新型コロナウイルスの感染拡大が落ち着いた2022年ごろから、土地の価格は都市部を中心として全国的に高まっています。
巷では「不動産バブル」の崩壊も懸念されていますが、家を建てるための土地の需要は依然として大きく、資産として土地の保有を考える人も多いでしょう。
この記事では、土地の資産価値を左右する基本要素を解説した上で、資産価値の高い土地、逆に割安でも避けるべき土地の特徴を解説します。
土地の価値を左右する基本的な要素
土地の資産価値は、主に以下のような観点から評価されます。
立地条件の優位性
不動産の評価において「立地」は非常に重要です。特に、以下の点はしっかり確認するようにしましょう。
- 交通アクセス:駅やバス停などから徒歩で無理なく到達できるエリア(徒歩10分以内など)は資産価値が高い傾向にある。
- 周辺環境:学校や病院、スーパーなどの施設が充実している地域も人気があり、売却の際にも有利。
- 将来の開発計画:都市計画道路の新設や再開発が見込まれる地域は、将来的な地価上昇が期待できる。
再開発の情報は「再開発マップ」で確認できます。
割安な土地を購入する際の注意点
同じエリア内で相場より明らかに安い土地の場合、何らかの事情があることが多いです。
たとえば、
- 相続税支払いなどで早急に売却せざるを得ない
- 住宅ローンの返済が難しく、任意売却に至っている
- 接道条件が悪い、あるいは土地の形状に問題がある
こうしたケースの土地や中古住宅は、周辺相場と比較して割安で購入できることがあります。
しかし、接道条件が悪い「再建築不可」の物件や、土地の形状が囲繞地、袋地といった不整形地である場合、将来的に資産価値が低下するリスクもある点を覚えておきましょう。
ただし、条件が悪い土地も「隣地を購入する」といった方法で価値を高められる可能性があるため、資産価値の維持・向上を狙いたい人は、周囲の土地の状態や住環境も踏まえて総合的な観点から判断するのが重要です。
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形状や道路条件もチェックすべきポイント
土地の形状や、どのように道路に接しているかも重要な要素です。
土地の形状と広さ
- 整形地(長方形・正方形):建物をプランニングしやすく、活用の自由度が高いため、資産価値も維持されやすい。
- 不整形地(旗竿地・三角形など):建築の制約が 多く、住みにくさや売却のしにくさにつながる可能性がある。
接道状況
- 公道に面している土地:将来的な売却もしやすく、高い評価を受けやすい。
- 私道のみ接している土地:管理や維持の責任範囲が不明確な場合があり、購入前に入念な調査が必要。
- 接道幅4m以上:建築基準法上の要件を満たしているため、建物を建て替える際などもスムーズに進めやすい。
他には、前面道路が舗装されていない場合、雨が降った際に通行しにくいなどの支障が出るケースがあります。
また、雪が降る地域では、降雪時に自治体の除雪が後回しになる場所もあります。
こうした天候や季節の影響は土地の購入時に見落としやすいため、そのエリアに詳しい不動産会社や周辺住民からも情報を得るようにしましょう。
地盤とインフラの整備状況の重要性
資産価値の高い土地を選ぶなら、地盤の安定性やインフラの有無もしっかり確認しましょう。
地盤の強さ
液状化リスクの少ないエリアかどうかを把握するため、自治体が公開しているハザードマップや不動産情報ライブラリを確認できます。
不動産情報ライブラリの「地形区分に基づく液状化の発生傾向図」にチェックを入れることで、液状化リスクを確認可能です。
過去の災害履歴も調べておくと安心です。
地震や水害などの歴史がある地域は、その分リスクと対策費用を考慮する必要があります。
また、近隣建物の状態から地盤のリスクを推測することもできます。
たとえば、傾きやひび割れなどがある場合は地盤に問題がある可能性が考えられるでしょう。
古家付きで販売されている土地を購入する場合、解体後の地盤調査で地盤の改良工事が必要だと判明することがあるため、注意が必要です。
「周辺物件の状態・管理状況」は、将来的にエリアの治安や資産価値そのものに影響を及ぼすため、購入する土地だけでなく、周辺物件の状態もしっかりと確認した上で購入を判断することが重要です。
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インフラ整備の状況
- 上下水道の整備状況:引き込み工事の費用負担などが不要な場合、初期投資を抑えられる。
- ガス・電気の種類:都市ガスかプロパンガスか、電気の引き込みが可能かなど、長期的なランニングコストに影響する。
たとえば、下水道が整備されておらず浄化槽の設置が必要な土地に家を構える場合、売却時には解体・撤去を行う必要がある点がデメリットになります。
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法規制や建築制限を把握する
土地にはさまざまな法規制がかかる場合があります。
資産価値を保つうえで、これらの制限を事前に理解することが大切です。
用途地域
- 第一種・第二種低層住居専用地域:閑静で住環境が良い反面、高層建築が制限される場合がある。
- 商業地域:賃貸需要は期待できますが、騒音や治安面でデメリットになることもある。
建ぺい率と容積率
- 建ぺい率:敷地面積に対し建築可能な建物の占有面積を示すもの。低いと広い敷地に対して小さな建物しか建てられず、活用効率が悪くなる。
- 容積率:延べ床面積の上限を示す指標で、高いほど将来的な増築・建て替えの選択肢が広がる。
その他の規制
- 再建築不可:接道要件を満たしていないなどの理由で、建て替えが不可能な土地は資産価値が大きく下がる。
- 文化財保護区域:開発が制限されることがあり、建築の自由度が低くなる可能性がある。
特に再建築不可物件は「大規模な修繕や建て替え」ができないため、隣地を購入して建築制限をクリアできる見込みがなければ、たとえ割安でも購入は慎重に検討すべきです。
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将来性を見極めるための視点
資産価値の高い土地を選ぶという観点では、購入時点だけでなく、今後の地価上昇や街の発展も考慮に入れて土地を選ぶことが大切です。
都市計画・再開発情報
- 新駅設置や道路拡張計画があるエリアは、将来的に地価の上昇が期待できる。一方で、開発に伴う騒音の発生や住環境、交通の便が懸念される。
- 大型商業施設や企業の進出が計画されている地方都市も狙い目と言える。
人口動態
人口が増加傾向にある地域は将来的な需要が高く、資産価値が落ちにくいです。
一方で減少傾向にある地域では、地価や不動産需要が下がるリスクを織り込んだ判断が求められるでしょう。
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まとめ
資産価値を保ちやすい土地を選ぶには、以下のポイントを総合的に評価することが重要です。
- 立地条件:交通アクセスや周辺環境、開発計画の有無
- 適正価格:周辺相場との比較
- 土地形状・接道条件:整形地で公道に面し、接道幅4m以上か
- 地盤とインフラ:地盤の強さ、上下水道やガス・電気の整備状況
- 法規制の確認:用途地域や建ぺい率・容積率、再建築の可否
- 将来性の判断:再開発の見込みや人口動態
これらの点をしっかりチェックしたうえで購入を検討することで、将来的にも価値が下がりにくく、安心して活用できる土地を選ぶことができます。
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