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土地などの不動産を評価額より安く売ることはできる?リスクや税金の注意点を解説

家族や親族相手に土地を安く売りたいと考えている方もいるでしょう。

しかし、評価額よりも著しく安く売却すると贈与税が課せられる可能性があります。

ただし、贈与税が課せられても安く売った方が節税になるケースもあるので、税金のかかり方を理解しておくことが重要です。

この記事では、土地を評価額よりも安く売った場合の贈与税や節税効果について分かりやすく解説します。

この記事を読むとわかること

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土地を評価額より安く売る「低廉譲渡(低額譲渡)」とは

低廉譲渡(低額譲渡)とは、市場価格よりも著しく低い価格で行われる取引のことです。

たとえば、時価2,000万円の土地を100万円で売却する場合、低廉譲渡にあたる可能性があります。

「低廉譲渡(低額譲渡)」とは?

土地をいくらで売却するかは売主が自由に設定でき、市場価格に合わせる必要はありません。

そのため、市場価格よりも低い価格で売却しても問題はないのです。

とはいえ、市場価格よりも著しく低い価格で売却すれば売主が損するだけなので、一般的な第三者に行う不動産売買では利用されないでしょう。

低廉譲渡が行われるのは主に、家族間や親族間の取引です。「子どもが家を建てるために土地を譲りたい」といったケースで利用されることが多く、その主な目的は贈与税や相続税対策になります。

また、単純に子どものためを思って安く売却するケースも考えられますが、低廉譲渡には思わぬ税負担が発生する恐れがあるため注意しましょう。

土地を評価額より安く売るリスクと注意点

低廉譲渡では、売り主に譲渡所得税、買主に贈与税という2つの税金が発生するリスクがあります。

譲渡所得税については後ほど詳しく解説しますが、こちらは通常の土地売却でも発生する税金です。

一方、贈与税は通常の土地売却では発生せず、低下譲渡で課税される可能性がある税金になります。

たとえば、評価額1億円の土地を2,000万円で売却したケースをみてみましょう。

低廉譲渡では贈与税が課税される可能性がある

売主は、2,000万円の売却によって利益が出ていれば、その利益が譲渡所得税の対象となります。一方、買主は本来1億円の土地を2,000万円で購入しているため、差額の8,000万円が贈与とみなされ、8,000万円に対して贈与税が課税される可能性があります。

そのため、低廉譲渡を検討している場合は、贈与税がいくらかかるかを理解したうえで検討することが大切です。

以下では、売主にかかる譲渡所得税と買主にかかる贈与税について詳しく解説していきます。

土地を売却すると譲渡所得税がかかる

土地を売却すると譲渡所得税がかかる

土地に関わらず不動産を売却して利益が出ると、利益に対して譲渡所得税が課税されます。

譲渡所得税は課税されると高額になるケースも多いので、不動産売却時には計算方法を押さえておくことが重要です。

譲渡所得税は以下の2ステップで計算できます

  • 課税譲渡所得の計算
  • 課税譲渡所得に税率を乗じる

それぞれ見ていきましょう。

課税譲渡所得の計算方法

譲渡所得とは不動産売却の利益を指し、以下の計算方法で求められます。

課税譲渡所得:売却価格-(取得費+譲渡費用)-特別控除
  • 取得費:売却した不動産を購入した際の費用(物件代金や仲介手数料など)
  • 譲渡費用:売却の際にかかった費用(仲介手数料や解体費など)
  • 特別控除:3,000万円特別控除などの譲渡所得で適用できる控除

売却価格から購入時と売却時にかかった費用と控除を差し引いた額が、譲渡所得税の対象です。

たとえば、以下のケースでみてみましょう。

  • 土地の売却額:4,000万円
  • 購入時の価格と費用(取得費):3,000万円
  • 売却時の費用(譲渡費用):200万円

控除を適用しない場合の譲渡所得は以下のようになります。

課税譲渡所得:4,000万円-(3,000万円+200万円)=800万円

譲渡所得税の税率

譲渡所得税は課税譲渡所得に税率を乗じるだけのシンプルな計算で求められます。

税率は、不動産の所有期間に応じて以下の2種類に分けられます

所有期間所得税・復興特別所得税住民税合計税率
短期譲渡所得5年以下30.63%9%39.63%
長期譲渡所得5年超15.315%5%20.315%

所有期間5年以下の短期譲渡所得と5年超の長期譲渡所得では税率が大きく異なるので、注意しましょう。

たとえば、前述の例で800万円の課税譲渡所得があり所有期間15年(長期譲渡所得)の場合の譲渡所得税は、以下のようになります。

譲渡所得税:800万円×20.315%=162万円

譲渡所得税が発生する場合、売却した年の翌年に確定申告して納税が必要です。

売却してから納税まで期間が空くので、確定申告を忘れずに行い、納税資金を手元に残しておかなければならない点にも注意しましょう。

譲渡所得税は売却して利益がある場合に課税される

譲渡所得税は、売却で利益が出た場合のみ発生します。

売却して損失が出る場合では課税されません。

たとえば、以下のケースでみてみましょう。

  • 土地の売却価格:3,000万円
  • 購入時の価格+諸費用:2,800万円
  • 売却の費用:300万円

この場合の譲渡所得は、3,000万円-(2,800万円+300万円)=-100万円となるため、譲渡所得税は発生しないのです。

また、譲渡所得が発生する場合でも、特例を適用して課税譲渡所得が0円になるケースでも譲渡所得税は発生しません。

ただし、特例を適用して税金が発生しないケースでは、特例適用のために確定申告が必要な点には注意しましょう。

土地を評価額より安く売ると差額分に贈与税がかかる

土地を評価額より安く売ると差額分に贈与税がかかる

贈与税とは、個人から財産を取得した際に発生する税金です。

低廉譲渡は売却であるため、贈与税に該当しないと考える方もいます。しかし、市場価格よりも著しく低い価格の売却は、差額分が贈与とみなされて、贈与税の課税対象となる可能性があります。

一般的には市場価格の80%以上の価格で売買された場合は、贈与にみなされないと考えられています。

ただし、厳密な規定は無いため、市場価格よりも安い金額で譲渡したい意向がある場合は、税理士等の専門家に相談するのが良いでしょう。

元々あった建物の解体や土地の造成、土壌汚染の対策費用などを差し引いた価格で不動産を売買する場合、評価額と照らし合わせると安い価格での取引が妥当なケースもあります。

そのような理由を加味して売買価格を設定した場合は、工事費の見積書や請求書を残すなどしておけば、税務署から指摘を受けた際にも取引価格の正当性を示しやすくなります。

贈与税の計算方法

贈与税は、年間の贈与額合計から基礎控除110万円を差し引いた部分に課税されます。

低廉譲渡では、適正時価から実際の売却額がみなし贈与となるので、以下の計算で課税対象額が分かります。

課税贈与額:(適正時価-売買額)-基礎控除

たとえば、3,000万円の土地を500万円で購入した場合の課税対象額は以下のとおりです。

課税贈与額:(3,000万円-500万円)-110万円=2,390万円

贈与税は年間の贈与合計額に対してかかるので、土地以外に贈与がある場合はその額を含む点には注意しましょう。

贈与税の税率

課税贈与額に贈与税の税率を乗じ控除額を差し引けば、贈与税額が分かります。

贈与税は、誰から贈与されたかによって以下の2種類の贈与額に分かれるので注意しましょう。

  • 一般税率(一般贈与財産):特例贈与財産に該当しない贈与に使用される税率
  • 特例税率(特例贈与財産):贈与税を受けた年の1月1日時点で18歳以上の者が、直系尊属(父母や祖父母)から贈与を受けた際に使用される税率

それぞれの税率は以下のとおりです。

一般税率特例税率
基礎控除後の贈与額税率控除額基礎控除後の贈与額税率控除額
200万円以下10%200万円以下10%
300万円以下15%10万円400万円以下15%10万円
400万円以下20%25万円600万円以下20%30万円
600万円以下30%65万円1,000万円以下30%90万円
1,000万円以下40%125万円1,500万円以下40%190万円
1,500万円以下45%175万円3,000万円以下45%265万円
3,000万円以下50%250万円4,500万円以下50%415万円
3,000万円超55%400万円4,500万円超55%640万円

贈与税は贈与された人に課税される

贈与税は贈与された人に課税されるため、低廉譲渡では買主が納税の義務を負います。

また、通常の贈与は贈る側(贈与者)と贈られる側(受贈者)の合意で贈与が成り立ちますが、低廉譲渡のみなし贈与では合意は必要ありません。そのため、贈られた側が「購入したから贈与に該当するとは思わなかった」という状況でも贈与税が課される可能性があるので、双方で贈与について理解しておくことが大切です。

なお、土地を時価よりどれくらい安く譲れば廉価譲渡に該当するかは、個別で判断され明確な基準がありません。

相手のためと安く譲ることで相手に思わぬ税負担がかかる恐れがあるので、事前に税理士など専門家への相談をおすすめします。

土地を評価額より安く売る方が節税できる?

土地を評価額より安く売る方が節税できる?

土地を安く売ると贈与税が課せられますが、贈与税がかかっても贈与や売買よりも節税になるケースもあります。

節税になるケースもある

同じ土地を贈与する場合、土地の評価額全額が贈与税の対象となります。

一方、低廉贈与であれば評価額と売買価格の差額が贈与税の対象となります。

たとえば、父から子に2,000万円の土地を贈与するケースと、400万円で売却するケースのそれぞれの贈与税額は以下のとおりです。

  • 土地を贈与するケース:(2,000万円-110万円)×45%-265万円=585.5万円
  • 400万円で売却するケース:(2,000万円-400万円-110万円)×40%-190万円=406万円

差額分が対象となるので、課税対象額だけでなく税率も抑えやすくなり節税が見込めます。

ただし、低廉譲渡は土地を買うためのお金を支払っている点には注意が必要です。

上記の例での買主側のトータルの支出は以下にようになります

  • 土地を贈与するケース:贈与税のみ(585.5万円)
  • 400万円で売却するケース:売買価格+贈与税(400万円+406万円=806万円)

贈与税の節税効果は見込めても、トータルでの支出額は大きくなるケースもあるでしょう。

どちらが適しているかはトータルの支出額を比較して検討することが大切です。

全体で動くお金をトータルで判断することが重要

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親から子どもに土地を譲りたいというケースでは、以下の3パターンを検討できます。

  • 時価程度で売買契約する
  • 土地を丸ごと贈与する
  • 時価より低い価格で売買契約する

どの方法が適しているかは、かかる税金やトータルの額、状況などを踏まえて決めることが大切です。

時価程度で売買契約する

時価程度で売買契約した場合、発生する税金は譲渡所得税のみになり負担は売主(親)だけになります。

ただし、買主(子ども)は時価程度の土地購入代金を用意する必要があります。

この場合、親から家の取得を含めた資金援助を受けることを検討するのもよいでしょう。

親からの資金援助は贈与税の対象となりますが、住宅取得のための資金援助であれば最大1,000万円まで贈与税が非課税になる制度の適用が可能です。

なお、親にかかる譲渡所得税は特例の適用での節税がしにくい点にも気を付けなければなりません。

たとえば、マイホームの売却で適用できる3,000万円特別控除は、親子間での売買が対象外です。

親にかかる譲渡所得税や子どもの土地取得資金を考慮して検討するとよいでしょう。

土地を丸ごと贈与する

このケースでは、贈与を受けた側(子ども)が贈与税を負担することになります。

一方、贈る側(親)は譲渡所得税もかからないので税負担はありません。

なお、譲渡所得税の最大税率は39.63%に比べ、贈与税は55%と税率が高くなるため、贈与額によっては税負担が大きくなる点に注意が必要です。

贈与額2,500万円までは非課税になる相続時精算課税制度を利用して税負担を押さえることも検討するとよいでしょう。

ただし、相続時精算課税制度は非課税になった額は相続時の財産に加算されます。

また、一度相続時精算課税制度を選択すると暦年課税に戻れない点にも注意しなければなりません。

時価より低い価格で売買契約する

低廉譲渡では、売主(親)に譲渡所得税、買主(子ども)に贈与税が課税される可能性があります。

しかし、譲渡所得税は売却額が低くなるため発生しにくくなるでしょう。

贈与税も市場価格と売却額の差額にかかるため、贈与を受けるよりも抑えやすくなります。

ただし、買主は贈与税だけでなく購入のための資金が必要になる点には注意が必要です。

どのパターンが適切かは個々の状況によって異なり、低廉譲渡に該当するかの判断も難しいところです。

パターンごとに税額や必要な資金も大きく異なってくるので、税理士や不動産会社など専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。

▼関連記事:不動産の親族間売買の注意点を解説

まとめ

土地を評価額よりも著しく安く売却すると、評価額との差額がみなし贈与に該当し、買主に贈与税が課せられる恐れがあります。

しかし、差額分だけが対象となるので、贈与するよりも相続税を押さえられるというメリットもあります。

ただし、買主は税金だけでなく購入費用などの支払いも必要になるので、トータルの額で検討することが大切です。

親子間で低廉譲渡を検討している場合は、事前に専門家のアドバイスをもらい、適切な方法を検討できるようにしましょう。

執筆者
逆瀬川勇造
逆瀬川勇造

明治学院大学卒。地方銀行勤務後、転職した住宅会社では営業部長としてお客様の住宅新築や土地仕入れ、広告運用など幅広く従事しました。2018年よりP.D.Pを設立。WEBを通して不動産に関する問題解決を目指します。 保有資格:宅建士、FP2級技能士(AFP)、住宅ローンアドバイザー、相続管理士

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