タワーマンションに憧れがあり購入を検討している方もいるでしょう。
タワマン購入時にはマンションの価格だけでなく、管理費・修繕積立金にも注意が必要です。
通常のマンションよりもタワマンの管理費・修繕積立金は高額になりがちなので、しっかりと資金計画を立てる必要があります。
この記事では、タワマンの管理費・修繕積立金が高額になる理由や相場・購入時のチェックポイントなど詳しく解説します。
タワーマンションの管理費・修繕積立金とは
タワーマンションを購入すると、住宅ローンの返済以外にも毎月管理費・修繕積立金を負担しなければなりません。
管理費・修繕積立金は、どちらもマンションの維持管理のためのお金ですが用途が異なるものです。
まずは、管理費・修繕積立金が何に使われるお金なのかを確認しましょう。
タワーマンションの管理費は共用部分の管理などに使われる
管理費は、共有部分の日常的な管理に使われるお金です。
具体的には、以下のような費用として利用されます。
- 共有部分のメンテナンス費
- 共有部分の水道光熱費
- 共有部分の火災保険料
- 共有施設の運営費
- 警備員やゴミ出し・清掃などの委託管理費や人件費
- 管理組合の運営費 など
共有部分や共有施設を日常的に清潔・安全に利用するための費用や運営費などが管理費から支払われます。
管理費の性質は通常のマンションと同じですが、タワーマンションの場合共有プールやジムなどの充実した施設やサービスが提供されているケースが多く、それらの管理・運営費用も管理費として負担する必要があるのです。
タワーマンションの修繕積立金は定期的な修繕に使われる
修繕積立金とは、定期的な大規模修繕のために積み立てるお金です。
マンションは性能維持のため、10~15年を目安に大規模修繕工事が行われます。
大規模修繕工事では、以下のような費用がかかります。
- 建物の診断費用
- 外壁塗装費用
- 給排水管の工事
- 屋上の工事
- 共有施設や設備の交換費用 など
大規 模修繕工事は、マンションの規模によっては数千万円~数億円かかります。
いきなりその費用を捻出するのは難しいため、数年単位で毎月積み立てていく必要があるのです。
タワーマンションの管理費の相場
タワーマンションの管理費は通常のマンションよりも高額になる傾向にあります。
ここでは、管理費の相場や高額になりやすい理由をみていきましょう。
タワーマンションの管理費の相場をデータから解説
国土交通省による形態別の平均管理費は以下のとおりです1。
項目 | 管理費平均 |
単棟型全体 | 17,214円 |
3階建以下 | 20,112円 |
4~5階建 | 17,529円 |
6~10階建 | 16,944円 |
11~19階建 | 16,597円 |
20階建以上 | 24,585円 |
タワーマンションの明確な定義はありませんが、一般的には20階以上の超高層マンションがタワーマンションと呼ばれます。
よって、タワーマンションの管理費目安は20階建以上の24,585円となり、平均額よりも5,000円ほど高いことが分かります。
また、築年数やエリアによっても管理費は異なり、築年が浅いほど高くなる点にも注意しましょう。
ただし、管理費は総戸数で割るため戸数が多いと1戸当たりの負担は軽減される傾向にあります。
タワーマンションは数百戸あるケースも多いため、全体額に対する1戸当たりの負担額でみれば比較的安い場合もあるでしょう。
タワーマンションの管理費が高額になりやすい理由
タワーマンションの管理費が通常のマンションよりも高額になる理由が、設備・サービスが充実していることにあります。
タワーマンションは、価値向上のために施設やサービスが充実しているケースが一般的です。
代表的なタワーマンションの共有施設やサービスには、以下のようなものが挙げられます。
- 共有ラウンジ
- ジムやプール
- 24時間対応・各階設置のゴミステーション
- 豪華なエントランス
- コンシェルジュサービス
- 24時間有人管理
- 複数基のエレベーター
- ヘリポート
これらの設備やサービスを提供するには、運営費や人件費・設備のメンテナンス費などがかかります。
そのため、管理費も自然と高くなりやすいのです。
タワーマンションの修繕積立金の相場
タワーマンションの修繕積立金も管理費同様に通常のマンションよりも高い傾向があります。
タワーマンションの修繕積立金の相場をデータから解説
国道交通省による形態別の平均修繕積立金の額は以下のとおりです2。
項目 | 修繕積立金の平均額 |
単棟型全体 | 13,300円 |
3階建以下 | 14,231円 |
4~5階建 | 13,684円 |
6~10階建 | 13,637円 |
11~19階建 | 12,626円 |
20階建以上 | 13,834円 |
また、修繕積立金は築年数が古いほど高くなる傾向がある点にも注意が必要です。
同調査によると、令和2年以降に完成したマンションの修繕積立金が10,266円であるのに対し、平成17年~21年完成のマンションでは15,007円と高くなっています。
タワーマンションの修繕積立金が高額になりやすい理由
タワーマンションの修繕積立金が高くなる理由としては、大規模修繕工事に費用が高額なことが挙げられます。
大規模修繕工事では、外壁塗装も行われますが、超高層のタワーマンションは通常のマンションのように下から足場を組んで施工できません。
屋上から吊り下げるゴンドラが必要となるため、通常外壁塗装よりも高額になりがちです。
また、共有施設が充実していることも、管理費や修繕積立金が高くなる要因です。
とくにプールのような水を大量に使う設備がある場合は、メンテナンス 費用が高額になるため管理費や修繕積立金にも反映されやすくなってしまうのです。
▼関連記事:マンションの管理費・修繕積立金の相場は?
管理費や修繕積立金以外にタワーマンション購入後にかかる費用
タワーマンションを購入すると、ローン返済額・管理費・修繕積立金以外にも費用が発生します。
トータルの費用をシミュレーションして資金計画を立てることが大切です。
管理費・修繕積立金以外で発生する費用としては、以下の2つが挙げられます。
- 固定資産税・都市計画税
- 駐車上の利用料
固定資産税・都市計画税
固定資産税は不動産を所有している人に毎年課税される税金です。
マンションや戸建てなどおおよそすべての不動産が対象となり、1月1日時点の所有者が納税の義務を負います。
また、市街化区域内に不動産を所有している場合は、都市計画税もあわせて徴収されます。
それぞれの税額は以下の通りです。
- 固定資産税=不動産評価額×1.4%(標準税率)
- 都市計画税=不動産評価額×0.3%(上限税率)
税率は自治体によって異なる場合もあるので、お住まいの自治体で確認しましょう。
タワーマンションの固定資産税は、階数ごとに固定資産税額が異なります。
税制改正以前は階数に関わらず床面積で課税されていましたが、現在では高層階は増税・低層階で現在されているため、高層階ほど高くなるので注意しましょう。
タワーマンションは資産価値も高いため、固定資産税・都市計画税も高額にな る傾向にあります。
事前に税額を確認することをおすすめします。
駐車場の利用料
車を所有し駐車場を利用する場合は、別途駐車場の利用料がかかります。
タワーマンションのあるエリアは基本的に地代も高い傾向にあるため、駐車場利用料金も高くなりがちです。
エリアによっては月5万円前後かかるケースも珍しくないため、注意しましょう。
マンションは立地がよく交通利便性が高いケースが多いので、車の維持費によっては手放すことも視野に入れてもよいでしょう。
ただ、管理費などには駐車場利用料の徴収分も充てられています。
駐車場利用者が少なくなり管理費への補填が少なくなると、管理費が上がる恐れがある点は覚えておきましょう。
タワーマンションの修繕積立金が値上がりする理由
修繕積立金は、築年数に応じて値上がりするケースが一般的です。
ここでは、値上がりの理由についてみてきましょう。
長期修繕計画で「段階増額積立方式」が採用されているケースが多いから
修繕積立金の設定方法には、大きく次の2種類があります。
- 段階増額積立方式:年数に応じて値上げする方式
- 均等積立方式:修繕計画をもとに積立金を決め計画の見直しまでは基本的に値上がりしない
段階増額積立方式は、当初の金額を安くし年数が経過するごとに高く設定することが可能です。
そのため新築分譲時に低く設定して購入者を集うケースは少なくありません。
その場合、将来的にいくら値上げされるか分からないケースも多いので注意しましょう。
マンション総合調査によると、段階増額積立方式が47.1%・均等積立方式が40.5%で取り入れられています。
方式によって値上げのタイミングや額は異なります。
将来の修繕積立金が大きく上がる場合もあるため、検討するマンションの修繕積立金の設定方法がどのようになっているかは必ず確認しましょう。
人手不足や建築費が高騰しているから
修繕積立金は、修繕工事の額によって左右されます。
現在の建築市場は人手不足や建築費の高騰により修繕費用の額も高騰しています。
また、築年数が経過すればその分修繕個所や規模も大きくなるため修繕費用も高くなります。
修繕工事にかかる費用がより高額になることが予測されるため、修繕積立金も高く設定されるケースがあるのです。
管理状況により想定より必要な修繕が増えているから
国土交通省の調査によると、段階増額積立方式・30年の計画期間で、当初の修繕積立金が7,000円、最終額や約2.8万円と30年間で約4倍に跳ね上がっています