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40代で家を買うのは遅い?賃貸との比較や頭金の準備について解説

「40代で家を買うのは遅いだろうか?」そのような疑問をお持ちの方もいるでしょう。

40代での家の購入が遅いことはなく、むしろ増えています。ただし、40代での家の購入は20代・30代で購入するのとは異なる注意点があるものです。

この記事では、40代で家を購入する際の注意点やメリット、頭金についてなどを分かりやすく解説します。

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40代で家を買うのは遅い?

住宅金融支援機構の「2023年度フラット35利用者調査」によれば、利用者の平均年齢は44.3歳となり、平均年齢は2017年度以降上昇傾向です1

最も多い年代は30代の30.4%となり、次いで40代が27.6%を占めます。

また、不動産種類別の平均年齢は以下のとおりです。

2022年度2023年度
注文住宅46.2歳48.0歳
土地付注文住宅39.6歳40.8歳
建売住宅41.7歳42.8歳
マンション45.7歳47.7歳
中古戸建44.3歳45.4歳
中古マンション45.2歳46.8歳

2023年度で見れば、すべての不動産種類の購入者の平均年齢が40代となっています。

つまり、40代は家を購入するのに遅いことはなく、むしろ家購入の中心世代と言えるでしょう。

ただし、40代で家を購入する際には、住宅ローンで不利になりやすい点には注意が必要です。

反面、40代ならではの家の購入に対するメリットもあるので、メリットや注意点を押さえておくようにしましょう。

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40代で家を買うなら住宅ローンに注意

多くの金融機関では、住宅ローンの利用年齢を20歳以上70歳以下としているため、40代であれば問題なく申し込めます

しかし、住宅ローンは申込年齢だけでなく完済時年齢も重要になってくるので、その点で40代は不利になりがちです。

完済時年齢を確認しよう

住宅ローン申込時には、申込時年齢だけでなく完済時年齢もクリアする必要があります。

完済時年齢とは、住宅ローンの返済が終わるときの年齢で、多くの金融機関で80歳未満に設定されています。

住宅ローンの一般的な返済期間は35年となるので、単純に計算すれば80歳-35年で45歳までの申し込みが必要です。

45歳以上で申込む場合は、「80歳-年齢」の借入期間で設定する必要があります。

住宅ローンの多くは完済時年齢が80歳に設定されている

ただ、45歳で35年ローンは申し込めるとはいえ、完済は退職後である可能性が高い点に注意が必要です。

退職後に住宅ローンが残ると老後資金を大きく圧迫しかねないので、完済年齢は長期的なシミュレーションをしたうえで慎重に検討しましょう。

なお、申込年齢・完済時年齢は金融機関によって異なるので、検討する金融機関で詳細を確認することが大切です。

返済期間が短くなると返済額が大きくなりやすい

40代で完済時年齢や退職時の年齢を考慮して返済期間を決める場合、一般的な借入期間である35年よりも短くなりがちです。

同じ額を借入れる場合、返済期間が短いほど毎月の返済が大きくなります。

たとえば、3,000万円を金利1%で借入れる場合の返済額をみてみましょう

借入期間35年30年25年20年
毎月の返済額84,685円96,491円113,061円137,968円
返済総額35,567,700円34,736,760円33,918,300円33,112,320円

返済期間が5年短くなると、毎月1~3万円ほど返済の負担が大きくなります。

ただし、返済期間が短くなると利息の負担が軽減しトータルの返済額は下がるので、どちらがよいかは慎重に検討するようにしましょう。

また、毎月の返済額が上がると返済比率がアップし、借入可能額が下がる点には注意が必要です。

返済比率とは、年収に占める年間の返済額の割合を指します。

返済負担率(返済比率)とは

一般的に、住宅ローンでは返済比率30~35%以下が基準となるので、返済比率がアップすると審査で不利になるおそれがあります。

たとえば、上記の返済シミュレーションで年収400万円の場合のそれぞれの返済比率は以下のとおりです。

借入期間35年30年25年20年
毎月の返済額84,685円96,491円113,061円137,968円
年間返済額1,016,220円1,157,892円1,356,732円1,655,616円
返済比率25.4%28.9%33.9%41.3%

20年では返済比率が35%を超えてしまうので、借入額を減らす必要が出てきます。

このように、40代を超えて住宅ローンを組む場合、完済時年齢による制限を受けやすい点には注意しましょう。

健康状態が悪いと住宅ローンを組めないケースがある

40代で住宅ローンを組む場合の注意点としては、団信に加入できないリスクが挙げられます。

団信(団体信用生命保険)とは、住宅ローンの契約者が死亡または高度障害になった場合、保険金で住宅ローン残債を完済する制度です。

団体信用生命保険のしくみ

民間の金融機関の住宅ローンでは、多くが団信への加入を求められる。

団信に加入しておけば、契約者にもしもの事態が起こっても、残された家族が住宅ローン返済の負担を負うことなく家に住み続けられます。

基本的に、多くの金融機関で住宅ローン契約時には団信の加入を必須としています。

しかし、団信に加入するには各保険会社の審査に通る必要があり、健康状態が悪いと審査に通らない場合があるのです。

団信が必須の住宅ローンでは、団信に加入できなければ住宅ローンは組めません。

40代は20代・30代よりも健康状態に不安を覚える人も増えてきて、団信加入がネックとなり住宅ローンを組めない可能性があるので注意しましょう。

ただ、すべての住宅ローンが団信を必須としているわけではありません。

たとえば、フラット35は団信の加入が任意となっているので、健康状態に不安があり団信に加入できない人でも住宅ローンを利用できます
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40代で家を買うのにはメリットもある

40代で家を買うメリット

40代で家を買うメリットとしては、以下の3つが挙げられます

  • ライフプランが固まっている
  • 老後を見越した家づくりができる
  • 貯蓄や収入が多い

それぞれ見ていきましょう。

ライフプランが固まっている

20代・30代は結婚・出産・転職などのライフイベントが多く、家族構成や収入などが大きく変化する年代です。

一方、40代は20代・30代に比べるとライフプランの変化が穏やかになり、将来的に大きく変動することも少なくなります

たとえば、子供の進学先や独立するタイミングなども、40代になればより具体的にイメージしやすいでしょう。

ライフプランが固まり、将来の変化という不安要素が少ない状態になっているため、ニーズに合わせた住まいの選択や返済スケジュールの設計も組みやすくなります。

その結果、住み替えやバリアフリーリフォーム、間取りの変更といった将来的なコストを抑えられる可能性も高まるでしょう。

老後を見越した家づくりできる

40代ではライフプランが固まり、子どもの独立が視野に入る人も出てくるため、子供のためというよりも、夫婦のための家選びがしやすくなります。

また、家の購入後に転勤になったり、子どもが生まれて部屋が足りないといった変化も起こりにくいので、今のニーズに合った立地や間取りを選びやすく、将来にわたって快適に生活しやすくなります。

さらに、20代・30代では老後を具体的にイメージしにくいものですが、40代になると現実的に考えられるようになる年代でもあります。

足腰が弱るのを見越してバリアフリー仕様にする、病院や公共交通機関が近い立地にするなど、老後を意識した住まい選びがしやすくなり、長く快適に暮らすうえで大きなメリットとなるでしょう。

貯蓄や収入が多い

40代は、20代・30代と比べて収入が高く、貯蓄もある程度蓄えられている人も多いため、家づくりの資金を用意しやすいというメリットもあります。

頭金を多く用意できれば、借入額を抑えることができ、毎月の返済負担を軽減することも可能です。

また、40代は返済期間が短くなるというデメリットもありますが、頭金をしっかり用意することで、その問題を解消できる可能性があります。

ただし、40代の貯蓄は老後資金にも大きく関わってくるので、将来を見据えたうえで、家づくりにどこまで充てるかを検討することが大切です。
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40代で家を買う場合と賃貸に住み続ける場合の比較シミュレーション

家の選択肢としては、購入だけでなく賃貸もあります。

ここでは、40代の家を選ぶ場合、購入と賃貸でどれくらい費用が変わってくるのかを見ていきましょう

なお、購入・賃貸ともに50年間住む場合で、家にかかる費用をシミュレーションしていきます。

購入するケース

フラット35利用者調査によると、土地付き注文住宅の所要資金平均は4,903万円です。

ここでは、5,000万円の家を購入し、そのうち4,000万円を30年ローン(金利1%)で借りたケースを想定します。

この場合、ローンの返済総額は46,315,800円となり、頭金(1,000万円)と合わせた総額は56,315,800円になります。

さらに、家の所有期間中のコストとして以下が発生するとします。

  • 固定資産税・都市計画税:年間12万円×50年=600万円
  • メンテナンス費(外壁・屋根):15年ごとに80万円×3回=240万円
  • その他修繕・リフォーム費:200万円

これらをすべて合計すると、家の購入から50年間でかかる費用は、約6,672万円になります。

賃貸に住むケース

子供がいる間の15年間はファミリータイプの賃貸マンション、独立後の35年はコンパクトな賃貸マンションに住むと仮定します。

家賃は以下のとおりです。

  • ファミリータイプ:10万円(共益費・駐車場代込)
  • コンパクトタイプ:6万円(共益費込)

また、入居時に敷金・礼金・その他費用として家賃の4ヵ月分が発生、更新料として2年毎に家賃1ヶ月分が発生していると仮定します。

それぞれの居住費は以下のとおりです。

  • ファミリータイプ:初期費用40万円+15年分の家賃1,800万円+更新料70万円=1,910万円
  • コンパクトタイプ:初期費用24万円+35年分の家賃2,520万円+更新料102万円=2,646万円

よって、トータルの居住費は1,910万円+2,646万円=4,556万円となります

金額だけでは比較できない点も多い

購入と賃貸では、選ぶ物件やメンテナンス回数などによって、かかる費用は大きく異なってきます。

今回のシミュレーションでは、賃貸の方がトータルの費用は安くなりましたが、それでも50年間住み続けると約5,000万円近くかかることが分かります。

しかも、賃貸ではいくら払っても、その物件が自分の資産になることはありません。

一方で、購入の場合は住宅ローンを完済すれば、家は自分の資産として相続させることも可能です。

いずれも高額な費用が発生しますが、「購入すれば資産として残せる」という点は、選択の際にぜひ覚えておきましょう。

▼関連記事:住宅ローンの年齢制限は何歳?老後に返済が辛くならないようにするための確認事項を解説
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40代で家を買うなら頭金を貯めたほうがいい?

家を購入する際に気になるのが、頭金を用意した方がよいかどうかでしょう。

最近では、頭金なしでも住宅ローンを組めるケースが増えてきており、手元の貯蓄を大きく減らさずに購入できるというメリットがあります。

一方で、頭金を入れることで借入額を抑えられ、毎月の返済負担を軽減できるという利点もあります。

では、40代で家を購入する場合、頭金ありとなしではどちらがいいのでしょうか。

40代は頭金を入れて借入額を少なくするのがおすすめ

40代で家を購入するなら、頭金をある程度用意するのがおすすめです。

前述のとおり、40代での住宅ローンは完済時年齢の制限を受けやすくなるため、借入期間を短くする必要が出てきます。

とはいえ、借入期間を短くすると返済比率が上がるため、希望の借入額で借入できない可能性もあるでしょう。

頭金を多く入れて借入額を少なくできれば、返済期間を短くしても返済の負担を軽減でき、かつ返済比率も高くなりにくいので希望額で借入できる可能性が上がります。

また、40代である程度貯蓄がないと万が一の時の備えがないことから、金融機関から返済能力を不安視され住宅ローン審査に不利になる恐れもあるので注意しましょう。

40代で手元に資金がない人が今から頭金を貯めるのはおすすめできない

頭金がないからといって、頭金が貯まるまで家の購入を待つのは必ずしもおすすめできません。

仮に、40歳で貯蓄が0の状態から毎月5万円ずつ貯金して頭金500万円を用意しようとすれば、約8年4ヵ月かかります。

その間、家賃10万円の賃貸に住んでいると、家賃だけで約1,000万円支払っていることになります。

また、現在は住宅ローンの金利が比較的低い状況ですが、8年後に金利が上がっていないとは限りません。

さらに、不動産市場の高騰や物価上昇の影響で、家の価格も上がっている可能性もあるでしょう。

とくに、40代から頭金を貯めて購入を先延ばしすると、年齢が上がることで住宅ローン審査が不利になるリスクも高まります。

そのため、頭金が貯まるまで待つよりも、頭金なしで購入した方がメリットになる可能性があるので、まずは不動産会社などの専門家に相談することをおすすめします。

ただし、家を購入する際には諸費用など自己資金で捻出しなければならない費用もあるので、完全に自己資金ゼロでは難しくなります。

また、住宅ローンによっては諸費用を借入に組み込めるかどうかも異なる点にも注意が必要です。

家にかかる費用や自己資金などを考慮して、無理のない家の購入ができるようにしましょう。

▼関連記事:住宅ローンの頭金はいくら用意すべき?目安額と返済プランを考察
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40代で家を買うことに関するよくある質問

最後に、40代で家を買うことに関するよくある質問をみていきましょう。

40代で頭金なしで住宅ローンを組める?

金融機関を選べば、頭金なしでも住宅ローンを組める可能性があります。

ただし、頭金なしの住宅ローンは審査が厳しくなりがちで、借入額が高額になる分返済の負担も大きくなります。
また、住宅ローンを組む際には諸費用などの負担も必要です。

諸費用を組み込める住宅ローンや諸費用ローンを利用する方法もありますが、自己資金ゼロだと住宅ローンが組めない可能性がある点にも注意しましょう。

40代で貯金なしでも家を買うべき?

頭金が貯まるまで家の購入を待つとなると、その間にも家賃の支出が続きます。

また、その間に住宅ローン金利や不動産価格が上昇すると、貯めた頭金の分以上にトータルの支出が増える恐れもあるでしょう。

購入を先延ばしすることにもリスクがあるので、今の段階で購入を一度検討してみるのがおすすめです。

45歳以降でも家は買える?

フラット35利用者調査では、2023年度の平均利用者年齢は44.3歳です。

また、50代・60代以上で利用する人も21.5%と低くはありません。

そのため、45歳以降であっても家を購入することは可能です。

ただし、45歳以降は住宅ローンの借入期間がより短くなり、定年退職の時期も近くなることから、住宅ローンの返済計画を慎重に立てることが重要です。

▼関連記事:50代で家は買える?ローン審査のポイント・注意点を解説
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まとめ

40代は家を購入する中心の世代であり、家を買うのに遅いということはありません。

40代はライフプランが固まってきているので、将来を見越した家の購入ができるというメリットもあります。

しかし、住宅ローンの完済時年齢が一般的に80歳未満のため、借入期間が短くなり返済や審査の際に不利になりやすい点には注意しましょう。

頭金を多く用意するなど、住宅ローン対策や返済シミュレーションを慎重にしたうえで検討することが大切です

1.
参考:住宅金融支援機構「2023年度フラット35利用者調査」
執筆者
逆瀬川勇造
逆瀬川勇造

明治学院大学卒。地方銀行勤務後、転職した住宅会社では営業部長としてお客様の住宅新築や土地仕入れ、広告運用など幅広く従事しました。2018年よりP.D.Pを設立。WEBを通して不動産に関する問題解決を目指します。 保有資格:宅建士、FP2級技能士(AFP)、住宅ローンアドバイザー、相続管理士

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