仲介をコンサルティングサービスととらえ、お客様に寄り添いながらより満足のいく仲介・正しい情報提供を目標に日々営業中。東京都葛飾区出身 得意分野:不動産売却、資産活用、法人、医療分野

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