「シングルマザーだと、マンションを購入するのは難しそう…」と思っていませんか?実は、シングルマザーでも、条件が整えば住宅ローンを利用してマンションを購入することは可能です。
当記事では、シングルマザーがマンション購入を考える時に知っておくべき基礎知識や、押さえておきたいポイントを詳しく解説します。
シングルマザーでもマンション購入はできる
住宅ローンを組むのに、シングルマザーかそうでないかは関係ありません。条件さえ揃えば、ローンを組んでマンションを購入することは十分に可能です。
また、自治体や金融機関では、シングルマザー向けの支援制度も提供しています。それらを利用することで、マンション購入後のローン返済もしやすくなるでしょう。
ただし、マンション購入では、シングルマザーだからこその注意点もあります。これらを押さえておくことで、マンションの購入もスムーズになります。
シングルマザーがマンションを購入するメリット・デメリット
住宅ローンを組んでマンションを購入することで、様々なメリットが得られます。しかし、一方で対策を講じておいた方が良いデメリットもいくつかあります。
以下では、シングルマザーがマンション購入を検討しているなら、押さえておきたいメリット・デメリットを詳しく解説します。
シングルマザーがマンションを購入するメリット
シングルマザーがマンションを購入することで、次のようなメリットが得られます。
- 安定した住環境を確保できる
- 将来の財産を築くことができる
- セキュリティが整っている
以下で詳しく解説します。
安定した住環境を確保できる
住環境の選択肢には、マンションや一戸建ての購入と賃貸住宅の2種類があります。
賃貸住宅では 、契約更新や家賃の値上がりといった不安があります。さらに、子供の成長に合わせて引っ越しを繰り返すことになれば、子供にとって大きな負担になるでしょう。
一方で、マンションを購入すれば契約の更新や家賃の値上げの心配をする必要がなくなります。
家賃の代わりに住宅ローンの返済はありますが、完済というゴールがあるため精神的に楽なのもポイント。
なにより、返済が終われば老後の住まいの心配がなくなり、親子共に安定した生活が手に入る点も大きなメリットです。
財産として残したり売却や貸し出しができる
マンションを購入してローンを完済した後は、その物件が財産として残る点もメリットです。
例えば、再婚をするなどして購入したマンションに住む必要がなくなったら、売却してまとまった資金を得ることが可能です。
立地条件が合うのであれば、賃貸住宅として貸し出すことで安定した収入源を確保することもできます。
そして、購入したマンションは資産として子供に残せるのが最大の利点です。マンションを引き継いだ子供は住み続けても良いし、賃貸にしたり売りに出せるなど、状況に合わせて選択肢が広がります。
セキュリティが整っている
マンションを購入することで、セキュリティ面で安心できるのもメリットのひとつです。一戸建ては、どうしても空き巣などが侵入しやすい窓が多いため、防犯面で不安があります。
一方、マンションであれば、オートロックや防犯カメラ、警備会社との提携といった防犯設備が整っている物件が多いのが特徴です。
また、マンションによっては24時間体制で管理人が常駐しているケースもあります。不審者の侵入を未然に防ぐだけでなく、緊急時にも迅速に対応してくれるのもメリットです。
シングルマザーがマンションを購入するデメリット
シングルマザーがマンション購入することで多くのメリットがある一方で、次のような注意すべきデメリットもあります。
- 経済的負担が大きい
- 予期せぬ事態への対応が難しい
- 慎重に物件を選ぶ必要がある
以下で詳しく解説します。
経済的負担が大きい
シングルマザーがマンションを購入すると、経済面で大きな負担がかかる恐れがあります。
例えば、マンションの購入には主に次のような費用がかかります。
- 頭金
- 融資手数料
- 住宅ローンの返済
- 固定資産税
- 管理費
- 修繕積立金
- 登記費用
- 不動産取得税
- 各種保険料
この他にも様々な支払いにかかる費用を準備しなければいけません。収入が安定しているうちは、住宅ローンの返済をしていても自己資金が不足することはないでしょう。
しかし、転職や退職、病気や怪我などで収入が減少すると、支出が増えてしまいローン返済が家計を圧迫する恐れがあります。金銭的な余裕がない場合、生活費や教育費などに多大な影響を与えるかもしれません。
また、共働き世帯であれば夫婦の収入を合算して返済する「ペアローン」が利用できます。しかし、シングルマザーではペアローンが使えないため、共働きと比べて返済の負担が大きいのもデメリットです。
予期せぬ事態への対応が難しい
マンションを購入でき たとしても、十分な貯蓄がないと予期せぬトラブルに対応するのは難しいことがあります。
例えば、病気やケガといった予測不可能なトラブルが発生した際、働けない期間が続くと収入源を失う可能性があります。自己資金が不足すると、医療費や療養中の生活費を捻出するのが難しくなります。
また、家具や家電、自家用車などが故障した場合にも、十分な貯蓄がないと対応できません。特に水漏れや給湯器の故障は早期に修理が必要な箇所です。
このようなトラブルに即座に対応するためにも、節約をするなどして貯蓄をしておく必要があります。
物件の価値が下がる可能性がある
マンションは財産として後々現金化したり、賃貸として貸し出して収益を得ることができます。しかし、次のような理由で物件の価値が下がる可能性があります。
- 築年数による老朽化が激しくなった
- 地域の不動産相場が下落している
- 地域の人口が減って空き家が増えた
- 新築の物件が増加している
- 学校や病院などの施設が閉鎖された
- マンション周辺の治安が悪化している
このような理由から、購入したマンションの価値が下がってしまいます。
その結果、現金化しようとしても理想通りの価格で売れない、もしくは賃貸として貸し出しても条件が合わず、なかなか借り手が見つからないといったデメリットがあります。
シングルマザーが知っておきたい住宅ローンの基礎知識
マンションの購入を検討しているシングルマザーの多くは、住宅ローンを組もうと考えているのではないでしょうか。しかし、シングルマザーで も住宅ローンを組めるのか心配している人も多いはずです。
実は金融機関では、シングルマザーかどうかよりも、以下の基準を満たしているかで住宅ローンの申込者を評価しています。
- 完済時年齢
- 健康状態
- 借入時年齢
- 年収
- 勤続年数
- 返済負担率
- 担保評価
- 金融機関の営業エリア
- 連帯保証
- 国籍
- 雇用形態
- 融資可能額(融資率)①購入の場合
- 融資可能額(融資率)②借換えの場合
- カードローン等の他の債務の状況や返済履歴
- 申込人との取引状況
- 業種
- 家族構成
- 雇用先の規模
- 所有資産
- 性別
- その他
参考:国土交通省「令和5年度 民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書」
国土交通省の調査によると、金融機関では住宅ローンを完済する年齢を最も重視しているそうです。次いで申込者の健康状態や借り入れる年齢、年収、勤続年数と続きます。
シングルマザーの女性が不安に感じている家族構成や性別よりも、住宅ローンを無理なく返済できるかに重点が置かれていると言えるでしょう。
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審査で特に重視される5つのポイント
シングルマザーが住宅ローンを考える時、まず押さえておきたいのが「審査基準を理解すること」です。
金融機関によって審査の基準や重視するポイントは異なるうえに、具体的に公表していない場合も少なくありません。ですが、多くの金融機関では、以下の項目を特に 重視しているとされています。
- 健康状態
- 年収
- 勤続年数
- 返済負担率
- カードローン等の他の債務の状況や返済履歴
以下では、金融機関が住宅ローン審査で特に注目する項目について詳しく解説します。こ
健康状態
住宅ローンの審査では、多くの場合「団体信用生命保険(団信)」への加入が求められます。
特に民間金融機関の住宅ローンでは、多くが団信への加入を求められます。
団信に加入しておけば、申込者が死亡または高度障害になった場合に、保険金で残りのローンを完済してもらえます。家族が自宅を手放さずに済むためにも、団信の加入は必須と言えるでしょう。
ただし、団信に加入するには、健康状態の審査をクリアする必要があります。持病があるなど健康状態に不安がある場合は、加入を断られることがあります。
これらの理由から、住宅ローンの審査では、申込者の健康状態が重視される傾向にあります。
年収
金融機関では、住宅ローンの申込者に安定した収入源があるかもチェックされます。
各金融機関によって異なりますが、年収の5~8倍程度を借入可能額としているケースが一般的です。ただし、申込者の収入に対する返済額の割合(返済負担率)によっては、借入可能額が制限されることもある点に注意しましょう。
以下は年収400万円から700万円の場合の借入可能額の目安例です(年収の5~8倍で計算)。
年収 | 借入可能額 (年収の5倍) | 借入可能額 (年収の8倍) |
400万円 | 約2,000万円 | 約3,200万円 |
500万円 | 約2,500万円 | 約4,000万円 |
600万円 | 約3,000万円 | 約4,800万円 |
700万 円 | 約3,500万円 | 約5,600万円 |
借入可能額を判断する際は、返済負担率(毎月の返済額÷年収)も重要です。以下は、返済負担率を30%と仮定した場合の月々の返済額目安です。
年収 | 月々の返済額目安 (返済負担率30%) | 年間返済額 |
400万円 | 約10万円 | 約120万円 |
500万円 | 約12.5万円 | 約150万円 |
600万円 | 約15万円 | 約180万円 |
700万円 | 約17.5万円 | 約210万円 |
余裕を持って住宅ローンを返済できる収入があれば、シングルマザーでも審査に通る可能性は十分にあります。
上記のローンシミュレーターでは、購入物件の価格、頭金、金利、借入年数に任意の数値を入力して、月々の返済額や総返済額のシミュレーションが可能です。
なお、実際の費用負担を考える際は管理費・修繕積立金も考慮する必要があり、これらの費用は築年数の経過に伴って値上がりするケースがある点にも注意しましょう。
勤続年数
勤続年数は、申込者の収入が安定しているかを判断する基準の一つです。一般的に、同じ会社で2年以上勤務をしていれば審査を通過しやすくなるといわれています。
ただし、基準をクリアできるほどの高い収入を得ているのであれば、勤続年数が短くても審査に通れる可能性があります。
また、転職した直後は収入が安定しないと判断されがちです。しかし、転職して現在よりも収入アップが見込める、もしくは現在と同じ業界への転職であれば、スキルや経験が活かせると判断されるため審査に有利に働くこともあります。
返済負担率
返済負担率とは、年収に対する住宅ローンの年間返済額の割合です。一般的に、返済負担率が30~35%以下であれば審査に通過しやすいとされています。
金融機関が返済負担率を重視するのは、借主が無理なく返済を続けられるかどうかを判断するためです。
返済負担率が高すぎるとローンの返済が滞るだけでなく、 借主の生活にも支障をきたす恐れがあります。
自身の返済負担率が適正かを知るために、以下の式に当てはめて計算してみましょう。
例えば、年収が400万円で年間返済額が100万円の場合。
返済負担率が30%以内に収まっているため、審査基準をクリアできる可能性が高いといえます。
カードローン等の他の債務状況や返済履歴
住宅ローン審査では、複数の債務を抱えていないか、過去に滞納などをしていないかなども評価の対象となります。
例えば、クレジットカードのリボ払い残高やカードローンの借入残高が多いと、返済負担率が高くなり住宅ローンの返済が困難とみなされます。
他にも自動車ローンや教育ローンも借り入れている場合、さらに住宅ローンの審査は厳しくなるでしょう。
また、金融機関は信用情報機関を通じて、申込者の過去の返済履歴をチェックします。信用情報機関には、クレジットカードやローンの利用履歴、支払い状況、延滞記録などが記載されています。
過去にローンの返済を延滞していたり、債務整理のために自己破産をしていると、住宅ローン審査を通過するのが難しくなります。
シングルマザーが利用できる貸付制度
住宅ローンの審査に通過できたとしても、ローンの返済で家計が圧迫されては元も子もありません。そこで、家計の負担を減らしつつ、無理なく返済を続けるためにも以下でご紹介する貸付制度を活用しましょう。
母子父子寡婦福祉資金貸付制度
母子父子寡婦福 祉資金貸付制度は、ひとり親世帯を支援するために設けられた公的制度です。住宅購入はもちろん、様々な用途で使うことができるため、シングルマザーのローン返済や普段の生活の助けとなるでしょう。
特別:2,000,000円
据置期間:6ヶ月
償還期間:6年以内
特別:7年以内
利率:(保証人有)無利子
(保証人無)年1.0%
母子父子寡婦福祉資金貸付制度は、各自治体で条件等が異なるため、事前に確認してください。
シングルマザーがマンション購入で注意したい5つのポイント
金融機関の審査を通過することができれば、シングルマザーであっても住宅ローンは組めますし、マンションの購入も十分可能です。
しかし、マンションであればどこでも良いというわけではありません。シングルマザーだからこそ、次のポイントを押さえながらマンションを選びましょう。
- 返済負担を無理なく抑える計画を立てる
- 子育てに有利な立地を選ぶ
- マンション購入後にかかる費用を把握する
- セキュリティ面を重視して物件を選ぶ
- 生活環境の変化も考慮する
以下では、シングルマザーがマンション購入で特に注意してほしい5つのポイントをご紹介します。
返済負担を無理なく抑える計画を立てる
シングルマザーがマンションの購入を検討するなら、無理のない返済計画を立てることを最優先にしましょう。
生活費以 外にも、育児や教育費といった固定支出が多い中で、住宅ローンの返済が増えると生活を圧迫しかねません。
家計負担の増加を避けるためにも、返済負担率は年収の25%程度を目安に設定しましょう。
子育てに有利な立地を選ぶ
マンションを選ぶ際は、子育てに有利な立地を選びましょう。例えば、育児と仕事が両立しやすいように、近くに保育園や学校、児童館があるかをチェックします。
さらに、駅やバス停が徒歩圏内にあると、通勤や子供を連れての移動がしやすくなるのでとても便利です。
加えて、病院やスーパーなどの医療機関や商業施設が近隣にあれば、いざという時や毎日の買い物もスムーズに行なえます。
すべての希望条件を満たす立地のマンションは、物件価格が高すぎて購入できない可能性もあるでしょう。
物件探しの際は中古マンションも視野に入れたり、自分が重視する条件を絞り込んだりすることで、選択肢が広がります。
マンション購入後にかかる費用を把握する
マンションを購入した後は、住宅ローンの返済だけでなく以下のような費用が発生します。
- 管理費:毎月1~2万円
- 修繕積立金:毎月1~2万円
- 駐車場代:毎月5,000円~
- 施設使用料:毎年1万円~
- 各種保険料:毎年1万円~
- 固定資産税・都市計画税:毎年評価額に応じて決定
子供の人数によっても変わりますが、シングルマザー世帯の平均的な毎月の生活費は23万円以上といわれています。これにローン返済など毎月・毎年の支払いが加わります。
これらの費用を事前にしっかり把握し、無理なく支払い続けられる計画を 立てることで、マンションでの安定した生活を維持できるでしょう。
また、最近は管理費・修繕積立金の滞納者が出ているマンションが増加しており、他の入居者への負担が大きくなりかねないことが問題視されています。
中古マンションを選択する場合は管理状況についても、不動産会社や管理組合に確認するなどしてチェックしておきましょう。
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セキュリティ面を重視して物件を選ぶ
シングルマザーや子育て世帯にとって、子供が安全に暮らせる環境が何より大切なはずです。
そのためにも、マンションを購入する際はモニター付きインターホンや防犯窓・二重ロック、オートロック機能の有無、エントランスや駐車場、共用施設に防犯カメラが設置されているかを確認しましょう。
また、マンションの防犯だけでなく、周辺の治安も重要です。街灯が適切に配置されているか、人通りは多いか、近隣に交番があるかをチェックする必要があります。
子供が安心して暮らせるように、マンションだけでなく近隣の安全性も高い物件を選びましょう。
生活環境の変化も考慮する
マンションを購入するなら、生活環境が変わっても安心して暮らせる物件を選びましょう。
例えば、間仕切りが変更できる間取りや部屋数が多いマンションなら、子供の成長に合わせて部屋を作ったり、再婚や親との同居で家族が増えた場合にも対応できます。
また、老後まで住み続けることを考えると、エレベーター付きのマンションやバリアフリー対応の物件がおすすめです。段差が少ない設計なら、年を重ねても安心して生活できます。