「住宅ローンの頭金を多く入れれば、金利優遇が受けられるって本当?」
金融機関によっては、頭金の額によって金利優遇が受けられるケースがあります。
しかし、頭金の額は返済額にも影響するため、どれくらい用意すればいいかは慎重に検討することが大切です。
この記事では、頭金による金利優遇やメリット・デメリット、具体的なシミュレーションなどを分かりやすく解説します。
住宅ローンの頭金を多く入れることで金利優遇を受けられる?
結論を言えば、金融機関によっては住宅ローンの額に応じた金利優遇を適用できる可能性があります。
住宅ローンの頭金とは、家の購入費用のうち自己資金で賄う部分です。
つまり、家の購入額は「頭金+住宅ローン」で賄うため、頭金をいくら用意するかは借入額に関わってくる重要なポイントになります。
頭金は必須ではない
一般的には、住宅ローンの頭金は物件価格の1~2割ほど用意するケースが多いでしょう。
たとえば、物件価格が3,000万円であれば300~600万円を頭金で用意します。
頭金は必ず用意しなければならないものではありません。
一昔前は、頭金を用意するのが当たり前とされていましたが、近年は低金利の影響もあり、頭金なしでフルローンを組むケースも珍しくないのです。
そのため、頭金なしで住宅ローンを組むというのも1つの選択肢です。
しかし、頭金を多く用意することで、住宅ローンの借入条件が優遇されるケースがあります。
頭金を入れると利子負担が減る+金利が下がる場合がある
頭金を多く用意することで、借入額が下がる(=支払利子が少なくなる)などのメリットが生じます。
さらに、金融機関によっては頭金の額によって金利優遇が適用される点もメリットの1つです。
たとえば、全期間固定金利で代表的な商品 である「フラット35」では、融資率(住宅価格に占める借入額)が9割超えと9割以下で、金利は以下のように異なります。
【フラット35】借入期間21年以上35年以下での金利(2025年7月時点)1
融資率 | 金利の範囲 | 最も多い金利 |
9割以下 | 年1.840%~年3.970% | 年1.840% |
9割超 | 年1.950%~年4.080% | 年1.950% |
融資率が9割以下、つまり頭金が多く借入額が少ない借入では、融資率が9割超に比べて金利が0.1%ほど下がっているのが分かります。
フラット35以外にも、頭金を多く入れることで金利優遇を受けられる金融機関は多くあります。
住宅ローンは高額を長期間借入するため、金利が0.1%変わるだけで返済の負担も大きく変わるものです。
金利優遇を受けられれば、トータルの返済の負担も軽減できるので、頭金を多く用意することを検討するとよいでしょう。
【2025年6月】頭金を入れることで金利優遇を受けられる代表的な住宅ローン
ここでは、頭金を入れることで金利優遇を受けられる代表的な住宅ローンをいくつか紹介します。
なお、2025年6月時点の情報であり、今後金利や優遇枠は変更される可能性がある点には注意が必要です。
ARUHIスーパーフラット
ARUHIとは、住宅ローンを専門に扱う金融機関です。
なかでも、全期間固定金利タイプであるフラット35を中心に取り扱って おり、フラット35の実行件数シェアでは2004年から15年連続で1位を獲得しています。
ARUHIスーパーフラットは、フラット35を用いたARUHIのオリジナル商品であり、フラット35よりも低い金利が魅力の商品です。
スーパーフラットの頭金ごとの金利(新規借り入れ/借入期間15~35年)は以下のようになります2。
金利引き下げ期間中(最大) | 引き下げ期間終了後 | |
自己資金5割以上 | 年0.740% | 年1.740% |
自己資金4割以上 | 年0.750% | 年1.750% |
自己資金3割以上 | 年0.760% | 年1.760% |
自己資金2割以上 | 年0.770% | 年1.770% |
自己資金1割以上 | 年0.870% | 年1.870% |
自己資金1~5割毎に金利が異なり、とくに2割を超えると金利の引き下げ率が大きくなります。
住信SBIネット銀行
住信SBIネット銀行は、三井住友信託銀行とSBIホールディングスが共同で設立したネット銀行です。
ネット銀行の利点を活かした使いやすさや、金利の低さ、信頼性の高さなどから、2023年度ネット銀行の住宅ローン新規実行額が1位と、住宅ローンでも高い支持を得ています。
住信SBIネット銀行の住宅ローンの金利(WEB申込コース/変動金利/新規)は以下のとおりです3。
金利 | |
物件価格の80%以下での借入 | 年0.698% |
物件価格の80%超での借入 | 年0.948% |
物件価格の80%以下での借入、つまり頭金を2割用意すれば金利が大幅に下がるのが特徴です。
ただし、変動金利タイプであるため借入期間中に定期的に金利が見直され、変動する可能性がある点には注意しましょう。
イオン銀行
イオングループが運営する銀行であるイオン銀行は、ネット銀行と実店舗型銀行の両方のメリットを活かしており、人気が高い銀行です。
イオン銀行の住宅ローン(全期間優遇金利プラン/変動金利)でも、頭金2割を境に金利が以下のように異なります4