家の購入は、ほとんどの方にとって一生にそう何度もないもの。
それだけに、どのように手続きを進めればよいのか分からないというのが一般的です。
本記事では、そうした方に向けて家を購入する際の手順を分かりやすく解説していきます。
これから住宅購入を考えている方は、ぜひ参考になさってください。
家を買うときの手順1:物件の情報収集
本記事では家を買うときの手順ごとに必要な準備や手続きを解説していきます。
家の購入を考えはじめたとき、最初にやる必要があるのが物件の情報収集です。
インターネットや不動産会社などから物件情報を得て、自分の条件に合った物件に絞り込んでいきましょう。
この時、まずは住みたいエリアと予算で絞り込むことをおすすめします。
ある程度絞り込んだら、そこから条件を追加して絞り込むと効率よく物件を見つけられるようになるでしょう。
物件の情報収集に必要な準備
物件の情報収集前に、どのような物件に住みたいのか自分の希望条件や理想の生活を洗い出しておくことです。
次のような条件があるので、自分の希望条件をリストアップしてみましょう。
- 住みたいエリア
- 予算
- 間取りや広さ
- 立地条件
- 周辺施設
最初から、条件を細かく指定すると選択肢が無くなってしまう可能性があります。最初は広い条件で選んでいき、徐々に条件を絞るとスムーズに選べるでしょう。
また、どういう条件で探せばいいのか見当がつかないという方もいらっしゃるでしょう。その場合は、どうしてもこれだけは譲れないという条件を決めることで、自分の理想の条件を見つけやすくなります。
物件の情報収集に必要な手続き
物件の情報収集には必要な手続きなどはありません。
自分の都合に合わせてインターネットや専門誌、チラシなど活用して物件情報を収集していきましょう。
家を買うときの手順2:物件の見学
物件情報からある程度物件の目処が立ったら、次は物件を見学します。
物件の見学は「内覧(内見)」とも呼ばれ、実際の物件に入って状態を見られるものです。実際の物件を見てみると、データなどの情報だけでは分からなかったことも分かります。
また、内覧で物件を見学することでより具体的に生活のイメージもわくでしょう。
そのため、理想の家探しには内覧が欠かせないのです。
内覧では以下の点をチェックしましょう。
- 間取り
- 広さ
- 周辺環境
- 眺望や周りの音
内覧では、物件の外装や部屋の中だけでなく周辺環境や設備なども確認する必要があります。
可能であれば、近くの駅や通勤路など実際に歩いて生活圏も確認してください。
また、時間帯をずらして複数回内覧することも大事です。昼間と朝・夜では周りの環境もガラッと変わってくる可能性があるからです。
昼間の内覧では気にならなかったけど、夕方になると騒音がするケースに注意しましょう。
物件の見学に必要な準備
内覧は効率よく情報を得るためにも事前の準備が必要です。
不動産会社などに問い合わせて間取り図を用意するとよいでしょう。
また、手持ちの家具の寸法などを図っておくと内覧時に比較できます。
内覧当日に準備したほうがいいものとしては次のようなものがあります。
- メジャー
- 筆記用具
- カメラ
- 身分証明書や印鑑(内覧後に申し込みする場合)
- スリッパ
スリッパなどは基本的に準備されているものですが、念のために用意するとよいでしょう。
また、スマホやカメラで写真を撮影する場合は売主や不動産会社に許可をとってから撮影してください。
中古物件の内覧では売主が同席する場合があるので、その場合は売主に家の状態や周辺環境を聞くチャンスです。
質問したいことをリストアップしておき、聞き忘れがないようにしましょう。
物件の見学に必要な手続き
内覧は事前に不動産会社に予約が必要です。あらかじめ不動産会社に問い合わせておきましょう。
予約した日に、不動産会社や現地を訪問すると、物件の見学や説明を受けられます。
内覧は1つの物件で1時間ほど時間がかかります。
複数の物件を同日に内覧可能なので、気になる物件が複数ある場合は不動産会社と調整するとよいでしょう。
ただし、あまりに多く内覧すると、どの部屋がいいのか混乱してしまうものです。
1日に2~3件ほどを目安として内覧することをおすすめします。
家を買うときの手順3:買い付け申し込み
購入したい物件が見つかったら、買い付け申し込みをします。
買い付け申し込みとは
買い付け申し込みとは、物件を購入する意思表示のためにするものです。
買い付け申し込みは契約ではないので、法的効力はなく申し込みをしたからと言って必ず購入できる(購入しなければならない)わけではありません。
しかし、売主へ購入の本気度や条件をアピールできるため、その後の交渉 をスムーズに進められるようになるのです。
買い付け申し込みに必要な準備
買い付け申し込みには「買い付け申込書」と呼ばれる書類の作成が必要になります。
不動産会社によって「購入申込書」や「買い付け証明書」などと呼ばれることもありますが役割は同じです。
この書類に、購入希望者の情報や購入希望価格・支払い条件・入居希望日などの必要事項を記入します。買い付け申込書は決まった書式はありません。
基本的には、不動産会社がひな形を準備しているので、それに記入して作成します。
買い付け申し込みに必要な手続き
内覧後、気に入った物件があったら不動産会社に買い付け申込書を提出することで、申し込みできます。
不動産会社によっては、申込時に「買い付け証拠金(申し込み証拠金)」を求める場合がります。
具体的な額は不動産会社によってまちまちですが、高くても5~10万円程といったところでしょう。
買い付け申し込みは、法的な効力がないため申し込みを撤回してもペナルティは課せられません。
支払った買い付け証拠金は、申し込みの撤回や売買に至らない場合は返金され、売買契約に至った場合は手付金の一部とされるのが一般的です。
申し込み後、売主が提示した条件に納得したら「売渡承諾書」が発行されます。
売渡承諾書とは買主が提出した買付申込書の条件への回答のようなものです。
売渡承諾書にも法的な効力はないため、承諾書を発行してもらったからと言って必ず売買契約できるわけではありません。
売渡承諾書の発行後、売主との売買条件の交渉へと移っていくのです。
家を買うときの手順4:住宅ローン事前審査
気に入った物件を見つけたら、早い段階で住宅ローンの事前審査を受けておきましょう。
住宅ローン事前審査とは
基本的に、物件を購入する際は住宅ローンを組んでの購入になることがほとんどです。
しかし、住宅ローンは申し込めば必ず融資してもらえるというものではありません。
住宅ローン利用するためには、ローンを組めるかどうかの審査に通る必要があるのです。
この審査には、事前審査(仮審査)と本審査の2つがあります。
審査の第一段階である事前審査では、金融機関が融資可能額や返済能力などを審査します。
物件の売買契約の際には、住宅ローンの事前審査に通っておく必要があるものです。
事前審査は3日~1週間ほどかかります。
審査に落ちる可能性もあるので早めに審査を受けるようにしましょう。
住宅ローン事前審査に必要な準備
事前審査は、金融機関に書類の提出が必要になります。
金融機関によって必要書類は異なるので、事前に確認するとよいでしょう。
一般的な必要書類としては、次のようなものがあります。
- 仮審査申込書
- 本人確認書類
- 収入証明書
- 物件情報が分かる書類
事前審査では、個人の収入や借入履歴などが審査されます。
個人信用情報に借金延滞などの情報があると審査を通りにくくなるものです。
個人信用情報は自分で取り寄せて内容を確認できるため、審査に不安がある場合は確認しておくとよいでしょう。
また、借り入れなどがある場合も審査に影響が出るので、なるべく返済しておく必要があります。
住宅ローン事前審査に必要な手続き
必要書類を用意し住宅ローンを利用する金融機関に申し込むことで、事前審査を受けられます。また、近年ではインターネットで事前審査を受けらえる金融機関もあるので、手軽に利用できるでしょう。
住宅ローンは審査に落ちる可能性もあるものです。
審査に落ちたからと言ってローンが組めないわけではありません。
同じ条件でも、金融機関によって審査基準は異なるので、別 の金融機関を検討するなどで住宅ローンを通る可能性は残されているのです。
しかし、審査に落ちてからまた別の金融機関を探して手続きし直すとなると、時間がかかってしまいます。
事前審査は複数の金融機関に申し込むことも可能です。
金融機関によって金利や条件は異なるため、どの金融機関を利用するのかを事前に絞っておくと効率よく手続きできます。
家を買うときの手順5:売買契約
条件が売主と一致し売買が決定したら、売買契約を締結します。
売買契約に必要な準備
売買契約に必要なものには次のようなものがあります。
- 印鑑
- 本人確認書類
- 印紙代や仲介手数料、手付金
売買契約時には「手付金」の支払いが必要になります。
手付金とは、契約成立の証拠となるお金のことです。
また、手付金は解約手付ともなり、買主は手付金を放棄すること、売主は手付金の倍額を支払うことで売買契約を解除できます。
ただし、手付金解除には期間が決まっているので契約の際には確認するようにしましょう。
手付金の額は、売買価格の5%~10%が目安となります。
この手付金や仲介手数料などは現金での支払いが必要となるので、事前に金額などを確認して準備しておきましょう。
売買契約に必要な手続き
売買契約の前に、不動産会社の宅地建物取引士による重要事項説明が行われます。
重要事項説明では、売買契約について説明してもらうので内容をしっかり確認するようにしましょう。
重要事項説明に納得したら、次は売買契約書の内容を確認です。
売買契約書では重要事項説明と重複する部分も多いですが、気を抜かずに詳細まで確認するようにしましょう。
売買契約書で確認しておきたいポイントには次のようなことがあります。
- 物件の住所などの表示
- 売買代金と支払方法
- 売買面積
- 登記関連
- 固定資産税、都市計画税の分担
- 契約解除の条件
売買契約は一度結んだら後戻りはできません。
契約書に記載されていなければ後々問題となった場合に大きなトラブルに発展しかねないので、契約書の内容は漏れなくチェックするようにしましょう。
契約内容を確認し納得したら、署名捺印し契約締結です。
家を買うときの手順6:住宅ローン本申し込み
売買契約を結んだら、住宅ローンの正式な申し込みです。
住宅ローンを申し込んだら、金融機関による本審査を受け、本審査後に住宅ローンの契約になります。
この本審査は、金融機関や保証会社によって事前審査の申告内容などをより厳密に審査されるものです。
本審査には1週間ほど時間が かかります。
住宅ローン本申し込みに必要な準備
本審査では、次のような書類が必要になります。
- 住宅ローン申込書類
- 本人確認書類
- 収入証明書類
- 勤務先や家族に関する書類
- 物件の情報が分かる書類
金融機関によって必要な書類が異なるので、事前に確認するとよいでしょう。
住宅ローン本申し込みに必要な手続き
必要書類を準備して金融機関への申し込みが必要となります。
住宅ローンは事前審査を通ったからと言って本審査も通るとは限りません。
万が一、住宅ローンの本審査に落ちてしまった場合物件の購入ができなくなるものです。住宅ローンが組めない場合に備えて「ローン特約」の内容もしっかり確認しておきましょう。
ローン特約とは、住宅ローンが組めない場合、違約金などのペナルティなしで売買契約を解除できる特約のことです。
ローン特約については売買契約書に記載されているので、内容を確認しておく必要があります。

家を買うときの手順7:決済・引き渡し
住宅ローンの本審査に通ったら、いよいよ住宅の決済・引き渡しへと進みます。
決済・引き渡しまでは売買契約後から1か月後ほどかかるのが一般的です。
基本的には、決済と引き渡しは同日に行われます。
住宅ローンを契約した金融機関などで、売主・不 動産会社・司法書士などが大勢の関係者が同席して手続きが進められるので、早い段階でスケジュールを調整しておくことが大切です。。
決済・引き渡しに必要な準備
決済のために必要なものには次のようなものがあります。
- 住民票
- 印鑑
- 残代金(住宅ローンで支払う場合は不要)
- 固定資産清算代金
- 身分証明書
- 仲介手数料
身分証明書などの書類が必要になるので、事前に準備しておきましょう。
また、固定資産税の清算や仲介手数料を現金で支払う場合は金額などを確認しておく必要があります。
決済当日に準備に不備があると手続きが進められなくなるので、持参忘れがないように注意しましょう。
決済・引き渡しに必要な手続き
必要書類などを決済日までに準備しておきましょう。
決済日の大まかな流れは次のとおりです。
- 登記手続き
- 決済金の支払い
- 仲介手数料の支払い
- ローンの手続き
- 抵当権抹消登記手続き
- 鍵の引き渡し
基本的には、不動産会社が日程の調整や必要書類の指示してくれます。
平日に行われるのが一般的なのでスケジュールの調整をし、不備がないようしっかり準備して臨みましょう。

家を買うときの手順8:税金の支払いや手続き
物件の決済・引き渡しが終わったら「すべて完了」ではありません。物件の決済後に税金の支払いや手続きが残っているので忘れないようにしましょう。
税金関係に関しては、大きく以下3つがあります。
- 固定資産税と都市計画税
- 不動産取得税
- 住宅ローン控除の手続き
固定資産税と都市計画税
物件を購入後に毎年かかる税金には、「固定資産税」と「都市計画税」があります。
固定資産税とは、建物や土地・山林などおおよそすべての不動産に課せられる税金のことです。
毎年1月1日時点の不動産所有者に対して、固定資産税評価額に税率を掛けた金額が課せられます。
また、市街化調整区域内の土地には都市計画税も課される点に注意が必要です。
固定資産税と都市計画税は、毎年4月ごろに納税通知書が送られてくるので、期日までに支払うようにしましょう。
不動産取得税
また、物件購入から半年ほど後、忘れた頃に請求がくるのが「不動産取得税」です。
不動産取得税は、不動産を取得した人に対して課される税金。
築年数など一定の条件を満たせば、軽減を受 けられるので忘れずに手続きすることが大切です。
住宅ローン控除
その他、住宅ローンを組んだ場合で「住宅ローン控除」を受けるのであれば、確定申告が必要となります。
住宅ローン控除とは、住宅ローンを利用してマイホームなどを購入した場合に利用できる国の税制優遇制度です。
具体的には、住宅ローンを組んでから13年間(条件によっては10年間)、住宅ローン年末残高の0.7%分について、所得税と住民税から控除を受けられる制度で、住宅購入の大きなメリットとなります。
この住宅ローン控除を適用するには、住宅ローンを組んだ翌年に確定申告が必要です。
必要書類を揃えて、確定申告書を作成し税務署へ提出しましょう。
2年目以降は、サラリーマンであれば年末調整で申告できるので、確定申告不要となります。
まとめ
家を買うための手順や準備をお伝えしました。
家の購入までには様々な手続きや準備が必要となり、必要な時に準備できていないと契約できない可能性もあるのです。
人生の中でも高い買い物となる家の購入は失敗が許されないものです。
この記事を参考に、購入までの手続きを理解し、必要な準備を段取りよしてスムーズに家を購入できるようにしましょう。