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増築未登記のリスクとは?売買時に売主・買主がチェックすべきポイントを解説します

増築未登記とは、建物を増築した際に、法務局への登記申請が行われていない状態を指します。

本来、建物の構造や面積に変更があれば登記を更新する義務がありますが、未登記のまま放置されるケースは少なくありません。

しかし、増築未登記は、将来的な不動産取引においてトラブルを引き起こす要因となるため、決して望ましい状態とはいえません。

この記事では、増築未登記のリスクや、売買時のチェックポイントについて解説をします。

このページの目次
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増築未登記について

不動産売買において、建物の登記情報は非常に重要な役割を果たします。

しかし、実際には増築を行ったにもかかわらず、その事実が登記されていない建物が存在するのです。

まずは、増築未登記の概要について解説していきましょう。

増築未登記とは

増築未登記とは?

登記には、「建物表題登記」と「所有権保存登記」があり、それぞれ次のような役割があります。

  • 建物表題登記……建物の所在や地番、家屋番号、種類、構造、床面積などを登録する登記
  • 所有権保存登記……不動産の最初の所有者を登記簿に記録する手続き

建物を増築した場合、建物の構造や面積に変更が生じます。これらの変更があった際には、所有者は原則として1カ月以内に法務局へ「建物表題登記」を申請し、登記記録を最新の状態に更新する義務があります(不動産登記法第51条)。

しかし、実際には増築工事を行ったにもかかわらず、この登記申請がされないケースが少なくありません。

このように、登記記録と建物の現況が一致していない状態を「増築未登記」と呼びます。

増築未登記となる要因

増築未登記になるのは、主に次のような要因があります。

  • 所有者が手続きを知らない……増築後の登記手続きについて、所有者が十分に理解していないことがあります。
  • 費用を抑えたい……登記手続きには費用がかかるため、それを避けたいと考える所有者がいます。
  • 手続きが面倒……登記手続きには書類の準備や法務局への申請など手間がかかるため、敬遠する所有者がいます。
  • 未登記増築を知らない……親から相続した建物などで、過去に未登記の増築が行われた事実を知らない場合があります。
  • 建築基準法に違反……増築部分が建築基準法に違反している可能性があり、登記できないと所有者が考えていることがあります。

この他に、固定資産税・都市計画税の増税を回避するために、登記を行わないケースもあります。いずれのケースも登記記録を最新の状態に更新する義務規定に違反しています。

増築未登記のリスク

増築未登記のリスク

建物を増築したにもかかわらず登記を行わない「増築未登記」の状態は、様々なリスクをはらんでいます。ここでは、売主や買主が認識しておくべき主要なリスクについて解説します。

所有権をめぐるトラブル

不動産登記は、所有権の所在を公的に証明する重要な手段です。増築未登記の場合、登記記録には増築部分が反映されず、建物の実際の形状や面積と食い違いが生じます。

この不一致により、増築部分の所有権が不明確となり、法的な解釈の余地が生じる可能性があります。

また、将来的に建物を売却する際、買主から増築部分の所有権の明確化を求められることがあり、手続きが煩雑になる恐れがあります。

相続時の遺産分割の複雑化

相続が発生した際、増築未登記の建物は遺産分割の対象となり、相続人間で増築部分の所有権の帰属をめぐって争いが生じる可能性があります。

また、登記記録と現況の不一致により、正確な遺産評価が困難になり、相続税の計算にも影響を与える恐れがあります。

住宅ローン審査への影響

住宅ローンは、多くの人がマイホームを購入する際に利用する重要な資金調達手段です。しかし、増築未登記の建物は、住宅ローン審査において不利な要因となる可能性があります。

金融機関は、住宅ローンを融資する際、担保となる不動産の市場価値や再販価値などを総合的に判断し、登記記録を重要な判断材料とします。

増築未登記の場合、登記記録と建物の現況が一致しないため、金融機関は建物の正確な面積や構造を把握できません。その結果、担保評価が困難となり、金融機関がリスクを懸念して融資を控えたり、融資額を減額する可能性があります。

また、増築未登記の建物では、通常よりも慎重な審査が行われます。 追加の書類提出や現地調査などが必要となり、審査に時間がかかるだけでなく、審査に通る可能性も低くなることが考えられるでしょう。

税金に関する問題

固定資産税・都市計画税は、不動産の評価額に基づいて課税されます。増築によって建物の床面積が増加した場合、評価額も上昇しますが、未登記のままだと登記情報が更新されないため、税額が過少に計算されることになります。

増築登記を行うと、法務局から市区町村の固定資産税課へ情報が通知されます(不動産登記法第14条)。しかし、未登記の場合、地方自治体は増築の事実を把握できません。そのため、後日、未登記の増築が発覚した際には、過去に遡って追徴課税される可能性があるのです。

また、不動産取得税の過少申告という問題も想定できます。不動産取得税は、不動産を取得した際に一度だけ課税される税金ですが、増築によって建物の価値が向上した場合、本来は税額も増加するはずです。しかし、未登記の場合、税額が過少に計算されることがあります。

これも後日、追徴課税の対象となる可能性があり、税務署から説明を求められることがあるでしょう。悪質と判断された場合、脱税とみなされ、重加算税が課される可能性もあるため、注意が必要です。

違反建築物の可能性

増築未登記の建物の場合、増築部分が建築基準法などの法令に違反している可能性も否定できません。違反建築物であることが原因で、登記手続きをためらったケースも考えられます。

建築基準法における違法性には、単に手続き違反だけでなく、建ぺい率・容積率オーバーといった実態違反の可能性もあります。

違反建築物とは

また、法令で定められた建築確認申請や完了検査を受けていない場合、売却が非常に困難になるか、相場よりも相当低い価格での売却を余儀なくされることがあるため、注意しましょう。

保険金支払いの問題

火災や地震などで建物が損壊した場合、保険会社は登記記録に基づいて保険金を支払います。

増築未登記の場合、増築部分は保険の対象外となり、十分な保険金が支払われない可能性があるのです。

売主がチェックすべきポイント

増築未登記の建物は、売買時に様々なリスクやトラブルを引き起こす可能性があるため、売却の際には、売主は様々な準備と確認を行う必要があります。売主がチェックすべき重要なポイントをみていきましょう。

増築の事実確認と情報整理をする

未登記である増築部分について、いつ、どのように行われたのか、床面積や構造、用途などを正確に把握することが重要です。

まずは、建築確認申請書、工事請負契約書、図面など、増築に関する資料を可能な限り集めましょう。これらの書類は、買主への説明や登記手続きの際に役立ちます。

   法令遵守の確認をする

未登記の増築部分が、建築基準法や都市計画法などの法令に適合しているかを確認することが重要です。

もし増築部分が違法建築物と判断された場合、是正措置を検討しなければなりません。

▼関連記事:違反建築物として是正勧告を受けた場合の対処法

登記手続きの検討をする

増築登記を行うことで、容積率や建ぺい率に問題が無いかを登記情報から確認できるため、売却時のトラブルを回避しやすくなります。

登記には費用や手続きの時間がかかるため、負担を考慮しながら進めることが大切です。

専門家(土地家屋調査士、司法書士など)に依頼するとスムーズに進められるため、費用や期間についての見積もりを事前に取得し、計画的に対応できるようにしましょう。

買主へ情報を開示する

増築未登記の事実は、買主に対して必ず重要事項説明書で明確に伝えましょう。

増築部分が未登記の場合、ローンの審査に影響が出たり、違反建築物であれば取得後に是正勧告を受けたりといったリスクが考えられます。

こうした状況を買主が十分に理解した上で、契約を進めるようにします。

さらに、契約書には増築未登記に関する特約条項を記載することも重要です。

具体的には、売主の契約不適合責任の範囲や、登記費用の負担について明記することで、将来のトラブルを避けることができます。

買主がチェックすべきポイント

一方で、買主も、増築未登記の不動産を購入する際には、リスクを回避するためにいくつかの点に注意をする必要があります。

情報収集と事実確認をする

法務局で登記簿謄本を取得し、所有者、建物の構造、床面積などの基本情報を確認して、登記記録と実際の建物の状況に食い違いがないかを確認します。

未登記増築があれば、売主から増築に関する資料(建築確認申請書、工事請負契約書、図面など)を入手し、内容を確認します。これらの資料がない場合、増築の適法性を確認することが難しくなるため、注意が必要です。

建物の状況確認をする

建物の外観や内装を詳細に確認し、増築部分の劣化状況や不具合(雨漏り、ひび割れなど)がないかを確認します。

建築士による建物状況調査(インスペクション)を依頼することも検討しましょう。

法的リスクの評価をする

未登記の増築部分が、建築基準法や都市計画法に適合しているかを確認します。違法建築物に該当する場合、将来的に改修や撤去を求められる可能性があるため、注意が必要です。

その他、次のようなリスクについても確認が必要です。

  • 増築部分の所有者は誰なのか……増築部分の所有権が明確になっているかを確認します。共有名義の場合、共有者間の合意が得られているかを確認します。
  • 売買契約書の特約条項に記載されているか……増築未登記に関する特約条項(契約不適合責任の範囲、費用負担など)が記載されているかを確認します。
  • 金融機関の判断……増築未登記の物件であることを金融機関に伝え、住宅ローンを利用できるか確認します。担保評価が低くなる可能性があります。
  • 火災保険の対象となるか……火災保険や地震保険に加入できるか、保険会社に確認します。増築部分が保険の対象外となる可能性があるため、注意が必要です。

増築未登記の建物を登記する流れと費用

未登記建物の問題を解決するには、登記をするのが最善です。登記手続きを進めるために、増築登記の流れと費用について解説していきましょう。

増築未登記の建物を登記する流れ

増築未登記の建物は、次のような流れで進めます。

  1. 専門家への相談・依頼土地……土地家屋調査士に相談し、現地調査や測量の見積もりを依頼します。
  2. 必要書類の準備……住民票、建築確認通知書、検査済証など、登記に必要な書類を収集します。
  3. 現地調査・測量……土地家屋調査士が現地を調査し、建物の位置や構造、面積などを測量します。
  4. 図面作成……測量結果に基づいて、土地家屋調査士が建物図面や各階平面図を作成します。
  5. 申請書類の作成……土地家屋調査士が登記申請書を作成し、必要書類と図面を添付します。
  6. 法務局へ申請……土地家屋調査士が作成した申請書類を法務局へ提出します。
  7. 登記完了……申請内容に問題がなければ、登記が完了します。登記完了までには、1週間~2週間程度かかるのが一般的です。

増築部分が建築基準法に違反している場合、表題登記ができないことがあります。

また、増築から時間が経過している場合には、登記ができないことや、登記手続きに時間がかかる可能性もあります。

未登記建物を表題登記する費用

未登記建物を表題登記するには、大きく分けて次のような費用がかかります。

  • 専門家への依頼費用……土地家屋調査士へ登記手続きを依頼する場合、その報酬が発生します。費用の相場は、建物の構造や規模、地域によって異なりますが、一般的には10万円~20万円程度です。
  • 登録免許税……表題登記には登録免許税はかかりません。ただし、所有権保存登記や抵当権設定登記など他の登記が必要になる場合は、税が発生します。

その他費用として、建物図面や各階平面図の作成費用、必要書類の取得費用などがかかる場合があります。

表題登記の種類

未登記の増築建物を表題登記する場合、状況に応じて必要な登記の種類が異なります。

建物表題変更登記

建物の増築部分が既存の建物に構造上・利用上独立していない場合は、「建物表題変更登記」が必要です。建物表題変更登記は、すでに登記されている建物の登記内容(床面積や構造など)に変更があった場合に行う登記です。

建物表題登記

建物の増築部分が既存の建物に構造上・利用上独立しており、新たに一戸の建物として成立する場合は、「建物表題登記」が必要です。建物表題登記は、新たに建物を建てたときに行う登記です。

建物合体登記

増築部分と既存の建物を合わせて一つの建物とするには、「建物合体登記」が必要になります。

まとめ

不動産売買における増築未登記は、所有権の曖昧さ、相続時の遺産分割の複雑化、住宅ローン審査への影響、税金の問題、違法建築物の可能性、保険金支払いの問題、心理的な負担など、多岐にわたるリスクをはらんでいます。

売主は、詳細な情報開示、法令遵守の確認、契約内容の明確化、税務上の注意を通じて、買主との信頼関係を築き、将来的なトラブルを回避する必要があります。

一方、買主は、徹底的な調査、専門家の活用、リスクの評価と判断を通じて、安全な不動産取引を実現することが求められます。

これらのリスクを回避するためには、増築未登記の建物を登記することが最善の解決策となります。

売主・買主双方が、増築未登記のリスクを十分に理解し、慎重かつ適切な対応を取ることで、安全で円滑な不動産取引を実現することができます。

執筆者
田中 良男
田中 良男

ことの葉行政書士事務所・代表/建築主事として建築確認申請の審査経験を有す/行政職員時代に都市計画策定、開発許可、生産緑地指定業務に携わる/ライター(切塗よしを)としても活動中【保有資格】特定行政書士、1級建築基準適合判定資格者 、既存住宅状況調査技術者(インスペクター)、終活カウンセラー、著作権相談員

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