一昔前のマンションは、どの地方でも簡単に売却できました。
しかし、昨今、日本の人口動態は急激に変化しており、都心以外ではマンションが簡単に売れる時代ではなくなっています。
そこで、どのようなマンションが売れにくいのか、また、そういったマンションを所有する場合、売却にはどのような対策を立てれば良いのかを解説します。
売れにくいマンションの特徴とは?
売りに出してもなかなか買い手がつかない、または、大幅に値段を下げなければ売れないマンションには以下のような特徴があります。
- 立地が悪い
- 新耐震基準を満たしていない(1981年以前の建築)
- 管理状態が悪く老朽化が進んでいる
- 維持費が高い
- 住人が減少している
立地が悪い
不動産の売れやすさを左右する最大の要素は、一も二にもなく立地です。
人が多く住んでいるエリアであれば、住まいになるマンションの需要は必ずあります。
駅に近い、都心に近い、また災害に強いなど、多くの人が立地選びで重視するポイントを満たしていれば、売りやすくなります。
しかし、駅から離れている、交通が不便である、災害に弱い場所に建っている、などの悪条件下にあるマンションは、売れにくいのが実情です。
新耐震基準を満たしていない
日本は地震大国であり、近年でも東日本大震災を始め、強い揺れを伴う地震が全国で発生しています。
そして、最近では関東地方を中心に台風や大雨の被害を受けるエリアも増え、まさに世界屈指の災害大国になりました。
特に地震が起きれば、住宅に与える損害は甚大です。
そこで、耐震性を重視して住宅を購入する人が増えているのです。
建築基準法では1981年に、マンションの耐震性能を引き上げた新耐震基準が設けられました。
新耐震基準では、震度6~7でも倒壊しないように柱や梁などの構造材を用い、また靭性(じんせい=壊れにくさ)のある建物を建てるこ とを義務づけています。
そのため、マンションの耐久性は1981年以降の建築であるかが1つの基準となり、需要やローン審査にも影響が及びます。
1981年以前に建てられたマンションは新耐震基準に則った建築が行われておらず、構造材が新耐震基準の建物より少ないです。
そのため、震度6程度の地震でも被害を受ける可能性が高いのです。
「地震に弱くても良いから、とにかく安い家を探している」という人も一定数いるかもしれませんが、やはり多くの人には受け入れられません。
住宅ローンの審査においても「新耐震基準の制定以後に建築確認を受けた」または「新耐震基準相当の耐震性が確認されている(適合証明書を取得済み)」のマンションでなければ融資を受けられないケースが多いです。
結果的に、住宅ローンを利用できない旧耐震基準のマンション購入者は現金一括決済を求められるため、一般の検討者が少なくなり、買手が賃貸物件として運用する投資家や不動産会社などに限られてしまいます。
そのため、新耐震基準を満たしていない物件は売却に苦労するでしょう。
管理状態が悪く老朽化が進んでいる
物件の管理状態が悪く、老朽化が進んでいるマンションも売れにくいです。
例えば、大規模な修繕を行わずに外観が汚れ、とても住みたくなる雰囲気ではないもの、エレベーターや機械式の駐車場など、メンテナンスに費用がかかる設備が故障で使えなくなって いるものも避けられます。
エントランスなどの共用設備は、誰も管理する人間がいなくなってしまえば、汚れやひび割れが目立つようになります。
こういった物件は、これから先購入して長い年月を暮らす予定がある人に避けられがちです。
「マンションは管理状態で買え」という言葉も不動産業界ではよく言われます。
管理状態が悪いマンションほど売れにくいのです。
維持費が高い
管理状態が良くても、維持費が高いマンションも売れにくいものです。
住宅ローンを組んでマンションを購入した場合、ローンの返済だけではなく、管理費と積立修繕費も毎月支払う必要があります。
管理費は共用設備の数や自分が所有している部屋の面積によって変わりますが、急激に増額されることはありません。
しかし、積立修繕費は経年で大きく増額されることがあります。
築年数が古くなるほど、マンションの修繕費もより高額になるからです。
築年数の経過とともに修繕積立金の増額を計画しているマンションが多い。
たとえ物件価格が安くても、毎月の積立修繕費が莫大な額である大型のマンションは、最終的に経済的な負担が重くなります。
一定の収入が大幅に減る退職後であっても積立修繕費は発生するという点は、購入者の視点に立って押さえておきましょう。
住人が減っている
住人が減少して空室が目立つマンションも、なかなか売れません。
住人が減っているマンションは、積立修繕費を支払う人が少ないため、個人の負担が増えます。
また、共用設備があっても利用する人が減っていれば、宝の持ち腐れになります。
管理費が満足に集まらなければ、管理人を雇えないという事態も考えられます。
その結果、マンションの管理状態がますます悪くなるという悪循環に陥ってしまうのです。
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売れにくいマンションを売るための対策は
では、売れにくいマンションを売るためには、どういった対策が考えられるでしょうか。
マンションの住人が一丸となって修繕工事を行う
まずは修繕工事を行うことが前提に挙げられます。
しかし、修繕工事は個人の意思でできるものではないため、住人同士が協力して管理組合に修繕工事を依頼する必要があります。
物件の老朽化を避けるために、住人同士で話し合いの場を持ちましょう。
そこで、積立修繕費を使ってどのような修繕工事を行うのか、物件の魅力を上げるためには何をすれば良いのか、しっかりと話し合って依頼する工事業者を選びましょう。
リノベーションを行って部屋の魅力を高める
個人でできる対策としては、売却前に部屋のリノベーションを行うことです。
床やクロスなどの見た目や、劣化が激しい水回りのキッチン、お風呂などを交換します。
またそれだけではなく、和室を洋室に変える、細々とした個室をまとめて大きなリビングのある間取りに変更するなど、大胆なリノベーションを実施すれば、部屋の内装を新築と同じぐらいの状態に戻すことができます。
外観は個人では綺麗にはできませんが、部屋の内装は個人の意思で新築に近い状態にできるのです。
不要な設備をカットして管理費を下げる
管理費が高いマンションの場合、不要な管理費を払い過ぎている可能性もあります。
例えば、キッズルームやジム、プールなどは管理費が非常にかかります。
しかし、住人が年齢を 重ねてしまうと、あまり必要とされなくなる設備です。
もし、そのような設備を利用する人が殆どいないのであれば、無理に運用し続けるのではなく、管理組合で相談した上で設備を撤去し、管理費を減らすことを考えてみましょう。
管理費の負担が少なくなれば、新しい住人に経済的なメリットが生まれます。
修繕計画を見直し、維持費を下げる
古いマンションでネックになりやすい積立修繕費の負担を軽くすることも重要です。
積立修繕費の金額は、管理組合で綿密な計算を行わずに、決められた金額をなんとなく支払い続けていることがあります。
工事費が高い業者に修繕を依頼していると、積立修繕費の金額もますます上がってしまいます。
相見積りを取って修繕費を下げたり、修繕計画を見直した上で支障をきたさない場所にあえて修繕を実施しない方針に切り替えたりするなど、毎月の積立修繕費を少しずつ減らすような対策を講じてみましょう。
管理費と修繕費の負担を下げれば、購入希望者が見つかる可能性が上がります。
スケルトン状態にしてから売る
個人でできる対策には、家をスケルトン状態にしてから売ることも挙げられます。
家をスケルトン状態に戻すには、数百万円の費用がかかります。
それでも、スケルトン状態の物件を購入すれば、購入側は自分の好きな間取りにしたり、設備を設けたりするメリットが得られます。
一から設計し直すことで自分好みの内装や間取りにして、安く新築同様の状態の部屋に住めるのです。
売る側としては多少の出費は避けられませんが、売り やすさは大幅にアップするでしょう。
リフォーム代を売主が負担する条件での売却も、買主には同様のメリットがあるため検討してみましょう。
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不動産会社と協力して行う売却対策
個人やマンションの住人同士で実施できる売却対策には、どうしても限界があります。
その時は不動産売却のプロである不動産会社の協力を仰ぐのも一つの手です。
複数の不動産会社に依頼する
まず、売却を申し込む時は、複数の不動産会社に査定を依頼しましょう。
査定を依頼する中で売却のノウハウを持つ不動産会社を選びます。
ここで気をつけるべきは、「とにかく高く売ること」を強調する不動産会社を選ぶのではなく、「売れる見込み」「売る対策」に熟知する不動産会社を選ぶことです。
多くの人は「高く売れる」と言ってくれる不動産会社を選びたくなりますが、そのような不動産会社は自社と専任媒介契約を結ぶため、魅力的なキャッチとして「高値で売ります」などとアピールするのです。
しかし、いざ売却を任せると「この値段では売れないので値下げしましょう」などと言ってくることもあります。
それよりも売却のノウハウをしっかりと持っている不動産会社や、信頼できる営業マンがいる不動産会社を選びましょう。
エリアに強い不動産会社に依頼する
不動産会社によって得意なエリアとそうではないエリアがあります。
地元で長年営業している不動産会社であれば、普通の不動産会社では情報すら掴んでいない大手の得意先がいる可能性もあるのです。
自分のマンションが建っているエリアに特化した営業力を持つ不動産会社を選んでみるのも、一つの手です。
自分で物件資料を作成し、写真を撮影する
最近は物件情報を拡散する手段として、不動産情報サイトが主流になっています。
そのため、不動産情報サイトに魅力的な物件の情報をいかに掲載するかで売れやすさも違ってくるのです。
不動産会社に書類の作成を任せるだけでは、情報量が不足します。
あなたの部屋の魅力を知っているのは、持ち主であるあなた自身です。
マンションをよく見せるための情報を載せたり、きれいな写真を撮ったりしてアピールしましょう。
写真を綺麗に撮るだけでも、問い合わせが何倍にも増えるという事例は珍しくありません。
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内覧対応をしっかりと行う
問い合わせが増えたら、次は内覧です。
内覧の対応は、基本的には不動産会社が行いますが、不動産会社に任せっきりにするだけではなく、自らもしっかりと内覧に対応しましょう。
マンションが建つエリアの周辺を一番知っているのは、持ち主自身です。
内覧時に周辺の環境や治安のことを伝えるだけでも、購入者の意欲が大きくアップします。
不動産の専門的な話は不動産会社に任せ、物件の周辺の環境や住みやすさをきちんと説明できるようにしておきましょう。
モデルルームのように装飾する
スケルトンにするだけではなく、モデルルームのように装飾することも売却対策として有効です。
特に古い物件の状態で内覧の対応を行っても生活感が滲み出てしまい、「ここに住みたい」と思ってもらえないこともあるのです。
そこで、ホームクリーニングを実施し、家具も綺麗なものを用意してみましょう。
音楽や匂いなどの演出を加えることで、物件を魅力的に見せることもできるのです。
海外ではこういった売却方法を「ホームステージング」と称し、よく利用されています。
費用はかかってしまいますが、当初の想定額よりも大きく値段を上げることも可能なのです。
価格の見直しを図る
物件への反応が全くない時は、価格を見直さなければいけません。
問い合わせ自体が全くないのであれば、売り出し価格が高すぎる場合が大半です。
適正な価格を設定すれば、問い合わせと内覧の件数はある程度増やすことができます。
内覧者が来たにもかかわらず、その後に購入希望者が現れないのであれば、物件の見せ方や内覧の対応に問題があります。
その場合は、上記のリフォームやリノベーション、ホームステージングといった対策が有効です。
物件が売れな い場合はどこに問題があるのかを客観的に分析し、問題に応じて対策を取る必要があります。
売れそうにない場合は買取を依頼
買取では不動産会社と売買契約を結ぶため、買主が不動産会社になる。
全く問い合わせがない、売れる見込みがないときは不動産会社に買取を依頼してみるという方法も良いでしょう。
不動産会社は不動産物件の取り扱いのプロですから、築古の物件を購入して再生する手段を知っています。
相場の7~8割ほどの売却価格になりますが、売れにくい物件でもすぐに現金化できるという大きなメリットがあります。
どうしても自分で売るのは難しい、新居を購入するために速やかに現金が必要などの事情があるときは、買取の選択肢が適しているのです。
不動産会社による買取の場合は、内覧対応も一度だけで良いというメリットがあり、忙しい人や遠方の物件を売りたい場合にも最適です。
査定額に納得できれば、1~2週間程度で契約、決済までが完了します。
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まとめ
売れにくいマンションは立地や物件の状態そのものが悪いことが多いです。
また、古い物件で高くなりがちな管理費や修繕費といった維持費が、購入側の負担になることがネックになるという点を押さえておきましょう。
売却対策を行うには、物件の状態をリフォームやリノベーション、修繕工事で改善し、管理費や維持費も住人同士の協力で減らせないか、検討してみましょう。
売れない物件は業者買取でスムーズに現金化するのが適している場合もありますので、買取を依頼したいという方は、買取会社から一括で査定額を募れる「イエウリ」の利用もおすすめです。
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