不動産を所有していると、隣人や不動産会社から「土地を売却しないか」と提案を受けることがあります。このような場合、売却の決断は簡単ではありません。
特に土地は大切な資産であり、将来的な価値も大きく変動します。
この記事では、隣人や不動産会社からの売却提案を受けた際に、確認しておくべき重要な事項や注意点を徹底解説します。
土地売却の提案を受けた際に確認すべき重要事項
隣人や不動産会社から「土地を購入したい」と申し出を受けた場合は、適正価格で売却できるのかを確認することが重要です。
土地の市場価格と周辺相場の確認方法
土地売却を検討する際、まず重要なのは市場価格の確認です。
土地の評価額は周辺エリアや地価の影響を大きく受けるため、相場を正確に把握することが重要です。
不動産査定を受けるときは、複数の会社に査定を依頼して提示された金額を比較し、信頼性の高い価格を見極めましょう。
最近は一般の方でも「不動産情報ライブラリ」やAI査定を利用することで、大まかな周辺相場を確認することは簡単になりました。
付き合いの長い相手であれば、「安く買い叩いて利益を搾取しよう」という提案は受けにくいように思えますが、不動産の取引は高額となるため、自身で納得できる価格で売却することが重要です。
隣人が紹介した不動産会社だけに任せたりせず、自分でもある程度相場の情報を調べておくことで、後のトラブルも予防できます。
実勢価格は実際に取引が行われなければ算出できませんが、「公示地価」を100%としたとき、おおむね110~120%の価格になります。
ただし、建物が老朽化していて解体や土地の造成が必要・確定測量が必要などといった事情に応じて、公的価格やそれよりも低い金額が妥当な場合もあります。
関連記事:不動産情報ライブラリの使い方
売却後の土地利用計画を明確にする
隣人が土地購入を希望する理由の多くは、建物の増築や隣接する土地を含めた再開発などです。
しかし、利用計画が売却後の生活環境に影響することもあります。
取得した土地の使用用途、工事の計画などを確認して、自身の生活に騒音等の影響が及ばないかを確認してください。
土地売却で発生する税金や手数料
土地を売却する際には、税金や手数料が発生します。
売却益が出た場合、譲渡所得税がかかり、さらに仲介手数料や登録免許税などの諸費用も必要です。
税率や必要書類について事前に把握し、予算を立てることで予期しないコストを避けることができます。
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土地売却の方法比較(買取、仲介、個人間売買)
土地を売却する際は、仲介での取引となるのか、不動産会社による買取なのか、ある いは隣人との個人間売買になるのかを確認しましょう。
不動産買取の特徴と利点
買取では不動産会社と売買契約を結ぶため、買主が不動産会社になる。
不動産買取は、不動産会社が直接土地を購入する方法です。
買取は通常、即金での支払いが可能で、売却が早く進むメリットがあります。
また、仲介手数料も不要なため、費用を抑えたい方や早急に売却したい方に適した方法です。
不動産仲介の特徴と利点
仲介では不動産会社と媒介契約を結び、買主を探してもらいます。
一方、仲介は不動産会社が買い手を探し、成約した際に仲介手数料を支払う形の取引です。
仲介は市場で競争が生まれるため、買取よりも高い売却価格が期待できる場合があります。
ただし、売却までに時間がかかる点や、仲介手数料の支払いが必要となる点を考慮する必要があります。
個人間売買の特徴と利点
「土地を売ってほしい」と申し出てきた人と直接売買契約を結ぶことも可能です。
しかし、不動産会社による仲介を挟まない場合、契約内容等で確認すべきことや、引き渡し後のトラブルに関するサポートを受けることができません。
仲介手数料を支払わなくて良いメリットは売主・買主双方にとって大きいですが、デメリットもあるため慎重に判断しましょう。
関連記事:仲介なしの個人間不動産売買の注意点
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隣地と合わせて売却するメリットと実例
隣地の住人が「土地を売ってほしい」と言ってきた理由として、「自分の土地と合わせて売ることで、評価が上がって売りやすくなり価格も上がる可能性があるから」というものが考えられます。
実際、隣地と合わせて売却するメリットもいくつかある ので、それらを確認しておきましょう。
隣人が「買いたい」と申し出る理由
隣人が土地を「買いたい」と申し出る理由には、自分の物件の評価を上げたい意図があることも多いです。
隣接する土地を一体として売却することで、建築できる建物の幅が広がり、資産価値が上がる可能性があります。
他には、「自分の土地単体では、接道義務を満たさない再建築不可物件になってしまうが、接道している土地と合わせて売却したい」といった理由も考えられるでしょう。
接道義務を満たさない再建築不可物件は、隣地を購入して接道部分を十分に確保することで、売却しやすくなるケースがある。
同じような理由として、増築等が原因で建蔽率や容積率をオーバーした既存不適格・違反建築に該当する場合は、隣地の購入で問題がクリアできるため、購入を打診するケースがあります。
土地計画法に基づく建蔽率や容積率が変更された場合、隣地を購入することで建築しやすい条件にしたいニーズが考えられる。
増築等によって建蔽率や容積率をオーバーした状態の違反建築(違法建築)は、売却では不利になることが多い。建築基準法の要件を満たしたいニーズで隣地の購入が打診されるケースがある。
売却を求められた背景については、可能な限り確認した方が、目的がはっきりしてその後の取引もスムーズになります。
連棟式建物の同時売却で評価が上がる可能性
【成約実績 No.0209】
大阪府 大阪市鶴見区
連棟式建物につき隣地と同タイミングで売却をしたい。
加えて、名義人が後見人をたてているため、
売却は少し長期化したが、
全18社から金額提示を受け、
売却完了。難しい案件もお任せを。#企業公式相互フォロー#イエウリ#大阪府#大阪市鶴見区pic.twitter.com/aPXgdCprMO
— イエウリ【公式】 (@ieuri_ieuri) March 14, 2024
過去には「イエウリ」において、連棟式建物(長屋)を隣地と同じタイミングで売却することで成約したケースがあります。
特に連棟式建物では、隣接する物件と一緒に売却することで、バラ売りよりも高い価値がつきやすいでしょう。
隣人に売却する場合の注意点と交渉のコツ
隣人との交渉では、互いの信頼関係を保ちつつ、必要なポイントを押さえて交渉することが大切です。
売却価格の根拠や相場価格の確認を行い、双方が納得できる条件で進めます。
また、土地境界に関する明確な確認と書面での取り決めも重要です。
土地の測量を改めて行う場合は、どちらがいくらの費用を負担するのかなどを取り決めましょう。
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土地を売却するか保持するかの判断基準
隣地の住人に土地を売る、あるいは隣地と同じタイミン グで土地を売るのはメリットも多いのですが、リスクもゼロではありません。
土地を保持することのメリットとデメリット
土地を保持する場合、将来的な地価上昇のメリットが得られる可能性があるでしょう。
特に都市開発の影響を受けやすいエリアでは、土地の価値がさらに上がることも期待できます。
ただし、固定資産税や管理コストが発生するため、保持コストも考慮する必要があります
将来の地価動向を予測し売却タイミングを決定する方法
売却を検討する際には、地域の開発計画や人口動態、インフラ整備の情報をもとに地価動向を把握することが大切です。
タイミングを見極めて、地価が上がる前に売却することで最大限のリターンが期待できます。
不動産会社が「土地を売ってほしい」と申し出る理由と注意点
不動産会社から土地売却の申し出がある場合、その背景には地域の再開発や、将来的な利益を見込んだ投資の意図があることが一般的です。
不動産会社は、土地を購入した後に区画整理や建物の建設、再販売を通じて利益を得ようとするため、周辺のエリアで特定の開発計画が進行している場合、複数の土地所有者に売却を持ちかけることがあります。
売却価格の根拠と相場の確認
不動産会社が提示する価格は、必ずしも市場価格と一致するとは限りません。
不動産会社はできるだけ安く購入して高く売却することで利益を得るため、提示された価格が市場価格に見合っているかを確認することが大切です。
複数の会社に査定を依頼し、信頼できる相場を把 握することが推奨されます。
会社の意図と将来の土地利用計画を把握する
売却を申し出た不動産会社が、購入後に土地をどう利用するのかについても確認しておくと安心です。
開発計画によっては、売却後に周辺環境が変化し、騒音や日当たりなどの生活環境に影響が出ることもあるため、将来的な利用計画について納得できるまで確認するのが良いでしょう。
タイミングを見極める
不動産会社からの申し出は売り手側の意思にかかわらず突然やってくることがありますが、必ずしも即断する必要はありません。
特に不動産市況が活発な時期や、地域の開発計画が進行中の場合は、土地の価値が上がる可能性があるため、売却のタイミングを見極めることも重要です。
不動産会社の信頼性の確認
不動産会社によっては、高額な仲介手数料や利益追求を目的にした提案が多く見受けられます。そのため、複数の不動産会社を比較し、信頼性の高い企業と取引を進めることが大切です。
また、会社の評判や過去の取引実績などをリサーチし、売却後のサポート体制などもチェックしておくと安心です。
一度売却すると取り戻すのが難しい
不動産会社の提案に応じて土地を売却すると、後から「やっぱり売却しなければよかった」と思っても、簡単には取り戻すことができません。
また、不動産会社は一度契約が成立すると速やかに計画を進めるため、売却を決断する前に十分な時間をかけて検討することが重要です。
近年は、違法性のある強引な地上げ行為が行われることはほとんどありませんが、不動産会社や仲介業者からの強引な勧誘や高圧的な交渉がまったくないわけではありません。
このような行為に対しては毅然とした態度で対応し、必要に応じて周囲の専門家や家族に相談することが大切です。
また、少しでも不安や疑念を抱いた場合は、取引を急がずに他の業者や第三者機関に確認するなど、冷静な判断を心がけましょう。
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土地売却時に起こりうるトラブルを防ぐための準備と注意点
土地を売却する際、思いもよらないトラブルが発生することがあります。
契約内容の曖昧さや境界に関する問題は、売却後に大きなストレスやコストを生む原因となるため、事前の準備が重要です。
ここでは、スムーズに土地売却を進めるための確認事項と注意点について詳しく解説します。
契約トラブルを避けるために確認すべき事項
契約内容をしっかり確認し、口約束ではなく、すべての条件を文書に残すことが重要です。
また、特に支払い方法や条件の曖昧さがないかを再確認し、トラブルを未然に防ぎましょう。
土地の境界確定と権利関係の整理方法
土地の境界が明確でないと、売却後に隣人とトラブルになる可能性があります。
土地の境界を確定するための測量を行い、権利関係を整理しておくことで、買い手とのトラブルを回避できます。
土地売却を断る際の適 切な対応方法とマナー
提案を受けたものの売却する意思がない場合、丁寧な言葉で、売却の意思がないことを明確に伝えましょう。
場合によっては、将来の売却予定についても少し触れることで関係性を維持しやすくなります。
専門家に相談する重要性
売却を進める際には、税務や法務の専門家に相談することで、安心して進めることが可能です。
特に税務申告や法的手続きに関するアドバイスは、問題を的確に解決するためには欠かせません。
不動産売却に関連する相談先は、内容ごとに以下の表を参考にしてください。
相談内容 | 相談先 |
一般的な不動産売却相談 | 不動産会社 |
不動産の価値の相談 | 不動産鑑定士 |
住宅ローンの相談 | 金融機関 |
債務超過による売却相談 | 任意売却専門の不動産会社 |
税金や控除に関する相談 | 税理士 |
法律やトラブルの相談 | 弁護士・消費者センター |
空き家の売却相談 | 空き家バンク |
相続不動産の相談 | 司法書士・税理士 |
離婚に伴う売却相談 | 弁護士・不動産会社 |
転勤・転職による売却相談 | 転勤支援をおこなう不動産会社 |
測量・境界の相談 | 土地家屋調査士 |
高齢者向けの不動産売却相談 | 家庭裁判所 |
農地の売却相談 | 行政書士 |
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まとめ
土地売却では、確認すべき重要事項や、周囲の環境に与える影響、売却手段の選択肢などを総合的に検討し、慎重な判断を行うことが大切です。
また、最終的な判断に迷ったときは専門家のアドバイスを受けることを推奨します。