マイホームの購入を検討している人にとって、避けて通れないのが住宅ローンの審査です。
金融機関が定める条件さえ満たしていれば、住宅ローンの審査に通れる可能性は高くなります。しかし、何かしらの問題が見つかり、審査に通らない人も少なくありません。
住宅ローンの審査には、車や医療ローンの借り入れ状況が影響することがあります。
そうなると「すでに自動車ローンや医療ローンを組んでいるけど、審査に不利なのだろうか?」と心配な方もいらっしゃるでしょう。
そこで当記事では、車のローンや医療ローンが住宅ローン審査にどんな影響を与えるのかを詳しく解説します。さらに、審査に通るために押さえておきたいポイントを詳しく紹介します。
自動車ローンや医療ローンは住宅ローン審査に影響する?
住宅ローンの審査では、申込者の様々な個人情報がチェックされます。これは、すでに抱えている自動車ローンや医療ローンも例外ではありません。
審査する金融機関は、申込者が本当にローンを返済できるのかを重視しています。現在返済中のローンが多ければ負担も増えるため、審査に通っても返済が難しいと判断するのです。
車のローンは住宅ローンに影響する
車を購入する際に、大半の人が組んでいる自動車ローン。これも借金をしていることになるため、住宅ローンの審査に大きな影響を与えます。
なぜなら、住宅ローンの審査では「返済負担率」の大きさを指標のひとつとしているからです。
返済負担率とは、年収に対するすべての借り入れ返済額の割合を示すものです。返済負担率が高すぎると「返済能力に不安がある」と判断されて、住宅ローンの審査に通りにくくなってしまうのです。
例えば、車のローンで月々3万円支払っているとしましょう。ここに住宅ローンが加わると、返済負担率が高くなります。
その結果、返済が困難と判断されて審査に通らない、もしくは本来借りられるはずだった希望額に届かないケースも十分にあり得ます。
医療ローンも同様に審査の対象になる
医療ローンとは、歯科治療や美容整形、不妊治療など、高額な医療費を支払うために組むローンのことを指します。
医療ローンも自動車ローンと同様に、住宅ローンの審査でチェックされる対象です。理由はいたってシンプルで、医療ローンも返済義務のある借金だからです。
例えば、自動車ローンの返済が月3万円、医療ローンの返済が月2万円だとすると、すでに毎月5万円が返済にあてられていることになります。
これに住宅ローンの返済に数万円が加わると、返済負担率が大きく上がります。家計に大きな負担をかけると返済が困難になる恐れがあるため、金融機関も審査に慎重になるのです。
車・医療ローンの延滞や滞納は審査に落ちる原因になる
自動車ローンや医療ローンの返済を延滞・滞納したことがあったり、過去に債務整理を行った経験がある場合は、住宅ローンの審査で不利になる可能性があります。
なぜなら、こういったローンの利用状況は「信用情報機関」に記録されているためです。
信用情報機関には、契約内容や返済履歴、延滞・滞納の有無、債務整理の経歴などが記録されています。住宅ローンの申込を行うと、申込者に返済能力があるか判断するために信用情報をチェックします。
例えば、過去に自動車ローンや医療ローンで支払いの遅れがあった場合、金融機関は「返済能力に不安がある」と判断し、審査に通りにくくなることがあります。
自分の信用情報に不安があるなら、住宅ローンを申し込む前に確認しておきましょう。過去に延滞などがあった人は、CIC(株式会社シー・アイ・シー)やJICC(日本信用情報機構)といった信用情報機関で開示請求を行い、内容を把握しておくことをお勧めします。
モゲチェック(PR)の
住宅ローン比較はこちら
住宅ローンの審査でチェックされる主な項目
自動車ローンや医療ローンなど、住宅ローン以外の借入は審査に影響を与えます。しかし、金融機関が審査でチェックする項目はそれだけではありません。
金融機関は、申込者が住宅ローンをきちんと返済できるかどうかを判断するために、以下のような項目もチェックしています。
- 完済時年齢
- 健康状態
- 借入時年齢
- 年収
- 勤続年数
- 返済負担率
- 担保評価
- 金融機関の営業エリア
- 連帯保証
- 国籍
- 雇用形態
- 融資可能額(融資率)①購入の場合
- 融資 可能額(融資率)②借換えの場合
- カードローン等の他の債務の状況や返済履歴
- 申込人との取引状況
- 業種
- 家族構成
- 雇用先の規模
- 所有資産
- 性別
- その他
参考:国土交通省「令和5年度 民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書」
車や医療ローンがあると、少なからず審査に影響を与えるのは事実です。それに加えて、収入が安定しているか、計画的に返済を続けられるか、家計に負担をかけない借入額かなど、総合的に判断されます。
金融機関が特に重視している項目
住宅ローンの審査では、申込者の様々な情報をもとに「この人がきちんと返済していけるかどうか」を総合的に判断します。カードローン等の他の債務の状況や返済履歴もそのひとつです。
ただし、どの項目をどれだけ重視しているかは金融機関によって異なりますし、具体的な審査基準は基本的に公表されていません。
しかし、多くの金融機関では以下の項目を特に重要視する傾向があります。
- 年齢
- 健康状態
- 年収
- 勤続年数
- 返済負担率
以下では、金融機関が住宅ローン審査で特に注目する項目について詳しく解説します。
年齢
住宅ローンの審査では「借入時年齢」と「完済時年齢」の2つが必ずチェックされます。
多くの金融機関では、20歳以上から60歳までを借入が可能な年齢として設定しているのが一般的。完済時の年齢に関しては、上限を75〜80歳程度としています。
こういった年齢が設定されている理由は、住宅ローンの返済は長期にわたるため、年齢が高くなるほど返済が難しくなると考えられているからです。
例えば、20代で35年の住宅ローンを組んだ場合、完済するのはおよそ55歳。それに対して50歳で35年ローンを組むと、完済時の年齢は85歳前後となります。
定年退職後は収入が年金だけとなるケースも珍しくありません。現役だった頃よりも収入が落ちてしまうため、返済が難しくなる恐れがあります。
返済不能の状況を避けるために、金融機関では借入時と完済時の年齢を審査の対象としているのです。
健康状態
多くの金融機関では、住宅ローンを組む際に団体信用生命 保険(団信)への加入を求められます。団信に加入できるかを判断する材料のひとつが、申込者の健康状態です。
団信とは、ローンの契約者が万が一死亡したり高度障害になった場合に、残りのローンを完済してもらえる保険のことをいいます。
民間の金融機関の住宅ローンでは、多くが団信への加入を求められる。
団信に加入できないとローンの返済が滞るだけではなく、購入した自宅を手放すことにもなりかねません。自宅を失えば残された家族の生活も一変してしまうでしょう。
最悪の事態を引き起こさないためにも、住宅ローンを組む際は団信への加入が必要になるのです。
健康状態に問題がなければ、団信に加入することが可能です。しかし、持病をもっていたり、過去に入院歴がある、服薬しているなど、状況によっては団信に加入できなかったり、何かしらの条件を付けられることも。
もし、健康状態に不安がある場合は、団信が必要ない住宅ローンを選ぶか、持病が落ち着いたタイミングで申し込むなどの工夫をしましょう。
年収
住宅ローンの審査では、当然ですが申込者の年収が利用の可否に大きな影響を与えます。
例えば、現在の収入が高かったとしても年度ごとの変動幅が大きかったり、前年に比べて急激に下がっていると、返済能力に不安があると判断される場合があります。
また、収入が安定していることも評価の対象としてみられます。会社員や公務員など、収入が安定している職業は信頼性が高いと判断されやすい傾向があります。
それに対して個人事業主やフリーランスなどの場合は、年収が高くても審査が厳しくなることもあります。
借入希望額が大きい場合ほど、年収に対する金融機関の審査は厳しくなりがちです。審査に通りやすくするためにも、自分の年収で無理なく返せる範囲の借入金額を設定しましょう。
勤続年数
住宅ローンの審査では勤続年数も重視される項目のひとつです。勤続年数が長いということは、安定した収入を継続して得られている証拠。金融機関からも、勤続年数が高い人ほど返済能力が高いと評価されます。
一般的に、勤続年数が3年以上あれば審査でプラスの評価を得やすいとされています。もちろん、安定した年収や職種であれば、3年未満でも審査に通るケースはあります。
一方で、転職直後や勤続年数が1年未満の場合、収入が安定していないと判断されやすくなります。
これから住宅ローンを申し込む予定があるなら、転職を遅らせたり長期間の勤務が可能なように職場の状況を安定させておくと良いでしょう。
返済負担率
返済負担率とは、年収に対してどれくらいの割合をローン返済にあてているかを示す指標です。金融機関は返済負担率を参考にして「申込者は無理なくローンを返済できるか」を判断しています。
返済負担率は「ローンの年間返済額 ÷ 年収 × 100」で計算することができます。例えば、年収500万円で年間のローン返済額が100万円なら、返済負担率は20%です。
金融機関によって異なりますが、一般的に返済負担率は30~35%以内であることが望ましいとされています。
負担率が高すぎると、生活費や突然の出費に対応できない可能性があるとみなされて、審査に不利になる恐れも。
また、自動車や医療ローンなど、他のローンも返済負担率の計算に含まれるため、複数のローンを抱えていると返済負担率が高くなるため注意が必要です。
住宅ローンを検討しているなら、審査前にできるだけ完済しておくか、借入の金額を抑えるといった対応をしましょう。
住宅ローンの審査に備えるなら、まずはご自身の返済負担率をチェックしてみることをおすすめします。
住宅ローンの審査に落ちないためのポイント
自動車ローンや医療ローンをすでに組んでいると、住宅ローンの審査に少なからず影響を与えます。しかし、だからといって絶対に組めないというわけではありません。
適切な対策を取ることで、自動車ローンや医療ローンを抱えていても住宅ローンの審査に通ることは十分に可能です。
以下では、住宅ローンの審査に落ちないためのポイントを詳しくご紹介します。
他のローンを完済してから申し込む
住宅ローンの審査を有利に進めたいなら、自動車ローンや医療ローンなど、他の借入はできるだけ完済してから申し込むのが理想的。
なぜなら、住宅ローンの審査では返済負担率が重視されるからです。
すでに他のローンを返済中であれば、その分の返済額が年間の返済額に含まれるため返済負担額も高くなります。その結果、本来 希望していた借入額よりも少なくなったり、審査に通りづらくなる可能性があります。
例えば、自動車ローンで月に2万円支払っている場合、それだけで年間24万円の負担となります。これが住宅ローンの審査に影響する可能性があるのです。
住宅ローンを申し込む前に、他のローンを完済しておくことで、金融機関の印象も良くなります。
たとえ完済が難しい場合でも、できるだけ残債を減らしてから住宅ローンに申し込むことで、審査に通る可能性を少しでも高めることができるでしょう。
信用情報の内容を事前に確認する
住宅ローンの審査では、CIC・JICC・全国銀行個人信用情報センターに保存されている申込者の信用情報が厳しくチェックされます。
もし、過去に延滞や滞納、債務整理などの記録があれば、審査に不利になる可能性があります。
しかし、なかには心当たりのない記録が載っていたり、完済したはずのローンがまだ残っていると表示されるといったケースも。
身に覚えのない情報で住宅ローンの審査に落ちるといった事態を避けるためにも、信用情報を自分で開示請求して、内容に問題がないか確認しておきましょう。
各信用情報機関では、インターネットや郵送で数百円の手数料を支払えば、簡単に情報を取り寄せることができます。
万が一、誤った情報や古い記録が残っている場合は、訂正の申請を行うことも可能です。住宅ローンの審査に備えて、まずは自分の信用情報を正しく把握しておきましょう。
まとめ
最後までお読みいただきありがとうございました。今回は、自動車ローンや医療ローンが住宅ローンにどのような影響を与えるかについて解説しました。
自動車ローンや医療ローンをすでに抱えている場合、住宅ローンの審査に影響が出る可能性は十分にあります。特に、返済負担率が高くなったり、信用情報に延滞や滞納の記録があると、審査に落ちる恐れがあります。
しかし、適切な対策を講じれば、他のローンがあっても住宅ローンを組むことは可能です。
例えば、他のローンを完済しておく、返済負担率を下げるよう工夫する、信用情報を事前にチェックして、誤りがあったら訂正するといった対策を取れば、審査に通りやすくなります。
これから住宅ローンを検討しているのであれば、あらかじめ自分の状況を見直して、少しでも不安材料を減らしてから申し込むようにしましょう。