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亡くなった親の家を売る時の流れや費用、必要書類を解説します

「親の家を相続するときはどう売ればいい?」

相続はいつ発生するか分からず、親が亡くなった後どのように手続きを進めればいいのか分からないという方も少なくありません。

相続した家を売却する方法は、通常の家の売却よりも手間がかかるので、正しい方法や必要書類を理解しておくことが大切です。

この記事では、亡くなった親の家を売るときの流れや必要書類、費用などを分かりやすく解説します。

このページの目次
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亡くなった親の家を売る時の必要書類

亡くなった親の家を売る場合、以下のステップがあります。

  • 家の相続手続き
  • 相続税の申告
  • 家の売却手続き
  • 売却後の確定申告

それぞれ必要な書類は異なるため、あらかじめ必要書類を押さえて早めに準備しておくようにしましょう。

以下では、各手続きで必要な書類を解説します。

家の相続手続きに必要な書類

親の家を相続した場合、家の名義人(所有者)を被相続人(親)から相続人に変更する手続きが必要です。

この手続きは「相続登記」と呼ばれ、相続開始後3年以内に行う義務があります。

相続登記で必要な書類は以下のとおりです。

  • 遺言書か遺産分割協議書
  • 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本や除籍謄本
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 相続人の住民票または戸籍附票
  • 固定資産税評価証明書
  • 相続関係図 など

ただし、相続の仕方によって必要書類が異なってきます。

相続の仕方には以下の3つの方法があります。

  • 遺言書
  • 遺産分割協議
  • 法定相続

遺言書による相続なら遺言書、遺産分割協議なら遺産分割協議書が必要です。

また、相続人全員の戸籍が必要かどうかも、相続のケースによって異なります。

事前に法務局などで必要書類を確認して手続きするようにしましょう。

なお、相続登記は司法書士に依頼することも可能です。

司法書士なら必要書類の収集からサポートしてくれるので、検討するのもよいでしょう。

相続税の確定申告に必要な書類

相続した家を含めた相続財産の額が基礎控除を超えると、相続税が課税されます。

相続税が発生した場合は、相続税の確定申告を行い納税が必要です。

相続税の確定申告での主な必要書類には、以下のようなものがあります。

  • 相続税の申告書
  • 遺言書または遺産分割協議書(ある場合のみ)
  • 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
  • 被相続人の住民票除票
  • 相続人全員の戸籍謄本と住民票
  • 相続人全員の印鑑証明(遺産分割協議書がある場合)
  • 相続人全員の本人確認書類
  • 各種控除の適用に必要な書類
  • 各種相続財産に応じた書類

相続税の確定申告では「相続を証明する書類」「財産を証明する書類」「控除適用のための書類」がそれぞれ必要です。

家の相続の場合は、登記簿謄本や固定資産税評価証明書が必要になります。

細かい必要書類については国税庁のホームページなどで確認するとよいでしょう。

なお、相続税の納付期限は相続開始があったことを知った日から10ヵ月以内です。

相続税の申告では多くの必要書類があるので、早めに用意するようにしましょう。

家の売却に必要な書類

相続した家であっても、売却で必要な書類は通常の売却と変わりません

しかし、相続した家の場合、必要書類が見つからないケースもあるので、可能であれば、生前から書類の保管場所を決めておくとよいでしょう。

主な売却の必要書類は以下のとおりです。

  • 登記簿謄本
  • 登記済証または登記識別情報
  • 境界確認書
  • 固定資産税評価証明書
  • 物件の図面や設備の証明書
  • 建築確認書・検査済証
  • 本人確認書類など

家の売却では基本的に、土地の境界確認書が必要です。

古くからある家を相続した場合、境界確定していないケースもあるので、その場合は測量を行って境界確定が必要になります。

境界トラブルの可能性があると、買手が住宅ローンを利用できず、売りにくくなってしまうからです。

また、「権利書」と呼ばれる登記済証(登記識別情報)は紛失していると再発行できず、司法書士による本人確認証明情報の提供など、別の手段が必要になってくるので、早めに確認しておきましょう。

所得税の確定申告に必要な書類

家を売却して利益が出ると、利益に対して所得税・住民税が課税されます。

売却の利益にかかる税金の確定申告では、以下のような書類が必要です。

  • 確定申告書
  • 譲渡所得の内訳書
  • 登記事項証明書
  • 売却した家を購入した際の売買契約書
  • 購入時の領収書など経費を証明する書類
  • 売却時の売買契約書
  • 売却時の領収書などの経費を証明する書類
  • 本人確認書類
  • 各種控除を適用する際の書類

売却により出た利益である譲渡所得は、売却額から購入時の費用と売却時の費用を差し引いて算出します。

そのため、購入・売却にかかった経費を証明する売買契約書や各種領収書などの書類が必要です。

経費を証明する書類がないと、経費として計上できる金額が制限される恐れもあるので、注意しましょう。

なお、売却による利益の確定申告は、売却した年の翌年2月16日から3月15日の間に行います。

確定申告時期を過ぎると無申告加算税などのペナルティが課せられる恐れがあるので、期限内に申告できるように準備を進めましょう。

売却額が大きかったり、計算に不安があるといった場合は、税理士などに相談することをおすすめします。

亡くなった親の家を売る時の手続きの流れ

亡くなった親の家の売却は、通常の家の売却の手続きに加えて相続の手続きが必要です。

相続の手続きが完了しないと家の売却に進めないので注意しましょう。

相続発生から家の売却までの大まかな手順は以下のとおりです。

  • 遺産分割協議を行う
  • 相続登記する
  • 売却を依頼する不動産会社を探す
  • 売却活動を開始する
  • 売買契約を締結する
  • 決済~引き渡しする

それぞれ見ていきましょう。

遺産分割協議を行う

遺産分割協議とは

遺産分割協議とは、相続人全員で遺産の分け方を話し合って決める方法です。

遺言書がなく法定相続分以外で相続する場合は、遺産分割協議が必要になります。

また、遺産分割協議は相続人全員の合意で成立するため、誰か1人でも合意しなければ遺産の分割には進めません

その場合は、家庭裁判所に申し立てて遺産分割調停や審判に進むことになるでしょう。

なお、遺言書のある相続や遺言書がなくても法定相続分で相続する場合は、遺産分割協議は不要です。

相続登記する

家を相続することになったら、家の名義人を被相続人(故人)から相続人に変更する相続登記を行います

遺産分割協議書などの必要書類を揃えて法務局で手続きしましょう。

たとえ親から子への相続であっても、相続登記を行わなければ所有者ではないので売却もできません。

また、相続登記は相続後3年以内という期限もあるため、相続したら早めに手続きするようにしましょう。

売却を依頼する不動産会社を探す

相続登記後は通常の家の売却と同様の手順で売却を進めます。

まずは、査定を受けて依頼する不動産会社を探していきましょう

相続した家の場合、築年数が古いなどで売れにくい場合があります。

また、売却金で遺産を分割したり相続税の納付を検討しているケースでは、相続税の納付期限までに売却が必要です。

仲介では売却しにくい家の場合や、早く売却したい場合は、買取も視野に入れて査定を受けるとよいでしょう。

売却活動を開始する

不動産会社と媒介契約を結んだら売却活動がスタートします。

チラシ作成や問い合わせ対応などは不動産会社が行うため、売主が行う必要はありません。

ただし、内覧準備と対応は必要です。

相続した家を空き家で売る場合は、内覧対応は不動産会社に任せて立ち会わないことも可能ですが、内覧のための準備は欠かせません。

とくに、相続した家の遺品整理が大変な作業であり、家が遠方だとより時間もかかります。

売却活動スタートからでは準備が間に合わない恐れもあるので、相続時から少しずつ準備を進めていくとよいでしょう。

売買契約を締結する

買主と売買条件が合意できれば売買契約を締結します。

売買契約の際には契約書や重要事項説明は入念に確認するようにしましょう。

古い家の場合、家の劣化が進んでいるため、売却後に不具合が発覚し、契約不適合責任を問われるリスクが高まります

契約不適合責任とは

解体を前提にする古い家の場合は、建物部分の契約不適合責任を免責にして売却することも検討してみましょう。

古い家の引き渡し後に契約不適合責任が問われる不具合として

  • 雨漏り
  • シロアリの発生
  • 配管の劣化

などが挙げられます。

築年数が古い家の場合、買主との合意で契約不適合責任を免責できるので、不動産会社に相談してみるとよいでしょう。

決済~引き渡しする

売買契約から1か月以内を目処に、決済・引き渡しとなります。

決済時には買主から代金を受け取り、売主から買主に書類や鍵を引き渡して取引完了となります。

決済・引き渡し時には必要書類も多く、当日漏れやミスがあると取引が中断されてしまいます。

必要書類は入念にチェックして、漏れのないように用意を進めることが大切です。

また、売却で利益が出た場合は翌年に確定申告が必要になるので、忘れずに準備を進めましょう。

亡くなった親の家を売る時の費用や税金

亡くなった親の家の売却では費用や税金がかかるため、あらかじめ費用についても把握して資金計画を立てることが大切です。

家を売るときの費用

家を売るときにかかる費用・税金は以下のとおりです。

費用・税金概要
印紙税売買契約書にかかる税金
登録免許税抵当権抹消登記が必要な際にかかる税金
譲渡所得税売却の利益に対してかかる税金(所得税・住民税)
仲介手数料不動産会社の仲介手数料
司法書士報酬登記を司法書士に依頼する場合の費用
その他費用ハウスクリーニングや測量・解体など売却の状況に応じてかかる費用

売却の費用・税金は、売却額の5~10%が目安と言われています。

自分の売却のケースではどのような費用がいくらかかるかを事前シミュレーションしておくようにしましょう。

相続税の計算方法と活用したい特例

家を相続した場合、売却する、しないにかかわらず、家は相続税の対象となります。

ただし、家を相続したからと言って必ずしも相続税が発生するわけではありません。

相続税は、家を含めた相続財産の合計で決まってくるので、相続税の計算方法についても理解しておくようにしましょう。

大まかな相続税の計算手順は以下のとおりです。

  • 相続財産の総額を計算する
  • 総額から基礎控除を差し引く
  • 相続税を計算する

家や現預金といったプラスの財産から、借金などのマイナスの財産を差し引いた額が、相続税の基礎控除を超えた場合に相続税が課税されます。

相続税の基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の人数」で、仮に法定相続人が3人なら4,800万円が控除されます。

相続税の基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の人数」で、仮に法定相続人が3人なら4,800万円が控除されます。

相続財産の総額が基礎控除を超えた場合、超えた部分が課税されるので相続税を計算していきましょう。

また、相続税には節税につながる控除や特例がいくつか用意されています。

家の相続で検討できる代表的な特例が「小規模宅地等の特例」です。

この特例では、要件を満たすことで土地の相続税評価額を最大80%減額できます。

特例の適用や相続税の計算に不安がある場合は、税理士などに相談するとよいでしょう。

譲渡所得税の計算方法と活用したい特例

家の売却で利益が出た場合、利益は譲渡所得と呼ばれ所得税・住民税の対象です。

譲渡所得にかかる所得税・住民税は譲渡所得と総称されます。

譲渡所得税の計算方法は以下のとおりです。

  • 【ステップ1】課税譲渡所得の計算:売却額-(取得費+譲渡費用)-特別控除
  • 【ステップ2】譲渡所得税の計算:課税譲渡所得×譲渡所得税の税率

売却額から、取得にかかった費用である取得費と、売却にかかった費用である譲渡費用を差し引いた部分が譲渡所得です。

譲渡所得からさらに特別控除を差し引いた額が課税対象となり、税率をかけて税額を求めます。

譲渡所得税の税率は所有期間が5年以下(短期譲渡所得)で39.63%、5年超え(長期譲渡所得)で20.315%です。

譲渡所得税の税率は所有期間が5年以下(短期譲渡所得)で39.63%、5年超え(長期譲渡所得)で20.315%です。

また、相続の場合の所有期間は前の所有者の期間を引き継げます

相続した家の売却で特例として代表的なものが「相続空き家の3,000万円特別控除」です。

この特例を適用することで、譲渡所得から最大3,000万円を控除でき、大きな節税が見込めます。

また、相続税を支払っているケースでは、支払った相続税の一部を取得費に加算できる「取得費加算の特例」も検討できます。

特例の適用には確定申告が必要なので、忘れずに確定申告するようにしましょう。

亡くなった親の家を売る時のよくある質問

最後に、亡くなった親の家を売る時のよくある質問をみていきましょう

相続せずに売却することはできる?

家を売却できるのは所有者です。

そのため、相続していない(相続登記していない)家は基本的に売却できません

ただし、遺産分協議成立後であれば、相続登記前でも売買契約の締結が可能な場合があります。

とはいえ、その場合でも決済・引き渡しまでに相続登記の完了は必須となり、間に合わなければ違約金が発生する恐れがあります。

相続登記完了前の売却はトラブルになりやすいため、相続登記後の売却をおすすめします。

亡くなった親の家を売る費用や税金を安く抑える方法はある?

譲渡所得税を抑えるためには、特例の適用や取得費・譲渡費用をできるだけ正確に計上することが大切です。

相続した家の場合、取得費の証明が難しいケースは少なくありません。

その場合は、「売却額×5%」の概算取得費で計上することになり、実際の取得費よりも下がるのが一般的です。

できるだけ取得費を証明できる書類(売買契約書や領収書)を揃えると、その分譲渡所得税の節税につながるでしょう。

また、費用を抑えるよりも高く売却したほうが手元に残るお金が大きくなる可能性があります。

できるだけ高値で売却できるように、複数の不動産会社の査定を比較するとよいでしょう。

まとめ

亡くなった親の家を売る際には、まず相続手続きを完了させる必要があります。

相続登記や相続税の申告、売却準備の各段階で多くの書類や手続きが必要になるため、早めの準備が重要です。

また、相続した家には譲渡所得税や相続税などの費用が発生するため、事前に正確な費用を把握し、特例の活用を検討しましょう。

特例の適用条件や必要書類については、不動産会社や税理士に相談するとスムーズに進められます。

親の家を売る手続きは通常の家の売却に比べて複雑ですが、適切に準備を進めることで、スムーズな売却が実現します。

執筆者
逆瀬川勇造
逆瀬川勇造

明治学院大学卒。地方銀行勤務後、転職した住宅会社では営業部長としてお客様の住宅新築や土地仕入れ、広告運用など幅広く従事しました。2018年よりP.D.Pを設立。WEBを通して不動産に関する問題解決を目指します。 保有資格:宅建士、FP2級技能士(AFP)、住宅ローンアドバイザー、相続管理士

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