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媒介契約書を結ばずに口頭で売却依頼も可能だけど…トラブル・注意点を確認しましょう

「不動産会社と売買契約書を結ばないのは可能だろうか?」

不動産売却にあたり、そのような疑問をお持ちの方もいるでしょう。

結論から言うと、媒介契約書無しの口約束でも、契約は成立し不動産売却は可能です。

しかし、契約書がないことでトラブルも起きやすいので、どのようなリスクがあるかを理解しておく必要があります。

この記事では、媒介契約を結ばないリスクや契約書の確認ポイントなどを分かりやすく解説します。

このページの目次
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媒介契約時に媒介契約書を交付する必要はある?

不動産を売却する際には、一般的に不動産会社に仲介に入ってもらい、買主探しや契約を進めます。

この時、仲介に入る不動産会社と最初に締結するのが媒介契約です。

口頭でも契約は可能

媒介契約は、不動産会社と売主の合意で成り立つ契約です。

成立要件に契約書の締結は含まれないため、口頭であっても有効に成立します。

不動産会社は媒介契約書の交付義務違反のペナルティがある

口頭でも契約は成立しますが、不動産売買のルールを定めた宅地建物取引業法では、媒介契約時に書面の発行・交付を必要としています。

(媒介契約)第三十四条の二 宅地建物取引業者は、宅地又は建物の売買又は交換の媒介の契約(以下この条において「媒介契約」という。)を締結したときは、遅滞なく、次に掲げる事項を記載した書面を作成して記名押印し、依頼者にこれを交付しなければならない。

引用 :e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」

これにより、不動産会社は契約書を交付しなければ義務違反としてペナルティを受けます。

ただ、厳密にいえば契約したら書面の作成・発行が必要というルールであり、契約書がなければ契約が成り立たないということではありません

媒介契約は、売主と不動産会社が合意した時点で成立しているため、注意が必要です。

媒介契約書を交付する必要がないケースとは

媒介契約書の交付が必要ないケースとしては、以下が挙げられます。

  • 個人間売買
  • 不動産会社への媒介契約明示が不要なケース

媒介契約書は、不動産会社と媒介契約を結んだ際に交付される書類です。

一方、不動産売却方法としては、不動産会社を挟まずに売主・買主で直接行う個人間売買があり、このケースでは媒介契約書は必要ありません。

たとえば、親子間や知人・親戚などで個人間売買するケースは多いものです。

この場合、すでに買主が決まっているため、不動産会社に媒介依頼する必要はなく、契約書も必要ありません。

ただし、最終的に個人間売買する場合でも、不動産会社に買主を探してもらうために契約を結ぶと、媒介契約書が交付されます

また、依頼する不動産会社と親しい間柄で「仲介の依頼」という明確な意思表示がないケースもあります。

この場合も、媒介契約の明示がないので契約書が交付されない可能性があるでしょう。

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媒介契約書を結ばないことによるリスク

口頭でも媒介契約は成立しますが、契約書がなければ契約内容が明確にならずトラブルが起きやすくなります。

ここでは、媒介契約書を結ばないリスクとして以下の2つを紹介します。

  • 口頭でのやり取りにより高い仲介手数料を請求される
  • 報告が十分に行われない可能性がある

それぞれ見ていきましょう。

口頭でのやり取りにより高い仲介手数料を請求される

仲介で売買が成立すれば、不動産会社に仲介手数料を支払う必要があります。

しかし、口頭で契約していると仲介手数料の額や支払い時期、方法が明確にならず、聞いていたよりも高い額で請求されたとなりかねないのです。

仮に、それでトラブルに発展しても事前の取り決めの証拠となる書類がないので、言った・言わないで解決が難しくなります。

反対に、売主側が「媒介契約していないから仲介手数料は支払わない」と支払いを拒否するケースも考えられるでしょう。

報告が十分に行われない可能性がある

3種類の媒介契約のうち専任媒介契約・専属専任媒介契約では売却活動の報告義務があります。

しかし、契約書がなければ報告のルールがあいまいになり、十分な報告が受けられない恐れがあるでしょう。

売却活動報告は売主が進捗を把握し販売戦略を立てるうえで重要です。

報告がなければ販売状況が分からず、対策が取りにくくなります。その結果、売却の長期化にもつながりかねません。

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媒介契約書の交付を受ける際に確認しておきたいポイント

媒介契約書の交付を受ける際に確認しておきたいポイント

媒介契約書は、不動産会社とのトラブルを避けるうえで重要な書類です。

しかし、契約書が交付されれば安心というわけではなく、契約書の内容を理解し納得しているか、が重要になります。

媒介契約書の交付を受ける際には、以下の点を確認しておきましょう。

  • 契約の種類
  • 契約の有効期間
  • 仲介手数料の額と支払い時期
  • 契約を解除する際のペナルティ

それぞれ解説します。

契約の種類

媒介契約には「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3種類があり、それぞれ特徴が異なります。

主な違いは以下のとおりです。

一般媒介専任媒介契約専属専任媒介契約
不動産会社との契約複数可能1社のみ1社のみ
レインズへの登録義務なしあり
契約から7営業日以内
あり
契約から5営業日以内
活動報告義務なしあり
2週間に1回以上
あり
1週間に1回以上
自己発見取引可能可能不可
契約期間定めなし
一般的には3ヵ月
最長3ヵ月最長3ヵ月

一般媒介契約は複数の不動産会社と締結でき、自分で買主を見つけて契約できる「自己発見取引」も可能です。

一見、自由度の高い契約ですが、レインズ(物件情報交換のためのネットワークシステム)への登録・活動報告義務がない点には注意しましょう。

そのため、自分で買主を探せる、広告すればすぐに売却できるような好条件の物件に適した方法です。

一方、専任媒介契約・専属専任媒介契約は不動産会社1社のみとしか契約できません。

しかし、レインズへの登録や活動報告義務があるので売却進捗は把握しやすくなります。

また、不動産会社にとっては仲介手数料を得やすい契約なので、熱心に営業してくれる可能性も高くなるでしょう。不動産会社の手厚いサポートを受けて売却したい、自分で買主を探す予定がないなら専任媒介契約・専属専任媒介契約がおすすめです。

媒介契約の種類によってルールやメリット・デメリットが異なります。

不動産の状態や売却希望に応じて適した媒介契約を選び、それが契約書にも反映されているかはチェックしましょう。

契約の有効期間

契約の有効期間内に売主都合で契約解除すると、違約金が発生する恐れがあります。

専任媒介契約・専属専任媒介契約は不動産会社1社のみとしか契約できないので、期間内に他の不動産会社との契約はできません。

そのため、契約期間がいつまでかをきちんと確認しておきましょう。

なお、専任媒介契約・専属専任媒介契約では契約期間が最長3ヵ月までとなり、それ以上長くは設定できません。

仮に特約で3ヵ月を超える契約を結んでも、3ヵ月を超える部分は無効となるので注意しましょう。

また、契約の自動更新は認められていません。

契約期間終了後は更新せずに解約するか、更新するかを選択する必要があり、更新する場合は改めて手続きが必要です。

自動更新の旨の特約も無効となるので覚えておきましょう。

仲介手数料の額と支払いの時期

売買契約が成立したら、不動産会社に仲介手数料を支払うことになります。

仲介手数料についても媒介契約時に取り決めを交わすので、内容をチェックしておくことが大切です。

仲介手数料は上限額が以下のように決められています。

売買代金計算式
200万円以下売買代金×5%+消費税
200万円超400万円以下売買代金×4%+2万円+消費税
400万円超売買代金×3%+6万円+消費税

不動産会社はこの条件を超えての請求はできません。

反対に、下限については規定がないので条件の範囲内であれば自由に設定可能です。

ただし、売買価格800万円以下の場合、不動産会社は売買主の合意を得て一律30万円(税抜)を請求できます。

支払いタイミングは不動産会社によりますが、主なパターンは以下の2つです。

  • 売買契約時に半分・決済時に残り半分
  • 決済時に全額

仲介手数料は高額になりがちのため、事前に支払額とタイミングを理解し、用意しておくようにしましょう。

契約を解除する際のペナルティ

媒介契約の解除にともなるルールも理解しておくことが重要です。

売る気がなくなったり、売却する理由がなくなったなどで契約期間中に契約解除を検討するケースもあります。

基本的に売主都合で契約期間内に解除すると、違約金が発生します。違約金としては、仲介手数料に相当する額を上限として、売却活動にかかった実費を請求されるのが一般的です。

しかし、違約金の発生の有無や額は契約内容に左右されるので、事前にしっかり確認しておきましょう

なお、不動産会社が報告義務を果たさない、営業を熱心に行ってくれないなど、不動産会社の落ち度を理由とした契約解除であれば違約金は発生しません。

とはいえ、契約期間中の解除はトラブルになりやすいので、基本的には契約終了を待って解除するほうがよいでしょう。

どうしても契約期間内に解除したい場合は、事前に信頼できる別の不動産会社への相談をおすすめします。

▼関連記事:契約を解除する場合の流れと注意点

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媒介契約を締結するタイミングはいつ?不動産売却の流れ

不動産会社との媒介契約は、不動産会社に売却を依頼した段階で締結します。

ここでは、媒介契約のタイミングを含め不動産売却全体の流れを押さえていきましょう。

不動産売却全体の大まかな流れは以下のとおりです。

  • 不動産会社への査定依頼
  • 査定結果の報告
  • 気に入った不動産会社と媒介契約(媒介契約書の交付)
  • 売却活動
  • 売買契約~引き渡し

それぞれ見ていきましょう。

不動産会社への査定依頼

まずは、不動産会社の査定をうけて売却額目安の把握や不動産会社選びを行います。

この際、できるだけ多くの不動産会社に査定依頼することが大切です。

査定額は不動産会社によって大きく異なり、1社のみしか査定を受けないと査定額の妥当性の判断がつきません。

複数社比較するとおおよその相場も見えてくるので、査定額を判断しやすくなるでしょう。

査定結果の報告

査定結果をもとに、売却を依頼する不動産会社を見つけていきます。

この時、査定額が高いという理由だけで不動産会社を決めるのはおすすめできません。

不動産会社の中には、媒介契約目的で相場よりも高い査定額を提示する会社もあるのです。仮にその査定額で売却して売れない場合、結局は値下げが必要になる可能性が高いでしょう。

そのため、査定額だけでなく、不動産会社の実績や評判、対応、担当者の人柄なども含め、信頼できる不動産会社を選ぶことが大切です。

気に入った不動産会社と媒介契約(媒介契約書の交付)

媒介を依頼する不動産会社が見つかったら、媒介契約の締結と媒介契約書の交付を行います。

前述したようなチェックポイントを踏まえ、契約内容に納得してからサインするようにしましょう。

売却活動

媒介契約締結後は、不動産会社が広告や問い合わせ対応などの売却活動を進めてくれます。

とはいえ、不動産会社に丸投げせずに売主も適宜状況を把握することが大切です。

そのうえで、値下げなど不動産会社と相談しながら対策していきましょう。

また、売却活動中は内覧対応も必要になるので、入念に準備しておくことが重要です。

売買契約~引き渡し

買主が見つかり売却条件がまとまれば、売買契約に進みます。

通常、売買契約から約1ヵ月を目安に決済・引き渡しが行われ、売却が完了します。

なお、売却によって利益が出た場合は譲渡所得税が課税されるため、売却の翌年に確定申告が必要となります。忘れずに手続きを行いましょう。

また、譲渡所得税には「3,000万円特別控除(マイホームを売却した場合の特例)」と呼ばれる制度があり、納税額がゼロまたは大幅に軽減されるケースも多いです。

さらに、売却によって損失が出た場合も、条件を満たせば他の所得と損益通算したり、翌年以降に損失を繰り越して控除したりできます。

これらの特例を適用するには確定申告が必要ですので、詳細な判断や手続きについては税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

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まとめ

不動産会社との媒介契約は口頭でも成立しますが、契約書がなければトラブルになりかねません。

仮にトラブルになっても証明できる書類がないので、解決が難しくなるでしょう。

不動産会社は媒介契約後に契約書を発行・交付しなければならないので、媒介契約書がないケースは稀です。

しかし、売買契約書があっても内容を理解せずにサインしているとトラブルになりかねないので注意しましょう。

適切な媒介契約を締結し書面にすることで、トラブルのないスムーズな売却を目指しやすくなります。

まずは、信頼できる不動産会社を見つけることからスタートするとよいでしょう。

執筆者
逆瀬川勇造
逆瀬川勇造

明治学院大学卒。地方銀行勤務後、転職した住宅会社では営業部長としてお客様の住宅新築や土地仕入れ、広告運用など幅広く従事しました。2018年よりP.D.Pを設立。WEBを通して不動産に関する問題解決を目指します。 保有資格:宅建士、FP2級技能士(AFP)、住宅ローンアドバイザー、相続管理士

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