マンションの角部屋は人気が高く、売却しやすい物件です。
しかし、同じ角部屋でもちょっとした要素の違いで大きな価格差が生じるケースがあります。
角部屋を売却する際には、価格差が生じる理由やメリット・デメリットを押さえたうえで売却することが大切です。
この記事では、角部屋の価格差や高く売れる理由、メリット・デメリットなどを分かりやすく解説します。
マンションの角部屋は高く売れる?
マンションの部屋は、角部屋と中部屋の2種類に分かれます。
角部屋とは、マンションの各フロアの端にある部屋です。
マンションの形状にもよりますが、廊下の端、または廊下の角にある部屋を指します。
外部に面した壁面が2つ以上あり、隣接する住戸は1つというのが角部屋の大きな特徴です。
一方、フロアに配置された住戸のうち、両隣が別の住戸に挟まれているのが中部屋です。
一般的には、マンションでは角部屋よりも中部屋の方が多くなります。
角部屋は中部屋に比べ人気が高く、売りやすい傾向があります。
しかし、角部屋だからといって必ず高く売れるわけではないので、売りやすさの違いやメリット・デメリットを押さえておくようにしましょう。
マンションの角部屋はどのくらい価格差がある?
ここでは、マンションの角部屋と中部屋の価格の違いをみていきましょう。
1割~2割ほど価格が高くなりやすい
マンションの角部屋は、中部屋に比べて1~2割ほど価格が高くなる傾向があります。
たとえば、同条件のマンションの場合、同じ階の中部屋が3,000万円であれば、角部屋は3,300~3,600万円ということになります。
ただし、マンションの価格は部屋の位置以外の要素にも大きく左右されるので、角部屋だから高くなるわけではない点には注意しましょう。
階数が高いとさらに価格が高くなりやすい
マンションの価格は、位置だけでなく階数も重要な要素です。
一般的には、階数が高くなるほど眺望や陽当たりの良さから人気が高く、高値で売りやすい傾向にあります。
そのため、同じ角部屋であれば低層階よりも高層階の方が価格は高くなります。
また、低層階の角部屋よりも高層階の中部屋の方が高くなりやすい点にも注意しましょう。
同じマンションで売り出しがある場合、中部屋よりも角部屋が高いと思い階数を考慮せずに価格をつけると、売りにくくなる恐れがあります。
角部屋でも北向きは価格が高くなりにくい
方位も、価格を左右する重要な要素です。
一般的には、陽当たりの良い南向きの人気が高く、次いで東向き、西向き、北向きの順で価格が下がります。
そのため、バルコニーが南向きについている角部屋は高値での売却が期待できるでしょう。
反対に、角部屋でも北向きであれば売りにくくなりがちで、中部屋とそれほど価格が変わらない可能性があります。
ただし、北向きであっても、日中は仕事でいないなど陽当たりを気にしない人をターゲットにすれば、スムーズな売却が可能です。
マンションの角部屋が人気で高く売れる理由
角部屋の人気が高い理由としては、以下の4つが挙げられます。
- 陽当たりが良い
- 窓が多く風通しが良い
- 隣からの騒音が片面だけ
- バルコニーやベランダが広いケースがある
- 玄関前を人が通りにくい
それぞれ見ていきましょう。
陽当たりが良い
陽当たりの良さは、洗濯物が乾きやすい、冬でも暖かい、日中も明るいなどのメリットから、人気が高くなる要因です。
その点、角部屋は外部に面する壁面が2つあるので、異なる方位で窓を多く設けられ採光性が良くなります。
さらに、高層階になれば周囲に日差しを遮られにくくなるので、より採光性は良くなるでしょう。
低層階の場合、周囲の建物に日差しが遮られるというデメリットはありますが、それでも同じ階の中部屋よりは採光性が良くなるため、同階であれば価格は高くなりやすいです。
窓が多く風通しが良い
窓を違う方位に多く設けられるため、風通しもよくなります。
風通しの良さは、臭いのこもりにくさや換気のしやすさだけでなく、部屋に湿度がこもりにくくなるためカビが発生しにくいというメリットもあります。
陽当たりの良さと風通しの良さを合わせて生活環境が良くなるのは、角部屋の大きなメリットといえるでしょう。
隣からの騒音が片面だけ
マンションは上下左右を別の住戸に囲まれるので、生活音が気になるケースは珍しくありません。
相手からの騒音が気になるだけでなく、自分の生活音がトラブルの原因になる恐れもあるでしょう。
その点、角部屋であれば隣接する住戸は1つになるので、中部屋よりも騒音トラブルのリスクは少なくなります。
また、隣の住戸と接しない面に寝室やリビングを設ければ、静かな生活環境を確保しやすくなるでしょう。
バルコニーやベランダが広いケースがある
マンションの構造にもよりますが、一般的に角部屋は中部屋とは間取りが異なります。
なかには、バルコニーやベランダが二方向に設けられるなどで広いケースも珍しくありません。
バルコニーやベランダが広くなれば、洗濯スペースを大きくとれる、家庭菜園など趣味のスペースに活用しやすいなど、利便性が増します。
玄関前を人が通りにくい
角部屋はフロアの端に設けられるのが一般的なため、自分の住戸より先に住戸はありません。
そのため、自分の住戸に用がない人が玄関前を通ることはほとんどありません。
中部屋の場合、隣接する住戸の住人や点検業者、宅配業者など自分の住戸に関係のない人も玄関前を行き来するため、音やプライバシーが気になる方もいるでしょう。
その点、角部屋は玄関前の人通りが少ないので、プライバシーや静かな生活環境を守りやすくなります。
マンションの角部屋のデメリット
角部屋にもデメリットはあるので、デメリットを理解したうえで、売却時に対策しておくことが重要です。
角部屋のデメリットとしては以下の2つが挙げられます。
- 冷暖房効率が悪くなりやすい
- 家具の配置が難しい
それぞれ見ていきましょう。
冷暖房効率が悪くなりやすい
角部屋は外部に接する壁や窓の 数が多くなるため、室温が外気温に左右されやすいというデメリットがあります。
夏場の暑さや冬場の寒さが室内に伝わりやすくなると、冷暖房を利用しても効きが悪くなる恐れがあります。
室温を快適に保ちにくいだけでなく、冷暖房効率が悪くなることで光熱費が高騰しやすい点にも注意しましょう。
ただし、近年のマンションは断熱性に力を入れており、角部屋でも室温を快適に保ちやすい物件も増えています。
断熱性の高いマンションであれば、そのことをアピールすると買い手の不安を解消しやすくなるでしょう。
反対に、冷暖房効率が悪くなりやすい物件は、内覧時に冷暖房で室温を調整するなど、暑さや寒さが気にならないように対策しておくことも重要です。
家具の配置が難しい
角部屋は柱が突出している、壁が斜めになっているなど、中部屋とは異なる複雑な間取りをしているケースもあります。
室内の形状が特殊な場合、壁に合わせて希望の家具を配置できない場合があるでしょう。
また、窓が多い配置は陽当たりの良さはありますが、窓の部分に家具が置けないなどの制限が生じます。
実際にどのように利用できるのか、内覧時に生活イメージを持ってもらいやすいように配置の工夫をするとよいでしょう。
プロがインテリアをコーディネートする「ホームステージング」を利用するのもおすすめです。
おしゃれな室内を演出することで、内覧者の印象アップが期待でき、スムーズな売却につなげやすくなります。
マンションの角部屋に関するよくある質問
最 後に、マンションの角部屋に関するよくある質問をみていきましょう。
角部屋はやめたほうがいいといわれる理由は?
角部屋には、冷暖房効率が悪くなる、家具の配置が難しい、中部屋よりも価格が高いなどのデメリットがあることから、やめた方がいいといわれるケースがあります。
しかし、角部屋には陽当たりや風通しの良さ、騒音リスクが小さい、静かな生活環境を確保しやすいなどのメリットがあります。
角部屋でも価格が安くなる理由は?
角部屋であっても北向きや低層階は人気が下がりやすく、同じマンションの条件のよい中部屋よりも価格が下がるケースもあります。
さらに、マンションは以下のような要素でも価格が左右されます。
- 築年数
- 室内の状態
- 耐震性
- 管理の状態
- 立地
- 周囲の競合
築年数が古い、管理の状態が悪い、室内の状態が悪いといったマンションは、角部屋でも価格は安くなりがちです。
周囲に競合のマンションがある場合も価格が比較されるため、高値では売りにくくなる恐れがあるでしょう。
また、マンションの売却価格は不動産会社の力量にも左右されます。
マンションを売却するなら、そのエリアのマンションに強い信頼できる不動産会社を選ぶことが重要です。
査定時にはできるだけ多く比較し、自分のマンションにぴったりな不動産会社を見つけるようにしましょう。
マンションの角部屋が怖いと感じる人がいる?
角部屋の防犯面や音の影響などのデメリットから怖いと感じる人もいます。
また、角部屋は風水的には悪い運気が溜まるとされており、風水を気にする人は怖いと感じるケースもあるでしょう。
しかし、角部屋にはメリットも豊富にあるため、ターゲットを明確にして適切にアピールをすることでスムーズな売却が期待できます。
まとめ
マンションの角部屋は、陽当たりや風通しの良さ、騒音リスクの少なさ、プライバシーを確保しやすいなどのメリットから、中部屋よりも人気が高く、高値で売却できる傾向にあります。
しかし、角部屋であっても方位や階数などによって価格が左右されるため、必ずしも高値で売れるわけではありません。
角部屋の価格を左右する要素やデメリットを理解せずに価格を設定すると、売りにくさにつながる恐れもあるので、相場を踏まえ不動産会社に相談しながら適切な価格設定をすることが大切です。
まずは、できるだけ多く不動産会社の査定を受けて、信頼できる不動産会社を見つけることから始めるとよいでしょう。