「実家を相続したけど活用しない」「住み替えしたけど前の家が売れない」などで、空き家を所有することになった方もいるでしょう。
空き家は放置していると、空き巣や放火などの防犯上のリスクが高まるため、適切な防犯対策が欠かせません。
とはいえ、どのような対策が必要か分からない、費用をあまりかけたくないとお困りの方もいるのではないでしょうか。
この記事では、手軽でコスパの高いおすすめの防犯対策9選をご紹介します。
あわせて、狙われやすい空き家の特徴や活用する際の注意点をわかりやすく解説するので、参考にしてください。
空き家におすすめの防犯対策9選
人の出入りがなく人目に付きにくい空き家は、犯罪に巻き込まれるリスクが高まります。
反対に、人の気配がある、人の視線が集まりやすい空き家は、犯罪者の心理的に避けられやすくなるものです。
一番良いのは、そもそも空き家だと気づかせないことですが、空き家でも人が出入りしているとアピールすることで犯罪の抑止力になるでしょう。
また、中に入るのが面倒な構造にすることや、犯行を邪魔するように光や音の仕掛けを施すことで、空き巣や犯罪に悪用しようとする人から空き家を守れます。
これらを踏まえて、以下では手軽でコスパの高いおすすめの防犯対策9選をご紹介します。
防犯カメラを設置する
防犯カメラを設置しておくと、万が一侵入された際にも録画機能が証拠になりますし、カメラがあること自体が犯罪の抑止力になります。
近年は、手ごろな価格で高性能な防犯カメラも多くあります。種類によってはスマホやパソコンでリアルタイムの映像をチェックできるものもあるため、安心感につながるでしょう。
ただし、防犯カメラを設置するには電源やインターネット環境が必要なケースもあるので、必要な機能と設置環境を考慮して種類を選ぶことが大切です。
また、本物の防犯カメラを設置するのではなく、ダミーカメラや防犯カメラが設置されている旨の掲示だけでも、
一定の防犯効果が期待できます。
なお、防犯カメラが壊されたり、レンズを覆われるなどの可能性もあるため、他の対策と合わせて行うのが効果的です。
防犯フィルムを貼る
防犯 フィルムとは、窓ガラスに貼ることでガラスを割りにくくする防犯アイテムです。
警視庁の調査によると、侵入窃盗の侵入口で一番多いのは窓で、全体の55.2%を占めています1。
とくに、古い空き家は昔ながらの薄い窓ガラスが一般であり、叩けばすぐに割れてしまうことから簡単に犯人の侵入を許してしまいます。
防犯フィルムを窓ガラスに貼ることで、窓ガラスを破るのに時間がかかるうえ、何度も強く叩く必要が出るため、人目に付きたくない侵入者の防止につながります。
また、防犯対策だけでなく、災害などでガラスが破損した際の破片飛散の防止にも役立つでしょう。
なお、倉庫やフェンスなどによじ登って2階から侵入する可能性もあるため、1階の窓だけでなく、2階の窓にも貼るとより安心です。
防犯ブザーを設置する
空き家の窓やドアに防犯ブザーを設置して、大きい音で犯人を威嚇するのもひとつの方法です。
窓やドアの開閉を感知して大きな音が鳴るタイプや、ガラスの割れや衝撃を感知するタイプなど、さまざま防犯ブザーが手ごろな価格で販売されています。
また、防犯ブザーとスマホアプリが連動しているものであれば、離れていても通知を受け取れるためおすすめです。
補助鍵を設置する
窓や玄関に本来の鍵に加えて補助鍵を設置することで、侵入に時間がかかり、侵入者が途中であきらめやすくなります。
補助鍵は、下部分だけでなく上部分にも設置する、専用の器具が必要な防犯性の高い補助鍵を選ぶなどで、さらに防止力を高められるでしょう。
ただし、安価なものだと力を込めて窓を開けた際に開いてしまうケースもあるため、頑丈なものを選ぶことが肝心です。
センサーライトを設置する
人の動きを感知し光で照らすセンサーライトは、侵入に対する威嚇や、室内の様子が周囲から見えやすくなることで、侵入防止に役立ちます。
前述のとおり、侵入経路は窓が多いので、玄関だけでなく窓付近にもセンサーライトを設けるのが効果的です。
ポストに郵便物が溜まらないようにする
ポストに郵便物が溢れていると、「長期間人がいない」「空き家です」と周囲に知られてしまう原因になります。
また、郵送物から個人情報をチェックされ、悪用される恐れもあるので注意が必要です。
定期的にポストをチェックして郵便物を回収するだけでなく、ポストに鍵を設けるなど第三者に郵送物を見られないように対策しましょう。
住んでいた人が亡くなっているなら死亡届、転居しているなら転送届を郵便局に提出すれば、住んでいる人宛ての郵送物は送り主または転居先に送付されるため、空き家には届かなくなります。
しかし、チラシやフリーペーパーなどは投かんされるので、定期的にチェックすることが大切です。
定期的に庭の手入れをする
空き家に草木が生い茂っている、つたが張っているなど荒 れ放題になっていると、空き家だと気づかれやすくなります。
また、生い茂った草木は人目を避けやすくなるため、侵入されやすくなる要因にもなります。
さらに、草木を放置していると、隣家に樹木が入り込むなどで近隣トラブルになる恐れもあるので注意が必要です。
定期的に空き家に立ち寄り、除草など庭の手入れをするようにしましょう。
遠方で定期的な手入れが困難な場合は、空き家管理サービスを利用するのも1つの手です。
たとえば、シルバー人材センターでは市と協定を結び、空き家管理の推進に力を入れているところもあります。
建物の異常や草木の状態を写真付きで報告してもらえるサービスもあるので、活用するとよいでしょう。
見守りサービスを契約する
空き家が遠方で定期的に訪れるのが難しい場合は、見守りサービスを契約しておくと安心です。
見守りサービスの内容は契約によって異なりますが、一般的には以下のようなサービスが提供されます。
- 定期的な巡回
- 換気や水通し
- 庭の手入れ
- 簡単な掃除
- ポスト整理
たとえば、日本郵便では、見守り物件の状況を郵便局員が確認し、報告するサービスを行っています。
日本郵便の他には、警備会社やガス会社、不動産会社、NPO法人、民間の家事代行サービス会社などが空き家見守りサービスを提供しています。
ただし、見守りサービスは月5,000円~2万円ほどの費用がかかるので、費用や内容を考慮して検討するとよいでしょう。
ホームセキュリティーを契約する
空き家に何かあ った時にすぐに知らせがほしい場合は、ホームセキュリティーを契約しておくと安心です。
ホームセキュリティーとは、空き家への不審者侵入、放火などの異常をセンサーで検知し、警備員が出動するシステムです。
空き家の見守りサービスが「予防」であるのに対し、ホームセキュリティーは実際に事が起こった時の「対処」という点が異なります。
見守りサービスとホームセキュリティーをどちらも契約しておくとより安心ですが、どちらも有料のため必要に応じて検討しましょう。
空き家を放置すると起こりうるリスク
空き家に防犯対策を講じず放置していると、以下のような犯罪リスクが生じます。
- 不審者に占拠される
- 盗難に遭う
- 不法投棄される
- 放火される
それぞれ見ていきましょう。
不審者に占拠される
空き家を放置していると、不審者に占拠される恐れがあります。
不審者が住みつくと、家の中のものを勝手に使われるだけでなく、光熱費がかかる恐れがあります。
また、ゴミを放置される・家の中を荒らされるなどで不衛生になる恐れもあるでしょう。
さらには、犯罪の拠点や取引場所・送金先に利用されるケースもあるので注意が必要です。
鍵を破って侵入するだけでなく、カギの修理業者に「鍵が開かない」と連絡して鍵を取り換えてもらうという手口での侵入もあるため、鍵を掛けているから安心とはなりません。
盗難に遭う
空き家にする際、家の中のものをそのままにしておくと空き巣が侵入し、盗難にあうリスクがあります。
とくに、相続した空き家は家電や貴金属などをそのまま放置しているケースも多く、空き巣に狙われる可能性が高いため注意が必要です。
また、土足で家の中を荒らされると片付けも大変になり、業者に依頼するなど余計な費用が発生しやすい点にも気を付けましょう。
不法投棄される
草木が生い茂り荒廃した空き家は、ゴミを不法投棄される恐れがあります。
不法投棄されたゴミを放置すると、「ここなら不法投棄しても見つからない」「不法投棄しても問題ない」と考える人が増え、同じ場所への繰り返しだけでなく新たな 不法投棄も誘発します。
また、ゴミを放置していると腐敗による悪臭、害虫害獣が棲みつくなどといった不衛生な状態の拡大にもつながるので注意しましょう。
放火される
総務省消防庁の「令和3年版 消防白書」によると、令和2年に起きた火災3万4,691件のうち、放火および放火の疑いは4,052件で全体の10%以上を占めています2。
このうち空き家が何%を占めているかは不明ですが、人目に付きにくい空き家は放火のターゲットにされやすいものです。
とくに、以下のような空き家は放火のリスクが高まるので注意しましょう。
- ゴミや新聞など燃えやすいものが外に放置されている
- 人通りが少なく、家の前の道路を近隣住民しか通らない
- 周辺の治安が悪い
放火されると、延焼により近隣に被害が出る恐れもあります。
延焼した場合でも法的な責任が問われることは基本的にありませんが、空き家を放置し重過失が認められると損害賠償請求の対象となる恐れがあります。
仮に、責任が生じなくでも見舞金の支払いや関係性の悪化などのダメージがある点は覚えておきましょう。
犯罪者に狙われやすい空き家の特徴
犯罪者に狙われやすい空き家の特徴としては、以下の4つが挙げられます。
- 人通りが少ない
- 暗い
- 高い塀に囲まれている
- 長期間放置されている様子が分かる
それぞれ見ていきましょう。
人通りが少ない
人目に付きにくい空き家は狙われやすくなります。
交通量の多い道路から離れている、空き家の前の道路が狭く交通量が少ない、近隣に家が少ないなど、人通りが少ない立地は注意しましょう。
大きな音が鳴るセンサーや防犯カメラの設置など、人通りが少なくてもしっかり監視しているということをアピールすることが大切です。
暗い
家の周辺が暗い空き家は、空き巣などが不法に侵入しても人目につきにくいため、犯罪者から狙われやすいです。
人感センサーのライトを設置する、ホームセキュリティーを契約するなど、暗いという欠点を補う対策を検討しましょう。
高い塀に囲まれている
高い塀は、一度侵入してしまうと外からの視界を遮れるため、犯罪者にとっては好都合な場所になります。
そのため、音や光で撃退する装置を設置したり、ホームセキュリティーを契約したりと、敷地内に侵入された際に犯人に警告を発し、外部へ異常を知らせる対策を検討することが大切です。
また、塀自体の解体を検討するのも有効です。
とくに、古い塀は倒壊のリスクが高く、通行人に被害を出す恐れもあるので、防犯面だけでなく安全面からも解体の検討をおすすめします。
自治体によっては、古い塀の解体費用に対して補助金を設けている場合もあるので、自治体のホームページなどで調べるとよいでしょう。
長期間放置されている様子 が分かる
長期間放置された空き家は、人の出入りがないことが明確なだけでなく、草木が生い茂って人目を避けやすくなるため、狙われやすくなります。
- 草木が生い茂っている
- ゴミが放置されている
- 網戸が破れたままになっている
- 門扉や塀が壊れたまま
- ポストに郵便物が溜まっている
上記のような空き家は放置が分かりやすいので、こまめに手入れをすることが大切です
▼関連記事:空き家が犯罪に悪用されるケースとは?管理の注意点と対策を徹底解説
空き家を活用する予定がないのであれば賃貸や売却を検討しよう
空き家を放置していると防犯上のリスクだけでなく、倒壊により近隣に被害を出す、自治体から特定空き家に指定されるなどさまざまなリスクが生じるため、適切な管理が必要です。
自分で住むのがシンプルな活用方法ですが、住むのが難しい場合は賃貸や売却の検討をおすすめします。
空き家の賃貸
賃貸として第三者に貸し出せば、人が住むこと自体が防犯対策となります。
賃貸であれば毎月の賃料を得られるため、維持管理費や固定資産税費用を賄うこともできるでしょう。
ただし、賃貸に出したからといって借主が必ず見つかるわけではありません。
建物の状態や立地などで賃貸ニーズは大きく異なるので、事前に近隣エリアの賃貸ニーズを徹底的にリサーチすることが大切です。
また、賃貸を始める前に、修繕などの費用がかかります。
築年数が古い家の場合、修繕やリフォームに高額な費用がかかる恐れがあるので、事前に資金計画や収支シミュレーションをしっかり行いましょう。
空き家の売却
今後活用の予定がなく、防犯や管理の手間や費用をかけたくない場合は、売却して手放すことをおすすめします。
防犯対策することで犯罪に遭うリスクを軽減できますが、どんなに対策してもリスクゼロにはできず、心配を抱えることになります。
また、所有期間中は防犯費用や管理費用、固定資産税などの費用も掛かり続けます。
売却すれば、心配やリスク・費用から解放され、さらにまとまった売却金を得ることも可能です。
空き家を売却する方法としては、仲介と買取の2種類があります。
一般的な売却方法である仲介なら市場価格での売却が期待できますが、売却までに3ヵ月~半年ほど時間がかかります。
築年数が古いなど、条件が悪いとなかなか買主 が現れないので注意しましょう。
仲介での売却が難しい場合は、買取を視野に入れることでスムーズな売却が期待できます。
ただし、仲介・買取いずれにしても不動産会社によって査定額が異なるため、査定の段階ではできるだけ多くの会社を比較することが大切です。
また、買取か仲介で悩む場合も、両方の査定額を比較して検討するとよいでしょう。
イエウリでは、仲介だけでなく買取の一括査定にも対応しています。
査定時には不動産会社に個人情報が伝わらないため、査定依頼後に営業電話が続く心配もありません。
売却で悩んでいる方は、ぜひイエウリの査定を活用してください。
まとめ
空き家は犯罪者に狙われるリスクが高いため、防犯対策が欠かせません。
防犯カメラや防犯フィルムの設置、定期的なポストや庭の管理など、空き家の防犯対策をしっかり行いましょう。
自分で管理するのが難しい場合は、見守りサービスやホームセキュリティーなど民間のサービスを検討するのも1つの手です。
自分で防犯や維持管理が難しく、費用もかけたくないというケースでは、売却を視野に入れることをおすすめします。
売却して手放すことで、犯罪リスクを心配し続ける必要がなくなります。
まずは仲介・買取両方の査定を受けて売却を検討するとよいでしょう。