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譲渡損失の繰越控除とは?売却損が発生した時の税金の特例を紹介

不動産を売却するとその利益に応じて税金を納める必要がありますが、一方で損失が発生してしまうこともあります。

この損失は、一定の要件を満たすことで他の所得と合算したり翌年以降に繰り越したりできることをご存知でしょうか。

本記事では、不動産売却時の譲渡損失に関して利用できる特例について、具体的な内容やシミュレーションなどご紹介していきます。

不動産売却時に譲渡損失が発生してしまった方も、その損失を最大限活用できるようになるでしょう。

このページの目次
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譲渡損失とは?

本記事では譲渡損失に関する特例などご紹介していきますが、そもそも譲渡損失とはどのようなものなのでしょうか。

不動産を売却したときに得られる利益は、その利益額を計算して確定申告する必要があります。

不動産の売却で得られる所得は、「土地や建物の譲渡所得」として以下の計算式で計算します。

課税譲渡所得=不動産の売却価格-取得費-譲渡費用-特別控除

上記の「取得費」には不動産取得時の物件価格も含まれます。

例えば、3,000万円で取得した不動産を4,000万円で売却すると1,000万円の所得です。

この所得に対して所得税と住民税が課されることになります。

一方、3,000万円で取得した不動産を2,000万円で売却すると1,000万円の損失です。

日本では新築物件を求める人が多く、不動産も築年数の新しいものほど高値で取引されることが多くなっています。

このため、不動産の売却時に譲渡損失が発生することは多いです。

土地や建物の譲渡損失については、通常他の所得と合算もできませんし、翌年以降に繰り越すといったことができません。

しかし、一定の要件を満たすことで合算が可能になる特例を利用できます。

参考:No.3202 譲渡所得の計算のしかた(分離課税)|国税庁

譲渡損失が発生した時に利用できる特例

ここでは、譲渡損失が発生した時に利用できる特例について解説していきたいと思います。

所得税と住民税が軽減される

まず、特例の適用を受けると所得税と住民税を軽減可能です。

所得税や住民税は給与所得などその年の個人の所得の合計額によって決められます。

通常、「土地や建物の譲渡所得」で赤字が出ても、給与所得などの所得とは別計算ですが特例の適用を受けることで合算できるようになるのです。

このことを損益通算と呼びます。

例えば、ある年の「土地や不動産の譲渡所得」で譲渡損失が1,000万円発生した場合、その年の給与所得が400万円であれば、通常納めるはずだった所得税や住民税について納める必要がありません。

譲渡損失の繰越控除

また、特例の適用を受けると、「控除しても控除しきれない損失がある場合、翌年以降に繰り越す」ことができるようになります。

先程と同じケースの場合、1,000万円から400万円控除しても、なお600万円分の損失の余りがあります。

この余りは、翌年も損益通算可能なのです。

このことを繰越控除と呼びますが、特例の適用を受けた場合「翌年以降3年間」繰越控除可能となります。

譲渡損失の発生した年と翌年以降3年間なので、合計4年分が繰越控除可能な限り損益通算できるのです。

売却目的が買い替えの時

ここからは、譲渡損失に関する特例の適用を受けるための要件などお伝えしていきたいと思います。

譲渡損失に関する特例については2つのタイプがあり、その内の一つが「売却する目的が買い換えの時」に利用できる特例です。

この特例のことを「マイホームの買換えの場合の譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例」と呼びます。

本特例の適用を受けるための要件は以下の通りです。

  1. 売却する不動産がマイホーム(自己居住用の建物)であること
  2. 売却した不動産が取得から5年超の物件であること
  3. 売却時点で、当該不動産が空き家の場合は、空き家になってから3年以下の物件であること
  4. 新居への入居予定が1年以内であること
  5. 買い換え資産の登記簿面積が50㎡以上であること
  6. 繰越控除に関しては合計所得が3,000万円を超える場合、その年の控除を受けることができない
  7. 特例の適用を受けられるのは売却資産の土地の面積500㎡以下の部分のみ

細かなルールを確認する必要はありますが、「取得から5年超経過したマイホームの買換え」であることが重要なポイントとなります。

参考:No.3370 マイホームを買い換えた場合に譲渡損失が生じたとき(マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)|国税庁

売却目的が買い替えではない時

2つ目が、売買目的が買い換えでない時にも利用できる特例で、特定居住用財産の譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例」といいます。

マイホームを売却して実家に引っ越したり賃貸へ転居したりする場合に利用できる特例だといえるでしょう。

本特例の適用を受けるための要件は以下の通りです。

共通部分

  1. 売却した不動産が取得から5年超の物件であること
  2. 繰越控除に関しては合計所得が3,000万円を超える場合、その年の控除を受けることができない

異なる部分 

  1. 売却した不動産について、売却の前日に住宅ローンの残債がある
  2. 損益通算できる譲渡損失は、譲渡損失の額か住宅ローン残債から売却額を差し引いた額の内、いずれか少ない金額

後者について、例えば2,000万円で物件を購入し、住宅ローンの残債が1,500万円ある状態で、1,000万円で売却した場合を想定してみましょう。

譲渡損失の額は、1,000万円-2,000万円=1,000万円(ここでは譲渡費用など考慮しない)となります。

一方、住宅ローンの残債から売却額を差し引くと、1,500万円-1,000万円=500万円です。

損益通算できる額は上記の内少ない額となるため、後者の500万円が採用されます。

上記通り、こちらの特例では住宅ローン残債の有無や額が重要です。

参考:No.3390 住宅ローンが残っているマイホームを売却して譲渡損失が生じたとき(特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)|国税庁

譲渡損失の特例を受けたときの課税対象の計算方法

譲渡損失の特例を受けたときの課税対象の計算方法について解説します。

以下の条件で売却したケースを想定していきましょう。

  • 6,000万円でマンションを購入
  • 10年後に3,850万円で買い替え目的で売却
  • マンションの譲渡費用は350万円
  • 実際には建物について減価償却分を差し引く必要があるがここでは考慮しない

譲渡損失を計算する

まずは譲渡損失の計算です。

冒頭でお伝えした通り、譲渡所得は以下の計算式で求めることができます。

課税譲渡所得=売却価格-取得費-譲渡費用-特別控除

上記計算式に先ほどのケースを当てはめてみると、以下のように計算可能です。

3,500万円(売却価格)-6,000万円(取得費)-350万円(譲渡費用)=-2,850万円

つまり、この物件を売却したときの譲渡損失は2,850万円となります。

マイホームの買換えの場合の譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例

このケースでは買い替え目的での売却のため、「マイホームの買換えの場合の譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例」の適用を受けることができます。

本特例の適用を受けることで、譲渡損失が生じた年に損益通算でき、かつ譲渡損失の額に余りがある場合には翌年以降3年間にわたり繰越控除可能です。

仮に売主の給与所得が500万円だった場合、以下の通り損益通算と繰越控除できます。

経過計算式還付
売却した年500-2,850=-2,350万円課税なし
2年目500-2,350=-1,850万円課税なし
3年目500-1,850=-1,350万円課税なし
4年目500-1,350=-850万円課税なし
5年目繰越控除できない500万円を所得とする

給与所得が500万円だと、所得税と住民税の額は30~35万円程度が一般的なので、この額について4年間満額還付を受けられると考えると、節税効果が非常に高いといえるでしょう。

譲渡損失の特例を利用するには確定申告を行う必要がある

不動産を売却して利益が出ると、その利益額を確定申告して税金を納める義務がありますが、譲渡損失の場合は義務ではありません。

しかし、確定申告しないと譲渡損失の特例の適用を受けて税金の軽減や還付を受けられません。

不動産を売却して譲渡損失となってしまった場合でも、必ず特例の適用の可否について調べて確定申告するようにしましょう。

売却した年の確定申告が必要

まず、譲渡損失の特例の適用を受けるには不動産を売却して損失が生じた年に確定申告する必要があります。

また、翌年以降繰越控除を受けるためにはそれぞれの年で確定申告しなければなりません。

なお、確定申告は申告する年の翌年2月1日~3月15日の間に税務署などで所得税について申告する必要があります。

所得税について申告することで、住民税についても自動で計算されるという仕組みです。

税務署は平日日中しか空いていないため、土日が休日の方は仕事中を休んだり抜け出したりして申告する必要があるでしょう。

最近ではオンライン上の確定申告(e-Tax)も利用しやすくなっているので、調べておくことをおすすめします。

確定申告時に必要な書類

確定申告時に必要な書類については、適用を受ける特例のタイプによって異なるため、事前に確認しておきましょう。

自宅を売却する場合

共通して必要な書類
  • 確定申告書
  • 各特例に関する金額の明細書(確定申告付表)
  • 各特例に関する金額の計算書
  • マイホームであることを証明する書類(登記事項証明書など)
  • 5年超居住していることを証明する書類(登記事項証明書など)
買い換え不動産に関する書類
  • 買い換え不動産に関して購入年月日や面積の分かる書類(登記事項証明書など)

自宅以外の不動産を売却する場合

共通して必要な書類
  • 確定申告書
  • 各特例に関する金額の明細書(確定申告付表)
  • 各特例に関する金額の計算書
  • マイホームであることを証明する書類
  • 5年超居住していることを証明する書類
売却不動産に関する書類
  • 譲渡資産に関する住宅ローンの残高証明書

そもそも譲渡損失を出さないためには?

譲渡損失の特例の適用を受けることで大きな額の税金の還付を受けられる可能性があります。

しかし、そもそも損失が出てしまっていることが問題であり、できれば譲渡損失は避けたいものです。

ここでは、譲渡損失を出さないために、高額で不動産を売却する方法についてお伝えします。

複数社からの見積もりを受ける

不動産を売却するときは複数社からの見積もりを受けることをおすすめします。

これには以下の理由があります。

  • 複数の不動産会社から査定額の提示を受けることで相場観を養える
  • 複数の不動産会社を比較検討することでより高額で売却できる不動産会社を探すことができる
  • 複数の不動産会社と媒介契約を結ぶことで競争原理が働き高額売却を実現しやすくなる

査定や媒介契約自体は無料でできるため、必ず複数社に見積もりを依頼するようにしましょう。

なお、複数の不動産会社と媒介契約を結ぶには、一般媒介契約・専任媒介契約・専属専任媒介契約の3つのタイプのうち、一般媒介契約を選ぶ必要があります。

売りたい物件を得意とする不動産会社に依頼する

複数の不動産会社に見積もりを受けた後、実際に売却を依頼する際には売りたい物件を得意とする不動産会社を選ぶようにしましょう。

不動産会社にもそれぞれ得意分野があります。

  • 戸建住宅とマンション
  • シングルタイプとファミリータイプ
  • 広範囲にネットワークを持つ不動産会社と特定エリアに強みのある不動産会社

それぞれ、売りたい物件のタイプと不動産会社が得意とするタイプが合致した方が高額での売却が実現しやすくなるでしょう。

なお、エリアに関しては、例えば「広範囲にネットワークを持つ大手不動産会社」と「特定のエリアに強みを持つ地元の不動産会社」両方と媒介契約を結ぶことでより多くの方を対象にできる可能性があります。

まとめ

不動産売却時の譲渡損失についてお伝えしました。

所有期間5年超のマイホームを売却して譲渡損失が発生した場合、一定の要件を満たすことで損益通算や繰越控除の特例の適用を受けることができます。

損失が出たときの確定申告については義務ではありませんが、申告することでお得に利用できる可能性があるため、本記事の内容を参考に特例の適用を受けられるか必ず確認するようにしましょう。

また、特例の適用を受けることで得できるとはいえ、そもそも譲渡損失が出ない方がプラスが大きいです。

複数の不動産会社に相見積もりを出したり、売りたい物件を得意とする不動産会社に売却を依頼したりするなどして、できるだけ高額での売却を目指すようにしましょう。

執筆者
逆瀬川勇造
逆瀬川勇造

明治学院大学卒。地方銀行勤務後、転職した住宅会社では営業部長としてお客様の住宅新築や土地仕入れ、広告運用など幅広く従事しました。2018年よりP.D.Pを設立。WEBを通して不動産に関する問題解決を目指します。 保有資格:宅建士、FP2級技能士(AFP)、住宅ローンアドバイザー、相続管理士

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