ご自身が所有しているマンションなど不動産の資産価値を知りたいという理由で、「不動産会社に査定だけ依頼する」ことを検討する場合があるでしょう。
不動産の無料査定は「売るつもりは無いけど金額を知りたいから、査定だけしてもらう」使い方も可能です。
しかし、査定の目的や売却の時期によって、不動産の無料査定に申し込む上での注意点があり、特に「売るつもりは無いけど一括査定に申し込む」のは推奨できません。
この記事で「家が売れる金額を知りたい」という方向けに、無料査定に関して理解しておくべきことを解説していきます。
「査定だけ」で一番注意すべきこと
特に注意したいのは「売るつもりが無いのに一括査定サイトで査定だけを申し込む」ことです。
このケースでは、不動産会社は一括査定サイト側に1.5万円程度の手数料を無駄に支払うことになります。
もし、売るつもりの無い人が6社に査定を申し込むと、一括査定サイトは各不動産会社から手数料を受け取って9万円の儲けが出るが「不動産会社はどこも報酬を得られない」という現象が発生してしまうのです(不動産会社が実際に仲介手数料を受け取れるのは、物件が売れたときだけ)。
また、ネット上の記事では
- できるだけ多くの不動産会社に査定を依頼した方が良い
- 複数の一括査定サイトを組み合わせるのが良い
といった情報が散見されますが、これは「そのサイト経由で一括査定に申し込む人がいたら、1件当たり数千円~数万円の紹介報酬を受け取るアフィリエイト広告」や「売るつもりの無い査定でも儲けを得られる一括査定サイト側の宣伝文句」であるパターンが多いです。
「価格を知りたいだけで売るつもりはない」段階で一括査定を利用するのは、控えた方が良いでしょう(不動産会社からの電話連絡の対応も面倒に感じてしまいます)。
イエウリAI査定では個人情報の登録なしで、瞬時に目安の価格を把握できます。
売却の予定がなくて「価格を知りたいだけ」という方は、こちらのツールをご活用ください。
売却しなくても無料で査定だけしてくれる不動産会社がほとんど
不動産の査定は、「その不動産がいくらぐらいで売れそうか」という目安の金額を算出するものです。
多くの不動産会社は査定を無料で行っていますが、査定額の算出のために、対象物件の周辺で過去に売れた不動産はいくらだったかを確認するために取引事例のデータを確認します。
不動産会社は「レインズ」と呼ばれる不動産会社用の物件情報サイトを利用して、過去の取引事例や現在販売中の物件情報を確認し、「査定依頼のあった家を売ったらどのくらいの金額になりそうか」の目安となる査定額を算出します。
査定額を出してもらうことで「自分の家を売ったらいくらになるか」という相場観が手軽にわかりますが、売却を全く検討していない場合は、不動産会社の手間も考えると、自分で相場情報を確認する方法(後述します)の方が適していると言えるでしょう。
不動産会社が無料で査定を行うのは、「自社と媒介契約を結んで売り出してもらうための営業活動」に他なりません。
今すぐ売らない場合も、将来的にまた相談してもらう際の窓口になれればと期待を込めて査定をしてくれる会社が多いですが、不動産の相場状況は数年で大きく変化する場合もあり、その頃には今の査定額はアテにならない可能性が高いです。
もちろん「金額によっては売却して住み替えたい」「相続した物件をまずは査定だけしてもらって、親族で話し合いたい」という方や、資産整理を考えている賃貸中の投資物件の場合は「査定だけ」から売却に進む可能性も考えられますので、無料査定を利用するメリットがあるでしょう。
査定だけ依頼する場合の注意点
不動産会社に査定だけ依頼する場合、どういった目的で査定をしたいのか、その目的は明確に伝えた方が良いでしょう。
不動産の査定方法には
- 机上査定(簡易査定):過去の取引事例を元に査定額を算出する
- 訪問査定(実査定):実際に家の中を見て、物件固有の状態を加味して査定額を算出する
上記2つの方法があります。
まずはデータを確認して机上査定を実施し、本腰を入れて売却する場合は訪問査定を打診する不動産会社もあれば、売主をグリップするために最初から訪問査定のアポを取ろうとする不動産会社もあります。
例えば、今は全く売るつもりが無いのに「お家の中を見ることで、より詳細な金額を出せるので訪問させてください」といった連絡や、売却の意向を確認するような電話連絡が何度もあると、ストレスが溜まってしまいます。
「金額によっては売却を考えている」場合は、まずは取引データを元にした机上査定を確認するのが適しています。
そのため「査定金額によっては住み替えをしたいと思っているので、机上査定をお願いします」などと査定目的を伝えることで後のトラブルを予防できるでしょう。
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取引事例やAI査定から自分で相場価格を調査する方法
不動産会社は机上査定の依頼を受けた際、不動産会社専用の取引情報サービスである「レインズ」を利用して、当該物件の周辺取引事例を調査します。
レインズのデータは個人の売主が見ることはできませんが、レインズと同じように周辺物件の取引情報を閲覧できるサイトとして「レインズマーケットインフォメーション」や「不動産情報ライブラリ」があります。
これらのサイトを利用して、自分の所有する不動産の周辺でどのような物件がいくらで売れたかという成約価格を確認することが できます。
築年数の近い物件で面積当たりの単価を出し、自分の所有する物件の情報と照らし合わせる形で相場価格を推測できるのです。
また、SUUMOやHOME’Sなどの不動産ポータルサイトで近隣不動産の売り出し価格をチェックする方法も有効です。
ただし、ポータルサイトでは実際に売れた「成約価格」ではなく、そこから値引きなどの可能性がある「売り出し価格(販売価格)」が掲載されているという違いがあるため、その点は押さえておきましょう。


また、最近は「とりあえず金額を知るために査定だけしてもらいたい」というニーズに対応するために、AI査定や匿名査定のサービスも増えてきました。
- HowMA(ハウマ):ビッグデータを用いてAI(人工知能)で査定を行います。マンションの査定を得意としています。
- HOME’Sプライスマップ:マンションの査定額が○○万円~○○万円という金額の幅で大まかに算出されます。
- IESHIL(イエシル):首都圏のマンションの査定が可能です。ただし、査定の対象は多くありません。
- HOME’Sの匿名査定:大手不動産情報サイトのHOME’Sが運営しており、比較的多くの物件を扱っています。精度はそれなりに高いと言われています。
こうしたサービスも活用することで、不動産会社に依頼せずとも手軽に査定額を調べることが可能です。

有料の不動産鑑定が適している場合もある
離婚や相続に伴う財産分与を行う場合や、税金額の計算、法人が資産として計上するために「詳細な不動産価格を知りたいが、売りたいわけではない」ケースでは、不動産の無料査定ではなく国家資格である不動産鑑定士による不動産鑑定が必要な場合があります。
不動産鑑定には通常20~30万円の費用がかかりますが、不動産の価値を正確に知ることができるため、自分が不動産の金額を知りたい理由によっては実施を検討すると良いでしょう。

査定だけしてもらった後にしつこい営業は来ない?
「金額によって売却を考えている」場合も、査定に申し込んだ後「やっぱり売らないことにしても、不動産会社からしつこい営業があるのでは」と心配に思い、査定だけ申し込むのにも躊躇することがあるかもしれません。
宅建業法により、不動産会社は以下のような営業を行うことは禁止されています。
- 断った後の再勧誘
- 迷惑な時間の訪問や長電話
- 契約を急がせる行為
- 目的を告げずに勧誘する行為
もし売却の検討が白紙になった場合は、「今回は売却をやめることにしたので、以後の連絡は不要です」などとはっきり伝えるようにしましょう。
曖昧な対応をしてしまうと、「売却はまだ検討中ですか?」といったリマインドを兼ねた営業の連絡が入る可能性もありますので、断る意思をきちんと示すことが重要です。

「売るつもりはないけど金額を知りたい」場合は一括査定サイトを利用しない方が良い理由
一度の申し込みで最大6社程度の査定価格を無料で比較できるため、不動産の相場を把握してできるだけ高く売却したい場合には一括査定サイトが便利です。
一方で、「金額を知りたいから査定だけしてもらいたくて、高い金額が出ても売るつもりは無い」場合は、一括査定サイトを使うメリットもあまりありません。
売るつもりが無い時は、AI査定などが便利
高額売却の期待を抱かせたり、気軽に申し込めることを謳ったりする一括査定サイトの広告もありますが、売るつもりが無いのに利用する人が増加し、不動産会社側のコストだけが嵩んでしまうという実態があります。
最近は「不動産相場が上昇しているので、あなたの家も高く売れるかも?」などの謳い文句で、気軽に不動産の一括査定サイトを利用するように促す広告を見かけることもあります。
しかし、売るつもりが無いなら電話対応の必要もないAI査定や匿名査定のサービスを使うのが良いでしょう。
不動産会社は、一括査定サイトを利用して物件情報を入手するために手数料を支払っている背景があり、「一括査定サイト経由の査定依頼があったら、競合他社に負けないように5分以内に電話連絡する」といったスタンスで熱心に媒介契約を取るための営業をすることがあります(登録してから数十秒で電話がかかってくることも珍しくありません)。
売るつもりが無いのに不動産会社から営業電話が来る
不動産を売るつもりは無いのに一括査定サイトを利用すると「査定だけしてもらいたかったのに、営業電話が来て迷惑に感じた」というミスマッチにも繋がりかねません。
もし売却するつもりがないのに「なんとなく家の値段が気になった」という理由で申し込んだ場合は、一括査定サイト側にキャンセルの連絡をしてください。
一括査定サイトに「今回は売るつもりが無いので査定はキャンセルしたい」旨を伝えれば、不動産会社側にもそれが伝えられ、不動産会社がサービス側に手数料を支払う必要もなくなるため、それ以上の連絡もなくなります。
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まとめ
多くの不動産会社は、売主が少しでも売却を検討したときの窓口になるために、査定だけでも無料で気軽に応じるスタンスで営業しています。
一方で、売却するつもりが全くない場合は、不動産の査定額があくまでも目安の価格であることも考慮すると、一括査定サイトや不動産会社に査定を申し込むのではなく、自分で相場を調べる方法が適していると言えるでしょう。
「売却金額によっては住み替えを検討している」場合は、査定額を算出してもらうことで具体的な資金計画を考えることもできるので、そうしたケースでは査定だけ申し込むことからスタートするのも有効です。
ご自身が査定金額を知りたい理由に合わせて 、不動産の査定サービスを使い分けてみてください。