「住宅ローンの審査に落ちてしまったけどもうローンは組めない?」「審査に落ちたらどうすればいい?」
そんな不安を抱いている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
住宅ローンは、住宅を購入するときに大きな壁になってしまうことがあります。
しかし、一度審査に落ちたからといって、絶対に住宅を購入できないわけではありません。
住宅ローンの審査に落ちてしまった場合は、その理由を正しく理解し、対処していくことが大切です。
本記事では、住宅ローン審査に通らない理由と落ちた場合の対処法について解説しますので、参考になさってください。
住宅ローン審査が通らないよくある6つの理由
一生のうちでも最も高い買い物といえる住宅。
住宅は購入金額がかなり高額となるため、ほとんどの方が住宅ローンを借りて住宅を購入するでしょう。
住宅ローンを借りるためには、「仮審査(事前審査)」と「本審査」の2段階の審査の両方に通る必要があります。
仮審査では、ローンを組む金融機関によって収入などの返済能力やいくらまで融資できるのかなどを審査します。
仮審査に通った後の本審査では保証会社などにより、仮審査の内容確認などが実施されます。
住宅ローン審査の基準は、金融機関により異なるため一定の基準はありません。
しかし、審査で重要視されるポイントは共通してあり、そのポイントをしっかり押さえることが重要なのです。
ここでは、審査に通らないよくある理由を探ることで重要視されるポイントについて解説していきます。
具体的には以下のようなものです。
- 収入が足りていない
- 勤続年数が足りていない
- 借入希望額が大きい
- 物件に問題がある
- 健康に問題があり団体信用生命保険に通らない
- 個人信用情報にキズがある
それぞれ見ていきましょう。
収入が足りていない
- 借入額は年収の5~7倍程度が借入目安
- 不安定な収入形態(歩合制・年俸制など)は不利になりやすい
- 家族構成や支出の多さも考慮される
住宅ローン審査のうえで重要なポイントとなるのが収入です。
借入金額に対して収入が不足していると、そもそも審査を受けられないこともあります。
一般的には、年収の5倍~7倍程度の借入金額が目安といわれているので、参考にするとよいでしょう。
また、年収が高くとも安定した収入が継続的にないといった理由で審査に落ちることもあります。
年俸制や歩合制など収入が不安定な勤務形態も審査に影響する可能性があり、反対に公務員のように解雇されにくい職業であれば有利になるといえるのです。
また、家族が多い場合も支出が多いとみなされ、審査に影響する可能性があるで しょう。
勤続年数が足りていない
- 「3年以上」などの基準を設ける金融機関が多い
- 転職してから半年未満や、開業してから3年未満は不利
勤続年数について「3年以上」などの基準が金融機関によって設けられています。
住宅ローンは返済期間が長期に渡るため、将来的に安定した収入があることが必要となります。
そのため、勤続年数が長い方がそれまでの収入に加え、将来的にも安定して返済できると判断される可能性があるのです。
働き方が多様化している近年では、勤続年数が短い場合でも審査に影響しない金融機関も増えてきている傾向にあります。
それでもまだ、勤続年数を重要視する金融機関は多いといえるでしょう。
フリーランスや独立開業・転職して半年以上たっていない場合も影響する可能性があります。
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借入希望額が大きい
- 年収に対する返済比率(返済負担率)が高いとNG
- 一般的には30%以下、家計に余裕が出る理想は20%以下
「年収に対して借入希望額が大きい」ことも審査に落ちる要因となりえます。
借入希望額については返済比率を押さえておくとよいでしょう。
返済比率
返済比率とは「年収に対して の年間返済額の割合」であり、次の式で求められます。
返済比率が高ければ返済負担が重く滞納するリスクが高いとみなされるものです。
金融機関により基準は異なりますが、返済比率30%以下であることが一つの判断基準となるでしょう。
なお、住宅金融支援機構のフラット35では、返済比率を以下の基準以下にすることが求められます。
年収400万円未満 | 年収400万円以上 | |
返済比率 | 30%以下 | 35%以下 |
なお、上記はあくまでも住宅ローンに通るための返済比率です。
生活スタイルによっては、返済比率30%では生活を圧迫してしまうケースもあるでしょう。
日々の生活費など支出だけでなく、子供の成長に伴う教育費や旅行などの趣味を楽しむ費用・老後のための資金まで考慮する必要があります。
余裕を持てる返済比率は20%程度
理想の返済比率はライフスタイルにより異なりますが、概ね20%以下にできると安心だと言われています。
ご自分の理想の返済比率を知りたいという方は、ファイナンシャルプランナーなど専門家に相談するとよいでしょう。
返済比率の計算では返済額に住宅ローンだけでなく、カーローンや教育ローンなどの他の返済が必要なものの返済額も含まれるので注意が必要です。
返済中の他のローンがある場合は完済するか、住宅購入後に別のローンを借り入れるとよいでし ょう。
住宅ローンの新規申し込み・借り換えは、手軽に一括比較できる「モゲチェック(PR)」がおすすめです。金利の比較もできるので、住宅ローンの利用を考えている方は一度チェックしてみましょう。
物件に問題がある
- 売却してもローン回収できない物件は融資が難しい
- 築年数の古い中古住宅などは減額される可能性がある
物件に問題があって審査に落ちるケースもあります。
金融機関は、万が一返済が滞った場合に備えて、物件に抵当権を設定して担保としています。
担保を設定することで、返済できない状態に陥ったときは、物件を競売にかけてローンを回収できるようになるのです。
そのため、物件の資産価値は審査のうえで重要なポイントとなります。
物件の資産価値が低く、売却してもローンが回収できない金額であれば、審査に落ちたり審査に通っても減額されたりする可能性があるでしょう。
健康に問題があり団体信用生命保険に通らない
- 過去3年の病歴は告知義務あり
- ワイド団信への加入や、団信未加入でも利用できるフラット35が選択肢になる
住宅ローンを組む条件として、多くの金融機関では「団体信用生命保険」への加入が必須となっています。
団体信用生命保険とは、万が一ローンを組んだ本人が死亡や高度障害などで返済できない場合に、ローンの残債を肩代わりしてくれる保険です。
団体信用生命保険への加入には健康状態の告知が必要となり、持病などの健康状態によっては加入できないこともあります。
過去3年ほどの病歴は告知義務があり、同じ病気であっても治療方法や状態によって審査結果が異なる可能性もあるので注意が必要です。
団体信用生命保険に加入できない場合は、持病があっても加入しやすい「ワイド団信」を活用したり、団信への加入が必須とならない「フラット35」を検討したりするのもよいでしょう。
ワイド団信の他には、民間の生命保険を利用して万が一の際に保険金が下りるように対策する方法も有効です。
個人信用情報にキズがある
- 延滞履歴、自己破産、携帯端末代の未払いなど
- 長期延滞の情報は5~7年間記録が残るのが一般的
- 自己破産や任意整理では10年ほど記録されることがある
ローン審査をするときには、個人信用情報機関に照会し個人信用情報を審査されます。
個人信用情報とは、クレジットカードの利用歴やキャッシング・他のローンなどの個人のお金の利用に関する記録のことです。
この個人信用情報に何らかの問題があるとローン審査に通らない可能性があります。
一般的には、クレジットカードやローンの返済延滞の記録や自己破産など、いわゆる「ブラックリスト」と呼ばれる状態では審査にほぼ通らないといえるでしょう。
携帯電話の端末分割払いも対象
また、見落とされがちなのが携帯電話の端末購入代金の延滞です。
毎月に通話料金の中に端末購入代金が分割で含まれている場合、支払いが滞るとその情報は信用情報にも記録され、ローン審査に影響するのです。
クレジットカードの家族カードを子供が勝手に作り、支払いを延滞している場合も注意が必要でしょう。
個人信用情報は、自分で取り寄せて調べられるものです。
延滞などで不安がある場合は、審査の前に取り寄せて確認しましょう。
▼参考(外部サイト)
返済から5年程度は情報が記録される
なお、延滞等の返済が完了してから、5~7年程度で金融事故の履歴は抹消されることが多いです。
自己破産や任意整理の場合、10年程度履歴が保存されることもあります。
その間はローンの申し込みをせず、事故歴がクリアになってから申し込むのが良いでしょう。
審査落ち時の対処法
住宅ローンの審査に落ちてしまうと「もう住宅を購入できないのでは」と不安に思う方もいらっしゃるでしょう。
しかし、住宅ローン審査に一度落ちたからといって、二度と住宅ローンを組めないわけではありません。
正しく対処することで住宅ローンを組めるチャンスはあるのです。
住宅ローンに落ちた場合の対処として次の方法があります。
- 頭金を増やす
- 収入合算する
- 親子リレーローンを利用する
- 太陽光発電の収入を加算する
- 借入希望額を下げる
- 物件を見直す
- 他の金融機関で審査に出してみる
頭金を増やす
頭金を増やす(元々フルローンを希望していた場合は、頭金を準備する)ことで借入額を減らすことができるので、結果的にローンの審査も通りやすくなります。
親族からの贈与であれば贈与税が免除される特例もあるため、両親に頭金を用意してもらうことも検討してみましょう1。
▼関連記事:住宅の購入で親からの金銭支援を受けたら特例が利用できる!上限金額や必要な手続きを解説
収入合算する
一人の収入では不足する場合、収入合算で配偶者や親族の収入を合わせて申告し、お互いが連帯保証人となって住宅ローンを組む方法があります。
借入額を増やせますが、金融機関ごとに条件が異なり、安定した収入が双方に必要です。
もう一つの方法がペアローンです。
同じ物件に対して夫婦それぞれが別の住宅ローン契約を組み、双方が主債務者となります。
メリットは「収入合算より高額な借入が可能」「双方が住宅ローン控除を受けられる」こと。
ただし「契約・諸費用が2本分かかる」「どちらかが返済不能になると相手にも負担が及ぶ」というリスクもあります。
どちらの方法も、長期的なライフプランやリスクを踏まえて選びましょう。
▼関連記事:住宅ローンの「ペアローン」と「収入合算」の違いと選び方を解説します
親子リレーローンを利用する
親と子供で住宅ローンを組んで、先に親が返済し子供が引き継ぐ「親子リレーローン」を検討するのも一つの手です。
例えば、夫婦の内ご主人が個人信用情報にキズがあるようなケースで、奥様と奥様のお父様とで親子リレーローンを検討するといったことが考えられます。
もちろん、単純に収入を合算するための方法として活用するのもおすすめです。
住宅ローンの審査には年齢なども条件になりますが、親子リレーローンでは子供の年齢を見てもらうことが可能です。
住宅ローン審査に通らないときの切り札になることもあるので、覚えておきましょう。
太陽光発電の収入を加算する
金融機関によっては、収入に太陽光発電の売電収入を加算できる場合があります。
例えば、太陽光発電システムを設置することで年間20万円の売電収入を得られる場合、その収入を年収に合算できるのです。
20万円程度では大きな影響がないように思えるかもしれませんが、年収390万円の方が売電収入を合算して410万円になると、金融機関によっては「年収400万円以上」で返済比率の上限が変わるため、借入可能額が大きく変動する可能性があります。
年収400万円以上→返済比率35%
といったように、年収400万円を節目に、上限となる返済比率が異なる金融機関がある。
なお、一般的な戸建て住宅に太陽光パネルを設置する場合、設置費用の相場は100万~150万円程度で、地域によっては補助金が利用できるケースもあります。
ただし、設置費用や補助金の適用条件は 発電量や自治体の制度によって異なるため、事前の確認が必要です。
また、太陽光発電の売電については、固定価格買取制度(FIT)を利用できる期間が満了すると売電単価が下がり、収益性が低下するケースもあります。
さらに、パネルの劣化による発電効率の低下や、メンテナンス費用(清掃やパワーコンディショナーの交換費用など)を考慮すると、必ずしもプラスになるとは限りません。
そのため、導入や売電収入の利用を検討する際には、収益性や回収期間を慎重にシミュレーションし、長期的な収支バランスを確認することが重要です。
借入希望額を下げる
収入や職業などはすぐに変更できるものではありません。
すぐに変更できるものとして借入希望額を下げることを検討するとよいでしょう。
借入希望額が下がることで、返済比率が下がるため年収に見合った価格帯で再検討することで審査に通る可能性があります。
借入希望額を下げる方法として頭金を用意する方法があります。
頭金を増やすことで、購入金額がその分減り借入金額を下げられるでしょう。
ただし、頭金は手元資金から捻出する必要があります。
多すぎる頭金を支払うと貯蓄が減り、その後の生活を圧迫する可能性があるでしょう。
購入後の生活を考えて手元資金をすべて頭金に使わないなど注意が必要です。
▼関連記事:住宅ローンの頭金による金利優遇とは?
物件を見直す
頭金以外で借入金額を下げる方法のとして、物件を見直すことも一つの手段となるでしょう。
年収に見合った価格帯の物件にすることで、借入希望額を下げ住宅ローンに通る可能性があります。
一度気に入った物件があると物件の再検討はしたくないものでもあります。
しかし、住宅ローンが通らなければ、そもそもそれも手に入れられないものです。
家族でよく話し合ってみるとよいでしょう。
他の金融機関で審査に出してみる
ローン審査の基準は金融機関によって異なるものです。
そのため、同じ条件でも審査に落ちる金融機関があれば審査に通る金融機関もあります。
画像出典:スゴい住宅ローン探し(リクルート)より
リクルートが運営するメディア「スゴい住宅ローン探し」の調査によると、複数の金融機関に審査を受けたとき、一部の金融機関で審査落ち(一部で通過)という方が事前審査で13.6%、本審査で6.4%の割合でいたことが明らかになっています。
大手金融機関を落ちたのであれば、ネット銀行や地方銀行・信用金庫など他の金融機関を検討してみましょう。
複数の金融機関に申し込むことで審査に通る可能性があるので、金融機関の選択の幅を広げてみることをおすすめします。

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住宅ローン審査に通らないときのNG行為とは?
一度住宅ローンに落ちたとしても、正しく対処することで住宅ローンを組むチャンスは残っているものです。
しかし、住宅ローンに落ちたときにやってはいけない行動をとってしまうと、そのチャンスもなくなってしまう可能性があります。
住宅ローンの審査に落ちたときのNG行動として次のような行動には注意しましょう。
- 情報の虚偽申告
→後に発覚すれば全額返済を求められる場合あり - 短期間に複数の金融機関へ申し込み
→6か月間は履歴が残るため、期間を空ける - 住宅ローン以外のローンで資金調達
→返済比率が上がり、さらに通りにくくなる
情報を偽る
住宅ローンの審査で、借入状況や収入額などを偽って申告するのは厳禁です。
審査段階で発 覚することも多く、一度虚偽が判明すると今後の審査にも大きな悪影響を及ぼします。
仮に嘘の情報を基に審査を通過して融資を受けても、後から判明すれば全額返済を求められる可能性があります。
延滞などマイナス情報がある場合は、理由を正直に説明すれば考慮されることもあります。正しい情報を伝えることで、営業担当者も改善策を提案しやすくなります。
過去には、不動産会社と購入者が結託して虚偽の収入情報を提出し、行政処分を受けた事例もあります。不正な融資の誘いには絶対に応じないようにしましょう。
短期間に複数の金融機関で審査に出す
ローンの申し込み情報は、申込時点で個人信用情報に記録され、他の金融機関からも確認できます。
そのため、本審査に短期間で何度も申し込むと「落ちた理由がある」と判断されやすく、審査が厳しくなる可能性があります。
この申し込み記録は約6か月間残るため、売買契約後の本審査で落ちたあとは、半年ほど期間を空けてから再申込みするのが安全です。
一方で、仮審査(事前審査)は複数社同時に申し込んでもほとんど影響がありません。
そのため、最初の段階では条件の比較や通過率を上げるために複数社へ仮審査を出すのがおすすめです。
- 申込当初:複数社で仮審査を同時進行
- 本審査:一社ずつ、落ちた後は半年空けて再挑戦
→この際、融資額や物件、他の借入など、落ちた理由を推測して事前に対策した上で申し込む。
▼関連記事:住宅ローン仮審査の申込履歴は6ヶ月残る !再審査の前に確認すべきポイントを解説
住宅ローン以外のローンを複数借りて金策する
住宅ローンに通らないからといって他のローンを利用して購入資金を賄うことをやってはいけません。
個人信用情報では住宅ローン以外のローン情報も記録されているため、他の金融機関であってもローンを借りていることが分かってしまいます。
別のローンを組んでいると返済比率に影響するため、より住宅ローンに通りにくくなってしまいます。
▼関連記事:車や医療ローンは住宅ローンの審査に影響する?審査落ちにならないためのチェックポイントを解説
まとめ
住宅ローンに落ちてしまう理由や落ちたときの対処方法をお伝えしました。
1つの金融機関で住宅ローンの審査に落ちたとしても諦めてはいけません。
落ちた理由を正しく理解し、的確に対処すれば、他の金融機関で審査承認を得られる可能性は十分にあるといえるでしょう。
住宅ローンの審査に通らず悩んでいる方は、本記事の内容を参考になさってください。