不動産は分割しにくいことから、相続で揉めやすい財産です。
親名義の土地も兄弟で相続となると、分け方や相続税を巡ってトラブルになるケースがあります。
相続トラブルが起きると相続がストップするだけでなく、その後の関係性も悪化しやすいのでトラブルを起こさないことが大切です。
この記事では、親名義の土地を兄弟で相続する際によくあるトラブルや、相続の流れ、具体的な分け方などを分かりやすく解説します。
親名義の土地を兄弟で相続する際によくあるトラブル
親名義の土地を兄弟で相続する際、どのようなトラブルになりやすいのでしょうか。
ここでは、よくあるトラブルとして以下の3つを見ていきましょう。
- 親が遺言書を遺しておらず遺産分割割合で揉めるケース
- 兄弟のうちの一人が親の介護をしており多めの分配を望むケース
- 相続税の納税資金を準備していないケース
それぞれ見ていきましょう。
親が遺言書を遺しておらず遺産分割割合で揉めるケース
遺言書のある相続は、原則として遺言書に記されたとおりに遺産を分割します。
そのため、相続人間で意見の対立が起きにくく、スムーズな相続が可能です。
一方、遺言書がない相続では、相続財産の分け方は相続人全員で話し合って決めることになります。
しかし、相続人同士で話し合うと、互いの意見が対立しトラブルになるケースも珍しくないのです。
仲の良い兄弟だから大丈夫だと思っていても、相続財産が絡むとどうなるかは分かりません。
なかには、兄がすべて相続するものと考えている人もいるでしょう。
遺言書がないことで兄弟それぞれの主張がぶつかると、トラブルになりやすいので注意しましょう。
なお、遺言書がある場合でも、相続人全員の話し合いによって、遺言書とは異なる相続内容に変更することも可能です。
遺言書の内容が偏っている 、指定された以外の相続財産が欲しい場合などには、話し合いで決めることも検討するとよいでしょう。
兄弟のうちの一人が親の介護をしており多めの分配を望むケース
親の生前中の介護の負担が偏っているケースでも、相続時に寄与分を主張し揉めやすくなります。
寄与分とは、介護など被相続人(亡くなった人)への貢献に対して、貢献した人が相続財産を多く取得できる制度です。
よくあるケースが、どちらかがすべての介護を行っていたことを理由に相続財産を多く主張するといったケースです。
寄与分を認めるかどうかは相続人の話し合いで決めるため、他の相続人が貢献を認めて寄与分として土地を譲るというなら相続をスムーズに進められるでしょう。
寄与分をどちらかが主張すると、もう片方が自分の寄与分や相手の寄与分の無効を主張するなどでトラブルになりがちです。
話し合いで寄与分が決めらない場合、家庭裁判所に調停を申し立てて判断してもらうことになります。
しかし、家庭裁判所で寄与分が認められるハードルはかなり高くなります。
寄与分を認められるには通常を超える貢献が必要となるので、たとえば介護であれば仕事をやめて24時間365日つきっきりの介護を長年行ったといったレベルが必要です。
病院に付き添った、仕事の合間で介護した位では認められないので注意しましょう。
なお、寄与分が認められるのは相続人自身が行った寄与に対してです。
たとえば、兄の妻など相続人の配偶者が介護した場合、妻は相続人ではないため寄与分は認められません。
ただし、配偶者は特別寄与料を相続人に対して請求できます。
相続税の納税資金を準備していないケース
相続財産に対して不動産が占める割合が多いと、納税トラブルになる恐れがあります。
たとえば、相続財産が土地とわずかな現預金しかないケースです。
この場合、相続税が課税されると、現預金だけでは納税に対応できず、相続人が自己資金を用意するか、土地を売却して納税しなければならない可能性があります。
そのため、以下のようなケースで相続税を巡って兄弟間でトラブルになる恐れがあります。
- どちらかが現預金を多く相続する
- 土地の売却にどちらかが反対する
相続税には基礎控除があるので、課税されるケースはそれほど多くはありません。
とはいえ、一般的な相続では相続財産が現預金と実家というケースも多いため、相続税についても事前に把握しておくことが大切です。
相続トラブルを避けるために知っておきたい相続の流れ
相続が発生すれば、自動的に土地などの相続財産が相続人に引き継がれるわけではありません。
相続には手順があるので、トラブルにならないためにも相続の流れを押さえておくようにしましょう。
相続発生から土地を相続するまでの大まかな流れは、以下のとおりです。
- 遺言書の確認
- 遺言書がない場合は遺産分割協議を行う
- 相続登記を行う
- 相続税を支払う
それぞれ見ていきましょう。
遺言書の確認
相続では遺言書が優先されるため、まずは遺言書の有無を確認する必要があります。
遺言書には