「隣の土地は借金してでも買え」という言葉があるように、隣地購入は資産価値の向上や利便性の向上に大きく貢献する可能性があります。
しかし、実際に購入を検討する際には、隣地の状態や相場、交渉の難易度などをしっかり把握し、自分にとって本当に価値のある選択なのかを見極めることが重要です。
また、隣の土地を買うことで、交渉や管理、税金などの負担も伴います。
この記事では、隣の土地を買うメリット・デメリットや注意点、スムーズに取引を進めるためのポイントを詳しく解説します。
隣地購入を検討している方はぜひ参考にしてみてください。
隣の土地を買うメリット
隣の土地を買うメリットは主に以下の3点です。
- 土地条件が良くなる
- 幅広く土地を使えるようになる
- 相続税対策になる
それぞれを詳しく解説します。
土地条件が良くなる
隣の土地を購入することで、現在の土地条件が良くなるのが大きなメリットです。
例えば、所有する土地が不整形地の場合、隣地を併せることで整形地となり建築や活用の幅が広がります。
また、隣地が幅広い道路に面している場合は容積率が増加し、建物の延床面積を拡大できるケースもあります。
幅広く土地を使えるようになる
隣の土地を購入することで所有する敷地が広がるため、土地を幅広く使えるようになります。
例えば、現在の土地が狭くて建物の増築や庭の拡張が難しい場合でも、隣地を買えばこれらが可能になります。
また、土地の形状が整うことで建築の自由度が増すため、理想的な住まいや施設の建設が実現しやすくなるのも大きなメリットです。
相続税対策になる
隣の土地を購入することで相続税対策に有効です。
現金をそのまま保有していると相続時に高い税負担が発生します。しかし、現金を不動産に変えると評価額が現金より低くなるため、相続税の負担を軽減できます。
例えば、1,500万円の現金を相続する場合、その全額が課税対象です。
一方、同額の土地を購入し、その評価 額が1,200万円であれば課税対象は1,200万円となり、相続税の負担が減少します。
相続税の計算には「路線価」が用いられますが、これは市場での実際の取引価格(実勢価格)よりも低く設定されています。
相続税路線価は、実勢価格よりも低い額で算出されるケースが多い。
この差を利用し、実勢価格よりも低い評価額で相続税を計算できるため、税負担を軽減できます。
隣の土地を買うデメリット
隣の土地を買うデメリットは以下の3点です。
- 隣地所有者と交渉しなければならない
- 管理の手間が増える
- 税金負担が増える
メリットと併せて確認しておきましょう。
隣地所有者と交渉しなければならない
隣地所有者と交渉しなければならないのが大きなデメリットです。
交渉時には以下の点において難航する可能性があります。
- 売却意思の不明確さ
- 価格設定の難しさ
- 感情的な要素
そもそも、隣地所有者に土地を売る意思があるかどうかを確認しなければなりません。
また、所有者によっては価格を高く設定してくるケースもあるため、周辺相場よりも高い価格で購入しなければならない可能性も考えられるでしょう。
ほかにも、隣人との関係性も売買に関係してくるため、普段からの付き合いなどが影響してきます。
なお、隣地の所有者が住んでおらず、登記情報から所有者を確認しても連絡できる手段が無いといった場合は「所有者不明土地・建物管理制度」を利用して購入できる可能性があります。
▼関連記事:所有者不明土地を購入する流れ
管理の手間が増える
管理の手間が増える点にも注意が必要です。
例えば、土地購入後は草刈りや清掃などを定期的におこなう必要 があり、これらを怠ると景観の悪化や近隣トラブルの原因となる可能性があります。
専門業者へ管理委託できますが、委託料として費用が発生します。
隣の土地を買う際は、管理の手間が増えることに注意しましょう。
税金負担が増える
隣の土地を購入すると、固定資産税や都市計画税などの税金負担が増加します。
固定資産税と都市計画税は、土地の評価額に基づいて計算され、所有する土地が増えるとその分税額も増加するのが特徴です。
さらに、隣地を購入してもすぐに活用できない場合、未利用地として高い税率が適用されることもあります。
隣の土地を買った方がよいケース
隣の土地を買った方がよいケースは以下の2点です。
- 現在の土地が狭い場合
- 旗竿地の場合
それぞれを詳しく解説します。
現在の土地が狭い場合
現在所有している土地が非常に狭く、不便を感じている場合は隣の土地を購入するメリットは大きいです。
隣地を買えば利用できる敷地が広がるため、建物の増築や駐車スペースの確保、庭の拡張など、多様な活用が可能です。また、土地の形状が改善されることで資産価値の向上も期待できます。
今の土地だけでは不十分だと感じている場合は、隣の土地の購入を検討してみましょう。
旗竿地の場合
所有している土地が旗竿地の場合も隣の土地を買った方がよいです。
旗竿地とは、道路に面した狭い通路(竿部分)を通じて、奥に広がる敷地(旗部分)を持つ土地形状を指します。
旗竿地は、敷地全体が狭い且つ特殊な形をしているのが特徴です。
そのため、隣地を買うことで敷地全体の形状が整い、建物の配置や設計の自由度が高まります。
また、日当たりや風通しの改善にも期待でき、駐車スペースの確保や庭の設計もしやすくなります。
現在所有している土地が旗竿地の場合は、隣の土地を買って利便性を良くしてみましょう。
隣の土地を買わない方がよいケース
隣の土地を買わない方がよいケースは以下の2点です。
- 購入しても土地条件が良好にならない場合
- 価格が相場より極端に高い場合
それぞれを詳しく解説します。
購入しても土地条件が良好にならない場合
隣の土地を購入しても土地条件が良好にならない場合は買わない方がよいです。
例えば、所有している土地がすでに整形地であり、隣地と併合しても形状や利用価値がほとんど変わらない場合などです。
この場合、隣の土地を買っても利便性が大きく変わらず、資産価値の向上も期待できません。
また、購入する隣地が狭小地や旗竿地などの特殊な土地の場合は購入するメリットが少なく、むしろ扱いにくい土地をになるため、購入には向いていません。
価格が相場より極端に高い場合
隣の土地の価格が相場よりも極端に高い場合も買わない方がよいです。
価格は隣地所有者と合意の上で取引しなければならないため、相手が高額売却を狙って極端に高い価格を要求するケースがあります。
購入後に土地を有効活用できなかったり資産価値として上昇しなかったりすれば大きく損することになるため、購入するかどうか慎重に判断すべきです。
隣の土地を買うべきかどうか判断できない場合は、不動産会社へ相談するのがよいでしょう。
隣の土地を買うための7つの手順
隣の土地を買う際は、以下7つの手順で進めましょう。
- 隣の土地の状態を確認する
- 隣の土地の相場を調べる
- 相場に合わせて購入後の建築プランを計画する
- 不動産会社へ相談する