家を購入する際には住宅ローンを組まれる方がほとんどですが、その際、頭金をいくらにすればよいか悩まれる方も多いのではないでしょうか。
本記事では、住宅ローンの頭金の額に悩まれている方に向けて、頭金の考え方や目安額、返済プランなどご紹介していきます。
住宅ローンの頭金の目安額はどのくらい?
住宅は高価な買い物のため、購入時には住宅ローンを組む方がほとんどでしょう。
住宅ローンを組むときは、満額住宅ローンを借りることもできますし、住宅価格の一部を現金で支払い、残りを住宅ローンで借りるといったことも可能です。
このとき、現金で支払う部分が頭金です。
実際のところ、住宅ローンの頭金はどのくらい支払うのがよいのでしょうか。
「頭金1割~2割」は本当?
家を購入する際、「頭金は1割~2割用意するもの」という話を聞いたことがあるかもしれません。
あるいは、ご両親などから「せめて頭金を1割貯めてから考えるべき」といったアドバイスを受けたという方もいらっしゃるでしょう。
確かに、頭金として現金を用意すれば、住宅ローンの借入額が減り、毎月返済額も減らすことが可能です。
このため、少しでも多く頭金を用意するべきという考え方はある意味では正しいといえるでしょう。
上記の住宅ローンシミュレーターでは、借入額・頭金・金利・借入年数を任意に設定して総返済額を計算できます。
頭金の額で総返済額がどれぐらい変化するかチェックしてみましょう。
なお、リクルート社の調査1によると、2023年に首都圏で新築マンションを購入した人の頭金(自己資金)の割合は、以下のようになっています。
自己資金比率 | 0% | 0~5% | 5~10% | 10~15% | 15~20% | 20~25% | 25~30% | 30~40% | 40~50% | 50~100%未満 | 全額キャッシュ | 不明 | 平均(%) |
全体に占める割合 | 17.7 | 24.0 | 12.2 | 7.9 | 5.6 | 4.1 | 2.7 | 3.3 | 2.2 | 3.6 | 11.4 | 5.4 | 21.7 |
42.1%の人が頭金5%以下で新築マンションを購入しており、半数以上が10%以下の頭金で購入していることがわかります。
今と昔での金利の変化
昔からある「住宅を購入するなら頭金を1割~2割貯めるべき」という考えをそのまま信じるのは少し待ったほうがよいかもしれません。
というのも、バブルの頃などは住宅ローンの金利が5%を超えるなど非常に高く、少しでも現金を多く貯めることに意味がありました。
この点、昨今では超低金利時代が続いており、住宅ローン金利が1%を切ることも珍しくありません。
これだけ低金利で借りられるのですから、昔と同じように頭金を1割~2割貯めてから住宅を購入するのではなく、場合によっては頭金ゼロで住宅を購入することを検討してもよいといえるでしょう。
超低金利に住宅ローン控除で「借りれば借りるほどお得」?
近年では住宅ローン金利1%以下で借りられるなど、非常にお得に利用できることをお伝えしましたが、さらに住宅ローン控除を利用することで「借りれば借りるほどお得」な状態になるケースもあります。
住宅ローン控除とは、一定の条件を満たして住宅ローンを利用した場合に、借入から13年間(あるいは10年間)、住宅ローンの金利から0.7%分控除を受けられるというものです。
つまり、金利0.7%以下の住宅ローンを借りて、住宅ローン控除を利用すれば、その差額分について金利負担分以上の控除を得られる逆ザヤ状態になっているのです。
住宅ローンの金利引き上げもあ りえる?
政府はこうした状況を受けて、逆ザヤ状態にならないよう改正することを検討しています2。
これはある意味、一定の条件を満たせば住宅ローンを借りれば借りるほどお得になることを政府も認めているといえるでしょう。
今後は見直しされる可能性がありますが、現段階ではまだ改正されておらず、今が最後のチャンスになるかもしれません。
ただし、住宅ローン控除はあくまでも借入から10年もしくは13年の間、ゼロコンマ数%分の金利の還付を受けられるというだけのことであり、借入額が大きくなれば返済額が大きくなってしまう点にはよく注意する必要があります。
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モゲチェック(PR)の住宅ローン比較はこちら【頭金別】住宅ローンの返済プランを比較
ここれは、金利1%、借入期間35年で3,000万円分の住宅ローンを組むのに際して、3パターンの頭金の額それぞれの返済プランを比較していきたいと思います。
パターンの内訳は
- 頭金なし
- 頭金1割
- 頭金2割
の3つです。
頭金なしプラン
まず、頭金なしで住宅ローン3,000万円分借り入れた場合、毎月返済額と総返済額は以下のようになります。
- 毎月返済額:84,685円
- 総返済額:35,567,804円
借入額が大きいため、途中で金利が高くなってしまったような場合には、金利上昇の影響をより強く受けることに注意が必要です。
頭金1割プラン
次に、頭金1割、つまり現金300万円に加え、住宅ローン2,700万円借りて住宅を購入した場合、毎月返済額と総返済額は以下のようになります。
- 毎月返済額:76,217円
- 総返済額:32,010,957円
頭金を1割入れることで、毎月返済額が約8,000円安く、総返済額は約350万円安くなっています。
ただし、300万円分住宅ローンの借入額が少なくなっているため、単純計算で300万円×0.7%×13年間=27.3万分住宅ローン控除で受けられる控除額が少なくなる可能性があります。
(住 宅ローン控除は毎年の住宅ローン年末残高が対象となるため、実際には27.3万円より少なくなります)。
頭金2割プラン
最後に、頭金2割、つまり600万円と住宅ローン2,400万円で住宅を購入したケースです。
- 毎月返済額:67,748円
- 総返済額:28,454,193円
頭金を600万円入れたことで、頭金なしと比べると毎月返済額が約17,000円、総返済額が約700万円減っています。
一方で住宅ローン控除については単純計算で13年間の控除額が54.6万円減ります。
また、頭金600万円入れることで手持ち資金が600万円減ってしまうことに注意しなければなりません。
例えば、将来自動車を購入するとなったときに、手持ち資金がなく自動車ローンを組むと、住宅ローンと自動車ローンとでは住宅ローンの方が金利が低いのが一般的です。
単純に毎月返済額と総返済額だけを見るのではなく、住宅ローン控除の効果や手持ち資金に余裕があるかなど総合的に判断することが大切だといえます。
金利1%で3,000万円を35年間借り入れた時の総返済額まとめ
- 頭金なし→35,567,804円
- 頭金1割→32,010,957円
- 頭金2割→28,454,193円
住宅ローンで頭金を入れる3つのメリット
ここでは、住宅ローンで頭金を入れるメリットについて見ていきたいと思います。
具体的には以下の3つです。
- 返済額を減らすことができる
- 総返済額を減らすことができる
- 早く完済できる
それぞれ解説します。
返済額を減らすことができる
まず、頭金を入れることで毎月返済額を減らすことができます。
住宅ローンを借りると毎月大きな額を返済していかなければならず、お給料などから住宅ローン返済額を差し引いた残りの額で生活していかなければなりません。
毎月返済額が少なくなれば、それだけ毎月のやりくりがしやすくなるでしょう。
総返済額を減らすことができる
また、頭金を入れることで住宅ローンの総返済額を減らすことができます。
金利は借り入れた元金に対してかかるため、例えば頭金を2割入れて2,400万円借りた場合と、頭金なしで3,000万円借りた場合とでは、後者の方が金利負担分が多くなり、結果として総返済額も高くなってしまうのです。
早く完済できる
頭金を入れた方が早く完済しやすくなるという点もメリットです。
もちろん、頭金の額に関係なく、借入期間35年の住宅ローンで借りた場合は、35年間返済していかなければなりません。
ただし、頭金を入れて借入額を少なくすることができれば、借入期間が同じ35年であれば毎月返済額が安くなります。
このため、減った分を貯蓄に回して一定期間後に繰り上げ返済するといったことが考えられるでしょう。
また、毎月返済額が少ない分、借入期間を30年にするといった判断も しやすくなります。
いずれにせよ、頭金を入れないより入れた方が早く完済しやすくなるはずです。
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住宅ローンで頭金を入れる3つのデメリット
一方、住宅ローンで頭金を入れるのには以下のようなデメリットがあります。
- 手元の現金が減る
- 頭金を貯めてから購入する場合は住宅の購入が遅くなる
- 住宅ローン控除の適用額が減る
それぞれ見ていきましょう。
手元の現金が減る
住宅ローンを組むときに頭金を入れることで、手元の現金が減ってしまいます。住宅ローンを組んだ後も、住宅以外に自動車の購入費用や子供の教育費などさまざまなお金がかかります。
そうしたときに、手元に現金がないと困ることもあるでしょう。
結果として、住宅ローンより金利の高い自動車ローンや教育ローンを組むことになるようでは本末転倒です。頭金を入れるにしても、その後の生活に支障がない額にすることが大切だといえます。
頭金を貯めてから購入する場合は、住宅の購入が遅くなる
手元にすでに現金があるというケースならよいのですが、そうでない場合、「頭金を1割分貯めるまで家を購入しない」といった判断をすることもあるでしょう。
しかし、こうしたケースでは金額だけみると大きく損をしてしまうことがほとんどです。
例えば、3,000万円の家を購入するにあたり、頭金300万円を貯めることを想定してみましょう。
この場合、例えば毎月5万円ずつ貯金したとして5年の期間が必要になります。
単純に家を購入するのが5年遅くなってしまうわけです。
住宅の購入が5年遅くなると生じる問題には、完済時年齢が遅くなることや年齢を重ねることで健康を害してしまい、団体信用生命保険に加入できなくなることが挙げられるでしょう。
また、5年間は他の賃貸に住まなければならないため、その間の家賃も発生してしまいます。
このように、手元に頭金がない状態からお金を貯めようとすると、さまざまなデメリットが生じてしまいます。
住宅ローン控除の適用額が減る
最後に、住宅ローンを組むにあたり頭金を入れると、住宅ローン控除の適用額が減ってしまいます。
住宅ローン控除は、毎年の住宅ローン年末残高の0.7%分について、所得税と住民税から控除を受けられるというもの。
頭金を入れて借入額が少なくなれば、それだけ受けられる恩恵は小さくなります。
住宅ローンを満額で借りておいて、10年間(もしくは13年間)の控除期間が過ぎた後に繰り上げ返済するといったことを考えるのもよいでしょう。
まとめ
住宅ローンを組むにあたり、頭金の目安や頭金を入れることのメリット・デメリットなどお伝えしました。
近年の住宅ローン低金利化や住宅ローン控除により、必ずしも頭金を入れることが必要なことではなくなっています。
頭金を入れることには、メリット・デメリット両方あるため、本記事でお伝えした内容を参考にしながら、ご自分に合った方法で住宅の購入を進めるとよいでしょう。
また、住宅ローンの借り入れを検討している方は、まずは金融機関ごとの金利や借入時の特徴などを理解しておくことも必要です。金融機関によって保証料や手数料がかかる場合があるため、総支払額に差が生じる場合があります。
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