住宅ローンを組むとき、「いくら借りられるか」よりも「無理なく返済できるか」が重要なポイントです。
年収700万円の世帯は、収入面では比較的安定しています。しかし、住宅ローンのように長期にわたる返済は、家計に少なからず影響を与えるでしょう。
日々の生活や将来的な安心のためにも、無理のない返済計画が大切です。
そこで当記事では、家計に負担をかけず、安心して返済を続けるために知っておきたい住宅ローンのポイントについて解説します。
借りられる金額を決めるポイントは?
住宅ローンを借入れるなら、無理のない返済を目指す必要があります。そのためには、幾らまで借りてもいいかを見極めなければいけません。
そこでいかでは世帯年収700万円の型が、住宅ローンを借りる際に押さえておきたいポイントをご紹介します。
具体的には以下の4つの項目を解説します。
- 金利の種類
- 返済負担率
- 頭金
- 返済期間
これらについて、以下で詳しく見ていきましょう。
金利の種類を理解しよう
住宅ローンを借入れるのであれば、金利は慎重に選びましょう。金利を適当に選んでしまうと、返済額が予定よりも多くなってしまう可能性があるのです。
そこで、まずは金利についてしっかりと把握しておきましょう。
金利の種類には以下の3つがあります。
金利タイプごとのメリット・デメリットを確認しておきましょう。
1. 変動金利
変動金利は、返済期間中に金利が半年ごとに見直されるタイプの金利です。市場の金利変動に影響を受けやすいのが特徴です。
変動金利には、「5年ルール」と「125%ルール」が設けられています。これらのルールは、市場の金利が急激に変動しても、すぐに返済額が上がらないようにするためのものです。
- 5年ルール:金利が上昇しても、5年間は返済額が変わらない。
- 125%ルール:5年後に返済額が見直される場合でも、前回の125%以上には上がらない。
変動金利のメリット
借入時の金利が低く、総返済額を抑えやすい。
変動金利のデメリット
市場の動向次第で金利が上昇し、総返済額が増える恐れがある。
2. 全期間固定金利
全期間固定金利は、借入時に定めた金利が完済まで変わらないタイプの金利です。毎月一定額を支払うことになるため、返済計画が立てやすいのが特徴です。
全期間固定金利のメリット
金利変動の影響を受けず、返済額が一定。
全期間固定金利のデメリット
初期金利が他のタイプよりも高めに設定されている
3. 固定期間選択型
固定期間選択型は、一定期間(2年、5年、10年など)は金利が固定されているタイプの金利です。
設定した期間を過ぎると、その後は変動金利に移行するか再度固定するかを選択することが出来ます。
固定期間選択型のメリット
一定期間は返済額が安定し、その後は金利を選べる
固定期間選択型のデメリット
固定期間終了後に返済額が大きく変わる可能性がある
返済負担率の目安を知る
返済負担率とは、年収に対して年間ローン返済額がどれくらいの割合を占めるかを示す指標です。借り入れた住宅ローンを、無理なく返済するための目安になります。
家計に大きな負担をかけずに長期にわたってローンを返済していくために、返済負担率は20〜25%以下に抑えるのが理想とされています。
上記の住宅ローンシミュレーターでは、物件価格、頭金、金利、返済年数を入力することで、月々の返済額と総返済額のシミュレーションができます(月々の返済額が一定な元利均等返済の場合を想定)。
例えば年収700万円の家庭であれば、年間返済額を140万〜175万円に設定すると、無理のない返済がしやすいため、上記の金額を参考に返済計画を考えてみましょう。
頭金はいくら用意すべき?
頭金は、借り入れをする前に支払う現金の事を言います。物件価格の10〜20%を用意できると良いでしょう。
頭金を多めに用意することで、借入額が減って総返済額や利息金による負担が軽くなります。
返済負担率も下がるため、審査に通りやすくなると言ったメリットもあります。
ただし、頭金を出しすぎると、生活費やその他の費用が不足する恐れがあります。例えば、病気や怪我などで急に病院に行くなどです。
このような急な出費に対応しにくくなることがあるため、頭金は将来的な備えや日々の生活費などを考慮した上で準備しましょう。
返済期間をどう設定するか
返済期間は一般的に、20〜35年で設定されます。基本的に、返済期間の長さは総返済額に大きな影響を与えます。
例えば、返済期間が35年であれば、月々の返済額が低く抑えられます。しかし、借入期間が延びると支払う利息が増えるため、総返済額は大きくなります。
反対に、返済期間が15~20年と短ければ、毎月の返済額は高くなりますが、利息が抑えられて総返済額を少なくできます。
返済期間を設定する際は、以下のポイントを押さえておきましょう。
- 現在の家賃や生活費を考慮して、返済負担率を25%以下に設定する
- 支出が増える時期をあらかじめ予測した上で返済計画を立てる
- ボーナスで繰り上げ返済を行って返済期間を短くする
住宅ローンにはどんな種類がある?
住宅ローンは、金融機関や借入れる条件によって、ローンの種類を以下から選択することができます。
- 銀行などの民間ローン
- 日本公庫などの公的ローン
- 民間と公的の協調ローン
それぞれの特徴を理解して、自分に適したローンを選びましょう。
以下では、住宅ローンの種類について詳しく解説します。
銀行などの民間ローン
民間ローンは、私達が普段利用している都市銀行、地方銀行、ネット銀行、信用金庫といった、民間金融機関が提供するローンです。
民間ローンには以下のような特徴があります。
金利の選択肢が豊富なのが特徴で、全期間固定金利型、変動金利型、固定期間選択型など、様々な金利のタイプが用意されています。
公的ローンと比べて審査基準が厳しいのも特徴です。他の金融機関での借入やカードの履歴など、信用力や安定収入がチェックされます。
ネット銀行でも住宅ローンの借入が可能です。ネット銀行は店舗を必要としない分、低金利や手数料の優遇が利用できることがあります。
日本公庫などの公的ローン
公的ローンは、日本公庫などの公的機関が提供しているローンです。公的ローンの代表的なものとして「財形住宅融資」や「自治体融資」が挙げられます。
公的ローンには以下のような特徴があります。
ローンを返済し終わるまで金利が固定されているため、安定して返済することができます。また、金利が変動するリスクも避けられるのもメリットです。
公的ローンで借入れるには、様々な要件が課せられている場合がほとんどです。要件を満たせない場合は、借入れることは難しいでしょう。
一方で、民間ローンに比べて、年収や職業に関する審査基準が若干緩めです。収入が不安定な個人事業主や自営業でも利用できる可能性があります。
民間と公的の協調ローン
協調ローンは、民間ローンと公的ローンを組み合わせて借入れるタイプのローン商品です。代表的なものに「フラット35」があります。
協調ローンには以下のような特徴があります。
高額なローンを組める
民間と公的の双方から融資を受けられるため、1つの金融機関では難しい高額なローンを組むことが可能です。
金利変動のリスクを抑えられる
金利固定型(フラット35など)と変動金利型を組み合わせる協調ローンも存在します。これにより、金利変動リスクを抑えながら柔軟なローン設計が可能です。
手続きがスムーズな場合もある
1つの金融機関で申し込みや返済ができる協調ローンもあります。ただし、条件によっては複数の窓口で手続きが必要な場合もあります。
住宅ローンの金利タイプと特徴
住宅ローンには、大きく分けて「固定金利」と「変動金利」の2つのタイプがあります。それぞれの特徴を理解して、自分にあった金利タイプを選ぶ必要があります。
以下では、固定金利と変動金利のメリット・デメリットをご紹介します。
固定金利のメリットとデメリット
固定金利は、住宅ローンの借入を開始した当初から、金利が変動しないタイプです。固定金利には、次のようなメリットとデメリットがあります。
メリット
金利が突然上がると返済計画にも支障をきたしてしまいます。その点、固定金利は借り入れた当初から金利が変動することはありません。
長期に渡って安定した返済が可能なため、返済計画を立てやすい点が最大のメリットです。
デメリット
市場の動向によって金利が上げ下げしない反面、金利が高めに設定されているため総返済額は多くなりがちです。
また、市場の金利が下がっても、その恩恵を受けられない点もデメリットです。特に長期間の借り入れをする場合は、金利が下がった際に借り換え等を考慮する必要があります。
変動金利のメリットとデメリット
変動金利は、市場の動向に合わせて金利が上下するのが特徴です。変動金利には次のようなメリットとデメリットがあります。
メリット
変動金利のメリットは、固定金利よりも当初の金利が低く設定されている点です。低金利で借入できるため、短期間で返済したい方にピッタリです。
また、市場の金利が低下した場合、返済額も低くなる可能性があります。結果として、総返済額を抑えることができます。
デメリット
借り入れた当初の金利は低めですが、市場の動向次第では金利が上昇して返済額が多くなることもあります。
住宅ローンのように、長期間の借入が必要なケースでは、返済計画が立てづらい点がデメリットになります。