ハウスクリーニングを実施すると室内が清潔になるため、売却を有利に進められる場合があります。
リビングや玄関、水回りなどを綺麗にすれば内覧者に好印象を抱いてもらい、スムーズに売却できる可能性もあります。しかし、実施には費用が掛かるため、室内状況に応じて使い分けることが大切です。
そこで本記事では、マンション売却においてハウスクリーニングをするべきかどうかについて詳しく解説します。
マンション売却におけるハウスクリーニングは義務ではない
ハウスクリーニングは義務ではありませんが、室内を清潔にすることで購入希望者に好印象を与え、売却をスムーズに進めやすくする効果が期待できます。
特に築年数が浅く設備が新しい場合、ハウスクリーニングを実施することで「そのまま住める」と感じてもらいやすく、売却にプラスになる場合があるでしょう。
築年数が古い場合でも、適切に清掃すれば「リフォームなしでも住める」と思ってもらえる場合があるため、一定の効果が期待できます。
ハウスクリーニングの費用は、間取りや業者によって異なりますが、2LDKのマンションで3〜7万円程度が目安です。売却前に実施するかどうかは、物件の状態を考慮したうえで判断しましょう。
売却前にハウスクリーニングを実施するメリット3選
売却前にハウスクリーニングを実施するメリットは以下の3点です。
- 内覧者に好印象を与えられる
- 値引き交渉されにくくなる
- 売れ残りリスクを軽減できる
ハウスクリーニングを利用するかどうか悩んでいる方は参考にしてみてください。
内覧者に好印象を与えられる
売却前にハウスクリーニングを実施すると、内覧者に良い印象を与え、売却活動をスムーズに進めやすくなります。特にキッチンや浴室などの水回りは購入意欲に直結しやすく、清潔感が求められる箇所です。
プロのクリーニングで徹底的に清掃することで、「丁寧に管理されている物件」と感じてもらいやすくなり、売却につながる可能性が高まります。
内覧時の印象が良いほど、売却までの時期や価格交渉で有利になるでしょう。
値引き交渉されにくくなる
室内の汚れや傷が目立つと「リフォーム費用がかかる」と判断され、値引き交渉の材料になる場合があります。特にキッチンや浴室などの水回りは汚れが目につきやすいため、ハウスクリーニングを活用すると効果的です。
売れ残りリスクを軽減できる
室内の汚れが目立ち、清潔感がないと購入希望者に悪い印象を持たれ、成約する可能性が下がる恐れがあります。また、長期間売れないと「売れ残り物件」として認知される恐れがあり、さらに売れにくくなる場合もあるでしょう。
売れ残り物件として認知されれば、販売価格を下げたり売り出し時期を見直したりする必要も出てくるため、手間や時間が余計にかかります。
マンション売却時にハウスクリー ニングすべきケース2選
以下のケースに該当している場合はハウスクリーニングすべきです。
- 部屋の汚れが目立っている
- 築浅物件を売ろうとしている
それぞれを詳しく解説します。
部屋の汚れが目立っている
部屋の汚れが目立つと、購入希望者に悪い印象を与え、売却の妨げになる可能性があります。特にキッチンや浴室などの水回りはカビや水垢が蓄積しやすく、清掃不足が指摘されやすい箇所です。
室内を清潔に保つことで内覧者の印象が良くなり、早期売却や値引き交渉を有利に進められる可能性があります。
ただし、ハウスクリーニングには費用がかかるため、汚れの程度に応じて業者への依頼を検討することが重要です。自分で対応できる箇所は掃除し、頑固な汚れや臭いの除去は専門業者に任せると、コストを抑えつつ効果的に印象を改善できます。
築浅物件を売ろうとしている
築浅物件は設備や内装が新しく、購入希望者は入居後すぐに住むことを期待します。そのため、ハウスクリーニングで清潔感を高めると内覧時の印象が向上し、早期売却や値引き交渉の回避につながる可能性があります。
一方、築年数が古い物件でも清潔な状態は買主にポジティブな印象を与えられるため、ハウスクリーニングの効果は十分に期待できます。
マンション売却前にハウスクリーニングしなくてよいケース4選
以下のケースに該当している場合は、マンション売却前にハウスクリーニングしなくてよい場合があります。
- 部屋がもともと清潔
- 購入者がリフォームを予定している
- 築年 数が古く、設備の劣化が進んでいる
- 不動産会社に直接買取してもらう
それぞれを詳しく解説します。
部屋がもともと清潔
部屋がもともと清潔であれば、必ずしもハウスクリーニングを行う必要はありません。日頃から丁寧に掃除をし、水回りや床、壁に目立つ汚れがなく、臭いの問題もなければ簡単な掃除で十分な場合があります。
ただし、 内覧時の印象が売却価格や成約スピードに影響するため、少しの汚れでも買主にマイナスの印象を与える可能性があります。 特にタバコ・ペットの臭いがある場合は、ハウスクリーニングを検討したほうがよいでしょう。
また、どの程度の掃除が必要かは不動産会社の担当者に相談し、対応を決めるのが最適です。
購入者がリフォームを予定している
購入者がリフォームを考えている場合、高額なハウスクリーニングは不要な場合があります。特に築年数が経ち、設備や内装の劣化が進んでいる物件では、購入後に自分の好みに合わせてリフォームをする可能性があります。
売主が事前に大掛かりなクリーニングやリフォームをしても、その費用を売却価格に上乗せするのは難しく、コストを回収できない可能性があります。
ただし、簡単な清掃や不要なゴミの処分は内覧時の印象を良くするために有効です。
築年数が古く、設備の劣化が進んでいる
築年数が古く、設備や内装の劣化が進んでいる場合、買主がリフォーム・リノベーションを前提に購入することが多く、大掛かりなハウスクリーニングが必須とは限りません。
例えば、築30年以上のマンションでは、キッチンやバスルームなどの設備が劣化している場合があり、買主が交換するケースが一般的です。そのため、高額なクリーニング費用をかけても、売却価格に大きな影響を与えないことがあります。
不動産会社に直接買取してもらう
不動産会社が買主となる買取の場合は、買い取ったマンションをリフォームやクリーニングして再販するケースが多く、 売主が事前にハウスクリーニングをする必要は基本的にありません。ただし、汚れがひどいと査定額に影響することもあるため、 最低限の掃除はしておくと良いでしょう。
また、 不動産買取は仲介と比べて売却価格が低くなる傾向があります。
不動産会社が買取して再販売する際のコストや利益を差し引いた金額で取引されるため、仲介よりも金額が安くなる。
そのため、「とにかく早く売りたい」「買主探しの手間を省きたい」といった場合に有効な方法ですが、 少しでも高く売りたいなら仲介による売却も検討すべきでしょう。
ハウスクリーニングすべきオススメポイントと費用相場
ハウスクリーニングすべきオススメポイントとその箇所の費用相場を解説します。部分的なハウスクリーニングを検討している方は参考にしてみてください。
- 水回り::1~4万円
- リビング:数千円~2万円
- 換気扇:1万円前後
水回り:1~4万円
キッチンや浴室、トイレなどの水回りは湿気が多く汚れが蓄積しやすいため、定期的なハウスクリーニングが必要です。
水回りのクリーニング費用は依頼する箇所や業者によって異なりますが、一般的な相場は以下の通りです(地域や作業範囲によって変動あり)。
- キッチン:約12,000円~20,000円
- 浴室:約12,000円~25,000円
- トイレ:約6,000円~10,000円
- 洗面所:約7,000円~10,000円
なお、複数箇所をまとめて依頼すると費用を抑えやすく、業者によってはセットプランを提供しています。例えば、以下のようなプランが一般的です。
- 3点セット(キッチン・浴室・トイレ):約25,000円~40,000円
- 5点セット(キッチン・浴室・トイレ・洗面所・レンジフード):約28,000円~45,000円
また、定期的なクリーニング契約を利用すると、1回あたりの費用を抑えられるケースもあります。水回りの汚れは放置すると落としにくくなるため、早めの対応が重要です。
リビング:数千円~2万円
リビングは家のなかでも訪問者の目に入りやすいため、清潔にしておくと印象が良くなります。特に床や窓まわりは汚れが目立ちやすく、ハウスクリーニングを依頼する価値があります。費用の目安は以下のとおりです。
- 床のクリーニング・ワックスがけ(6畳あたり):約8,000〜15,000円
- 窓ガラス・サッシ・網戸のセット清掃(1組あたり):約4,000〜8,000円
業者や地域によって料金は異なるため、複数の見積もりを取るのがおすすめです。
換気扇:1万円前後
換気扇のクリーニングは、清潔な住環境を維持するために重要です。特にキッチンの換気扇は、油やホコリが蓄積しやすく、長期間放置すると換気能力が低下し、引火リスクが高まることもあります。
クリーニング費用の目安は以下の通りです。
- レンジフード型(シロッコファン):約10,000円~13,000円
- プロペラ型:約9,000円~10,000円
ただし、地域や業者によって料金やサービス内容が異なるため、事前に複数の業者の見積もりを比較し、口コミや対応内容を確認することが重要です。
仲介会社紹介のハウスクリーニングサービスなら安く抑えられる
マンション売却時、仲介会社からハウスクリーニングサービスを紹介してもらえる場合があります。
通常のハウスクリーニング費用よりも安く依頼できるケースがほとんどのため、ハウスクリーニングの利用を検討している方は確認しておきましょう。
無料で受けられる 場合もある
仲介会社紹介のハウスクリーニングは基本的に割引価格で利用できますが、なかには契約特典やキャンペーンとして、一部のクリーニングを無料で受けられるケースもあります。
例えば、エアコン内部洗浄や浴室、キッチンなどの特定の箇所が対象となるサービスです。ただし、内容や適用条件は仲介会社によって異なるため、事前に担当者へ確認しておきましょう。
利用時の注意点
仲介会社が紹介するハウスクリーニングを利用する際には、いくつかの注意点があります。
例えば、提携業者のみを対象とするケースが多く、他のハウスクリーニング業者を選べない場合があります。また、仲介会社との媒介契約の内容によっては、解約時にキャンセル料がかかるケースもあるため事前に確認しましょう。
マンション売却前にハウスクリーニングする際の注意点3選
マンション売却前にハウスクリーニングする際は以下の点に注意しましょう。
- 予算を事前に決めておく
- 追加料金がないか確認しておく
- 内覧前に実施しておく
予算を事前に決めておく
部屋全体のクリーニング費用は、間取りや部屋の広さ、地域、業者によって変動します。例えば、1LDK・2DKの空室クリーニングでは約2〜4万円、3LDK・4DKでは約4〜8万円が目安です。
一方、特定の箇所のみを依頼する場合、トイレは6,000円前後、キッチン・浴室なら1万円前後が相場です。予算を決める際には、これらの費用を参考にし、部屋全体か部分的なクリーニングかを選択すると良いでしょう。
追加料金がないか確認しておく
ハウスクリーニング業者のウェブサイトに掲載されている基本料金は、標準的な作業内容を含む場合もありますが、追加費用が発生するケースもあります。
例えば、駐車場代は都心のマンションでは別途請求されることが多く、作業時間が長引いた場合は延長料金が発生する可能性があります。また、居住中のクリーニングは家具の移動や保護に手間がかかるため、空室より料金が高くなる傾向があります。
さらに、エアコン洗浄や水回りの特別清掃など、一部の作業がオプション扱いとなり、別途料金がかかることもあります。基本料金だけで判断せず、複数の業者に見積もりを依頼し、追加料金や作業範囲を事前に確認しましょう。
内覧前に実施しておく
内覧前のハウスクリーニングは、物件の印象を良くするために重要です。水回りや玄関、リビングや床の清掃は特に効果的です。
ただし、リフォーム前提の物件でも最低限の清掃は行い、ホコリやカビ、異臭を防ぐことが大切です。購入希望者に好印象を与えるため、丁寧に清掃しましょう。
▼関連記事:家の査定前に掃除は必要?
ハウスクリーニング業者の失敗しない選び方4選
ハウスクリーニング業者選びで失敗しないためにも以下のポイントを理解しておきましょう。
- 複数のハウスクリーニング業者を比較する
- 損害保険に加入している業者を選ぶ
- 利用者の口コミが好評な業者を選ぶ
- ハウスクリーニングに関する専門資格を持っている業者を選ぶ
複数のハウスクリーニング業者を比 較する
ハウスクリーニング業者を選ぶ際は、複数社の見積もりを取り、料金やサービスの範囲、実績を比較しましょう。同じ「清掃」でも作業内容は業者ごとに異なるため、エアコンや換気扇の洗浄が含まれるか、専用洗剤の使用有無なども確認が必要です。
また、口コミだけでなく、公式サイトの実績や保証の有無、損害補償の対応、追加料金の発生条件やキャンセルポリシーも確認すると安心です。
損害保険に加入している業者を選ぶ
ハウスクリーニングでは、作業中に家財や設備が破損する可能性があります。特にエアコンクリーニング後の不具合や床材の傷など、予期せぬトラブルが発生する恐れもあります。
業者が損害保険に加入していれば、業者過失による損害が補償される可能性がありますが、未加入の場合は自己負担となる場合があります。
利用者の口コミが好評な業者を選ぶ
利用者の口コミは、実際にサービスを利用した人の評価として参考になります。ただし、すべての口コミが正しいとは限らないため、複数の情報源を比較することが大切です。特に、作業の質やスタッフの対応、追加費用の有無などに関する口コミを確認しましょう。
また、SNSやインターネット掲示板だけでなく、業者の公式サイト内の情報や知人の紹介なども活用し、偏りのない情報を集めることが重要です。口コミが好評な業者を選ぶことでトラブルを避けやすくなります。
ハウスクリーニングに関する専門資格を持っている業者を選ぶ
ハウスクリーニングに関する専門資格として、「ハウスクリーニング技能士」があります。「ハウスクリーニング技能士」とは、厚生労働省が認定する国家資格で、ハウスクリーニングの技術や技能を評価する資格です。
この資格を保有しているスタッフがいる業者へ依頼することで、より適切なハウスクリーニングを受けられます。
また、各メーカーの認定資格を持つスタッフがいる業者も、エアコンや換気扇など特定の設備のクリーニングに強いことが期待できます。
ただし、資格の有無だけで業者の技術力を判断するのは難しいため、実績や口コミも併せて確認するとよいでしょう。公式サイトや問い合わせ時に、資格や対応可能な作業範囲を確認することが重要です。
まとめ
マンション売却におけるハウスクリーニングの必要性やハウスクリーニングのメリットなどを解説しました。
マンション売却時は必ずしもハウスクリーニングを行う必要はなく、室内の劣化状況や汚れの目立ち具合に応じて対応することが大切です。特に、キッチンやトイレなどの水回りは内覧者が気にするポイントであり、清潔に保つことで成約のしやすさにも影響します。
ただし、元々清潔な状態だったり購入希望者がリフォーム予定だったりする場合は、ハウスクリーニングは不要であり、自分である程度清掃するだけで十分です。
適切にハウスクリーニングを活用することでスムーズに売却できたり値下げ交渉を回避できたりする可能性もあります。マンション売却を検討している方は、ぜひこの記事を参考にしてハウスクリーニングを利用するかどうか判断してみてください。