中古物件を購入するなら、できるだけ築浅の物件がいいと考えている方も多いでしょう。
築浅物件は見た目がきれいで、新築よりも安いという魅力があります。
しかし、築浅物件にはデメリットもあり、なかには避けた方がいい物件もあるので、選ぶ際には注意点を押さえることが重要です。
この記事では、築浅でも避けた方がいい物件の条件や、築浅物件のメリット・デメリットについて分かりやすく解説します。
築浅でも避けた方がいい中古戸建・マンションのNG条件10選
築浅でも避けた方がいい中古戸建・マンションの条件として以下の10選を紹介します。
- 価格が高い
- 線路沿いにある
- 事故物件である
- 陽当たりが悪い
- 駅から遠い
- 繁華街が近い
- 郊外物件で駐車場がない
- 墓地の隣にある
- 地盤が緩い
- 定期借家契約物件である
それぞれ見ていきましょう。
価格が高い
相場よりも極端に高い物件は避けた方がいいでしょう。
築浅物件の中には、築浅という理由だけで相場よりも高値を付けているケースがあります。
なかには、売主の都合で新築とほぼ変わらないか新築以上の価格が設定されているケースもあるのです。
相場を知らずに購入すると、後々もっと安く買えたのにと、後悔することになりかねません。
線路沿いにある
路線沿いの物件は、電車の走行音や振動などで生活に支障が出る恐れがあります。
主要駅近くの物件であれば、利便性が高いというメリットもあります。
その一方で、電車の走行音や駅のアナウンス、さらには交通量の多さにより、静かに生活しにくいというデメリットもあります。
さら に、駅にも近くないのに毎日騒音や振動に悩まされるような物件であれば、慎重に考えた方がいいでしょう。
ただし、沿線沿いでも防音対策がしっかりしている物件であれば、問題なく快適に暮らせる可能性があります。
騒音が理由で売主が手放したというケースもあるので、売主に売却理由をしっかり確認しましょう。
事故物件である
事故物件とは、一般的に自殺や他殺など、人の死があった物件を指します。
築浅の物件が手放される理由の一つに、事故物件になってしまったというケースもあります。
事故物件に対する考え方は人それぞれです。人の死があっても気にしないという方なら、相場よりも安値で手に入れられるという魅力があります。
一方、心理的に抵抗を感じる方にはおすすめできません。
事故物件は相場よりも安値で売り出されるケースがほとんどなので、築浅なのに安いと感じたら、売却理由や告知義務を確認するようにしましょう。
陽当たりが悪い
陽当たりが悪い物件は、室内に湿気が溜まりやすく、カビやダニの発生により健康に影響を及ぼす恐れもあります。
また、室内が暖まりにくく暖房代も高くなりがちです。
南向きの場合でも、近隣に高層の建物があると陽当たりが悪いケースがあるので注意しましょう。
陽当たりを確認する際には、図面を鵜呑みにせず現地を複数回訪れてチェックすることをおすすめします。
駅から遠い
駅から遠い物件は、利便性が下がりやすい傾向にあります。
徒歩圏内にスーパーやコンビニなど、生活に必要な施設がない場合、日 常生活で不便を感じやすくなるでしょう。
とくに、マンションを希望する場合は、駅から遠くなるほど資産価値も落ちやすいので、将来の売却に響きやすくなります。
また、車を所有しているから問題ないと考えている方も、将来的に車を手放した後の交通手段や、子どもが電車で通学する可能性まで考慮することが大切です。
繁華街が近い
繁華街が近い物件は、人の出入りが多く騒がしいだけでなく、治安も悪い傾向にあります。
女性の一人暮らしや小さい子どものいるファミリー層は避けた方が無難です。
郊外物件で駐車場がない
郊外は基本的に車が必要になってきます。
駐車場がないと別に駐車場を借りる必要があり、毎月の負担が増加しやすいので注意が必要です。
駐車場がある物件でも、今の車や将来の購入予定を考慮し、必要な台数やサイズを確保できているかをチェックしましょう。
墓地の隣にある
墓地が隣にあることで、精神的にストレスを感じやすい人はおすすめできません。
また、墓地があるとお盆時期に人の出入りが多くなり、騒がしかったり、自分の敷地に違法駐車されるといったトラブルもあり得ます。
なお、墓地は近隣にあると嫌がられる嫌悪施設の1つであり、売買時に告知義務があります。
自分は住むのに問題なくても、将来売却しにくくなる恐れがある点にも注意しましょう。
地盤が緩い
地震や災害時の安全性は、地盤の強さにも影響されます。
どんなに耐震性に優れた物件でも、建っている地盤が弱いと被害が出る恐れがあるものです 。地震や地滑りで建物の倒壊や生命の危険もあるでしょう。
また、地盤が弱いことで地盤沈下が起こり、購入から数年後に建物が傾いたというケースもあります。
とくに、以前、田畑や沼地だった地域や盛土で造成された土地は注意が必要です。
自治体の発行するハザードマップでの確認や、地盤調査を行って地盤の強度も調べるようにしましょう。
定期借家契約物件である
賃貸物件を探す際は、賃貸契約の種類にも注意が必要です。
賃貸契約の方法としては、普通借家契約と定期借家契約の2種類があります。
定期借家契約は、契約期間が定められており、期間終了後の更新ができない契約です。
つまり、契約終了後は退去が必要になるので長く住み続けたい人には向いていません。
一般的な賃貸物件では普通借家契約が利用され、この契約は期間終了後の更新が認められています。
定期借家契約は借主が不利になりやすいことから、家賃が低めに設定されているケースが多いでしょう。
相場よりも家賃が低いと感じたら契約内容をしっかり確認することが大切です。
そもそも築浅物件とは
築浅物件には明確な定義はありません。
一般的には築5年以下を築浅とするケースが多いですが、築10年でも築浅と呼ばれケースもあります。
築何年までを築浅と表現するかは取り扱っている不動産会社によるので、築年数をしっかりチェックしましょう。
また、築浅=きれいな物件とは限らない点にも注意が必要です。
築浅に該当する築年数は不動産会社によって異なるため、築1年の築浅も あれば築10年の築浅もあります。
さらに、築年数が浅くても状態が悪い物件もあれば、築年数が古くてもリフォームが実施されて綺麗な状態の物件もあるものです。
築浅という理由だけで判断するのではなく、実際に物件を見て状態をチェックしたうえで判断しましょう。
なお、築浅には明確な定義はありませんが、「新築」には以下の2つをクリアした物件という明確な定義があります。
- 築1年未満
- 誰も入居したことがない
誰も住んだことがなくても築1年以上経過している物件や、築1年未満でも誰か住んだ物件は新築には該当しないのです。
築浅物件を購入するメリット
築浅物件を購入するメリットには、以下の3つが挙げられます。
- 新築とほとんど変わらない品質の家に住める
- 新築と比べると割安になりやすい
- リフォーム費用をかけずに住める
それぞれ見ていきましょう。
新築とほとんど変わらない品質の家に住める
築浅の大きな魅力が、外観・内装の傷みが少なく、きれいな状態の物件が多いという点です。
設備も比較的最新のものが設置され、状態も良いケースが多いでしょう。
たとえば、浴室乾燥機やビルトイン食洗器などの設備が整っている物件もあります。
また、築年数が浅いほど耐震基準への安心性も増すという点もメリットです。
耐震基準は建築許可日の基準が適用され、現行の耐震基準は1981年6月1日以降の「新耐震基準」、さらに厳密には2000年以降の「2000年基準」となります。
築浅の物件であれば、この2000年基準をクリアしているため、耐震性が高いといえます。
同様に、断熱性や気密性といった住宅の性能面でも、築年数が浅いほど最新のニーズに対応した高品質な建築がされている可能性が高くなります。
新築と比べると割安になりやすい
築浅物件は築年数が浅くても新築ではないため、一般的に新築よりも価格が下がります。
東日本不動産流通機構の統計によると、首都圏の築年数別の成約価格は以下のとおりです1。
~築5年 | 築6~10年 | |
中古戸建 | 5,021万円 | 4,733万円 |
中古マンション | 7,077万円 | 6,655万円 |
築年数が経過するほど価格は下がるので、新築と変わらない状態でも、新築よりも価格を抑えて購入できるでしょう。
リフォーム費用をかけずに住める
築浅物件は基本的に経年劣化による痛みはそれほどないので、購入後そのまま住めるケースが一般的です。
築年数の古い物件では、購入後に大規模なリフォームが必要になり、リフォーム費用が高額になるケースも珍しくありません。
その点、リフォームが必要ない築浅物件なら、初期費用を抑えやすくなるでしょう。
ただし、築浅物件でも前の所有者の住み方が悪かった場合など、状況によってはリフォームが必要になることもあるので注意が必要です。
築浅物件を購入するデメリットやリスク
築浅物件はメリットばかりでなくデメリットやリスクもあるので、両方を理解したうえで検討することが重要です。
ここでは、築浅物件のデメリット・リスクとして以下の4つを紹介します。
- 物件が出回らない
- 中古物件の中では価格が高くなりやすい
- 自分でリフォームしたい場合総額が高くなる
- 住宅ローン控除の期間が短くなる
それぞれ見ていきましょう。
物件が出回らない
そもそも、築浅物件は売りに出されること自体が珍しいケースもあります。
基本的に新築物件を購入する人は長く住むことを想定しており、短期間で手放すにはそれなりの理由があるでしょう。
築浅で手放す人がそう多くはないため、築浅物件を希望しても希望エリアに物件がない可能性は高くなるのです。
仮に、築浅物件があった場合でも、売主が築浅で手放した理由はしっかり確認する必要があります。
離婚や転勤、住宅ローンが払えないといった理由なら問題ないですが、何かトラブルがあって手放すケースも多いので注意しましょう。
中古物件の中では価格が高くなりやすい
築浅物件は新築より価格が下がるとはいえ、中古物件の中で比較すれば高い部類に入ります。
物件にもよりますが、同じような条件で探す場合、築年数が古くなるほど購入費用を抑えやすくなります。
また、築浅物件のなかには、売主が住宅ローンを完済するために高値を設定しているケースもあります。
新築で住宅ローンを組み、数年後に手放すと、返済があまり進んでおらず、高額な住宅ローンが残っていることが多いです。
家の売却には住宅ローンの完済が必須となるので、売却金で残債を清算するために、相場よりも高値がつけられる可能性があるでしょう。
一方、新築から数年間は家の価値が大きく低下する時期といわれています。
そのため、家の価値以上に高値になっている恐れがあるので注意しましょう。
自分でリフォームしたい場合総額が高くなる
築浅でも状態が悪くリフォームが必要なケースや、問題がなくても自分好みにリフォームするケースがあります。
リフォームが必要になると、もともとの購入価格に加えリフォーム費用が発生するので、初期費用が高額 になる恐れがあります。
その結果、新築を購入するよりも高くなるケースもあるので、リフォームを検討する際には、トータルの額を把握したうえで判断する必要があります。
住宅ローン控除の期間が短くなる
住宅ローンを利用して家を購入すると、住宅ローン控除の適用が可能です。
しかし、住宅ローン控除は物件によって適用期間や控除の上限額が異なります。
令和6年度の税制改正時点での適用期間は、不動産会社が販売する新築住宅や買取再販住宅が13年であるのに対し、個人が売主の既存住宅(中古)は10年と短くなります。
また、控除対象となる借入上限額も異なり、たとえば長期優良住宅の場合、新築は4,500万円なのに対し、既存は3,000万円と低く設定されているのです。
住宅ローン控除は、所得税から直接控除できるため節税効果が高い制度ですが、中古物件の場合は新築に比べて控除の条件が不利になりやすい点は覚えておきましょう。
なお、中古物件でも、不動産会社が買取して一定のリフォームを施した買取再販住宅なら、新築と同条件で住宅ローン控除が適用されます。
売主が個人か不動産会社かによって適用条件が異なるので、購入時は事前に確認するようにしましょう。
築浅物件の購入で失敗しないためのチェックポイント
築浅物件購入で失敗しないためには、以下のポイントを押さえておくことが重要です。
- 周辺の新築・中古双方の価格をリサーチする
- 周辺環境を歩いて確認する
- 契約前に契約書の内容をよく確認する
それぞれ解説します。
周辺の新築・中古双方の価格をリサーチする
相場より高値の物件を購入しないためには、自分でも相場を把握することが大切です。
相場を把握する際には、希望エリアの新築・中古の両方の価格をチェックしましょう。
そうすることで、中古物件が新築よりも割高になるのを防ぎやすくなります。
相場は以下のような方法でリサーチできます。
- 国土交通省の不動産情報ライブラリで成約価格をチェックする
- レインズマーケットインフォメーションで成約価格をチェックする
- 不動産ポータルサイトなどで売り出し価格をチェックする
類似の物件の成約価格や売出価格をチェックしてみるとよいでしょう。
周辺環境を歩いて確認する
陽当たりや周辺環境は実際に現地で確認することが大切です。
自分の足で歩いてみると、ネットの情報だけでは分からないことも見えてきます。
徒歩圏内の生活施設や歩きやすさ、地域の様子、小さい子どもがいる場合は、通学路付近の交通状況のチェックも必要でしょう。
可能であれば、現地のチェックは時間帯を変えて複数回行うことをおすすめします。
夜になると真っ暗で治安が心配だったり、昼から建物が邪魔して陽が入らないなどはよくあるケースです。
契約前に契約書の内容をよく確認する
築浅だから物件に不具合がないとは限りません。
新築時の施工不良や売主のメンテナンス不要などで、築浅でも不具合が生じるケースはあります。
また、内覧時にあって付いてくると思っていた設備が引き渡し時に撤去されているといったトラブルも起こりがちです(エアコンなど)。
物件の不具合については告知義務があり、告知しなかった場合は契約不適合責任により補償費用などの請求ができます。
しかし、請求できるかは契約書に記載された規定に応じることになります。
付帯する設備の有無や状況についても、事前に付帯設備表が渡されるのでチェックが欠かせません。
築浅だから問題ないと契約書をよく読まずにサインすると、後々大きなトラブルに発展する恐れがあります。
築浅に限ったことではありませんが、不動産購入時は契約書をすみずみまで確認し、納得したうえでサインすることが重要です。
築浅でも避けたほうがいい物件に関するよくある質問
最後に、築浅でも避けたほうがいい物件に関するよくある質問をみていきましょう。
なぜ築浅の中古物件を売りに出すの?
築浅で売却される主な理由としては、離婚や転勤、住宅ローンの返済ができない、資金が必要になった、生活環境が合わないなどが挙げられます。
家庭や仕事の事情や資金の都合で売却されている場合は、気にならないなら購入しても問題ないでしょう。
一方、近隣トラブルや家の不具合、事故物件などが理由となるケースもあるので、この場合は注意が必要です。
築浅物件を購入する際には、売主や不動産会社に売却理由を確認するようにしましょう。
▼関連記事:築浅物件が売りに出される理由とは?
築浅中古でよくある後悔とは?
築浅では、新築よりも費用が高くなった、築浅なのに状態がよくなかったなとで後悔するケースがあります。
築浅は外観がきれいでも内部は劣化が進んで いる場合もあります。
購入前にインスペクションを実施して、建物の状態を確認したうえで購入判断するとよいでしょう。
インスペクションの実施を依頼する業者を探す際は「インスペマート」が便利です。
築浅物件でも住まない方がいい間取りとは
奇抜な間取りや自分の家族のニーズに合わない間取りは、生活していて不便を感じやすくなります。
売主によってはこだわりが強く、新築時に独特な間取りで建築するケースがあります。そのため、売主にとっては使い勝手が良くても、買主にとっては使い勝手が悪い可能性があるのです。
また、これから子どもが増える予定なのに部屋数が少ないと、将来使い勝手の悪さを感じる場合もあるでしょう。
事前に、ライフプランを踏まえて家族で必要な間取りについて話し合っておくことが重要です。
まとめ
築浅物件は品質がよく新築よりも価格が安くなるという魅力がありますが、条件によっては避けた方がいいケースもあります。
築浅だから大丈夫と思いこまず、相場や建物の状態、周辺環境、売主の売却理由などをしっかり調査して購入判断することが重要です。
中古で状態のいい家を希望するなら、買取再販住宅という選択肢もあります。
築浅という点にこだわらず、幅広い選択肢から選ぶことで理想の家を見つけやすくなるでしょう。