大田区でマンションを所有している方は、自分の物件が高く売れるのか、最近の大田区の不動産相場はどうなっているのかなど気になることもあるでしょう。
この記事では、大田区の不動産の売り出し状況や相場の変動を分析した上で、マンション売却の戦略についても考察しています。
これから大田区で中古マンション売却を考えている方は、ぜひご覧ください。
大田区のマンション相場情報を詳しく見たい方はこちら大田区の基本情報
GoogleMapより
まずは、大田区の人口や世帯数などエリアの基本情報について確認していきましょう。
エリアについて知ることは、販売戦略を立てる上でも重要です。
人口や世帯数は?
大田区の2025年7月1日時点における人口・世帯数は次の通りです1。
- 人口:745,126
- 世帯数:424,289
23区内では、世田谷区、練馬区に次ぐ3番目に人口が多いエリアになります。
以下は、2025年〜2021年の人口と世帯数です(※各年1月1日時点)。
- 2025年:人口740,519 世帯数418,230
- 2024年:人口733,634 世帯数410,030
- 2023年:人口728,425 世帯数401,856
- 2022年:人口728,703 世帯数398,254
- 2021年:人口733,672 世帯数398,687
人口・世帯数は増加傾向にあり、2021年から2025年で人口・世帯数はそれぞれ増えています。
また、2021年と2025年の年齢別人口は次のとおりです。
0歳〜14歳:79,689
15歳〜64歳:487,654
65歳〜:166,329
0歳〜14歳:74,263
15歳〜64歳:502,189
65歳〜:164,067
15歳〜64歳は約15,000人増えています。
どんなエリアがある?
大田区は「大森地域」「調布地域」「蒲田地域」「糀谷・羽田地域」の4つの地域に大きく分 けることができます。
それぞれの地域は、以下のような特徴があります2。
大森地域
大森地域は区の中央北部に位置しています。
JR京浜東北線を挟んで海側(東京湾)と山側(武蔵野台地)に分かれます。
東京湾側には、多くの工場や都内初の区立海浜公園「大森ふるさとの浜辺公園」、公園内にあり海苔栽培の歴史がわかる「大森海苔のふるさと館」などがあります。
武蔵野台地側には住宅街が広がります。
また、多くの文化財がある「池上本門寺」や多くの著名人が住んでいた「馬込文士村」、梅の花を楽しめる「池上梅園」など由緒あるスポットも多いです。
調布地域
調布地域は区の西部に位置しています。
地域内を多摩川や呑川が流れ、水と緑に恵まれたエリアです。
田園調布や久が原など閑静な住宅街が広がっており、街中や公園には古い木々が数多く残っています。
駅周辺に商店街があり賑わいを見せる北千束など、東急池上線が走る北嶺町、東嶺町、西嶺町など住環境が良く人気のある町が集まっています。
蒲田地域
蒲田地域は区の南西部に位置しています。
第1京浜・第2京浜・京急・JR・環八・東急が通っていて、「六郷 地区」「矢口地区」「蒲田西地区」「蒲田東地区」の4地区に分かれています。
多摩川に面している六郷地区は、自然が豊かで河川敷には野球場やサッカー場などがあります。
矢口地区は住宅地や事業所、工場があり、大規模マンションも増えています。
蒲田駅がある蒲田西地区は多くの商業施設が集まっていて、蒲田東地区には区役所本庁舎、蒲田地域庁舎、産業プラザなどがあります。
糀谷・羽田地域
糀谷・羽田地域は区の東南部に位置しています。
中心部には産業道路、東側には羽田空港があり、住宅や工場も多いです。
域内には新呑川や多摩川、海老取川が流れています。
糀谷駅・大鳥居駅周辺には商店街があり、北糀谷・東糀谷には工場や住宅地が混在、本羽田・羽田・羽田旭町は駅周辺にマンションや商業ビルが並びます。
交通や産業は
大田区内には、以下の路線が走っています。
- JR京浜東北線
- 京急本線
- 京急空港線
- 東急多摩川線
- 東急池上線
- 東急大井町線
- 東急東横線
- 東急目黒線
- 都営浅草線
蒲田駅や大森駅、糀谷駅、多摩川駅など多くの駅があり、どこへ行くのも非常に便利です。
また、区内には以下の大通りが通っているので車での移動も便利なエリアになります。
- 環八通り
- 海岸通り
- 環七通り
- 中原街道
- 池上通り
- 第一京浜
- 第二京浜
- 湾岸道路
- 東邦医大通り
大田区はアットホームやアルプス電気、稲葉製作所、キャノン、リコーなど、多くの企業の本社や事業所があります。
また、大田区には3,400を超える(2016年12月時点)工場があるなど、東京都内有数の工業集積地であり、ものづくりの街として日本の製造業を下支えしているのです。
大田区の不動産相場の特徴
大田区の不動産相場の特徴を知るために「売り出し価格」「公示地価」の2つの価格についてチェックしていきましょう。
これらの価格を知ることで、大田区の中古マンション価格の相場や動向を掴むことができます。
売り出し価格の相場をチェック
大手不動産・住宅情報サイトLIFULL HOME’Sによると、大田区の築年数別の中古マンション売買価格相場は次のようになっています(2025年8月時点、70㎡換算の価格)。
- 1年~3年以内:データなし
- 3年〜5年以内:7,827万円
- 5年〜10年以内:7,472万円
- 10年〜15年以内:データなし
- 15年〜20年以内:データなし
- 20年以上:5,185万円
築20年以上の築古物件でも、70㎡換算で5,000万円以上の価格が付いています。
築5年以内と築10年以内の物件であればそれほど価値が変化しておらず、この築年数のマンションを所有している方は、売却が狙い目かもしれませんね。
特に首都圏の不動産価格が高騰し始める2019年以前に購入した方は、買った時よりも高く売れるケースは珍しくありません。
また、築20年を超えると売却価格を大きく下げざるを得ないこともわかってきます。
売却価格を下げたくない方は、築20年を迎える前にマンションを売るという戦略が考えられるでしょう。
大田区のマンション相場情報を詳しく見たい方はこちら公示地価をチェック
ここでは、大田区 の公示地価を見てみましょう。
公示地価は、2人以上の不動産鑑定士による鑑定評価をもとに決めた標準値1㎡あたりの価格で「国が調べる土地価格の目安」になります。
大田区の2010年〜2025年の公示地価平均は以下のとおりです。
- 2010年:569,442円/㎡
- 2011年:554,509円/㎡
- 2012年:547,377円/㎡
- 2013年:549,150円/㎡
- 2014年:558,634円/㎡
- 2015年:576,634円/㎡
- 2016年:565,878円/㎡
- 2017年:595,382円/㎡
- 2018年:614,912円/㎡
- 2019年:629,865円/㎡
- 2020年:658,908円/㎡(前年比+4.60%)
- 2021年:654,720円/㎡(前年比−0.64%)
- 2022年:664,305円/㎡(前年比+1.46%)
- 2023年:683,515円/㎡(前年比+2.89%)
- 2024年:723,470円/㎡(前年比+5.85%)
- 2025年:764,900円/㎡(前年比+5.73%)
大田区の公示地価は、2010年〜2025年で約19.5万円(約134%)も上昇しています。
特に2017年以降はほぼ毎年プラスで推移しており、近年は上昇幅が拡大していることがデータからも明らかです。
大田区は土地価格の値上がりにより、高い売却が狙えるエリアのひとつです。
大田区の災害への強さは?
ここでは、ハザードマップをもとに、大田区の水害・地震被害を受ける恐れがある地域について見ていきましょう。
災害リスクは不動産の売買価格に影響するため、把握しておくことは大事です。
水害を受ける恐れがある地域
大田区のハザードマップ(風水害編)3によると、多摩川全流域で48時間に588mmの降雨があって多摩川が氾濫した場合、広範囲で浸水が起きることが予想されています。
具体的には、多摩川が流れる区の南部を中心に3m未満の浸水、鵜の木駅や六郷土手付近では3m〜5mの浸水が予想されています。
また、呑川や丸子川など中小河川が氾濫した場合は、川沿いのエリアで3m未満の浸水が起きると想定されています。
水害リスクが低いエリアは、区の北部で川から離れた場所です。
地震被害を受ける恐れのある地域
大田区のハザードマップ(震災編)4によると、東京湾北部地震が発生した場合、広範囲で火災や建物倒壊が起きるとしています。
火災はほぼ全域で 発生し、特に被害が大きいと考えられる地域が、
- 中央
- 新蒲田
- 西蒲田
- 南蒲田
- 北馬込
- 南馬込
- 久が原
- 上池台
- 萩中
- 西六郷
などです。
また、建物倒壊の被害が大きいと考えられる地域が、
- 東蒲田
- 南蒲田
- 新蒲田
- 仲六郷
- 東六郷
- 西六郷
- 矢口
- 中央
- 北馬込
- 南馬込
- 山王
などになります。
大田区で不動産を売るときの戦略
では大田区の不動産を売却するときは、どういった方針で売るのが良いでしょうか。
ケースごとに考えてみましょう。
高級住宅地は人気が高いので一般媒介契約で競争心を煽る
大田区の中には日本でも屈指の高級住宅地、田園調布があります。
こういった富裕層向けエリアの場合、これから先も安定した需要が見込めるため一般媒介で少しでも多くの人の目に情報を露出すると良いでしょう。
高い値段で買い取ってくれる人同士で価格の釣り上げが起こる可能性もあります。
駅近マンションなど、人気の高い場所も同様です。
庶民的なエリアの不動産は一括査定後の専任媒介契約が有効
一方で大田区はそれほど地価が高くない、庶民的なエリアもあります。
馬込や西馬込、天空橋などは坪単価200万円前後であり、戸建て物件も多くあります。
そういったエリアでは、必ずしもすぐに買い手がつくとは限らないので、専任媒介契約を結び、じっくりと売却戦略を立てましょう。
大田区は民泊特区であるため、インバウンド需要が見込める現在は民泊物件への改装をアピールとして売り出すのも一つの手です。
今値上がりしている売りどきエリアはここ!
大田区の中で目立って公示地価が上昇している場所は
- 蒲田駅前
- 中延
- 洗足
- 湾岸エリア
など東急目黒や大井町線付近が多く見られます。
ブランド路線でもある東急線沿線ということもあり、人気が高まっているのです。
これらのエリアにマンションや土地を持つ人は、今こそ絶好の売り時かもしれません。
まとめ
ここでは、大田区の基本情報、売り出し価格や公示地価、災害リスクについて紹介しました。
大田区は23区内で3番目に人口が多いエリアで、多くのマンション需要が見込めます。
売り出し価格も高く、公示地価や路線価はここ15年ほどの間は上昇傾向です。
そのため、満足のいく金額でマンション売却できる可能性があります。
マンション売却を考えている方は、ハザードマップを確認して災害リスクを確かめた上で、信頼できる不動産会社と売却を進めるようにしましょう。