不動産買取業者を選ぶ際、「本当に信頼できるのか?」と不安に思ったことはありませんか?
実際、不動産業界には一部の悪質な買取業者が存在し、売主に不利益をもたらす手口を使うケースも少なくありません。
この記事では、不動産買取業者の悪質な手口を6つに分類し、それぞれを詳しく解説します。さらに、優良な業者を見極めるポイントや、トラブルに遭った際の相談先もご紹介。
不動産を安全に、納得のいく条件で売却するための知識を身につけましょう。
不動産買取業者の悪質な手口6選
不動産買取業者の悪質な手口を6つご紹介します。
- 極端に高い査定額を提示してくる
- 本来不要である仲介手数料を請求してくる
- 極端に高い測量費を請求してくる
- 小切手での支払いを要求してくる
- 囲い込みしてくる
- 宅建業免許を持たずに営業している
極端に高い査定額を提示してくる
相場と比べて極端に高い査定額を提示してくるのが代表的な手口です。
具体的には、高額な査定額を提示することで売主の期待を高めて契約を促す手口です。
しかし、内見後や契約後に「市場の変動」や「物件の欠陥」などの理由で価格を引き下げ、最終的には当初の査定額よりも低い金額での取引を迫られるケースがあります。
売主からすれば、当初の買取価格よりも大幅に値下げされた価格での売却となります。
査定額の根拠を聞いたり買取実績をチェックしたりして、十分に注意しましょう。
本来不要である仲介手数料を請求してくる
不動産買取は、不動産会社へ直接売却するので仲介手数料はかかりません(仲介会社経由で買取業者と契約する場合は、仲介手数料が発生する場合がある)。
しかし、一部の業者は「手続き上必要」と偽り、手数料を請求してきます。
不動産に関する知識の少ない人の場合、この請求を信じて支払ってしまうケースも少なくありません。
このような請求は不当であり、支払う義務がないので十分に注意しましょう。
万が一、何らかの理由で請求された場合は、他の不動産会社や専門家に相談することが重要です。
極端に高い測量費を請求してくる
相場を大きく超える測量費を請求してくる手口にも十分気を付けましょう。
通常、測量費は土地の面積や形状、隣地との境界状況などによって異なります。一般的な住宅地における現況測量は10〜20万円、確定測量は40〜50万円前後が相場です。
しかし、悪質な業者はこの費用を不当に高額に設定し、売主から過剰な支払いを求めることがあります。
このような請求を受けた際は、複数の土地家屋調査士に見積もりを依頼し、適正な費用を確認してみましょう。
また、信頼できる不動産会社に相談してアドバイスを貰うのも効果的です。
測量費用と同様に、解体や残置物の撤去費用等も、複数の業者に見積もりを取ることで悪質な業者に騙されるリスクを低減できます。
小切手での支払いを要求してくる
小切手での支払いを要求してくるケースにも注意が必要です。
小切手は一見、現金と同等の価値があるように思えますが、実際には銀行での換金が必要で、不渡りになるリスクがあります。
悪質な業者は、意図的に残高不足の小切手を渡し、売主が換金できない状況を作り出すことがあります。
高額になる不動産取引では、現金や銀行振込など確実な方法での支払いを求めるようにしましょう。
囲い込みしてくる
不動産買取業者の中には、売主と買主の双方から手数料を得るために「囲い込み」という手法を用いる悪質な業者が存在します。
囲い込みとは、他の業者 に物件情報を公開せず、自社だけで取引を完結させる行為です。その結果、売主は市場価格より低い金額で物件を売却させられてしまいます。
不動産買取における囲い込みは、売主に対して「査定したら必ず契約しなければならない」などと買主である不動産会社が要求してくるケースがあります。
不動産の査定は国家資格である「不動産鑑定士」によるものを依頼した場合を除き原則無料で実施され、「査定したら契約しなければならない」というルールもない点を覚えておきましょう。
宅建業免許を持たずに営業している
宅地建物取引業の免許を持たずに営業する業者は、法律違反の可能性があり、信頼性に欠けるので注意しましょう。
そもそも不動産の取引を業とする行為は宅建業免許が必要です。
宅建業者として登録していない、もしくは登録期間を過ぎて免許を更新していない会社と契約した場合、トラブルや詐欺のリスクが高まります。
契約する際は、相手が宅建業免許を持っていることを確実に確認しておきましょう。
悪質な不動産買取業者4つの特徴
悪質な不動産買取業者には以下4つの特徴があります。
- アポなしで訪問や電話営業してくる
- 常識外の時間に営業してくる
- おとり広告を使っている
- 契約を急かしてくる
上記に該当していないか契約前に確認しておきましょう。
アポなしで訪問や電話営業してくる
悪質な不動産買取業者は、事前の連絡なしに自宅を訪問したり電話営業をしてきたりします。
優良な不動産会社の場合は事前にアポの連絡をしてきて、日程調整したうえで営業してきます。
しかし、悪質な買取業者は強引に営業してくる傾向があるため、アポなしで営業してくるケースが多いです。特に高齢者や不動産知識の少ない方を狙い、強引な契約を迫る場合が多いので注意が必要です。
もし、アポなし営業を受けた際はハッキリとした口調で断りましょう。少しでも検討する気持ちを見せてしまうと何度も営業してくる可能性があるため、毅然とした態度で断ることが大切です。
常識外の時間に営業してくる
常識外の時間に営業してくる不動産会社にも注意しましょう。
例えば、早朝や深夜に突然訪問や電話をおこない、売却を急かしてくるケースです。このような手法を取る業者は信頼性に欠ける可能性が高いため、注意が必要です。
また、早朝や深夜などの時間帯は売主も冷静に判断できない場合があり、誤って契約してしまうリスクがあります。
常識外の時間帯に営業してくる不動産会社がいれば信用しないようにしましょう。
おとり広告を使っている
おとり広告を使っているのも悪質な不動産買取業者の特徴です。
おとり広告とは、存在しない物件や既に契約済みの物件を魅力的な条件で宣伝し、問い合わせてきた顧客に別の物件を紹介する手法です。
しかし、おとり広告は禁止されており、宅建業法でも以下のように記載されています。
(1)宅建業法上によるおとり広告
の禁止(宅建業法第32条)宅建業者が広告をするときは、①著しく事実に相違する表示、および、②実際のものよりも著しく優良もしくは有利であると人を誤認させるような表示をしてなりません。これらの規制を、誇大広告の禁止といいます(宅建業法第32条)。おとり広告は、広告で売買すると表示した物件と、現実に売買しようとする物件とが異なりますので、著しく事実に相違するものであり、誇大広告です。物件が既に契約済みで、取引できなくなっているにもかかわらず、そのままインターネットに広告表示を続けることは、売ることのできない物件について広告をすることになり、おとり広告となり、禁止されます。
出所:公益社団法人 全日本不動産協会「おとり広告」
おとり広告を見抜くためには、広告内容が現実的か、他の情報源と一致しているかを確認しましょう。
問い合わせた際に「契約済み」と言われ、別の物件を強く勧められる場合も注意が必要です。
また、「あなたの家・土地を〇〇万円で購入します」といったチラシやダイレクトメールも、実際にはその金額で購入されないケースがある点に注意してください。
関連記事:「不動産を売ってください」のチラシ・手紙は怪しい?
契約を急かしてくる
契約を急かしてくる買取業者にも注意しましょう。
例えば、「今すぐ決断しないと損をする」といったプレッシャーをかけ、売主の冷静な判断を妨げてきます。
このような手口は、他社との比較を避けさせる狙いがあります。相場よりも安い価格で買い取ろうとしているため、比較されると契約してもらえなくなるからです。
契約を急かしてくる場合は疑問を持ち、冷静に他社と比較したうえで契約するかどうかを判断しましょう。
不動産買取業者の悪質な手口に遭わないための6つの対策
不動産買取業者の悪質な手口に遭わないためには、以下のような対策が有効です。
- 不動産会社の実績・口コミを依頼前に確認しておく
- 不動産の買取相場を自分で調べておく
- 宅建業の免許を持っているか確認しておく
- 過去に違反行為をしていないか確認しておく
- 複数の不動産買取業者へ査定依頼する
- 不動産買取の流れを把握しておく
不動産会社の実績・口コミを依頼前に確認しておく
不動産会社の買取実績や利用者の口コミを確認しておきましょう。
実績の豊富さは信用度にもつながるため、これまでの買取件数や運営歴などを確認します。
利用者の口コミに関しては、GoogleマップやSNS、インターネット掲示板などで確認できるため、特定の不動産会社を検索してみましょう。
口コミは不動産会社のホームページには記載されていないリアルな意見のため、不動産会社の本当の評判を把握できます。
良い口コミと悪い口コミの両方をチェックしておきましょう。
不動産の買取相場を自分で調べておく
依頼前に自分で不動産買取相場を調べておきましょう。
買取相場を調べておくことで、不動産会社が提示した買取価格が適切かどうか判断できるようになります。
不動産会社が提示してくる買取価格はすべて正しいとは限りません。なかには極端に高い価格を故意に提示して、契約後に値下げしてくる業者も存在します。
「本当にその価格が信用 できるのか」を判断するためにも、不動産ポータルサイトなどを使って相場を調べておきましょう。
宅建業の免許を持っているか確認しておく
依頼する不動産会社が宅建業免許を持っているか確認しておきましょう。
前述のとおり、不動産買取をするには宅建業免許が必要です。しかし、なかには無免許で営業している企業も存在します。無免許の買取業者は信用できないため、相談時に必ず確認しておきましょう。
宅建業免許を持っているかどうかは、直接不動産会社に聞くか、国土交通省の「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」で調べればわかります。
過去に違反行為をしていないか確認しておく
過去に違反行為をしていないか確認しておきましょう。
国土交通省が提供する「ネガティブ情報等検索サイト」を活用すれば、違反行為をした不動産買取業者を調べられます。
不動産会社名や所在地を入力するだけで、過去の処分内容や違反の有無を簡単に確認可能です。
依頼する不動産会社が本当に信用できるかどうか判断するためにも、事前に調べておきましょう。
複数の不動産買取業者へ査定依頼する
買取査定を依頼する際は、複数社へ依頼しましょう。
複数社へ依頼することで各社の査定額を比較でき、より相場に見合った適切な価格を把握できるようになります。
買取価格は、不動産会社の査定方法によって大きく異なり、な かには数百万円単位で価格が異なるケースもあります。
より適切な価格で買い取ってもらうためにも、3〜5社と比較したうえで契約先を決めましょう。
不動産買取の流れを把握しておく
不動産買取の流れを把握しておくのも悪質な手口に遭わないために重要です。
不動産買取は基本的に以下の流れで進めます。
- 不動産会社選び
- サービス内容や担当者の確認
- 査定依頼
- 査定額の確認
- 契約
- 決済日調整
- 不用品の処分・引っ越し
- 決済・引き渡し
この流れを理解していないと、現在の状況や今後の流れなどを把握できず、不動産会社へ任せっきりの状態となります。
悪質な不動産買取業者へ依頼した場合、思わぬトラブルへ発展する恐れがあります。より安心・安全に買取りを成功させるためにも、依頼する前に不動産買取の流れを把握しておきましょう。
悪質な不動産買取業者に遭った際の相談先
万が一、悪質な不動産買取業者に遭った際は以下の専門家・機関へ相談しましょう。
- 弁護士・司法書士
- 不動産適正取引推進機構
- 全国宅地建物取引業協会連合会
それぞれの特徴を解説します。
弁護士・司法書士
まずは、弁護士や司法書士に相談しましょう。
弁護士と司法書士は法律の専門家であり、不動産取引に関するトラブル時にも適切に対応してくれます。
特に弁護士は、契約内容の確認や損害賠償請求など、幅広い法的対応が可能です。司法書士は不動産取引に精通しており、登記手続きや契約書のチェックを得意としています。
相談することでトラブルの拡大を防げるため、早急に相談してみましょう。
不動産適正取引推進機構
不動産適正取引推進機構とは、不動産取引に関する紛争の防止や迅速な解決を目的とした一般財団法人で、消費者の保護と不動産業界の健全な発展に寄与している機関です。
無料の電話相談窓口を設けており、不動産取引に関する疑問やトラブルについて専門家がアドバイスを提供しています。
また、弁護士や不動産の専門家が中立的な立場で紛争解決をサポートする「特定紛争処理事業」も実施しているため、信頼性も十分です。
悪質な不動産会社と契約してしまった際は相談してみましょう。
全国宅地建物取引業協会連合会
全国宅地建物取引業協会連合会(全宅連)とは、各都道府県の宅地建物取引業協会を統括する全国組織で、約10万社の会員を擁している機関です。
豊富な情報とネットワークを活用し、適切なアドバイスやサポートを提供しているのが特徴です。また、全宅連は消費者保護を重視しており、トラブル解決のための相談窓口を設けています。
不動産取引が初めての方でも安心して利用できるので、取引に関して困った際は相談してみましょう。
関連記事:不動産買取のトラブル事例・回避策
優良な不動産買取業者を見極める3つの重要ポイント
優良な不動産買取業者を見極めるには以下3つのポイントを理解しましょう。
- 買取実績が豊富
- 利用者の口コミ・レビューが好評
- 買取査定額の根拠が明確
それぞれを詳しく解説します。
買取実績が豊富
まずは、買取実績が豊富かどうかをチェックしましょう。
実績が多い不動産会社は、さまざまな物件の取引経験を持っているため、適切な価格設定やスムーズな手続きに期待できます。
これまでの買取件数や相談実績、買取事例などを見れば優良かどうか判断できます。
不動産会社のホームページで確認しておきましょう。
利用者の口コミ・レビューが好評
実際に利用した人の口コミやレビューが好評かどうかもチェックしておきましょう。
利用者の声は不動産会社のホームページに記載されていないものもあるため、非常に参考になります。
また、SNSやインターネット掲示板には利用者の本音が書かれている場合もあるため、その不動産会社が本当に信用できるのかが判断できます。
依頼する前に利用者の口コミやレビューも見ておきましょう。
買取査定額の根拠が明確
買取査定額の根拠が明確になっているのも優良企業の特徴です。
不動産会社によって買取価格の査定方法や根拠は異なり、基本的には査定額の根拠を説明してくれます。しかし、なかには聞かないと説明してくれない場合があり、聞いた結果、明確な根拠がないケースも存在します。
「なぜこの価格なのか」「相場はいくらなのか」などを担当者へ聞いて、納得できる説明があるかどうか確認しておきましょう。
不動産買取業者の悪質な手口に関するよくある質問
不動産買取業者の悪質な手口に関するよくある質問をご紹介します。トラブルを防ぐためにも参考にしてみましょう。
不動産買取でよくあるトラブルは?
不動産買取では以下のようなトラブルが発生しやす いです。
- 買取価格の大幅な減額
- 高額な手数料の請求
- 契約内容が不明確
契約直前になり、何らかの理由を付けたうえで買取価格を大幅に減額されるケースがあります。査定時点では高額に提示したものの、実際はかなり安い金額で買い取ろうとしてきます。
また、高額な仲介手数料を請求してくるのもよくあるトラブル事例です。不動産買取は基本的に仲介手数料は発生しないため、支払う必要はありません。
ほかにも、契約書の内容を故意に複雑にして売主に不利になるような条件を付けているケースもあります。
このようなトラブルに遭わないためにも、複数社へ依頼したり専門家へ相談したりして不動産買取の概要を自分でも理解しておきましょう。
不動産買取の価格が安い理由は?
買取価格が安い理由は、買い取った不動産を不動産会社が再販して利益を得るためです。
具体的には、買い取った不動産をリフォームやリノベーションして、新築同様の状態にしてから再販します。この方法の場合、築年数の経過した古い家でも需要のある家に改修できるため、再販して利益を得られます。
つまり、「安く買って高く売る」を成功させるために安く買い取っています。
買取価格の相場を把握するにはどうすればいい?
買取相場を把握するには以下の方法を試してみましょう。
- 不動産ポータルサイトで調べる
- 不動産情報ライブラリで調べる
- レインズ・マーケット・インフォメーションで調べる
一般的な方法は、「SUUMO」や「ホームズ」などの不動産ポータルサイトで調べる方法です。売却物 件と同じエリアにある似たような物件が売り出されていれば、その価格を参考にできます。
不動産情報ライブラリとは、国土交通省が提供するWebサービスで、不動産取引に関する多様な情報を閲覧できるのが特徴です。
具体的には、取引価格、地価公示、防災情報、都市計画情報、周辺施設情報などを地図上で重ね合わせて表示されています。
レインズ・マーケット・インフォメーションとは、成約した不動産情報が掲載されている情報サイトです。
実際に成約した価格が掲載されているため参考になりますが、現在は不動産情報ライブラリで同様の情報が確認でき、こちらの方が検索結果等も見やすいため、特に理由が無ければ不動産情報ライブラリの利用を推奨します。
これらを活用することで買取相場を把握できるため、査定依頼する前に自分で調べてみましょう。
まとめ
悪質な不動産買取業者の手口や特徴を解説しました。
悪質な不動産買取業者は、「極端に高い査定額を提示してくる」「仲介手数料を請求してくる」などの手口を使ってきます。
不動産取引に詳しくない人の場合、これらの行為に気付かない可能性があり、不利益を受けてしまうかもしれません。
優良な不動産会社を見極めるためにも、過去の実績を確認したり利用者の口コミを見たりすることが大切です。
不動産買取業者は全国に数多く存在します。すべてが優良な不動産会社というわけではなく、なかには不当に高額な請求をしてきたり極端に安く買い取ろうとしてきたりする悪徳業者も存在します。
思わぬトラブルに巻き込まれないためにも、不動産買取を検討している方はぜひこの記事を参考に売却活動を進めてみましょう。