住み慣れた家でも築年数が古くなると、色々と粗が目立ってくるもの。そんな時は新しい家を手に入れたくなりますが、住みなれた家・土地であれば、建て替えやリフォームといった住み替え以外の選択肢を検討している方もいるでしょう。
そこでこの記事では、
- 住み替え
- 建て替え
- リフォーム
というそれぞれの方法を比較して、費用面以外の観点からもメリット・デメリットをお伝えします。
家の建て替え・住み替え・リフォームそれぞれの特徴
まず、家の建て替えと住み替え、リフォームは何が違うのか、それぞれの特徴をお伝えします。
家の建て替えとは
家の建て替えとは、今所有して住んでいる家を取り壊し、新しい住宅をその敷地に建てることを指します。
新築住宅を建設している間は、一時的に他の住宅に引っ越さなければいけません。
元々持っている土地なので、土地代はかかりません。
ただし、家を新築するための建築費用がそれなりにかかってしまいます。
家の住み替えとは
家の住み替えとは、現在住んでいるマンションや戸建てを売却し、新しい家を購入することです。
基本的には建売住宅や中古住宅、そしてマンションなど、すでに完成している住宅を購入しますが、新しい土地を買って家を建て、住み替えることもあります。
その場合は、新しい建物の完成までかなりの時間がかかります。
家のリフォームとは
家のリフォームとは、今ある家の内装や外装を新しいものに交換・補修することを指します。
壁や床などを張り替えて綺麗な状態にする、キッチンやお風呂などの設備を丸々交換することもあるでしょう。
必要に応じて間取りなどを変えるリノベーションを行うこともあります。
家の建て替えのメリットとデメリット
それでは、まずは家の建て替えのメリットとデメリットを見ていきましょう。
新しい家に住めるのが大きなメリット
家の建て替えを行う最大のメリットは、新築住宅に住めることです。
最新の設備などを搭載した機能性が高い住宅に住めるので、快適な住環境を手に入れられます。
また、新築であれば長期間にわたってその家に住み続けられます。
そして、間取りやデザインなども自分たちで決められるなど、自由度の高い住宅をつくることができるのです。
オーダーメイドの住宅を建てれば、家族の満足度も大幅に高まることでしょう。
自分たちにとってどんな家が必要なのか、しっかりと相談して決める必要がありますが、それだけに完成した時の喜びもひとしおです。
日本は新築住宅を求める人が多く、住宅市場の7割は新築住宅だと言われています。
同じ土地に住み続けられる
その他にも、建て替え住宅のメリットはいくつかあります。
まず、元々ある土地を活かすので住所を変える必要がありません。
住み替えると引っ越しをせざるを得ないので、通勤や通学に不便さが生じることもあります。
お子さんは転校しなければいけないケースもあるでしょう。
今ある生活環境を変えずに新しい住宅に住みたい時は、建て替えをすると良いでしょう。
住宅ローンが利用できる
また、資金調達面においても建て替えは有利です。
建て替えには住宅ローンが利用できるため、変動金利の住宅ローンであれば、金利1%未満で資金を調達でき、利用できる金融機関も多様です。
長期優良住宅や耐震性 の高い住宅などを建てれば、自治体の補助金制度なども利用できる場合があり、意外と費用が安く済むこともあるのです。

建て替えはお金がかかってしまう点がデメリット
一方で、建て替えのデメリットは費用面でしょう。
新築住宅の場合は一から家を建てるので、リフォームに比べれば多額の費用が発生してしまいます。
30~40坪程度の家の場合、全体をリフォームしても総額1,000万円程度で済みます。
しかし、30~40坪の新築住宅の建築費用は 、2,000万円以上は掛かるでしょう。
高品質な住宅や鉄筋コンクリートなどの耐震性が高い住宅にすれば、3,000万円以上掛かります。
資金調達面では有利ですが、単純に必要な金額の総額で言えば新築住宅は高いです。
最低2回は引っ越しする必要がある
その他にも建て替えのデメリットはあります。
まずは家を取り壊し、建て替える間は引っ越しをしなければいけない点です。
古い住宅の中にある家電や私物の全てを一時的に他の住居に移し、家を建てている間は別の住宅で生活しなければいけません。
さらに、新居の完成後にもう1回引っ越しをする必要があるため、2度の引越しが発生します。
それを手間に感じる人もいるでしょう。
既存不適格物件の場合は家のサイズが小さくなってしまう場合がある
また、建て替え住宅といっても、完全に自由な家が作れるわけではありません。
もちろん、予算面の都合もありますし、現行の建築基準法に従って古い家が建ぺい率や容積率をオーバー(既存不適格物件)していれば、新しく建てた住宅は狭くなってしまうこともあります。
昨今では住宅の建築において、法的な制限を無視することはできません。

家の住み替えのメリットとデメリット
次に、家の住み替えのメリットとデメリットです。
建て替えと違う点を中心にお伝えします。
住替えは経済的負担が小さく、内覧もできるのがメリット
家を住み替える場合は、既にある住宅を購入してその家に引っ越すことが多いです。
そのため、既存の住宅の中から自分たちにとって住みやすい家を探すことが可能です。
新築住宅の場合、完成後に理想と違っていたり、建ててみたところ意外と住みづらかったりすることがあります。
新築はある意味でギャンブルであり、完成前と完成後のギャップを感じることも少なくありません。
しかし、住み替えで家を探すのであれば、内覧をしてからどんな生活動線や環境になるのか、比較と検討が容易で、住む前と住んだ後でギャップがあることは意外と少ないのです。
費用面のメリットは、中古住宅を購入すれば建物は新築住宅よりも安く購入できる点です。
今ある家を売って新しい家を買えば、家の売却価格次第では逆にお金が余ることもあるのです。
住宅ローンが利用できる
住み替えにも、資金調達面において有利な制度があります。
住み替えでも低金利の住宅ローンが使えるので、金融機関から融資を受けられます。
住み替えはこれまでと全く異なる環境を手に入れられるので、同じ場所に住みたくないという人は、建て替えよりも住み替えの方が良いかもしれません。
また、必ずしも中古住宅を購入する必要はなく、場合によっては既に建っているマンションの空室やできたばかりの建売住宅もあります。
このように選択肢が豊富な点も、住み替えのメ リットだと言えるでしょう。
必ずしも気に入る家が見つかるとは限らないのがデメリット
一方でデメリットとしては、選択肢が多くても、その中で必ずしも自分たちの条件に合った家が見つかるとは限らない点が考えられます。
引越しをする場合に通勤や通学経路を変えたくないのであれば、結局は同じような場所に住むことになります。
自分たちが住み替えをするタイミングで、自分たちに最適な物件が売りに出ているとは限りません。
購入と売却のタイミングが合わせにくい
その他に考えられる住み替えの難点は、住宅の売却と購入のタイミングの調整です。
最も良いのは売却契約を取り付けて代金を受け取り、短期間で住み替え先を見つけることです。
この場合は引っ越しが1回で済みます。
しかし、なかなか売却がうまくいかない場合、先に良い住み替え先を見つけても、家が売れなければ住み替え先を買えません。
逆に、家はすぐ売れたが、なかなかいい住み替え先が見つからないこともあり、一時的にマンスリーマンションなどを借りて住まなければいけないかもしれません。
そうなれば2度の引っ越し費用と手間が生じます。
資金調達のタイミングの問題で、住み替えがなかなか思い通りにいかないこともあるのです。
家のリフォームのメリットとデメリット
家をリフォームすることのメリットとデメリットには、どういった点が挙げられるでしょうか。
経済的なメリットはリフォームが最も大きい
最も大きなメリットは経済面です。
家を一から建て直す場合や新しい家を購入する場合、2,000~3,000万円は少なくとも必要でしょう。
しかし、家をフルリフォームしたとしても、総額は1,000万円程度で収まります。
クロスや床の交換、塗装を行うだけでしたら、数百万円で収まることもあります。
費用を抑えたければ、日常的に使う水回りや汚れの目立つ箇所など、自分たちが住み続ける上で本当に必要な部分だけをリフォームすれば十分です。
スケジュール管理がしやすい
大掛かりなリフォームでなければ、引っ越しをする必要がありません。
リフォーム前と住所は変わりませんし、小規模なリフォームでは一部屋ずつ壁紙の交換を行うなど、住みながらリフォームをしてもらうことも可能なのです。
そのため、スケジュールは立てやすいです。
リフォームは現状の家の建築条件や状態の制限を受けるデメリットがある
一方で、リフォームのデメリットは、住環境を大幅に変更できない点です。
マンションのリフォームやリノベーションをする際には、他の住宅との兼ね合いで制限がかかることも多いです。
古い家をリフォームする時は、構造上の問題で間取りを変えられない、耐震性に問題があるので柱や梁を交換できないなど、古い家ならではの問題も考えられます。
また、外壁や屋根の塗装を行い、クロスや床をまるまる交換したとしても、どうしても建物の古さは拭えない面があります。
特に狭い住宅の場合、なかなか思い通りにリフォームができないものです。
あくまでも応急処置という意味合いがある点が、リフォームのデメリットです。
住宅ローンは利用できない
リフォームのその他のデメリットには、資金調達が難しい点が挙げられます。
住宅ローンであれは年収の5倍や6倍のお金が借りられますし、返済期間も35年まで設定できます。
しかし、リフォームローンを提供している金融機関は少なく、金利や返済期間などの条件もあまり良くありません。
基本的にリフォーム費用を捻出するには、現金をかなり用意しなければいけないでしょう。
耐震性や断熱性などの住宅機能を大きくアップさせるようなリフォームは、多額の費用がかかり、新築住宅を建てた方が早いケースもあります。
リフォームは決して万能ではないのです。
まとめ
建て替え、住み替え、リフォーム、それぞれにメリットとデメリットがあることがお分かり頂けたでしょうか。
金銭的な問題ばかりに気を取られがちですが、住み替えの場合は家を売ったお金で住宅を購入できますし、建て替えの場合も土地代を支払わずに済むので、意外と費用はかかりません。
コストパフォーマンスで言えば、古い住宅への対症療法でしかないリフォームよりも、これから先も長く住める建て替えをしてしまった方が良いケースもあるのです。
ただし、家を引っ越すとなると建物の受け渡しや引っ越しの手間がかかるので、スケジュール調整が難しい一面があります。
家を建てたり、買ったりする直接の問題だけではなく、スケジュールや引っ越し、資金管理についてもきちんと着目し、自分たちにとって最善の方法を見定められるようになりましょう。