マンション売却で失敗しないためには、失敗例から学ぶことが大切です。
この記事では、マンション売却の失敗例を「売却前」「売却中」「売却後」で3つの段階に分け、それぞれの原因・対策まで分かりやすく解説します。
マンションの売却を考えている方、マンション売却で失敗したくない方、高値での売却を実現したい方は、ぜひ本記事の内容をご確認ください。
さらに、マンション売却の全体の流れの中で、ご自分の状況に合った項目について、チェックリストのように利用するのもおすすめです。
失敗例 | 対策 |
売却相場を自分で調べずに 売り出し価格を決めてしまった | 自分でも相場を調査し、 提示された査定額の妥当性を確認する |
スケジュールに余裕がなく 準備不足のまま売却を始めてしまった | 十分な準備期間を確保し、 計画的に不動産売却の各手続きを進める |
両手仲介を狙った 囲い込みに遭ってしまった | 複数の不動産会社を比較検討し、 信頼できる会社を選ぶ |
売却前に自分の判断だけで リフォームしてしまった | 不動産会社とよく相談し、 リフォームの必要性や 費用対効果を検討する |
到底売れない高額な 査定額を提示した不動産会社に 売却を任せてしまった | 複数社に査定を依頼し、 相場に見合った適正な価格を見極める |
売却を始める タイミングが悪かった | 売却期間や繁忙期・閑散期を把握し、 適切な時期に売却活動を開始する |
価格交渉に応じず 長期間売れない期間が続いてしまった | 売却期限を設定し、 タイミングに応じた 価格交渉を検討する |
販売開始してすぐに 価格交渉に応じて売却してしまった | 売却の急ぎ具合を見極め、 場合によっては買取も検討する |
売り出し価格を 相場より高く設定してしまった | 周辺の売出し価格や 成約事例をリサーチし、 適正な価格設定を行う |
内見予約は入るも その後になかなか進まなかった | 内見前に徹底的な清掃や 整理整頓を実施し、好印象を与える |
確定申告を忘れてしまっていた | 税金の基本を理解し、 売却後に必要な確定申告を適切に行う |
税金を支払うと手残りのお金が ほとんどなくなってしまった | 税引き後の利益を事前に計算し、 詳細な資金計画を策定する |
契約不適合責任を 負うことになってしまった | 告知事項を契約書に正確に盛り込み、 インスペクションで事前確認する |
住宅ローン残高より マンション売却後の手残りの お金が少なくなってしまった | 売却に伴う費用や税金を把握し、 綿密な資金計画を立てる |
マンション売却の流れ
まずは、マンション売却の全体の流れを押さえていきましょう。
大まかな売却の流れは、以下の通りです。
売却前 |
|
売却中 |
|
売却後 |
|
マンション売却は、上記の流れを3カ月~半年ほどで行うのが一般的です。
ただし、マンションの立地や築年数などによってはそれ以上時間がかかるケースもあるので注意しましょう。
基本的には不動産会社さえ決めれば、あとは不動産会社がサポートしてくれるので、初めてのマンション売却であっても問題なく進めることが可能です。
とはいえ、段階ごとに失敗しやすい落とし穴もあるので、全体の流れとともにどのような失敗があるのかを押さえておく必要があります。
以下では、マンション売却の失敗例と対策について解説していきます。
売却準備段階での失敗事例
不動産会社が売却活動をスタートする前の準備段階では、不動産会社選びや売り出し価格の設定など、売却方針に関わる項目 が決まります。
そのため、この段階で失敗すると売却自体に大きな影響を及ぼします。
以下では、マンション売却前の失敗事例として以下の5つを対策まで含めて紹介します。
- 売却相場を自分で調べずに売り出し価格を決めてしまった
- スケジュールに余裕がなく、準備不足のまま売却を始めてしまった
- 両手仲介の不動産会社と媒介契約を結んでしまった
- 売却前に自分の判断だけでリフォームしてしまった
- 到底売れない高額な査定額を提示した不動産会社に売却を任せてしまった
それぞれ見ていきましょう。
売却相場を自分で調べずに売り出し価格を決めてしまった
相場を知らずに価格を決めると、相場とかけ離れた金額で売れなかったり、売れても損をするリスクがあります。
マンションの売り出し価格は売主が自由に設定できますが、一般的には不動産会社の査定額やアドバイスを参考にして決めることが多いです。
自由に設定できるとはいえ、適切な価格にすることが大切です。
相場より高すぎれば、買い手がなかなか現れません。
逆に、相場より安すぎればすぐに売れるかもしれませんが、手元に残る金額が少なく、住宅ローンの返済に支障が出る可能性があります。
失敗した要因:不動産会社に任せっきりにした
適切な価格を設定できなかった大きな要因として「プロがつけた価格なら安心」と、不動産会社に価格設定を任せきりにしてしまったというケースが多く見られます。
不動産会社といっても、得意な不動産やエリア・査定方法は異なるため、不動産会社ごとに査定価格が異なることが多いです。
相場を理解していないと、提示された価格が相場に対して妥当なのかの判断ができないまま、査定額を鵜呑みにすることになるのです。
もし査定依頼した不動産会社が、その不動産の扱いに長けておらず、販売力もない会社だった場合、相場から大きく外れてしまい、最終的に長期間売れずに大きな損失を招いてしまう可能性があります。
また、「契約を結ぶために高めの査定額を出す」という不動産会社が存在する点にも注意しなければいけません。
失敗しないための対策:自分で相場を調べる
不動産会社の査定前に自分でも相場を把握しておくことで、査定額の妥当性を判断でき、売り出し価格の設定で失敗するリスクが減らせます。
相場は以下のような方法で把握できます。
- 国土交通省の「不動産情報ライブラリ」で過去の成約価格を調べる
- 不動産流通機構の「レインズマーケットインフォメーション」で過去の成約価格を調べる
- 不動産ポータルサイトや広告で類似物件の売り出し価格を調べる
- 公示地価など公的価格を調べる
これらの情報から得た、類似物件の過去の成約価格や売り出し価格をもとに、自分の不動産に当てはめればおおよその目安を立てられるでしょう。
ただし、類似物件であっても完全に同じ条件の不動産はないため、実際の価格と大きく異なる可能性は十分あります。
相場はあくまで参考価格くらいの気持ちで押さえておくようにしましょう。
スケジュールに余裕がなく準備不足のまま売却を始めてしまった
マンション売却のスケジュールに余裕がないと、相場の調査や不動産会社選びなどにじっくり時間をかけられません。
準備不足のままスタートすると、売却したいマンションのエリアを得意としない不動産会社に依頼することになってしまう可能性があります。
また、売却に期限がある場合は、買主からの価格交渉で足元を見られてしまったりすることも考えられるでしょう。
結果として、相場より安い金額での売却となってしまう可能性があります。
失敗した要因:片手間で不動産売却を始めてしまった
仕事の忙しさなどの時間が取れないなかで不動産売却を進めていると、売却準備が片手間になり、準備不足が起きやすくなります。
マンション売却は、必要書類の準備や相場調査、不動産会社選びなど、準備段階だけでも多くの手間や時間がかかります。
また、購入希望者の内覧は土日に入る傾向にありますが、受け入れるために清掃や準備を普段から心がけておかなければいけません。
失敗しないための対策:不動産売却は事前準備が重要
不動産売却は、通常でも3カ月~半年ほど時間がかかります。
売却活動と売却後の引き渡しの時間を除いても、準備段階だけで1~2カ月ほどは必要でしょう。
特に、転勤などで売りたい時期が決まっている場合は、期日から逆算して余裕を持ったスケジュールを組み、準備に充てる時間を十分設けることが大切です。
また、不動産売却期間中は、事前に清掃が必要なケースも多いため、ある程度時間を確保できるように調整しておきましょう。
さらに、必要に応じて家族や知人に協力を求めたり、信頼のおける不動産会社を見つけたりすることも重要です。
両手仲介の不動産会社と媒介契約を結んでしまった
両手仲介の不動産会社と媒介契約を結んでしまうと、囲い込みされてしまうリスクがあります。
囲い込みとは、両手仲介を狙った不動産会社が、他の不動産会社からの問い合わせに対して「すでに決まった」など、嘘の情報で売却活動を制限しまう手法のことです。
両手仲介とは、不動産会社が買主、売主の両方から仲介手数料を受け取れる形式のことで、これにより不 動産会社は高い利益を得やすくなります。
売主
XYZ不動産
お任せください!
ではお客様と弊社で専任媒介契約を結びましょう。こちらの書類にサインをしてください。物件情報はレインズに掲載しますね。
ーーー1カ月後
ABC不動産
XYZ不動産さん、こんにちは! ABC不動産の田中と申します。御社が仲介している●●町の家を買いたいというお客さんがいるのですが…
XYZ不動産
ごめんなさい、その物件はもう申し込みが入っちゃってるんですよね。
またよろしくお願いします!(本当はまだ買い手が見つかっていないけど、自社で買主を見つければ両手取引で仲介手数料が2倍もらえるから、決まったことにしよう)
上記のような「売り止め」と呼ばれる手法で囲い込みが行われるケースがあります。
囲い込みをされると、他の不動産会社からの買い手を紹介してもらえないため、早期の成約が期待できません。
失敗した要因:両手仲介の仕組みを理解していなかった
失敗した要因として、両手仲介や囲い込みについて理解していなかったということが挙げられるでしょう。
ここで、改めて両手仲介の仕組みを解説します。
マンションの売却における不動産会社と売主・買主の関係性には、以下の2つがあります。
- 片手仲介:不動産会社は、売主・買主のどちらかとしか契約していない(売主・買主がそれぞれ別の不動産会社と契約している)
- 両手仲介:不動産会社が売主・買主両方と契約している
不動産取引の仲介手数料には「売買価格×3%+6万円+消費税」と、上限が定められています。
片手仲介の場合、不動産会社は売主・買主どちらか一方としか契約していないので、売買成約時の仲介手数料は一方からしか受け取れません。
つまり、片手仲介で不動産会社が受け取れる仲介手数料の最大額は「売買価格×3%+6万円+消費税」です。
一方、両手仲介では、両方と契約しているので売主・買主両方から仲介手数料を受け取れます。
つまり、両手仲介の場合、不動産会社が受け取れる仲介手数料の最大額は1つの取引で「(売買価格×3%+6万円+消費税)×2」となるのです。
そのため、不動産会社が2倍の報酬を得られる両手仲介を狙って囲い込みするケースがあるのです。
両手仲介自体が悪いわけではないのですが、不動産会社が両手仲介を狙って、別の不動産会社からの問い合わせに「すでに決まった」という回答をしてしまうと、売却が長期化するなど売主が損をする可能性があります。
失敗しないための対策:複数の不動産会社を比較検討する
両手仲介だからといって必ず囲い込みをされるわけではありません。
顧客の多い大手不動産会社では、結果として両手仲介になるケースも珍しくなく「両手仲介=売却で損してしまう」と一概には言えないものです。
両手仲介であっても、売主の利益のために売却を進めてくれる不動産会社であれば問題ないでしょう。
ただし、少しでも安く買いたい買主と、少しでも高く売りたい売主の利益は相反するため、不動産会社が買主側に立って積極的に売却を進められると、売主側にとって不利益が生まれる可能性があります。
そのため、とにかく契約させて利益を得たいと、会社の利益を優先して両手仲介を狙う不動産会社は避けるほうがよいでしょう。
不動産会社選びの段階では、できるだけ多くの会社を比較して、信頼できるかどうかを見極めることが重要です。
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売却前に自分の判断だけでリフォームしてしまった
築年数の古いマンションの場合、売却前にリフォームを検討する人も多いでしょう。
しかし、リフォームしたことで買い手の幅が狭まったり、リフォーム費用をかけた分損をしてしまったり、という失敗も起こりえるので注意しましょう。
失敗した要因:リフォ ームした方が売れやすいという思い込みがあった
古くて劣化したマンションよりも、リフォームしてきれいにしたほうが売れやすいと考えている方は少なくありません。
そのため、売却前にリフォームを実施しようと考える方もいらっしゃるでしょう。
もちろん、リフォームした方が売れやすくなる可能性は高いですが、必ずしもリフォーム費用が売却価格に反映されるとは限りません。
売却価格にリフォーム費用を上乗せするとしても、相場の範囲内の一定額にとどまる可能性は高いでしょう。
またリフォームは、リフォーム箇所やデザインなど選択肢が豊富にあるため、今のトレンドに合わせてリフォームする必要があります。
場合によっては、リフォームをしてもしなくても、売却価格は同程度になる可能性も十分にあるのです。
そうなると、リフォームをせずに売却した方が手元にお金を多く残すことができます。
失敗しないための対策:よく不動産会社と相談したうえで判断する
リフォームは、実施する箇所やデザインなどの選択肢が豊富にあるため、慎重な判断が必要です。
また買い手側には、物件を安く購入し、自分好みにリフォームしたいというニーズがあることが多いです。
リフォームするかどうかは個人では判断が難しいため、まずはリフォーム前の状態を不動産会社の担当者に見てもらい、相談しながら進めることをおすすめします。
到底売れない高額な査定額を提示した不動産会社に売却を任せてしまった
高値で売れると思い、査定額が高い不動産会社と契約すると、失敗しやすくなります。
極端に高額の査定額を提示する不動産会社の中には、媒介契約欲しさに高値を提示しているケースがあるからです。
不動産会社は、査定の段階では報酬を得ることができません。最終的に、売買契約を成立させたときに、初めて成功報酬として仲介手数料を得ることができます。そのためには、まず媒介契約を獲得する必要があります。
売主は複数の不動産会社に査定を依頼することが多いため、不動産会社はその中で媒介契約を勝ち取るために、相場より高値で査定額を提示することがあるのです。
仮にその査定額のまま売りに出しても、基本的に相場よりも高値では買い手はなかなか現れません。
買い手が現れないと、そのことを理由に結局値下げせざるを得なくなり、結果として安値での売却になってしまう危険性があるのです。
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失敗した要因:自分で相場観を掴んでいなかった
不動産会社から高値での査定を提示されると、少しでも高く売りたいと考える売主としては魅力的に感じるものです。
しかし、理由もなく相場より高額で売却を開始しても、買主を見つけることは難しいでしょう。
売主が相場を把握していないと、不動産会社が提示してきた査定額の高さを信じ込んでしまいます。
また、査定を依頼する不動産会社の数が少ないと、査定額の比較がしにくくなります。
相場を把握していなかったり、比較する不動産会社の数が少なかったりすると、提示された査定額の高さで判断してしまい、失敗しやすくなるのです。
失敗しないための対策:複数の不動産会社に査定を依頼する
事前に相場を把握するだけでなく、複数の不動産会社の査定価格を比較することが大切です。
複数の不動産会社の査定を比較していると、ある一定の価格帯に収まってくるので、それが相場ともいえます。
その価格帯よりも極端に高値・安値といった不動産会社は避けるのが無難でしょう。
もちろん、売ろうとしているマンションのエリアでの売却実績が豊富など、高値で売却できる根拠があるのであれば問題ありません。
査定額が高いうえに根拠もしっかりしているなら、安心して任せられるでしょう。
売却活動中の失敗事例
売却活動中の失敗は、売却期間が長くなったり、安値での売却になってしまう原因となります。
以下では、売却中の失敗事例として以下の5つを解説します。
- 売却を始めるタイミングが悪かった
- 価格交渉に応じず長期間売れない期間が続いてしまった
- 販売開始してすぐに価格交渉に応じて売却してしまった
- 売り出し価格を相場より高く設定してしまった
- 内見予約は入るもその後になかなか進まなかった
それぞれ見ていきましょう。
売却を始めるタイミングが悪かった
マンションには、売りやすいタイミングと売りにくいタイミングがあります。
売却を始めるタイミングを見誤ることで、買い手が見つからない、値引きして安値での売却になってしまった、となりかねないので注意しましょう。
失敗した要因:マンション売買には繁忙期と閑散期があることを知らなかった
マンション売買が活発になるのは、大学への進学や就職、転勤などの多い2~3月と、人の移動が多い9~10月頃です。
この時期を逃すと、売りにくくなるといわれています。
繁忙期や閑散期を把握せずに売却をスタートしてしまうと、売れにくくなる可能性があるので注意しましょう。
失敗しないための対策:マンション売却にかかる期間を把握して繁忙期に売却活動を行う
マンション売却の場合、売却に一定の期間がかかるため、期間を考慮したうえで売却活動を行うことが求められます。
マンション売却期間は3カ月~半年ほどかかることが多いため、売りたい時期に合わせて逆算して売却活動を進めることが重要なのです。
例えば、4月に新生活をスタートしたい購入希望者は、3月中旬~下旬までの引き渡しを希望するでしょう。
そうなると、2月には売買契約を結ぶ必要があり、そのためには1~2月で内覧を行っておく必要があります。
つまり売却活動は、12月~1月頃には開始しておくことが求められます。
さらに、売却活動を始める前には不動産会社選びをする期間があるため、11月~12月頃には不動産会社に査定を依頼しておく必要があります。
全体の流れを見ると、以下のようになります。
- 11月~12月:不動産会社選び
- 12月~1月:内見など売却活動
- 1月~2月:売買契約締結~買主のローン審査
- 2月~3月:決済~引き渡し
売りたい期間に合わせて余裕をもってスケジュールを立てることで、スムーズな売却を目指しやすくなるでしょう。
価格交渉に応じず長期間売れない期間が続いてしまった
マンション売却では、売却中に購入希望者から価格交渉されることは珍しくありません。
価格交渉に応じるかどうかは売主が自由に決められますが、価格交渉に応じずに買主が購入を諦めた場合、一から売却活動を始めることになります。
売却活動にかかる期間は3カ月~半年ほどが一般的ですが、値下げ交渉を断ることで、追加で1~2カ月ほどかかる可能性が出てきます。
不動産売却は長期化するほど、買主は「売れないのには何か理由があるに違いない」と疑ってしまうものです。
もし他に買いたい人が複数いれば、価格交渉に応じなかったとしても、一からやり直す可能性は低いでしょう。
失敗した要因:もっと高く売れると思ってしまった
価格交渉に応じない理由に「高値で売れるはず」「他に条件のよい買い手が現れるはず」と思ってしまうことが挙げられます。
自分の所有するマンションには思い入れがあるでしょうし、売る以上は高く売りたいものです。
しかし、売却の段階では相場や売却期間などをもとに冷静に判断することが大切です。
これは仲介の実例ですが、あるマンションの売り相場は2,800万でした。
指値が入ることを考慮して3,000万で市場に出し、すぐに2,900万で購入したいという買主さんが現れましたが、市場に出したばかりだし、もう少し様子を見たいため100万の指値を受けたくないとのことでその購入者をお断りした結果、結局売却には1年半かかり最終的に2,500万で手放すこととなりました。
株式会社アイホーム(ヤマダ不動産神戸本店)
代表取締役 告野 亘 様 よりヒアリング1
基本的に相当条件のよいマンションでない限り、相場以上の極端な高値で売れるケースは多くありません。
失敗しないための対策:売却期限を設けて適切に判断する
価格交渉のタイミングを適切に判断するための対策として、事前に売却期限を設けることが挙げられます。
例えば、遅くとも半年以内に売却すると決めていた場合、売却を始めて3カ月目の段階で受けた価格交渉には応じたほうがよいと判断できます。
一方、売却開始から1カ月時点で価格交渉を受け、その価格が気に入らない場合には、受け入れないという判断をしてもよいでしょう。
大事なことは、一度決めたルールはしっかり守ることです。
ルールを決めたものの、守らずにずるずると価格交渉を断っていると、売れ残ってしまう可能性が高くなります。
また、事前に値下げするタイミングを決めたり、価格交渉での妥協点を決めておくのもおすすめです。
販売開始してすぐに価格交渉に応じて売却してしまった
安易に値下げに応じると、失敗につながりやすくなるので、注意が必要です。
適切に価格を設定できていれば、販売開始直後は問い合わせや内見申し込みが複数あるはずです。
この時期に価格交渉に応じて早々に売却してしまうと、後からより条件の良い買い手が現れる可能性があり、後悔するかもしれません。
失敗した要因:販売を急いでしまった
販売開始直後で値下げ に応じてしまう状況に、販売を急いでいるケースが多くあります。
例えば、相続や離婚、転勤までの期日が迫っているなど、どうしても急いで売却しないといけない状況です。
この場合、値下げしてでも早く売却したいという心理が働きやすくなります。
また、急いで売却したいことが買い手側に伝わると足元を見られやすくなり、必要以上に値下げ交渉をされてしまう恐れもあるのです。
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失敗しないための対策:売却に期限があるなら買取を検討するのもおすすめ
売却に余裕をもってスケジュールを立てることで、売り急いで値下げに応じることを防ぎやすくなります。
しかし、どうしても急いで売却したいというケースもあるでしょう。
そのような期日の迫った売却なら、買取を視野に入れるのもおすすめです。
買取は、不動産会社が直接マンションを買い取ってくれるので、売却活動の必要がなく、短期間での売却を目指せます。
ただし、売却価格が市場の7~8割ほどに下がってしまうので、急を要する売却や、市場では売りにくいマンションに適しています。
自分のマンションの状況や売却方針などに応じて、仲介にするか買取にするかを選ぶとよいでしょう。
査定時に仲介査定と買取査定を同時に行って、査定額から比較するのもおすすめです。
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売り出し価格を相場より高く設定してしまった
売り出し価格は売主が自由に決められるため、高く売りたいと考え、相場よりも高値を付けてしまうケースもあります。
しかし、売り出し価格を相場よりも高く設定してしまうと、なかなか買い手が現れない恐れがあります。
失敗した要因:相場ではなく自分の希望で価格を決めてしまった
売り出し価格で失敗する大きな要因が、相場を踏まえずに自分で価格を決めてしまうケースです。
住宅ローンの完済費用や新居の費用などを考えると、少しでも高く売りたいところでしょう。
しかし、売主側の希望だけで価格を設定すると失敗しやすくなるので注意が必要です。
失敗しないための対策:売れる価格相場をリサーチする
売り出し価格を設定する際は、相場や売れる価格をリサーチしておくことが重要です。
とくにマンションの場合、同じマンションで別の居室が売りに出ていると高値では売りにくくなるので注意しましょう。
近隣の売り出し価格や、同じマンションの売り出し、成約情報などを踏まえて適切な価格を設定することが大切です。
内見予約は入るもその後になかなか進まなかった
マンション売却では、購入希望者がマンションを実際に訪れて物件を確認する、内見が行われます。
マンションの購入希望者は、内見の印象で契約に進めるかどうかを決めます。
内見で失敗してしまうと、条件の良いマンションでも売却しにくくなるでしょう。
内見自体はある程度予約数があるのに先につながらない場合は、内見の対応で失敗している可能性が高いといえます。
失敗した要因:清掃の不徹底
内見で失敗する大きな要因が、室内の印象の悪さです。
清掃ができておらず不衛生であったり、生活感が出てしまっている状態では、内見者の印象は悪く、購入につながりにくくなるでしょう。
失敗しないための対策:内見前に徹底的に清掃する
内見で大切なのは、内覧者に「このマンションに住んでみたい」と思われる室内を演出することです。
基本的に室内は、きれいで、広く、スッキリ見せる必要があります。
そのため、内見前には徹底した清掃・整理整頓が必須です。
自分の掃除では手に負えない場合は、ハウスクリーニングの依頼を検討しましょう。
水回りだけでもピカピカにしておくだけで印象はだいぶ違ってくるため、費用をかけても効果を得やすくなります。
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売却後の失敗事例
マンションの売却が成立すると、ほっと一息つきたいところですが、売却後に失敗してしまうケースも少なくありません。
とくに、売却後の失敗はお金の損失に直結するため、売却後も慎重に対応することが重要です。
ここでは、売却後の失敗事例として以下の4つを解説します。
- 確定申告を忘れてしまっていた
- 税金を支払うと手残りのお金がほとんどなくなってしまった
- 契約不適合責任を負うことになってしまった
- 住宅ローン残高よりマンション売却後の手残りのお金が少なくなってしまった
それぞれ見ていきましょう。
確定申告を忘れてしまっていた
マンション売却では、確定申告が必要なケースがあります。
確定申告が必要なのにも関わらず放置してしまうと、税務署から通知が届き、加算税や延滞税などのペナルティが科せられる恐れがあります。
失敗した要因:マンション売却後に確定申告することを知らなかった
確定申告を怠る大きな要因が「確定申告が必要であることを知らない」「確定申告の時期を忘れていた」というものです。
マンション売却では、以下のケースで確定 申告が必要です。
- 売却で利益が出ている場合(税金が発生している)
- 特別控除などの特例を適用する場合(税金が発生しないケースも含む)
マンション売却によって利益が出た場合、譲渡所得税と呼ばれる税金が課税されるので、確定申告して納税が必要になります。
また、特例を適用して税金が発生しない場合や、損失に対して特例を適用する場合も、特例適用のための確定申告が必要になります。
「特例を適用すれば税金がかからない・節税できる」というケースでは、確定申告が必要です。
マンション売却で損失が出た場合は、確定申告をしないことでペナルティが課されることはありませんが、特例を適用することで大きく節税につながることがあります。
基本的には、マンションを売却したら利益の有無に関わらず、確定申告が必要だと考えてよいでしょう。
なお、確定申告の時期は、マンションを売却した翌年の2月16日~3月15日です。
失敗しないための対策:税金の基本を知っておく
確定申告を怠らないためには、税金の基本を理解し、確定申告が必要なケースを判断できるようにしておくことが大切です。
自分で税金の計算が不安な場合は、税理士に相談するのも一つの手です。
なお、基本的には不動産会社の担当者が確定申告が必要かどうかを教えてくれます。また、不動産会社によっては税理士の紹介など、税金面のサポートを受けられるケースもあります。
最後までサポートしてくれる、信頼できる不動産会社を選ぶことが大切です。
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税金を支払うと手残りのお金がほとんどなくなってしまった
マンション売却では、譲渡所得税が数百万円になるケースもあります。
課税されるのを把握していないと、思わぬ税負担で手元に残るお金がほとんどなくなってしまった、という事態に陥りかねません。
失敗した要因:税金がどのくらいかかるのか把握していなかった
譲渡所得税の額については、事前に自分である程度計算しておくことができます。
金額が大きくなりそうであれば、あらかじめ税理士に相談しておくのがよいでしょう。
確定申告の時期は、マンションを売却した翌年の2月16日~3月15日です。お金を受け取ってから税金を支払うまでに間が空いてしまうという点も、失敗しやすい要因といえます。
失敗しないための対策:税引き後の利益を計算しておく
売却金の使用用途を検討する際に、売却にかかる費用や税金まで詳細に把握して計算することが大切です。
売却では、一般的に売却金の5~10%程の費用や税金がかかると言われています。
例えば、3,000万円で売却した場合、150~300万円の費用・税金が必要です。
さらに、住宅ローンの完済や新居の費用なども含めて検討する必要があるでしょう。
事前に、税引き後に手元に残るお金を計算して計画を立てることが重要です。
下記のページでは売却価格から譲渡所得を大まかにシミュレーションできますので、活用してください。
▼不動産売却シミュレーター
契約不適合責任を負うことになってしまった
契約不適合責任とは、契約書に記載していない不具合が発見されたときに売主に問われる責任です。
契約不適合責任が問われると、買主から損害賠償請求を受けたり、契約解除になったりする恐れがあります。