近年、独身でマンションを購入する人は増えています。
家賃並みのローン返済額で購入できる物件も多く、「払うなら自分の資産に」と考える方も少なくありません。
しかし、大きな買い物だからこそ「買わなければよかった……」という後悔も起こり得ます。
特に独身の場合、ライフスタイルの変化や将来設計の見通しが不十分だと、損失や生活の不便さにつながることも。
この記事では、独身でマンションを購入して後悔しがちな事例と、その回避方法、購入のメリット・デメリットをわかりやすく解説します。
独身でマンションを購入すると後悔するよくある事例
まずは、独身でマンションを購入して後悔するよくある事例をいくつかみていきましょう。
気軽に引っ越しできなくなる
マンションを購入すると、賃貸のように容易に引っ越せなくなります。
独身のうちは転勤や転職、別の場所に住みたくなったなどで引っ越しが必要になるケースも多いでしょう。
持ち家で引っ越しが必要になると、売却や貸し出しなどを検討することになり、手間や時間がかかります。
状況によっては、引っ越しできないことで出世のチャンスを逃すケースもあるでしょう。
反対に、引っ越しするためにマンションを手放すとなると、「せっかく購入したのに」と後悔するケースもあります。
将来結婚すると独身時代に購入したマンションが手狭になる
生涯独身と思ってマンションを購入しても、その後の人生で何があるかは分かりません。
縁に恵まれ結婚するとなれば、独身用マンションでは手狭になり住み替えが必要です。
また、結婚に限らず親との同居が必要になったなどでライフスタイルが変わり、マンションが手狭になるケースがあります。
婚活で不利に働く
独身のうちにマンションを所有していることが、婚活に影響するケースもあります。
マンションを購入していることで、住宅ローンの支払いを抱えている、生活拠点がすでに決まっているというイメージで避けられるケースがあるのです。
もちろん、相手によってはマンションを所有していることが魅力に映るケースもあるため一概には言えませんが、マイナス要因になりかねないことは覚えておきましょう。
住宅ローンを組むため他のローンが組みにくくなる
住宅ローンを含めたローンの借入限度額は、返済比率に左右されます。
返済比率とは、年収に占める年間の返済額の割合です。
そのため、住宅ローンを組んでいることで別のローンが組みにくくなる恐れがあります。
とくに、住宅ローンを上限額ギリギリで組んでいる、住宅ローン契約後に年収が下がったとなると追加のローンは難しいでしょう。
独身のうちは、マイカーローンやショッピングローンなどローンを組むケースも多く、その際に不利になることで後悔するケースがあります。
マンションが住宅街にあり商業施設が遠い
マンションの立地をよく検討せずに後悔するケースも多いものです。
マンションは、駅近や商業施設に近いほど価格が高い傾向があるため、価格を重視して駅から離れたエリアや住宅街を検討するケースもあります。
また、駅近は利便性が良い反面、人手が多く騒がしいこともあるので、静かな環境を求めて住宅街を選ぶ人もいます。
しかし、住宅街にしたはいいけど商業施設が遠く、日常の買い物や週末のショッピングで不便を感じて後悔するケースもあるので注意しましょう。
隣人とトラブルに発展した
マンションは戸建てに比べ、上下左右を近隣に囲まれており距離も近いことから隣人トラブルが起きやすい傾向があります。
マンションでよくある近隣トラブルが、騒音問題です。
隣人の生活音が気になるだけでなく、自分が気付かぬうちに迷惑をかけ隣人トラブルに発展するケースは珍しくありま せん。
マンションの隣人とトラブルになると解決が難しいだけでなく、容易に引っ越しもできないことから日々の生活にストレスを抱えてしまい後悔につながってしまうのです。
収入が下がったが一度上がった生活レベルを下げにくい
独身のうちは転職するケースも多く、そのことで収入が下がる場合があります。
また、転職でなくても会社の業績不振や市場の悪化など、予期せぬことで収入が下がるケースもあるでしょう。
収入が下がり住宅ローンの返済が厳しくなると、マンションを売却し賃貸などを検討することになりますが、この際に一度マンション生活を経験したことがマイナスに影響するケースがあります。
分譲マンションは賃貸マンションやアパートに比べ、設備や立地などが良いケースが多いものです。
そのため、一度分譲マンションの快適さに慣れてしまうとその生活レベルを下げるのが難しくなる人もいます。
しかし、分譲マンションと同レベルの賃貸となれば家賃がかなり高額になってくるものです。
このように、生活レベルが上がることで後悔するケースもあることは覚えておきましょう。
売却代金で住宅ローンを完済できず売却できない
転勤や住宅ローンの返済が厳しいなどでマンションの売却が必要になった場合でも、住宅ローン残債があると売却できない恐れがあります。
マンションを売却するには、住宅ローンの完済が必要です。売却金でローンを完済できる場合は問題なく売却できます。
しかし、売却金だけで完済できないとなれば、自己資金や援助などで補っての完済が必要です。
さらに、どうしても完済できないとなれば売却できません。
とくに、以下のケースでは売却金だけでは住宅ローンの完済が難しい可能性があるので注意しましょう。
- マンションを新築で購入した
- 諸費用込みで住宅ローンを組んでいた
- 住宅ローンを組んでからそれほど返済が進んでいないときの売却
マンションは新築直後に大きく価格が下がるため、新築で購入すると売却金よりもローン残債が大きくなりやすいので注意が必要です。
住宅ローンを完済できない場合、売却を諦めるか住宅ローンが滞ってから任意売却を検討することになるため、後悔する恐れがあります。
売りに出したが買い手がつかない
利便性が悪い立地や築年数が古いなどで、いざ売り出しても売却がスムーズにいかないことで後悔するケースもあります。
独身のうちは転勤などでマンションを手放す可能性は十分あるため、将来売却も視野に入れたマンション選びをすることが重要です
▼関連記事:資産価値の高いマンションの特徴
独身でマンションを購入して後悔しないための対策
独身でのマンション購入を後悔しないためには、マンション選びが重要になってきます。
ここでは、後悔しないための対策をみていきましょう。
立地をよく調べる
マンションを購入する際は、マンション自体だけでなく、交通アクセス、周辺施設、治安などの周辺環境もしっかりリサーチすることが重要です。
リサーチする際には実際に自分の足で歩いてチェックすると、情報だけでは分からない部分も見えてくるでしょう。
また、一度だけでなく時間帯を変えて複数回チェックするのもおすすめです。
周辺環境をしっかりチェックしておくと、購入後に生活しにくかったという後悔を防ぎやすくなります。
将来賃貸や売却しやすい物件を選ぶ
独身のうちは、転勤や家族構成の変化などでマンションを手放す可能性も十分あるため、将来の売却まで視野に入れて物件を選ぶことが重要です。
資産価値が落ちにくく将来も需要の高いマンションを選べば、いざというとき売却や賃貸の活用がしやすくなります。
将来、売却や賃貸の活用がしやすい物件の特徴は以下です。
- 利便性が高い立地
- 管理状況が良い
- 築年数が浅い
- エリアのニーズに合っている間取り
- 人口増や再開発が予定されているエリア
仮に、将来売却や賃貸に出す必要がなくても、上記のようなマンションであれば資産価値が下がりにくく、相続させたとしても相続人が活用しやすくなります。
将来の売却や賃貸を見越して、立地や将来性、ニーズなども加味してマンションを選ぶようにしましょう。
相続予定の実家がある場合は取り扱いを決めておく
マンション購入後に実家を相続することになると、マンションか実家のどちらかを手放す必要が出てくるでしょう。
マンションに住んだまま活用予定のない実家も所有となると、実家を管理する手間や費用がかかります。
事前に実家を相続することが分かっていれば、そもそもマンションを購入しない、将来実家への住み替えを考慮したマンションの購入という選択が可能です。
そのため、家族間で親の介護や施設入所が必要になった時の実家の取り扱いや、将来誰が実家に住む可能性があるのかなどを話し合っておくとよいでしょう。
また、相続人が自分以外にもいると、どのように実家を相続するかでも揉めやすい点にも気を付けなければなりません。
相続予定の実家がある場合は、事前に以下のような対処を検討しておくことで相続時のトラブルを避けやすくなります。
- 相続する前に売却する
- 生前贈与しておく
- 相続人を特定して遺言書を作成してもらう
どのような対策が合っているかは個々の状況で異なりますが、いずれにせよ家族全員での話し合いが必要です。
実家の取り扱いを決めておくと、マンション購入後に実家も相続という事態を防げるでしょう。
隣人トラブルはないかよく確認する
マンション購入後に近隣トラブルになっても簡単には引っ越せないため、生活の大きなストレスになりかねません。
事前に、マンションで何かトラブルがないか、隣人がどのような人かはチェックしておくことが大切です。