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違反建築物の是正勧告を受けたらどうする?罰則や対処方法を解説します

一般に「違法建築」と呼ばれる違反建築物は、安全性の低下や周辺環境への悪影響など、多くの問題を抱えています。

もし所有する建物が違反建築物に該当している場合、適切な対応を取らなければ、罰則や強制的な措置を受ける可能性があります。

この記事では、違反建築物に該当した場合、罰則はあるのか、そして是正勧告を受けた際の具体的な対処法について解説します。

このページの目次
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違反建築物とは

違反建築物とは、建築基準法や関連法規に違反して建てられた建築物を指します。

具体的にどのような状況の建物が違反建築物に該当するのか解説していきましょう。

違反建築物の主なケース

違反建築物の典型的な事例として、次のようなものが挙げられます。

  • 建ぺい率・容積率オーバー……敷地面積に対する建築面積の割合(建ぺい率)や、延床面積の割合(容積率)が、法令で定められた数値を超えている状態です。
  • 用途地域違反……都市計画法で定められた用途地域において、建築物の用途が制限に違反している状態です。たとえば、第一種低層住居専用地域で印刷工場を始めるようなケースです。
  • 高さ制限違反……建築物の高さが、建築基準法や都市計画法で定められた高さ制限を超えている状態です。
  • 建築確認申請違反……建築確認申請を行わずに建築したり、申請内容と異なる建築物を建てたりする状態です。
  • 接道義務違反……建築基準法上の道路に接していない敷地に建築している状態です。
建築確認とは
建築基準法などの法令に適合しているかどうかを、建築前に自治体や指定確認検査機関が審査する手続きです。建築確認を受けずに建築すると、違反建築物となり、工事の中止や是正命令を受ける可能性があります1

違反建築物は、建築基準法違反に限りません。

たとえば、原則「農業従事者用住宅」しか建てられない市街化調整区域に一般用の住宅を建てた場合は、都市計画法違反建築物となります。

また、地方条例で、外壁の色彩や屋根の形状が定められている場合に、異なった形状の建物を建てると条例違反建築物になるのです。

是正勧告の対象者

違反建築物の是正勧告の対象となるのは、主に次の関係者です。

所有者

違反建築物の所有者は、その建築物の状態について最終的な責任を負います。そのため、是正勧告や命令は、原則として所有者に対して行われます。違反建築物だと知らずに購入した場合も、その所有者は違反指導の対象となります。

建築主

建築主は、建築工事の計画や実施について責任を負うため、違反建築物の原因が工事にある場合は、建築主も指導の対象となります。新築建物、増築建物は原則として建築主は違反指導の対象となります。

工事施工者

工事施工者は、建築基準法などの法令に基づいて工事を実施する義務があります。法令違反の工事を行った場合、工事施工者も指導の対象となります。

設計者

設計者は、建築基準法などの法令を遵守した設計を行う義務があります。法令違反の設計を行った場合、設計者も指導の対象となります。

違反建築物を建てたときのリスク

違反建築物を建ててしまうと、所有者には様々なリスクが降りかかります。経済的な損失だけでなく、安全性の問題、そして法的責任まで、その影響は広範囲に及びます。

リスクの概要は次のとおりです。

  • 金銭的リスク……違反状態を解消するためには、是正工事が必要となります。この費用は、違反の程度によっては高額になる場合があります。施工会社に非があるようなケースでも、工事費を請求されることがあります。
  • 住宅ローンの融資がない……違反建築物は、ほとんどの金融機関が担保価値がないと判断をし、融資が受けられない可能性が非常に高くなります。そのため、売却に苦戦するケースが多いです。
  • 安全性のリスク……耐震性や防火性などの構造規定に違反している場合、地震や火災時に倒壊や延焼の危険性が高まります。
  • 法的リスク……是正勧告に従わない場合、使用禁止命令や工事停止命令を受ける可能性があります。悪質な違反行為については、刑事責任を問われる場合があります。
  • 社会的リスク……違反建築に関わったことで、法令遵守意識の欠如とみなされ、社会的信用を失う可能性があります。
  • 売却時のリスク……違反建築物は、最終的に建築基準法に適合させたとしても、原則として後追いで建築確認済証を取得することはできません。売却時に建築確認済証や検査済証が存在しない物件は、買主が敬遠する傾向があるので、相場を下回る価格での売却になる可能性があります。

この他、違反建築物に起因する周辺環境への悪影響により、近隣住民とのトラブルに発展する可能性もあります。

▼関連記事:違反建築物は売却できる?

違反指導の種類と内容

違反建築物に対する指導は、違反の程度や状況に応じて段階的に行われます。ここでは、主な違反指導の種類と内容について解説します。

現場調査

違反建築物のほとんどは、近隣住民からの通報によって明らかになります。また消防署の防災パトロールにより発覚することもあります。

通報があった建築物は、行政担当者が現場調査を行い、建築確認申請どおりに工事が施工されているかを照合します。

現場調査の結果、違反が明らかな場合はただちに工事を止めるよう、現場の工事関係者に口頭で指導します。そのうえで、建築主宛てに指定した日時に来庁するよう促す文書を手交します。

口頭指導

指定された日時に建築主や工事関係者が行政機関に出向き、行政担当者から事情聴取を受けます。違反が明白な場合は、是正計画書を指定の日時までに提出するよう口頭で指導を受けます。

さらに、工事を止めておくよう口頭で警告されます。この段階で工事を止めないと、ただちに工事停止命令が出されることがあります。

是正勧告

是正勧告は、指定の日時までに是正計画書が提出されない場合や、違反内容が悪質な場合に行われます。

是正勧告書では、違反の根拠法令や是正期限などが記載され、より具体的な対応が求められます。

是正勧告には法的根拠はなく拘束力はありませんが、正当な理由なく放置すると次の段階である是正命令につながる可能性があります。

是正命令

是正命令は、是正勧告に従わない場合や、非常に重大な違反が見られる場合に行われます(建築基準法第9条)。

行政が法的拘束力を持つ書面で、違反状態の解消を命じます。是正命令に従わない場合は、罰則が科せられたり、行政代執行が行われたりする可能性があります。

工事停止命令・使用禁止命令

工事停止命令や使用禁止命令は、建築物の安全性や周辺環境に重大な影響を与える違反が見られる場合に行われます。工事を停止させたり建築物の使用を禁止したりする命令です。

これらの命令は、緊急性が高い場合や、違反状態が放置されると危険な場合に発せられます。

工事停止命令が出されると、その旨の告知看板が現場に立てられるとともに、『工事停止』と書かれた赤字のラベルが建物に貼られます。

工事停止命令を無視して工事を進めた場合、行政機関は、電気、ガス、水道事業者に供給停止の協力を求めます。国の通達により協力を促されているため、ほとんどのケースで、これらの事業者は供給を停止します。

行政代執行

行政代執行とは、是正命令に従わない場合や緊急性が高い場合に、行政が所有者に代わって違反建築物の撤去や改修を行うことです。

行政代執行にかかった費用は、所有者に請求されます。再三の督促にも応じなかった場合は、資産が差し押さえられることもあります。

違反建築への罰則

違反建築物を放置した場合、厳しい罰則が科せられることがあります。ここでは、違反建築物に関する罰則について解説します。

行政命令違反による罰則

是正命令や使用禁止命令などの行政命令に従わない場合、3年以下の懲役または300万円以下の罰金の罰則が科せられる可能性があります(建築基準法第98条)。法人の場合は1億円以下の罰金が科せられることもあります。

建築基準法違反による罰則

建築基準法に違反する建築物を建てた場合、違反内容に応じて罰則が科せられます。

たとえば、建築確認申請を行わずに建築したり、完了検査を受けずに建築物を使用したりした場合が該当します。これらの違反に対しては、1年以下の懲役または100万円以下の罰金などが科せられることがあります(建築基準法第99条)。

是正勧告への対処方法

違反建築物の是正指導を受けた場合、どのように対処すればよいのでしょうか。適切な対処法を知っておくことは、問題を迅速に解決し、不利益を最小限に抑えるために重要です。

なお、違反建築物だと確定した場合、いったん工事を止めるのが原則です。行政の指導を無視して工事を進めた場合、ただちに工事停止命令が発せられます。工事を進行させながらの是正はあり得ません。

指導内容を正確に把握する

まず、どのような違反を指摘されているのか、指導内容を正確に把握することが重要です。

指導内容をよく理解して、不明な点は行政担当者に質問して明確にしましょう。違反物件の図面や写真などを用意しておくと、指導内容が理解しやすくなります。

専門家へ相談する

施工会社に依頼して違反建築物になった場合、その施工会社は遵法精神が欠如しているか、法的知識が乏しいと考えられます。その場合、直ちに他の信頼できる専門家に相談するのが最善です。

この時の専門家には、建築士や弁護士が挙げられます。違反建築の是正には技術的知識が必要とされるので、初期段階では建築士に相談するのが適切です。

一方、行政機関との交渉や法律に関する対応は法律事務に該当するため、弁護士以外が代理を務めることはできません。しかし、建築基準法や技術的な知識に基づいて是正計画を作成する行為は、建築士が行うことができます(建築士法第21条)。

絶対に避けたいのは、「行政に顔が利く」と称する人物への仲介依頼です。そもそも弁護士資格のない者が、法律に関する交渉を行うことは非弁行為として、弁護士法第72条で禁じられています。

また、近年の行政機関はコンプライアンスを重視しており、不当な圧力により違反是正指導を緩めることは、まずあり得ません。

正当な専門家以外に違反是正の解決を委ねるのは、法律違反になるばかりか、結果的に時間を浪費することになります。

是正計画を提出する

建築士と相談しながら、違反状態を解消するための具体的な是正計画を策定します。是正計画には、是正後の建物の図面と工事スケジュールを明らかにすることが必要です。

策定した是正計画書を行政に提出し、承認を得ます。

是正工事を実施する

承認された是正計画に基づき、速やかに是正工事を実施します。

工事中は、建築士による監理を受け、計画どおりに工事が進んでいるか確認します。施工会社に建築士が在籍していることがありますが、信頼関係が損なわれた場合は、第三者の建築士に依頼した方がいいでしょう。

工事の記録(写真や図面など)を残しておくことも重要です。

完了報告をする

是正工事が完了したら、行政に完了報告書を提出します。

行政による完了検査を受け、違反状態が解消されたことを確認してもらいます。

違反建築を購入しないための対処法

購入したい物件が違反建築物かどうかを行政に問い合わせても、個人情報保護を理由に開示されることはありません。また、違反建築物の商談を進めていても、行政から購入を控えるよう助言されることもありません。

しかし、違反建築物を購入してしまうと、是正命令や罰則を受けるだけでなく、住宅ローンが利用できなくなったり、売却が困難になったりするなど、様々な不利益を被る可能性があります。

そうならないためにも、違反建築物を購入しないための対処法を解説していきましょう。

建築確認済証と検査済証を確認する

建築確認済証は、建築計画が法令に適合していることを証明する書類です。

検査済証は、建築工事が完了した際に、法令に基づいて検査が行われたことを証明する書類です。

これらの書類がない場合は、違反建築物の可能性があります。

また、完了検査を受検後に建物を無断で増築している可能性もあるので、建築確認済証と現地の建物が一致していることを確認することも重要です。

使用目的が用途地域に適合していることを確認する

購入した物件が検査済証のある適法な建物であったとしても、建築確認済証に記載された用途と異なる用途で使用すると、用途地域違反になる可能性があります。

用途地域は大きく分けると3つ

用途地域は全部で13種類あり、それぞれの地域で建築できる建物の高さや用途が定められている。

たとえば、一種低層住居専用地域に建つ住宅を購入し、用途変更によりペット専用の美容室を始めると、違反建築物に該当します。

用途変更については、200平方メートル未満であれば建築確認申請は必要ありません。

しかし、建築基準法の適用は受けるため、指定された用途地域に適合する業種でなければ用途変更することはできません。

不動産会社へ確認する

不動産会社に対し、建物が法令に適合しているか、違反建築物に該当する可能性はないかを確認することも大切です。

契約時に提示される重要事項説明書には、建物の法令上の制限や過去の違反に関する情報などが記載されています。不審な点がないか、しっかりと確認をすることが重要です。

適法性に不安がある場合は、契約書に建物が法令に適合していることを保証する条項や、違反建築物であった場合の契約解除に関する条項を盛り込むことも可能です。

まとめ

違反建築物は、単に法律に違反しているだけでなく、自身の財産や周囲の安全・環境にまで深刻な影響を及ぼすリスクを抱えています。

是正勧告を放置すれば罰則や強制措置を受けることもあり、後手に回るほど金銭的・社会的なダメージは増大します。

大切なのは、自身の所有物件が違反建築物に該当していないかを早期に確認し、違反が判明した場合には速やかに専門家の支援を受けて是正対応を進めることです。

また、違反建築物を購入しないためには、事前に建築確認済証・検査済証をしっかり確認し、用途地域などの法的適合性をしっかりと調査する姿勢が重要です。

今、違反の可能性が少しでも頭をよぎった方は、そのまま放置せず、まずは専門家へ相談をすることをおすすめします。早期の行動が、後々のリスク回避と安心につながるでしょう。

1.
小規模の住宅建築時の通称「4号特例」では審査が省略されることがある。
参考:4号特例の縮小
執筆者
田中 良男
田中 良男

ことの葉行政書士事務所・代表/建築主事として建築確認申請の審査経験を有す/行政職員時代に都市計画策定、開発許可、生産緑地指定業務に携わる/ライター(切塗よしを)としても活動中【保有資格】特定行政書士、1級建築基準適合判定資格者 、既存住宅状況調査技術者(インスペクター)、終活カウンセラー、著作権相談員

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