家を売る際は、住宅ローンの残債を解消しなければいけませんし、相続した家であれば相続税の支払いもあるので、できるだけ高く売れればと考える方が多いでしょう。
しかし、いざ不動産会社からの査定額を確認してみると「安すぎて納得いかない」というケースも散見されます。
この記事では、不動産会社から提示された査定額に納得がいかない場合に、その根拠を確認して自分でも相場を調べる方法と、高く売れる余地はあるのかということを解説します。
また、遺産の分割協議等で「親族が提示した不動産査定額に納得いかない」といった場合の対処法についても説明します。
1つの不動産会社だけに査定依頼した場合
不動産会社1社だけに査定依頼をした場合、
- その地域の不動産取引事情に詳しくない
- 安い査定額を提示して、格安で物件を仕入れようとしている
→反対に高すぎる金額を提示して、自社と契約してもらおうとするケースもある
などの理由から、納得できないような安すぎる(高すぎる)金額が提示されてしまう可能性があります。
不動産会社が提示した査定金額に納得できないときは、査定可能な不動産会社をもう2,3社ほど探して査定依頼をして金額を比較するのが良いでしょう。
一括査定サイトで選べる会社が少なかった
「無料で最大6社の査定金額が比較できます」といった謳い文句で運営されている不動産一括査定のサイトですが、住所などを入力して最終的に不動産会社を選ぶ画面に行ったとき、「選べる不動産会社が全然ない」という現象が起こることもあります。
その場合は、別の一括査定サイトも利用して追加で他の不動産会社にも査定してもらうか、「○○市 不動産 売却」などの検索ワードで検索し、その地域で不動産売却を取り扱う会社を探すのが良いでしょう。
不動産会社は一括査定サイト経由で物件情報を受け取る際、サービス側に1物件あたり1万円程度の手数料を支払っています。
中古不動産の取引が活発ではなく、物件価格も安くなりがちな地域の物件は、一括査定サイトに手数料を 支払って物件情報を仕入れても採算を取りにくいといった理由から、対象外にしている業者も多いです。
そのため、「そもそも一括査定サイトで選べる会社が少ない時点で、その地域の物件は思ったよりも安い値段になってしまうのも仕方ない」といった見方もできるでしょう。
それでも、不動産の査定は無料で実施してもらうことができますので、金額が安すぎて納得できない場合は他の会社にも査定額を出してもらうことをおすすめします。
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家の解体費用を見込んで査定されている場合
築年数が古い家を売却する際は、不動産の売買契約、決済を終えて買主に所有権が移った後、買主は元あった建物を解体して家を建てます。
一般的な木造住宅を解体して更地にする場合、100~200万円程度の費用がかかります。
家の状態によってはリフォーム・リノベーションを施して使うケースもありますが、建物状況や、その地域でのニーズを踏まえて、あらかじめ解体費用を織り込んで査定額が算出される場合もあるのです。
過去に「イエウリ」で売却の相談があった戸建て住宅では、固定資産税評価額は900万円でしたが、家の解体や整地、さらに確定測量を実施しなければいけないことから、「売れても10万円程度」と査定されたケースがありました。
売主の方は色々な不動産会社に相談したものの、結果的にどの業者も同じような回答だったとのことです。
その後「仕方ないから10万円で売却しよう 」と考え直しましたが、「せっかく現地を回って査定をしたのに、そんなに安いはずがない・買い叩いているだろうなどと言われたこともあり、気持ちよく取引できないのでお断りします」と言われ、地元業者の間でも悪評が広まって手放せなくなってしまいました。
所有者にとって大事な家で、固定資産税評価額は確かに家の価値を示す1つの指標ですが、実際の売買価格は需要と供給で決まるため、思っているよりもかなり安い値段になってしまう可能性もあります。
もし納得いかない安い査定額が提示された場合も、後に売却等を依頼する可能性もあるので、担当者への最低限の配慮は持って応対することを推奨します。
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一般的な住宅ではない場合
住宅地の土地や戸建て住宅、マンションなど、一般的な中古住宅であれば、過去の取引事例などから相場価格を算出しやすいです。
一方で、駐車場用地やアパート、山林、農地などの特殊な不動産の場合は、
- そもそも需要が少ないから、相場が存在しない
- 査定を依頼した不動産会社 によって得意、不得意がある
といった理由から、「安すぎて納得できない」と感じるような査定額が出てしまうこともあります。
また、こうした事業用地の取引に特化した不動産会社はそもそも数が少なく、前述の一括査定サイトで選べる会社が少ない現象も発生しやすいです。
この場合、そうした物件の取り扱い実績がある会社を自分で探して依頼した方が、適正な価格を出してもらいやすいと言えるでしょう。
賃貸物件は実需の取引よりも相場が安い
賃貸物件は賃料から逆算した利回りを元に査定額を出すので、一般的な実需の不動産と査定基準が異なります。
そのため、査定に出した物件が一般の買主向けの住宅ではなく、賃貸中の物件の場合、査定金額は周辺の取引相場よりも安くなる傾向にあります。
また、サブリース契約で賃貸中の物件は、周辺にある同程度の賃料を設定した物件と比較してさらに低い金額となってしまうのが一般的です。
なお、賃貸物件の取引を得意にしている不動産会社もあり、そうした会社に依頼すれば高値で売却できる可能性はありますが、媒介契約を結んでもらうために明らかに高い金額を出す不動産会社も存在するため、注意しなければいけません。
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リフォームしても査定額が上がらないことがある
「リフォームや修繕にコストをかけても、査定額には反映されにくい」という点にも注意しなければいけません。
リフォームすることで「売れやすくなる」効果が生まれる可能性はありますが、かけた費用を売却額に上乗せするのは難しいでしょう。
例えば、直近で300万円かけてリフォームを実施したからと言って、売却額を300万円上乗せするのは難しいのです。
近年は住宅の建設コストが増大していることもあり「中古住宅を割安で購入して、自分好みにリフォームしたい」というニーズが高まっています。
既にリフォーム済みの家を高めに売り出しても、買主がその状態からさらにリフォームが必要だと見込んでいれば、価格交渉を受ける可能性もあるでしょう。
トイレや浴槽、キッチンなどの水回りの交換を直近に行っていれば、多少プラスに評価されることもありますが、高額なリフォーム費用をかけても「工事費用に見合った査定額が算出されず、納得できない」と感じやすい点に注意してください。
査定額に納得いかない時は根拠を確認する
不動産会社が提示した査定額に納得いかない場合は、参考にした取引事例などのデータを聞くなどして、査定根拠を確認するようにしてください。
また、不動産の取引事例から相場を確認するのは、自分自身で行うことも可能です。
国土交通省が運営する「不動産情報ライブラリ」では、地図や住所から、過去の不動産取引金額が確認できます。
▼不動産情報ライブラリの使い方

自分でも相場を確認して、それよりも明らかに査定額が低い場合は、不動産会社が安く仕入れたい思惑があるか、土地や建物に査定するうえでのマイナス要素があると考えられるので、そうしたポイントも尋ねるようにしましょう。
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査定額は「仲介」か「買取」どちらのものか確認する
不動産売買の方法は、大きく分けて「仲介」「買取」の2種類があります。
仲介と買取の違い
- 仲介:不動産会社と媒介契約を結び、買主探しをしてもらう。成約時に仲介手数料を支払う。
- 買取:不動産会社が買主となって売買契約を結ぶ。成約時の仲介手数料は発生しない。
仲介と買取の主な違いは上記の通りとなっており、より高く売れるのは「仲介」です。
買取の場合は「物件を引き渡した後に設備に不具合が見つかっても、売主が責任を負わない」という契約不適合責任を免責にして取引されるのが一般的で、仲介の相場価格より値段は安くなるものの、一定のメリットがあります。
不動産会社は買い取った不動産をリフォームして再販売したり、家を取り壊して宅地として販売したりすることで収益を上げます。
リフォームや解体のための費用を差し引いて、さらに自社の利益になるような値段で物件を仕入れなければいけないため、必然的に仲介より低い査定額になってしまうのです。
一括査定サイトで提示される査定額は基本的に「仲介」の値段
不動産の一括査定サイトを利用する場合、多くは相場価格で売却できる「仲介」の値段が提示されますが、対応する不動産会社や、申し込む査定サイトによっては「買取」の値段が提示されることがあります。
買取の査定額が提示されるときは「弊社買取のため、仲介手数料無料、売主様の契約不適合責任は免責です」などの説明が書かれるのが一般的ですが、記載忘れなど対応の不備がある可能性も考えられます。
査定額が低くて納得いかない場合は、その金額は仲介・買取どちらのものなのかを確認しましょう。
なお、「買取の相場は仲介の5~7割程度になるのが一般的」と言われていますが、仲介の金額でおおよそ1,000万円を下回る物件の場合は、リフォームや解体等にかかる費用の比率が高まるため、買取だとかなり安い金額になってしまうケースが多いです。
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離婚や相続の場合は、有料の不動産鑑定も検討
離婚での財産分与や、相続に伴って遺産分割協議を行う際は、不動産会社が行う無料査定ではなく、有料の不動産鑑定を実施した方が良いケースがあります。
「親族が相続物件の価値を示すために不動産会社の査定額を提示してきたが、金額に納得いかない。安く見積もられているのではないか」といった場合には、20~30万円の費用はかかってしまいますが、不動産鑑定を実施して適正な不動産の価値を算出することで、後のトラブルも防止できるでしょう。
▼無料の不動産査定と、有料の不動産鑑定の違い

まとめ
不動産の査定額に納得できない場合、まずは他に査定できる不動産会社が無いか調べてみましょう。
複数の不動産会社の査定額を確認することで相場価格を把握できるので、損をしてしまうリスクを低減できます。
ただし、都市部以外の不動産の取引需要が少ない地域では、思ったよりも査定額が低くなってしまうケースは少なくありません。
また、不動産の査定額は「この金額で売れそうですよ」という目安の指標となるもので、その金額で売れる保証はありません。
複数の会社に査定依頼して金額を比較してから媒介契約を結ぶ際は、「査定額が高いから」だけで判断するのではなく「自分の家の売却を任せられる人柄の担当者を選ぶ」という視点も持つことで、納得のいく売却に繋げることができるでしょう。
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