中古住宅の購入を検討したものの、入居後の不具合が心配で購入を見合わせた経験はありませんか?
そんな不安を払拭してくれるのが「瑕疵保証」です。瑕疵保証とは、入居後一定期間内に発見された不具合の修繕費用を不動産会社が負担してくれるサービスです。
この記事では、中古住宅を安心して売買できる住宅の瑕疵保証について解説をします。
瑕疵保証とは何か
住宅の瑕疵保証とは、引き渡し後、一定期間において発見された瑕疵に対する修繕費用を仲介会社が負担してくれるサービスのことです。
このサービスを利用することで、売主は損害賠償を免れることができます。一方で買主は、瑕疵に対する保証があるのはもとより、事前に専門家による検査が行われた物件として安心して購入することができます。
ただし、国土交通省の指定する保証機関が保証する「瑕疵保険」と異なり、売買を仲介する不動産会社が取引促進を目的に瑕疵を保証する仕組みなので、統一された基準はありません。そのため、利用する会社によって保証にばらつきがあります。
瑕疵保証は中古住宅の売買で適用されるサービスですが、ここでは新築住宅における瑕疵への対応制度と比較しながら、中古住宅でどのように瑕疵保証がなされるのかを押さえていきましょう。
中古物件の瑕疵保証
売主が不動産会社(宅建業者)の場合、宅建業法により、引渡しの日から2年以上の契約不適合責任(瑕疵担保責任)を負うことになっています(第40条)1。
一方で、売主が個人の場合は、原則として「買い主が契約不適合を発見した日から1年以内」が瑕疵担保責任を負う期間とされていますが、特約によって「引渡しの日から3カ月」程度に限定する契約が慣例になっています。
中古住宅においては、売主が個人であるケースが大半を占めており、保証期間が3カ月しかないことが、中古住宅の購入を敬遠する大きな要因となっていました。
そのため近年では、取引後に判明した瑕疵に対する修繕の責任及び費用負担への懸念を解消するための瑕疵保証を行う仲介会社が増加する傾向にあります。
仲介会社が展開する瑕疵保証の多くは、売買契約締結前に、仲介会社が指定した外部の検査業者または、自社の営業部による検査によって不備がない住宅であることを確認したうえで、このサービスが受けられる仕組みになっています。
これにより、売主は瑕疵を保証する義務から解放されます。また買主は、瑕疵保証があることはもとより、事前に専門家による検査が実施された住 宅として安心して購入することができます。

新築物件の瑕疵保証
新築物件は、法により厚く保護されています。
現在売り出されている新築物件は、ほぼ全数「検査済証」が交付されています。これらの物件は、基本的に確認検査機関が中間検査を実施しており、少なくとも基本構造部の瑕疵が発生するリスクはかなり低いと考えていいでしょう。
また住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)第95条では、住宅の施工会社は、新築住宅の引き渡しから10年間の瑕疵担保責任を負うとしています2。ただし、対象となるのは、雨漏りや耐震性能などの住宅の基本構造です。
さらに、宅建業法第40条で、売主に対して瑕疵担保責任の義務があるものとしています。住宅全体の瑕疵が保証対象となりますが、保証期間は引き渡しから2年間です。
そもそも瑕疵とは何か
住宅における瑕疵とは、売主から知らされていなかった欠陥で、入居後に発見されたものをいいます。瑕疵は、大きく次の4種類に分類することができます。
- 物理的瑕疵……建物の品質に関する瑕疵です。雨漏り、シロアリ被害、地盤沈下、耐震性能の欠陥等をいいます。
- 環境的瑕疵……周辺の環境の問題です。悪臭、騒音、近隣の嫌悪施設(工場や暴力団事務所)等が該当します。
- 心理的瑕疵……いわゆる「事故物件」と呼ばれるもので、過去に発生した事故や事件、自殺などの事実が、心理的圧迫をする物件です。
- 法的瑕疵……都市計画法や建築基準法に適合していないといった、法律上の不備を抱えた物件です。
瑕疵保証は、このうちの物理的瑕疵に対応するサービスです。
契約不適合責任が適用される
改正民法が2020年4月1日に施行されました。「瑕疵担保責任」は、改正前に用いられていた用語であり、改正後は「契約不適合責任」に改正されています。
契約不適合責任では、引き渡した物件の種類、品質、数、量が契約内容に適合していないと判断された場合に、売主や請負人は相手に対して責任を負うことになります。
つまり売主は、住宅が抱える問題点を契約時に明文化する必要があるため、改正前と比べて責任を負うリスクが増加しているのです。

契約不適合責任の期間は?
契約不適合責任の物件は、民法の規定により、「買主がその不適合を知った時から1年以内」にその旨を売主に通知すれば、その不適合を理由として、不具合部分の補修、損害賠償の請求、契約の解除をすることができます(第566条)。
不動産会社(宅建業者)が売主の場合、民法の規定よりも買主に不利になる特約をすることは禁じられていますが、本規定についてのみ「引渡しの日から2年以上の契約不適合責任を負う」という特約が認められています。
したがって、特約を設けた場合、民法の規定にかかわらず、引渡しの日から2年が契約不適合責任を負う期間になります。民法の規定である「不適合を知った時」からを起点にすると、売主の不動産会社は、事実上半永久的に保証を負うことになるため、ほとんどのケースでこの特約を付して売却をしています。
個人が売主の場合には、宅建業法の規定は適用されません。そのため民法の規定よりも買主に不利な特約をすることができます。実際の取引においては、「引き渡しから3カ月間の責任の所在は売主にある」とする特約を付けるのが一般的です。
ただし、特約のある住宅であっても、売主が不備を知りながら買主に告げなかった契約不適合については特約の対象外となります。
仲介会社による瑕疵保証の概要
中古住宅が個人間取引で行われた場合、売主の責任の所在は「引渡しから3カ月間」という特約を付けるのが一般的です。そのため、買主の不安を煽り、購入を躊躇うケースも少なくありません。
一方で、売主も「引渡しから3カ月間」とはいえ、思わぬ契約不適合の発生による責任を負うことは、大きな負担であり売却を躊躇う要因となります。
こうした中古住宅に対する不安を払拭するため、仲介各社が瑕疵保証をつけて取引されるケースが増加しているのです。
瑕疵保証を付けた物件では、次のようなメリットがあります。
売主のメリット
民法改正に伴い、引き渡し後の売主に対する責任がさらに増加されましたが、瑕疵保証を利用することで、万が一の補修費用を負担する不安を軽減できます。
また事前に専門家による検査が行われた「保証付き物件」として売買活動を行うことができます。これにより、買主の安心感が高まるので、好条件で売却できる可能性が高くなります。
買主のメリット
個人間の取引においては、保証期間の特約を付けるのが一般的です。
そのため、瑕疵保証がない物件だと、特約で定めた期間(多くは引き渡しから3カ月)以降に見つかった契約不適合部分に対する補修は、買主自らが負担することになります。
瑕疵保証を利用した場合、保証期間中(多くは2年間)は仲介会社が、補修費用を負担してくれるので、安心して購入ができます。
大手不動産仲介各社の瑕疵保証サービスを比較
仲介会社大手は「建物保証」として、次の名称で瑕疵保証のサービスを展開しています。
- 三井不動産リアルティ……三井のリハウス360°サポート
- 住友不動産ステップ……建物保証サービス
- 東急リバブル……リバブルあんしん仲介保証
- 野村不動産ソリューションズ……野村の仲介 ホンキの補修保証
大手各社の保証内容には大きな違いはありません。保証の対象となるのは、一戸建てで築30年以内、マンションについては築年数を不問としています。
住宅における欠陥だけでなく、ガスコンロなどの住宅設備の欠損に対する保証制度「設備保証サービス」も無料で展開しています。
また保証の上限額は各社共500万円、保証期間は2年です。ただし一部の会社では、築年数に応じて最長で5年としているものがあります。
各社に大きな違いがないものの、一部の会社では「両手取引」のみをサービスの対象としているので注意が必要です。
両手取引とは、売主・買主が同じ仲介会社に依頼している取引を指します。
売却の際に、瑕疵保証を期待して仲介を依頼しても、買主の仲介会社が異なるとサービスの対象外になることがあります。
媒介契約を締結する前に、サービスの対象が売主のみ仲介をする「片手取引」でも可能であることを確認してください。
中堅仲介会社のサービス
中堅仲介会社の担保保証のサービスを紹介しましょう。
大手企業の中では、各社の保証内容にあまり差がなくサービスの競争は起きていませんが、中堅の会社においては、他社との差異を明確にするために充実した保証内容を提供する企業が出現しています。
中堅仲介会社は、今後ユニークなサービスを展開することが予測されますので、各社の動きに注目をしていきましょう。
ミライアス「スマート仲介 ミライの売買あんしんサポート」
対象となる建物は、一戸建て及びマンションです。
売却前にインスペクションを実施して、保証金が最大で750万円、最長1年間の保証をしています。
売却の窓口「カチッと!ハウス」
売主の代理人として営業を進める点に特徴があります。対象となる建物は、一戸建て及びマンションです。保証金額 最大1000万円、保証期間、最長5年間の保証をしています。
買主に対しても、引き渡し後の24時間コールセンターが利用できます。トイレ詰まり、洗面台の下から水漏れ、クロスの剥がれといった家で発生した突発的な不備に対して、24時間駆けつけ解決を目指しています。
住宅の瑕疵のトラブルを防ぐ対策はあるのか?
万が一瑕疵が発見されると、買主側も、それを指摘された売主側も、いろいろな労力を要することになります。たとえ保証があっても、一定の対応は免れられませんから、何のトラブルも発生しないに越したことはありません。
ここでは、中古住宅の売買において、瑕疵関連のトラブルを防ぐ手立てについて解説します。
物件の状態を予めしっかり把握し、買主に説明する
中古住宅の売却において、売主は、物件の瑕疵はすべて買主に告知する義務があります。こうした告知事項は、重要事項説明書として、書面で買主に渡されます。ここに記載されていない事項が、入居後に発見されれば、契約不適合として、賠償を求められる事態になります。
そのため、売却に際しては、事前に物件の状態を把握することが重要です。また不具合を知りながら買主に告げなかった場合は、たとえ契約不適合責任期間を経過していても、損害賠償の対象になりますから、包み隠さず報告するという姿勢も大切です。
インスペクションを実施する
物件の状態を事前に把握するために最も有効な手法が、インスペクション(既存住宅状況調査)の実施です。
インスペクションとは、国土交通省により制度化されたもので、建築士の資格をもつ専門の検査員が、第三者的な立場で、目視、動作確認、聞き取りなどにより住宅の現状の検査を行うことをいいます。
専門家による調査なので、売却前に瑕疵を見つけることができ、売却後のトラブルを未然に防ぐことができます。
またインスペクション済物件として売り出すことで 、買主の安心感が高まり、成約の可能性が上がります、
インスペクションは専門の会社に依頼しますが、依頼先に心当たりがない場合は、仲介の不動産会社が斡旋をしてくれます。
インスペマートでも、対象の不動産がある地域でインスペクションを実施できる事業者を簡単に検索可能ですのでご活用ください。
なお、インスペクションの実施にかかる平均費用は5~6万円程度です。

瑕疵保険の加入を検査事業者に依頼する
瑕疵保証のない不動産会社に仲介を依頼する場合は、政府が指定した保険会社「住宅あんしん保証」が提供している「瑕疵保険」への加入を検査事業者に依頼するという方法が有効です。
売主が保険料と共に保証・検査依頼をすると、依頼を受けた検査事業者が住宅瑕疵担保責任保険法人に加入を申し込みます。検査事業者が自ら検査を行ったうえで、検査に合格した物件が保険に加入できます。
なお、インスペマートからは瑕疵保険対応の検査事業者を検索可能です。
工事費用を売主負担で補修すれば、加入できることがある
検査に合格しなかった場合でも、補修等によって合格の要件を満たせば加入することができますが、この際の工事費用は売主の負担となります。
そのため、売主はこの段階で、補修をして保険に加入するのか、あるいは保険加入を断念してそのまま売却するのかを選択することになります。
10年間の保険期間中に不具合が見つかった場合、補修費用等が検査事業者に支払われ ます。ただし、この時点で検査事業者が倒産していた場合は、支払先は買主になります。支払われる保険の上限額は2,000万円です。
中古住宅で保険の対象となるのは、原則として、新耐震基準が施行した1981年6月1日以降に建築確認申請を受けた建物です。
瑕疵保険の料金相場は10万円前後
売主が瑕疵保険への依頼をしない場合、買主から、検査事業者に依頼することができます。ただし、インスペクションの実施が不可欠なので、建物に立ち入るために売主側の了承が必要です。
瑕疵保険の料金は、「保険料+検査料」で構成されています。建物面積やオプションによって料金は異なりますが、8万円~10万円が一般的です。
まとめ
中古住宅の売主は、不動産会社ではない一般個人であるケースが大半です。中古住宅の取引が個人間で行われた場合、契約不適合責任期間は、一般的には特約により「入居後3カ月」という短い期間となります。
しかし、引越しをして3カ月というのは実に慌ただしい時期であり、現実的に不具合を発見するのは困難です。
たとえば、この期間中に大雨が降らなければ、保証期間後の大雨でようやく雨漏りに気がつく事態も十分にあり得ます。そうしたことを懸念して、中古住宅の購入を見合わせる人はけっして少なくありません。
仲介会社が提供する瑕疵保証は、その危惧を払拭するサービスだといえます。大手の仲介会社だと、2年間の保証期間がありますから、契約不適合を発見するまでに十分な時間的余裕があります。
また瑕疵保証のある住宅は、事前に専門家による検査が実施されていますから、そ もそも契約不適合が発生するリスクが相当軽減されています。こうした安心感から買主も購入を前向きに検討することになります。
仲介会社の瑕疵担保保証がない場合は、売主自らがインスペクションや瑕疵保険の依頼を検査事業者に依頼することで、買主が安心して購入できる状況を整えることができます。












