マンションを購入すると登録免許税が課せられます。
登録免許税ではまとまった額が必要になるので、計算方法や必要なケースなどを押さえておくことが大切です。
この記事では、マンション購入にかかる登録免許税の種類や計算方法、軽減措置などを分かりやすく解説します。
マンションの登録免許税とは
登録免許税とは、不動産登記手続きにかかる税金です。
ここでは、マンションの登録免許税がどのようなものなのか、解説していきます。
登記時に法務局で納める税金
マンションに限らず、土地や建物の所在地や面積、構造、所有者などの情報は、法務局の登記簿に記録されています。
これらの情報を新しく作ったり、更新するための手続きが、不動産登記です。
不動産登記に必要な手数料として課せられる税金が、登録免許税になります。
マンションの購入時には、所有者であることを登記する手続きが必要です。
登記簿に所有者として記録されることで、その不動産の所有権を第三者へ公的に主張できます。
反対に、マンションを購入しても登記簿上で所有者として登録されていない場合、第三者に所有者であることを証明できないため、登記手続きが欠かせないのです。
また、マンションを購入することで自動的に登記されるわけではなく、自ら登記手続きをする必要があります。
なお、マンションの売買契約による所有権移転の登記費用は、買主と売主のどちらが負担しても構いませんが、一般的には買主が負担することがほとんどです。
登録免許税を納めないとどうなる?
登録免許税は、登記手続きの申請時に支払うため、支払わなければ当然登記できません。
所有者として登記されていない状況では、所有権が主張できずに売却や住宅ローン契約、相続時にトラブルになる恐れがあります。
所有権を売主から買主に移転する所有権移転登記、新築で購入した際の所有権保存登記については、登記の期限や行わなかった際の罰則はありません。
とはいえ、所有権を主張できないリスクが発生するため、速やかな登記が必要です。
なお、新築などで登記簿を新しく作成する建物表題登記、相続による所有者の移転の登記である相続登記については、表題登記が1カ月、相続登記が3年という期限があります。
期限内に登記しない場合は過料などの罰則が課せられるので注意しましょう。
マンション購入時に登録免許税が必要になるケース
不動産登記にはいくつか種類がありますが、購入時に必要な登記は以下の2つです。
- 所有権移転登記
- 抵当権設定登記
それぞれ見ていきましょう 。
所有権を移転するとき:所有権移転登記
売却や贈与・相続など、不動産の所有者が変わる際に必要なのが、所有権移転登記です。
マンション購入の場合は、所有者を売主から買主に変更する登記が該当します。
また、マンションを購入すると建物だけではなく土地の所有者にもなります。
マンションの敷地を住民共同で所有していることになるので、土地の一部に所有権があるのです。
そのため、マンション購入時には土地と建物それぞれで登録免許税が発生します。
なお、先述の通り、不動産の売買契約では所有権移転の登記費用は買主が負担するのが一般的です。
住宅ローンを組むとき:抵当権設定登記
住宅ローンを利用してマンションを購入する場合は、抵当権設定登記が必要です。
抵当権とは、金融機関が不動産を担保として設定する権利をいいます。
万が一、住宅ローンの返済が滞ると抵当権者(金融機関)は抵当権を行使することで、不動産を強制的に売却しローン残債の回収が図れるのです。
住宅ローンは基本的に不動産を担保に設定するため、契約時に抵当権の設定を行います。
抵当権設定登記は住宅ローンを利用する際のみ発生するため、現金一括決済で購入するケースでは所有権移転登記だけで済みます。
マンション購入時の登録免許税の計算方法
登録免許税は以下の計算で求められます。
税金計算の基準となる価格(課税標準額)に登録免許税の税率を乗じることで、税率が算出できます。
ただし、「何を課税標準額とするか」と「税率」は登記の種類によって異なるのです。
そのため、所有権移転登記と抵当権設定登記は、登録免許税の計算が違ってきます。
また、それぞれ軽減措置を適用することで節税できる可能性があるので、軽減措置まで押さえておくことが大切です。
以下では、所有権移転登記と抵当権設定登記の登録免許税の計算方法と軽減措置についてそれぞれ解説します。
所有権移転登記の登録免許税と軽減措置
所有権移転登記の登録免許税は所有権移転する理由によって異なりますが、購入(売買)における計算方法は以下の通りです。
- 土地:不動産評価額×2%
- 建物:不動産評価額×2%
不動産評価額とは、固定資産税を算出する際の基準となる評価額(固定資産税評価額)であり、購入金額ではありません。
自治体によって不動産一つずつに対して算出される価格であり、不動産会社や売主・買主が決める価格ではないので注意しましょう。
中古マンションであれば売主から確認するか、自治体の固定資産税課税台帳で確認することができます。
新築の場合は、土地が公示地価の70%、建物が建築費の60%ほどが目安となります。
また、所有権移転登記は以下のとおりの軽減が適用されます
- 土地:2%から5%へ税率の軽減(令和8年3月31日まで)
- 住宅用家屋:2%から3%へ税率の軽減(令和9年3月31日まで)
土地と住宅用建物であれば軽減措置の適用で税率が軽減されますが、適用できる期限が設けられているので注意が必要です。
さらに、認定長期優良住宅1・認定低炭素住宅2に該当する新築または新築後使用されていない建物の購入であれば、0.1%にまで軽減されます。
ただし、床面積や取得までの期限などの条件があるので、条件や期限を国税庁のホームページで確認するとよいでしょう3。
抵当権設定登記の登録免許税と軽減措置
抵当権設定登記の登録免許税の計算方法は以下の通りです。
抵当権設定登記の登録免許税:借入金額×0.4%
抵当権設定登記は、不動産の評価額ではなく借入額を基準に登録免許税が課税される点に注意しましょう。
たとえば、マンションの購入額が5,000万円、土地建物の固定資産税評価額が4,000万円、借入額が3,500万円なら、借入額である3,500万円で計算します。
また、令和8年3月31日までは税率が0.4%から0.1%に引き下げられる軽減措置が適用されます。
司法書士に依頼する場合は別途司法書士報酬を支払う必要がある
不動産登記を行う方法には「自分で登記手続きする」「司法書士に代行を依頼する」の2種類があります。
自分で登記手続きする場合の費用は登録免許税のみとなりますが、司法書士に依頼する場合は別途司法書士報酬が必要です。
依頼先や依頼内容によっても費用は異なりますが、所有権移転登記で4~6.5万円、抵当権設定登記で3~5万円が目安となります。
自分で行えば費用を抑えられますが、書類の作成や平日の日中に手続きするなど手間や時間がかかるものです。
また、申請書類にミスがあれば登記に時間がかかるなどのトラブルにもなりやすいので、スムーズにミスなく登記するなら司法書士への依頼を検討してもよいでしょう。
マンション購入時の登録免許税のシミュレーション
ここでは、以下の条件でマンション購入時の登録免許税をシミュレーションしていきます。
なお、軽減措置を適用しない税率で計 算します。
- 物件価格:5,000万円
- 土地の評価額:1,000万円
- 建物の評価額:2,500万円
- 住宅ローンの借入額:4,200万円
上記の場合の税額は以下の通りです。
- 土地の登録免許税:1,000万円×2%=20万円
- 建物の登録免許税:2,500万円×2%=50万円
- 抵当権設定登記の登録免許税:4,200万円×0.4%=16.8万円
- 合計税額:20万円+50万円+16.8万円=86.8万円
ちなみに、すべて軽減措置を適用した場合の税額は以下のようになります。
- 土地の登録免許税:1,000万円×1.5%=15万円
- 建物の登録免許税:2,500万円×0.3%=7.5万円
- 抵当権設定登記の登録免許税:4,200万円×0.1%=4.2万円
- 合計税額:15万円+7.5万円+4.2万円=26.7万円
軽減措置を適用するのとしないのでは大きく税額も異なります。
軽減措置には適用期限があり、期限終了後の延長については現時点では公表されていません。
今後、マンションを購入する際には軽減措置の期限や条件を最新の情報でチェックするようにしましょう。
登録免許税は、物件の評価額やローンの借入額によって高額になります。
納税のタイミングは不動産登記手続き時になるため、基本的には決済時に支払いが必要になるケースが多いでしょう。
納税方法は原則現金となり、金融機関や税務署で納付し領収書を法務局に提出する流れが一般的です。
金融機関によっては住宅ローンに組み入れられるケースもありますが、組み入れられない場合は自己資金で用意する必要があります。
購入時の資金計画の際には税額も考慮し、納税に備えておくようにしまし ょう。
マンションの登録免許税に関するよくある質問
最後に、マンションの登録免許税に関するよくある質問をみていきましょう。
マンションの売却時にかかる登録免許税は?
マンション売却では、「所有権移転登記」「抵当権抹消登記」の登録免許税が発生します。
所有権移転登記は一般的に買主が負担するため、売主側が負担することはほとんどありません。
ただし、どちらが負担するかは合意により決まるので、事前にどちらが負担するかを確認するようにしましょう。
また、売却に伴い住宅ローンを完済して抵当権を抹消するケースでは、抵当権抹消登記の登録免許税が必要です。
なお、所有権移転登記を買主が負担する、抵当権抹消が必要ない場合は、登録免許税は発生しません。
マンションの共用部分にかかる登録免許税とは?
マンションの共有部分には次の2種類があります。
- 法定共有部分:エレベーターや廊下など住民全員が使用する部分
- 規約共有部分:集会所や管理人室など本来は独立した部分を規約によって共有部分にしたもの
法定共有部分は権利を登記できないため、売買の際に登録免許税はかかりません。
一方、規約共有部分については権利の登記はできませんが登録免許税の対象です。
規約共有部分が課税されるかは、固定資産評価証明書に固定資産税評価額の記載があるかどうかで判断できます。
規約共有部分の登録免許税は見逃しがちなので、事前に法務局などに計算方法や課税されるかどうかを確認するとよいでしょう。
マンションの相続時にも登録免許税はかかる?
マンションを相続した場合、被相続人(死亡した人)から相続人に所有者を変更する相続登記が必要です。
相続登記の登録免許税は売買時とは税率が異なり、以下のようになります。
- 土地:不動産評価額×0.4%
- 建物:不動産評価額×0.4%
なお、令和6年4月1日より不動産登記は義務化され、相続開始から3年以内に登記しない場合は罰則の対象です。
この義務化では令和6年4月1日以前の相続も対象となるので、今後不動産を相続する場合や、すでに相続して登記が済んでいないという場合は、速やかに登記を行うようにしましょう。
まとめ
マンション購入時には「所有権移転登記」「抵当権設定登記」の2種類の不動産登記の登録免許税がかかります。
登録免許税は高額になる可能性があり自己資金で対応しなければならないケースもあるので、事前に税額を計算し余裕を持った資金計画を立てるようにしましょう。
2024年11月時点は軽減措置の適用期間内であるため、税負担を大きく軽減できます。
ただし、マンション購入時には登録免許税以外にも多くの費用、税金がかかります。
マンション購入額だけでなく、費用まで含またトータルで資金計画を慎重に立てることが大切です。





