「住宅ローンを組みたいけど、もしかしたら借金が配偶者や家族にバレるんじゃ…?」
こんな不安を抱えている人もいらっしゃるかもしれません。
家族に内緒の借金がある場合、住宅ローン審査の過程でバレるのではないかと心配になるのは当然です。
結論からお伝えすると、住宅ローンの審査で借金の有無は必ず金融機関にチェックされます。そして、その過程で配偶者に借金があると知られてしまう可能性は十分にあるのです。
当記事では、なぜ住宅ローンの審査で借金が徹底的にチェックされるのか、どんな時に家族に借金がバレてしまうのかを解説します。
住宅ローンの審査で借金の有無は必ず確認される
人生で最も大きな買い物の一つであるマイホーム。その購入に住宅ローンを利用する人は多いのではないでしょうか。
住宅ローンは20~35年と長い期間をかけて返済していくことになるため、金融機関は「この人にお金を貸しても大丈夫か?」「毎月きちんとローンを返済し続けられるのか?」などを、事前審査(仮審査)と本審査で徹底的にチェックします。
借金は返済能力を測る判断材料のひとつ
住宅ローンの審査で最も重視されるのは、申込者の返済能力です。つまり、毎月安定して住宅ローンを返していけるだけの経済力があるかをチェックします。
審査基準は各金融機関で異なりますが、おおむね以下の項目を満たしているかで判断しています。
- 完済時年齢
- 健康状態
- 借入時年齢
- 年収
- 勤続年数
- 返済負担率
- 担保評価
- 金融機関の営業エリア
- 連帯保証
- 国籍
- 雇用形態
- 融資可能額(融資率)①購入の場合
- 融資可能額(融資率)②借換えの場合
- カードローン等の他の債務の状況や返済履歴
- 申込人との取引状況
- 業種
- 家族構成
- 雇用先の規模
- 所有資産
- 性別
- その他
参考:国土交通省|令和5年度 民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書
この中でも重要視されている項目のひとつが「カードローンなど、他の債務の状況や返済履歴」です。
なぜなら、すでに複数のカードローンや車のローンなど、住宅ローン以外にも多くの借金があると、返済が困難とみなされるからです。
▼関連記事:キャッシングやリボ払いの利用履歴・残債は住宅ローンの審査に影響する?
返済負担率が高いと審査に通りにくくなる
住宅ローン以外の借金が多いと、返済負担率が高くなるため審査に通りづらくなります。返済負担率とは、申込者の年収に対して、年間でどれくらい返済に使われているかの割合を言います。
返済負担率の計算式は以下の通りです。
一般的に返済負担率が30%〜35%を超えると、金融機関では「住宅ローンの返済に回せるお金が足りなくなるのではないか」と考えます。
その結果、住宅ローンの審査に通ることは難しくなるでしょう。
仮に住宅ローンを組めることになったとしても、当初予定していた金額より減額される可能性も十分に考えられます。
信用情報で過去の借金や返済状況が分かる
「過去に借りた分は全額返済しているから審査に影響しないでしょ」「内緒にしてたら借金なんてバレないんじゃないの?」と、考えている人もいるかもしれません。
ところが住宅ローンの審査を申し込んだ時点で、金融機関は申込者が、いつ、どれくらいの借金をしたのか、きちんと返済しているか、滞納していないかといった「信用情報」をすべて把握しています。
信用情報とは、返済中もしくは完済したローンの契約内容や返済履歴などが記録されている個人情報をいいます。これらの信用情報は、主に以下の信用情報機関によって管理されています。
- 株式会社シー・アイ・シー(CIC)
- 日本信用情報機構(JICC)
- 全国銀行個人信用情報センター(KSC)
住宅ローンの審査を申し込むと、金融機関は信用情報機関に照会をかけます。信用情報に問題がなければ、審査に通る可能性は高くなるでしょう。
一方、過去に延滞していたり、債務整理を行うなど信用情報に傷がついている(いわゆる「ブラックリスト」に載っている状態)だと、審査に通ることはほぼ不可能です。
このように、信用情報は金融機関が申込者の返済能力を判断するために欠かせない材料のひとつといえます。
妻(夫)に借金がバレるかは状況次第
自分では借金があることを上手く隠していたつもりでも、信用情報には記録が残るため、金融機関は他に借り入れがある事実を把握します。
しかし、だからといって家族・配偶者に借金があると知られてしまうかというと、必ずしもそうではありません。
なぜなら、個人情報保護の観点から、いくら配偶者であっても、金融機関から直接借金があることを説明されることは厳しく制限されているためです。
ただし、あなたの行動や言動、状況次第ではバレる可能性は十分にあります。例えば、普段のちょっとした会話の最中に口を滑らせたり、金融機関から届いた返済状況や督促に関する書類をチェックされるなど。
どうしても配偶者に借金をしていることを知られたくないのであれば、これらの言動には注意する必要があります。
住宅ローンの審査で借金が妻(夫)にバレるケース
信用情報として借金の履歴が残っている以上、何かの拍子で配偶者にバレる事態は十分考えられるでしょう。
以下では、具体的にどのようなタイミングで、妻(夫)に借金が知られてしまうのかを、ケース別でご紹介します。
申し込み書類を一緒に準備しているとき
住宅ローンの申し込みには、以下のような書類を提出する必要があります。
- 運転免許証などの本人確認書類
- 住民票の写し
- 源泉当集票など所得を証明する書類
- ローンの残高証明書など借入状況に関する書類
- 売買契約書など物件に関する書類
これらの書類を自分だけで揃えるのは大変なため、仕事で時間が取れない場合などは、家族と協力して準備することもあるでしょう。
提出する書類の中には、借入状況に関する書類も含まれています。この書類を準備する段階で、借金をしていたことがバレる可能性があります。
また、多くの金融機関の住宅ローン申込書には「他からのお借入」といった項目が設けられているのが一般的。
ここで正直に書けば、配偶者が目にしたタイミングでバレてしまいます。
自宅に届いた書類から発覚するとき
住宅ローン審査中は、各所から様々な書類が自宅に郵送されてきます。これらが原因で借金がバレることもあるため注意しましょう。
仮審査の通知が原因でバレる
住宅ローンの仮審査が終わると、借入希望額や金利、審査結果などが記載された通知書が金融機関から郵送で届くのが一般的です。
仮審査に落ちたり、希望額を大きく下回る減額があった場合には、通知を見た配偶者や家族が不審に思い 、「なぜ?属性には問題ないはずなのに…」と金融機関に問い合わせたり、詳しく調べたりすることがあります。
しかし、住宅ローンの審査結果については、家族はもちろん本人に対しても「なぜ審査に落ちたのか」という明確な理由は開示されません。
それゆえ、かえって疑念を深めることになり、過去の借金やカードローンの利用履歴などが疑われて調査されると、最終的にバレるリスクが出てくるわけです。
▼関連記事:住宅ローンの審査に通らない理由は教えてくれない。審査落ち原因の確認方法を解説
信用情報を開示した書類でバレる
住宅ローンの審査に申し込む前に、借金を完済することができれば審査に通る可能性も高くなります。そのためには、自身の信用情報を開示してチェックする必要があります。
ただし、自分の信用情報を郵送で開示請求した場合、書類は自宅の郵便受けに届きます。この書類の封筒には「株式会社シー・アイ・シー」や「日本信用情報機構」、「全国銀行個人信用情報センター」といった信用情報機関の名称が記載されていることがほとんどです。
もし、配偶者が封筒を見つけて中を見られてしまうと、借金をしていることがバレてしまう可能性があります。
なお、信用情報はマイナンバーカードによる本人確認を実施することで、オンラインで開示請求が可能です。
家族に内緒の借金がある場合、開示請求をオンラインで実施し、ダウンロードしたPDFも端末から削除するなどすれば、知られてしまうリスクを低減できるでしょう。
消費者金融やローン会社からの書類でバレる
住宅ローン審査とは直接関係がないと思われがちですが、現在利用している消費者金融やその他のローン会社からの郵送物から借金がバレるケースもあります。
これらの会社からは、以下のような書類が定期的に送られてきます。
- 利用明細書
- 返済のお知らせ
- 督促状
- 契約内容の変更通知
- ダイレクトメール
こういった書類には会社名がハッキリと書かれています。
配偶者が郵便物を確認した時などに「なんでこの会社から郵便物が来るの?」と疑問に思い開封すれば借金がバレてしまいます。
金融機関の担当者から契約時に説明されるとき
住宅ローンの本審査に通過して、いよいよ契約という段階でも、借金がバレる可能性は十分にあります。
借金の金額が多かったり、複数のローンを組んでいると、返済負担率を下げるために金融機関から条件を提示されることがあります(条件付き承認)。この条件を満たすことができなければ、ローンを組むことはできません。
こういった条件は、住宅ローンの契約時に金融機関の担当者から説明されるのが一般的です。
もし、妻(夫)がいる前で「既存の借り入れをすべて完済しなければ、住宅ローンは実行できません」などと条件を提示されてしまうと、配偶者に借金がバレてしまいます。
▼関連記事:住宅ローンが条件付き承認になるケースとは?本審査までにやるべきことを解説
妻(夫)に借金を知られたくない時にできる対策
「住宅ローンを申し込みたいけど、配偶者に借金を知られたくない…」という人もいるかもしれません。
そこで以下では、配偶者に借金を知られずに住宅ローンを申請する対策をご紹介します。
ただし、配偶者に借金を内緒にするのは得策ではありません。ただでさえマイホームを購入するために、何千万円と莫大な借金をすることになるのです。
後々になって、さらに何百万円も借金があると知らされたら、取り返しが難しいトラブルに発展する恐れもあります。
できれば住宅ローンを申し込む前に借金を打ち明けて、夫婦で協力して問題に取り組むことを強くお勧めします。
信用情報の開示をスマホやパソコンで行う
住宅ローンを申し込む前に、自身の信用情報をチェックする人は多いのではないでしょうか。信用情報に傷がついていると審査に通りづらくなるので、何が記載されているかを把握することはとても大切なことです。
しかし、信用情報の結果を郵送にすると、配偶者が受け取った時に中身をみられる恐れがあります。そこで、信用情報はインターネットを使って開示請求を行いましょう。
インターネットを利用して開示請求をすれば、自分のスマートフォンやPCで結果が確認できるため、配偶者に知られるリスクは低くなります。
郵送で開示するときは受け取りに注意する
インターネット環境がなかったり、信用情報機関がインターネットでの開示請求に対応していないケースもあります。こういった理由で郵送でしか対応できない場合は、郵送物の受け取りに細心の注意を払いましょう。
例えば、郵便物が届く時間帯を指定して、自分で受け取るようにします。家族の目に触れる前に郵送物を回収できれば、借金のことがバレずに済みます。
もしくは、本人限定受取郵便(特例型)での受け取りを検討するといいでしょう。ただし、受け取りには本人確認が必要なうえに、郵便局まで出向かなくてはいけません。
また、信用情報機関によっては本人限定受取郵便(特例型)に対応していない場合もあります。事前に信用情報機関と郵便局に確認しておきましょう。
借金を整理してから住宅ローンを申し込む
住宅ローンに申し込む前に、既存の借金を完済してしまいましょう。これが最も確実で、後々のトラブルも防ぐことができます。
借金がなくなれば返済負担率が下がります。さらに、金融機関からも「ちゃんと完済できる人」と判断されるため、住宅ローンの審査にも通りやすくなるのです。
完済後、信用情報機関に完済情報が反映されるまでには時間がかかるため、住宅ローンの申し込みは1〜3ヶ月程度期間を空けておくと良いでしょう。
まとめ
最後までお読みいただきありがとうございます。今回は、住宅ローンの審査で妻(夫)に借金がバレるかについて解説しました。
住宅ローン審査では、申込者に返済能力があるかを判断するために、借金の有無や返済履歴が必ず確認されます。
もちろん、金融機関が意図的に借金があることを配偶者にバラすことは、個人情報保護の観点からありません。
しかし、金融機関にそのつもりがなくても、申し込みから審査の過程で知られてしまうリスクはゼロではありません。
また、借金を家族に隠して住宅ローンを申し込むのは大きなリスクを伴います。
住宅ローンは、長ければ30年以上も返済を続けなければいけません。夫婦で協力し合わなければ完済は難しいでしょう。
それなのに借金があることを隠していると、大きなトラブルに発展する可能性があります。
マイホームを購入して幸せな家庭を築くためにも、借金があることを正直に配偶者に打ち明けて、二人で協力して問題に取り組むことを強くお勧めします。