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工務店が倒産したらどうなる?住宅完成保証制度でリスクに備える方法を解説

注文住宅を購入する方にとって、無事に家が完成するかどうかは最大の懸念事項でしょう。もし工事中に工務店が倒産・破産してしまえば、工事の停止、前払い金の回収困難、追加費用・工期遅延など、被害は生活設計まで波及します。

この記事では、工務店が倒産した際に工事の引継ぎや前払い金の一部補填が受けられる「住宅完成保証制度」の仕組み・種類・利用手順を解説します。

このページの目次
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工務店倒産が与える影響

工務店の倒産は、施主にとって計画全体を揺るがす大きな出来事です。単に「工事が止まる」だけでなく、すでに支払った代金が戻らない、設計や申請が滞る、職人が現場から離れるなど、さまざまなトラブルが一気に押し寄せます。その結果、金銭面・時間面の双方で大きな負担を負いかねません。

ここでは、倒産がもたらす具体的な影響を項目ごとに整理します。

工事の中断と住宅未完成のリスク

工務店が倒産すると、まず直面するのは工事がストップする事態です。基礎工事や上棟など途中段階で止まれば、建物は未完成のまま放置されます。木材や鉄骨などの構造材が雨風にさらされ劣化する恐れもあり、工期の遅延だけでなく品質にも悪影響を及ぼします。

支払済代金の回収は難しい

契約時の頭金や中間金など、すでに支払った工事代金は倒産によって返金されないケースが大半です。工務店が破産手続きに入っても、施主は多くの債権者の一人にすぎず、配当を受けられるのはわずかです。

場合によっては数百万円単位の損失を被ることも珍しくありません。

下請け業者・職人への未払い

工務店が倒産すると、下請け業者や職人への支払いも滞ります。その結果、現場作業員が撤退し、工事を続行できなくなります。また、新しい工務店に工事を依頼する際も「前の未払いが解決していない現場は引き受けられない」と断られることがあります。

追加費用・工期遅延という二次被害

工事が再開できたとしても、途中から工事を引き継ぐ工務店は割高な見積もりを提示するのが一般的です。

設計変更や補修が必要になることも多く、施主が負担する追加費用は数十万〜数百万円に及ぶ場合もあります。さらに、新しい業者探しや契約手続きに時間を要するため、入居予定時期が大幅に遅れる可能性も高いのです。

工務店の倒産時に施主が取るべき行動

工務店が突然倒産した場合、施主にとっては大きな衝撃と混乱を招きます。しかし感情的になって動くと、かえって損失を広げかねません。

ここでは、実際に倒産が発生した際に取るべき基本的なステップを整理して解説します。

①破産管財人・弁護士への連絡

工務店が正式に破産手続きを開始すると、裁判所から破産管財人が選任されます。まずは工事現場や契約の状況を把握するために、破産管財人や関与している弁護士に連絡を取りましょう。

建築図面や確認申請書など重要書類が工務店側に残されている場合も、管財人を通じて引き渡しを受けることになります。

②工事進捗と支払い状況の整理

次に行うべきは、これまでの工事の進行度と支払い金額を明確にすることです。

「どこまで工事が進んでいるのか」「これまでにいくら支払ったのか」「まだ支払っていない金額はいくらか」といった点を整理することで、保証制度を利用する際や新しい工務店に引き継ぐ際の重要な資料となります。

③保証制度の利用可否を確認

契約した工務店が住宅完成保証制度に加入している場合は、保証会社に連絡し、保証申請を行うことができます。保証会社による現場調査や審査を経て、新たな工務店が選定され、工事を引き継ぐ流れになります。

④新しい工務店の検討を

保証制度が利用できない場合や、保証対象外の部分がある場合には、自力で新しい工務店を探す必要があります。

このとき注意すべきは、途中から工事を引き継ぐ工務店は限られており、見積もりも割高になる傾向がある点です。複数社に相談し、費用と工期を比較検討しながら慎重に交渉を進めましょう。

⑤金銭的損失の把握と生活設計の見直し

倒産による損失は避けられない場合もあります。返金されない前払い金や追加費用を踏まえ、どの程度の損害が生じるのかを冷静に見積もることが必要です。

場合によっては住宅ローンの借入額や入居時期の見直しも迫られるため、金融機関への相談も早めに行うとよいでしょう。

住宅完成保証制度とは?

工務店が倒産してしまった場合でも、マイホームを完成させるためのセーフティネットとなるのが「住宅完成保証制度」です。施主にとっては耳慣れない制度かもしれませんが、契約段階で知っておくことが非常に重要です。

ここでは、その仕組みと特徴を解説します。

制度の目的

住宅完成保証制度は、工務店や建築会社が倒産して工事を続けられなくなったときに、施主の被害を最小限にとどめることを目的としています。

具体的には、他の工務店が工事を引き継ぎ、住宅を完成させられるように支援します。これにより、施主が「お金を払ったのに家が建たない」という最悪の事態を避けられるのです。

仕組みの概要

この制度は、あらかじめ工務店が保証会社や業界団体と契約を結ぶことで機能します。施主が工務店と請負契約を交わすと同時に、その保証が適用される形になります。

  1. 工務店が倒産
  2. 保証会社に申請
  3. 保証会社が新しい工務店の候補を提示
  4. 施主の合意のうえで選定
  5. 工事の続行・完成

という流れが基本です。

保証内容

住宅完成保証制度では、主に次のような補償が行われます。

  • 工事の引継ぎ:新しい工務店が現場を引き継ぎ、住宅を完成させる。
  • 前払い金の補填:倒産した工務店に支払った代金の一部を保証。
  • 追加費用の軽減:再開にあたって施主が全額負担しなくてもよいように、保証会社が前払い金等の一部補填+引継ぎコストの一部負担(上限あり)をする。

全額が保証されるわけではなく、一定の自己負担が発生する点には注意が必要です。

利用条件

制度を利用するためには、工務店が事前にこの保証制度に加入している必要があります。施主が望んでも、工務店が加入していなければ制度は利用できません。

契約時には、必ず「あなたの工務店は住宅完成保証制度に加入していますか?」と確認することが重要です。念のため、加入している制度のWEBサイトで事業者の登録状況も確認しておきましょう。

住宅完成保証制度は、施工を行う工務店が工事内容・金額に応じて保証料を支払うことで、倒産時に保証を受けられる仕組みです。したがって、加入していない事業者の方が見積もり額が安くなるケースも少なくありません。

しかし、「安さ」だけで判断せず、安心と金額のバランスを考慮することが大切です。保証制度に加入している工務店であれば、万が一のトラブル時にも工事の継続や費用の補填が受けられるため、費用差があっても「安心を優先する」という選択肢も考えられます。

なお、多くの完成保証は「倒産等で工事継続不能」が条件となります。単なる連絡不通・契約紛争・施主都合の解除などは対象外になる可能性があります。

保証制度の種類と特徴

住宅完成保証制度と一口にいっても、提供する機関や団体によって内容や補償範囲は少しずつ異なります。ここでは代表的な保証制度の種類と特徴を紹介します。

住宅保証機構の完成保証制度

住宅保証機構株式会社」が提供する制度で、業界でも広く知られています。工務店や建設会社が事前に同機構と契約を結んでいる必要があり、倒産時には同機構が新しい施工業者を手配し、住宅完成までを支援します。

事業者様の倒産などで工事継続できなくなった場合に、発注者が最小限の追加負担で住宅を完成できるよう、サポートするしくみです。

引用:住宅保証機構株式会社|住宅完成保証制度

  • 特徴:業界大手で信頼性が高い。引継ぎ体制も整備されている。
  • 補償内容:工事引継ぎ、前払い金の一部返還、追加費用の軽減。

 JIO(日本住宅保証検査機構)の完成保証

JIOは住宅瑕疵担保責任保険で有名な検査・保証機関です。完成保証制度も用意しており、工事中の品質検査と合わせて利用できるのが強みです。

住宅の建築途中にJIO完成サポート登録事業者さま(以下、登録事業者さま)の倒産等により工事を継続することが不可能となった場合に、他の事業者さまに引き継いで住宅の完成をサポートするサービスです。

引用:株式会社日本住宅保証検査機構|JIO完成サポート

  • 特徴:工事検査と保証が一体化しているため、品質面で安心感がある。
  • 補償内容:新工務店による工事引継ぎ、費用の一部補填。

民間保証会社・業界団体による保証

大手ハウスメーカーや特定の工務店グループが独自に加入している保証制度もあります。民間の保証会社が提供する場合、条件や補償範囲は多様で、制度によっては工期遅延保証などをカバーするものもあります。

  • 特徴:制度によって補償の幅が広い。独自サービスを付帯していることもある。
  • 注意点:保証会社の信頼性や補償上限を事前に確認する必要がある。

保証料の目安

完成保証制度を利用するには保証料が必要です。一般的には工事請負金額の「おおむね1%前後〜数%未満のレンジですか、制度・案件により変動します(具体はパンフ・約款で要確認)。

保証料を施主が直接負担する場合もあれば、工務店が負担して契約金額に含める場合もあります。契約時に「誰が保証料を負担するのか」を確認しておくと安心です。

制度ごとの違いを理解する

どの制度も基本的には「工事引継ぎ」「前払い金の一部保証」を行いますが、補償上限額や対象範囲は異なります。

たとえば、設計費用が保証されないケースもあれば、付帯工事(外構・エクステリアなど)が対象外となる場合もあります。契約前に保証制度のパンフレットや約款を確認し、どこまでがカバーされるのか把握することが欠かせません。

▼関連記事:【2025年版】注文住宅の建築時に使える補助金や助成金を解説

保証制度を利用する際の流れ

工務店が倒産してしまったとき、住宅完成保証制度を利用すれば住宅の完成に向けて道筋を立てることができます。

ただし、実際には手続きや調査が必要であり、すぐに工事が再開できるわけではありません。ここでは、保証制度を利用する一般的な流れを整理します。

倒産発生の確認と保証会社への連絡

工務店が倒産したら、まずは契約先が加入している保証会社や業界団体に連絡します。新聞公告や裁判所の破産手続き開始決定など、倒産を証明する書面が必要になることもあります。迅速に情報を集め、早めに保証会社に相談することが重要です。

申請手続きと必要書類の提出

保証制度を利用するには保証会社に対して正式な申請が必要です。提出書類の例は次のとおりです。

  • 工事請負契約書
  • 支払済金額の領収書
  • 工事の進捗を示す写真や報告書
  • 倒産を証明する書面(破産手続き開始決定通知など)

これらをもとに保証会社が審査を行います。

現場調査と保証適用の判断

保証会社の担当者や検査員が現場を調査し、工事進捗状況や必要な追加工事を確認します。これにより「どこから工事を再開できるか」「どの部分に追加費用がかかるか」が明らかになります。この段階で保証適用の可否や範囲が決定されます。

引継ぎ工務店の選定

保証会社が提携する工務店や施工業者の中から、工事を引き継ぐ事業者が選定されます。場合によっては施主が希望を出せることもありますが、現場規模や地域事情によって候補が限られるケースもあります。新しい工務店とは改めて契約が必要になります。

工事再開と費用精算

引継ぎ業者が決まったら、追加工事費用や保証会社の補填額を踏まえて新たに契約を結びます。保証会社が負担する部分と施主が追加負担する部分を明確にし、合意が得られた段階で工事が再開します。その後は通常の新築工事と同様に進められ、完成・引き渡しに至ります。

▼関連記事:注文住宅の購入で後悔するケースとは?よくある事例と対策を解説

まとめ

工務店の倒産は、工事中断や支払済金の回収困難、追加費用や工期遅延といった深刻な影響をもたらします。夢のマイホームが「お金も家も失う」危機に直面することもあります。

こうしたリスクに備える仕組みが住宅完成保証制度です。新しい工務店による工事引継ぎや前払い金の一部補填が受けられ、被害を最小限に抑えられます。ただし、工務店が制度に加入していなければ利用できません。

契約前に必ず保証制度の有無を確認し、支払い条件も慎重に設定することが安心につながります。正しい知識と準備が、家づくりを守る最大のカギとなります。

執筆者
田中 良男
田中 良男

ことの葉行政書士事務所・代表/建築主事として建築確認申請の審査経験を有す/行政職員時代に都市計画策定、開発許可、生産緑地指定業務に携わる/ライター(切塗よしを)としても活動中【保有資格】特定行政書士、1級建築基準適合判定資格者 、既存住宅状況調査技術者(インスペクター)、終活カウンセラー、著作権相談員

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