新築では人気が高いタワーマンションですが、中古になると売れにくいといわれることがあります。
しかし、中古のタワーマンションでも対策によってはスムーズな売却が可能です。
この記事では、中古のタワマンが売れない理由や売りにくいタワマンの特徴、売るための対策を分かりやすく解説します。
中古のタワマンは売れない?
タワマン(タワーマンション)とは、一般的に20階以上または高さ60メートル以上の超高層マンションのことをいいます。
不動産経済研究所の「超高層マンション動向2025」 では、2025年以降に完成を予定している20階以上の超高層マンションは全国で約9.7万戸(270棟)となり、2024年に比べ増加傾向です。
さらに、2026年は2.5万戸ほどの増加が見込まれており、今後もタワマンの供給が増えると予測されています。
タワマンは、豪華な共有設備や人気エリアなどの立地が魅力で憧れを抱く方も多く、新築では高い人気があります。
しかし、新築で人気の高いタワマンも中古になると一転、売りにくいといわれてしまうケースが少なくありません。
もちろん、中古であっても立地や状態によっては購入時より高値で売れる可能性もあるでしょう。
反面、条件の悪いタワマンは、毎年のように新築タワマンが建築される状況では、より売却が不利になりやすくなります。
タワマンだから高く売れるとは限らないため、売れない理由や対策を理解しておくことが大切です。
中古のタワマン売れにくいと言われる理由
ここでは、中古のタワマンが売りにくいといわれる理由を解説します。
通常のマンションと比べて価格が高くなりやすい
タワマンは、人気の立地に建築されている、共有設備が充実しているなどの理由で、中古でも資産価値が下がりにくく、一般的なマンションより価格が高くなる傾向にあります。
とくに、駅直結や人気エリアなど条件が良い物件では、築年数が経過しても新築時からそれほど価格が下がらないケースも珍しくありません。
しかし、価格の高さは買い手から避けられる大きな要因です。
築年数の割に価格が高いとなれば、高い中古よりも同じ間取りの通常の新築マンションを選ぶ人も多いでしょう。
また、タワマンのターゲットとなる資金が豊富な人であれば、多少価格の下がった中古よりも新築タワマンを選ぶ傾向もあります。
そのため、中古のタワマンが売れにくくなってしまうのです。
新築のタワマンと比較されやすく設備面などで負けやすい
前述のとおり、新築タワマンは毎年多く供給されており、今後も建築は続くと見込まれています。
中古タワマンは新築タワマンに比べ、設備面などで劣りやすいものです。
近隣に競合の新築タワマンが建築されると条件で比較され、選ばれにくくなります。
とくに、タワマン購入層である富裕層は新築を好む傾向もあるため、中古で設備面が劣ると売れにくくなってしまうのです。
災害に弱いイメージがある
超高層マンションは、高層階ほど地震の揺れを感じやすくなってしまいます。
また、災害時にエレベーターが停止すると高層階になれば階段移動は現実的ではなく、自宅に帰れない、自宅から移動できないといった恐れもあるでしょう。
近年の日本は、住宅に対 して災害リスクの高さを求める人も多いことから、災害に弱いイメージがあることが売れにくさにつながりやすくなります。
ただし、近年のタワマンは地震に強い構造だけでなく、物資を備えているなど災害対策に力を入れているケースも多いものです。
中古タワマンでも災害への備えがしっかりしているなら、その点をアピールすれば売却につながりやすくなるでしょう。
管理費や修繕積立金が高くなりやすい
マンションを購入すると、住宅ローンの返済だけでなく毎月管理費や修繕積立金の負担があります。
タワマンは管理費・修繕積立金が高くなりやすいことから、負担を嫌がる買主から避けられるケースもあるのです。
管理費は、共有部分の修繕や管理に充てられるお金ですが、タワマンは共有設備が充実している分、設備の維持や管理・修繕のための管理費が高くなりがちです。
また、大規模修繕に充てられる修繕積立金についても、特殊な共有設備や高さがあることで大規模修繕の費用がかさみやすく、高く設定されているケースもあります。
▼関連記事:タワマンの管理費・修繕積立金は高額?
買主が「将来売却しにくい」と考えて敬遠されることがある
タワマンを購入する層には、富裕層や投資家など将来の売却を視野に入れている人も多いものです。
しかし、現時点で売りにくい中古タワマンを購入しても、さらに築年数が経過した将来で売却がスムーズにいくとは考えにくいでしょう。
とくに、すでにある程度築年数が経過している、近隣に新築・築浅の競合が多いと、将来売るのが困難になる恐れがあります。
将来の資産性を考えた時に売りにくい中古タワマンは不利になりやすいことから、売却しにくくなるのです。
タワマン特有のコミュニティに不安を感じる人がいる
「タワマン文学」など、SNSで面白おかしく取り上げられている部分もありますが、タワマンには通常のマンションとは異なり、特有のコミュニティが形成されているケースも珍しくありません。
なかには、高層階と低層階で派閥が生まれるケースもあります。
新築タワマンであれば、周りも入居したばかりの人なので、コミュニティ形成初期から関わることができます。
しかし、中古はすでに出来上がったコミュニティに入ることになるため、新たに入ることに不安を感じる人もいるでしょう。
税制改正により以前は使えた節税方法が使えなくなった
相続税対策のために、タワマンを購入するケースもあります。
もともと不動産は、相続税の対象となる「相続税評価額」が現金よりも低くなることから、相続税対策として有効な手段とされてきました。
とくに、タワマンの相続税評価額は階数による差があまりないため、高層階ほど相続税評価額と市場価格が乖離しやすくなります。
その乖離を利用して相続税の節税を行うために、タワマンを購入する富裕層は珍しくなかったのです。
しかし、2024年の税制改正により、マンションの市場価格と相続税評価額が大きく乖離する場合は、補正を加えるルールが設けられました。
これにより、高層階のタワマンを購入しても相続税の大幅な節税効 果が見込めないことから、節税目的の需要が少なくなったこともタワマンの売れにくさにつながっているのです。
売りにくい中古タワマンの特徴
中古タワマンのすべてが売りにくいわけではありません。
立地や条件がよい中古タワマンであれば、高値での売却が期待できます。
一方、以下のような特徴の中古タワマンは売りにくくなるので、対策を講じることが必要です。
- 低階層
- 陽当たりが悪い
- 築年数が古い
- 適切に管理されていない
- 近くに学校がない
それぞれ見ていきましょう。
低階層
高層階は、眺望や陽当たりの良さなどのメリットがあり、人気が高くなります。
一方、低層階はそれらのメリットを得にくく、近隣の高い建築物があるとより陽当たりや眺望は悪くなります。
さらに、低層階はセキュリティ面の不安や高層階へのコンプレックス、地上の騒音が気になるなどで人気が低くなりがちです。
▼関連記事:タワマンの低層階はメリットも多い!高層階には無い魅力を解説
陽当たりが悪い
陽当たりの悪い居室は、日中でも暗く照明が必要、ジメジメしやすい、冬場に寒くなりやすいなどのデメリットから、避けられやすくなります。
基本的にタワーマンションは、周囲の建物より高いため、陽当たりは確保しやすいのが特徴です。
しかし、高層階に比べて低層階は陽当たりが悪くなりがちです。
また、階数だけでなく方位や周囲の建物の高さも陽当たりに影響します。
高層階の北向きよりも中層階の南向きの方が人気は高いケースもあるので、階数が高いから売れやすいとはならない点に注意が必要です。
築年数が古い
マン ションは築浅の方が人気は高く、反対に築年数が古くなると、設備が最新のものでない、共有部分が劣化しているなどで人気が下がりやすくなります。
また、マンションの場合、10~15年毎を目安に大規模修繕工事が行われる点にも注意が必要です。
この時期のマンションを購入すると、修繕積立金の状況によっては値上げされる、一時金を徴収される恐れがあります。
とくに、タワマンでは大規模修繕工事の費用も高額になるため、築年数によっては修繕積立金の値上げや一時金の支払いを懸念して避けられる恐れがあるでしょう。
▼関連記事:マンションの築年数は売却価格にどう影響する?相場と売り時を解説
適切に管理されていない
マンションは管理を買えといわれるほど、管理状況が売却にも大きく関わってきます。
適切に管理されていないタワマンは、共有部分が修繕できていないなどで不便さを感じる恐れがあります。
また、適切にメンテナンスされないことで資産価値が下がりやすい点にも注意が必要です。
近くに学校がない
タワマンは、子育て世帯がメインのターゲットです。
子育て世帯は学区や通学路、近隣の教育施設など教育環境を重視するケースも珍しくありません。
そのため、近くに学校がないと子育て世帯からの需要が低くなります。
仮に、近くに学校がある場合でも、タワマンがあると近隣の学校が定員に達してしまうケースがあります。
近くに学校があっても入学できないとなれば、わざわざ遠くの学校に行く必要があるため、 別のマンションを検討する可能性が高くなるでしょう。
基本的にマンションに住む人は、近隣の学校への入学を検討しているものです。
そのため、近隣の学校の有無や定員状況はチェックしておくことをおすすめします。
売れない中古のタワマンを売るための対策
条件の悪いマンションは、そのままだと売却が難しくなるので対策が欠かせません。
ここでは、売れない中古マンションを売るための対策を解説します。
一般的なマンションより割高すぎると思われない価格にする
タワマンだからという理由で価格を高く設定すると、買い手から避けられやすくなります。
とくに、近隣に通常のマンションがある場合、同じ価格なら通常マンションの方が条件は良く、同じ間取りなら通常マンションの方が安い傾向があります。
中古マンションは近隣の通常マンションと比較されやすいので、通常マンションの相場も踏まえて適切な価格設定をすることが大切です。
ただし、安くし過ぎると、売却しても損失が出る・事故物件を疑われるといった恐れもあります。
ローン残債などから、いくらで売らないといけないのかを明確にしたうえで、査定額などを踏まえて不動産会社と相談しながら設定すると、売りやすい価格を付けやすくなるでしょう。
タワマンの売却実績豊富な不動産会社に売却を依頼する
不動産会社には得意不得意があるので、タワマンを売るならそのエリアのタワマン売却の実績が豊富な不動産会社を選ぶことが重要です。
実績豊富な不動産会社であれば、タワマンの販売ノウハウ があるので、適切な販売戦略によるスムーズな売却が期待できます。
不動産会社を選ぶ際には、複数の不動産会社の査定額や実績などをチェックして、信頼できる不動産会社を選ぶようにしましょう。
築年数が古くなる前に売却する
中古マンションは、築年数が浅いほど需要が高くなります。
スムーズに売却したいなら、築年数が経過する前に売却を検討するほうがよいでしょう。
しかし、所有期間5年以下での売却は売却利益にかかる税金の税率が高くなり、税負担が大きくなります。
物件の所有期間が5年を超える場合の長期譲渡所得が適用されれば、利益部分にかかる税率がおよそ半分になる。
税金も含めた売却時期を検討する必要があるので、売却タイミングに悩む場合は一度不動産会社に相談するとよいでしょう。
ホームステージングを活用する
ホームステージングとは、プロがインテリアをコーディネートしてモデルルームのような室内を演出してくれるサービスです。
ホームステージングを活用すれば、広告の写真や内覧時の印象をアップできるため、成約につながりやすくなります。
不動産会社の中には、ホームステージングのサービスを提供しているケースもあるので、相談してみるとよいでしょう。
買取を検討する
買取とは、不動産会社が直接不動産を購入する売却方法です。
一般的な売却方法である仲介は、広告などで買主を探す必要があり、条件が悪いと買主がなかなか現れません。
一方、買取であれば不動産会社との交渉のみで売却できるので、1ヵ月程度と短期間での売却が可能です。
また、売却にあたりリフォームも必要ないので、築年数が古いタワマンでもコストを抑えて売却できます。
ただし、買取は仲介よりも売却額が下がる点には注意が必要です。
不動産会社が買取して再販売する際のコストや利益を差し引いた金額で取引されるため、仲介よりも金額が安くなる。
買取か仲介かで悩む場合は、一度両方の査定を受けて売却方法を決めるとよいでしょう。
イエウリでは、仲介だけでなく買取の一括査定にも対応しています。
査定依頼時には不動産会社に個人情報が伝わらないため、営業されるといった心配もありません。
いくらで売れるのか知りたい、仲介か買取かで悩んでいるといった方は、ぜひお気軽にイエウリの査定をご利用ください。
まとめ
中古タワマンは、価格の高さや新築タワマンと比較されやすいなどの理由で、売れにくいケースがあります。
とくに、築年数が古い、低階層、陽当たりが悪いといった中古タワマンは売りにくくなりやすいので、しっかり対策して売却を進めることが重要です。
売りにくいタワマンをスムーズに売るには、経験豊富で信頼できる不動産会社のサポートを得ることが欠かせません。
査定時にはできるだけ多く依頼し、査定額や実績などからあなたのタワマンにぴったりの不動産会社を選ぶと、売却を成功 しやすくなるでしょう。