空き家を適切に管理するには、定期的に空気を入れ替える必要があります。
「小まめに行くのは面倒だから換気扇をつけっぱなしにすればいい」と考える方もいるしょう。
換気扇をつけっぱなしにすれば、空気の循環を促せるメリットがあるものの、注意点もいくつかあります。
この記事では、空き家の換気扇をつけっぱなしにするメリットや注意点、電気代を分かりやすく解説します。
空き家の換気扇をつけっぱなしにしておくメリット
空き家の管理を放置すると、老朽化が進むだけでなく、倒壊によって周辺を巻き込んだり、放火などさまざまな問題を引き起こす可能性があります。
これらの問題を避けるためには、適切な管理が必要であり、その中でも換気は重要な役割を果たします。
とはいえ、定期的に空き家に訪問できない人もいるでしょう。
そのようなときに有効な手段となるのが、換気扇のつけっぱなしです。
空き家の換気扇をつけっぱなしにしておくメリットとしては、以下の3つが挙げられます。
- 湿気を排出してカビが発生するのを防ぐ
- 空気を循環させてホコリを溜まりにくくさせる
- 悪臭を排出する
それぞれ見ていきましょう。
湿気を排出してカビが発生するのを防ぐ
十分な換気が行えていない室内は、空気が入れ替わらずに湿気が溜まり、カビが発生しやすくなります。
カビや湿気は木材の腐食など、住宅に大きなダメージを与える要因です。
さらに、カビが蔓延すると、畳の交換など修繕費の負担が増えるだけでなく、管理に訪れた際にカビを吸い込むことで健康被害を引き起こす恐れもあります。
換気扇をつけっぱなしにすることで、常に空気を入れ替え、カビ対策につながります。
空気を循環させてホコリを溜まりにくくさせる
空気を循環させることは、ホコリ対策にもなります。
人がいない室内や締め切った状態でも、空気中の浮遊物や隙間から侵入したものがホコリとなり、室内にたまることがあります。
ホコリがたまると掃除の手間が増えるだけでなく、カビやダニの繁殖の原因にもなるため、注意が必要です。
ダニが発生すると住宅が傷みやすくなるだけでなく、ダニを餌とする害虫や害獣が発生するという悪循環に陥る恐れもあります。
換気扇を使ってホコリ対策をしておくことで、空き家をきれいに保ちやすくなるでしょう。
悪臭を排出する
空き家にゴミが放置されていると、悪臭の原因になります。
また、長期的に使われていない配管は、下水道の臭いが室内に上がってきやすいものです。
換気できていないと、それらの悪臭が室内に充満し、畳や木材などに染みついてしまう恐れもあります。
悪臭を外に排出し、新鮮な空気を取り入れるためにも、換気は重要になってくるのです。
空き家の換気扇をつけっぱなしにする際の注意点
空き家の換気扇をつけっぱなしにする際には、以下の点に注意しましょう。
- 電気代が発生する
- 換気扇が故障しやすくなる
- 換気扇をつけておけば管理しなくてよいわけではない
それぞれ見ていきましょう。
電気代が発生する
換気扇をつけると、その間電気代が発生します。
電気代については後ほど詳しく解説しますが、1ヵ月あたりの負担は1,000円以下とそれほど大きくはありません。
とはいえ、こまめに自分で訪れて換気すればかからないコストでもあるので、多少でもコストが発生する点はデメリットといえるでしょう。
換気扇が故障しやすくなる
換気扇をつけっぱなしにすることで、換気扇が消耗し故障しやすくなります。
故障すると、修繕や交換など余計なコストが発生するので注意しましょう。
不具合の生じた換気扇をそのままつけっぱなしにすると出火のリスクがあります。
つけっぱなしにする場合でも、異音がないかなど定期的に換気扇の状態はチェックしましょう。
万が一に備えて、換気扇周りに燃えやすいものを置いておかないことも大切です。
また、定期的な換気扇の掃除やフィルター交換も長持ちさせるためには欠かせません。
年に1.2回は換気扇自体も掃除するようにしましょう。
費用がかかってもいいならプロに依頼するのもおすすめです。
▼関連記事:空き家の火災保険には加入すべき?
換気扇をつけておけば管理しなくてよいわけではない
換気扇をつけっぱな しにしたからといって、他の管理が不要になるわけではありません。換気以外にも、清掃や通水、点検などが必要です。
換気扇自体も定期的にチェックしないと、トラブルを起こす可能性があるでしょう。
換気扇をつけたからといって安心して放置すると、空き家の状態は悪くなるだけなので、定期的に空き家に訪れて管理するようにしましょう。
管理の手間を省きたいなら、売却を検討するのも一つの手です。
活用予定のない空き家を所有していると、管理の手間やコストがかかるだけなので、売却して手放すことも考慮するとよいでしょう。
空き家で換気扇をつけっぱなしにしておくとかかる電気代は?
換気扇をつけっぱなしにすると、気になるのが電気代です。
ここでは、換気扇をつけっぱなしにしたときの電気代をみていきましょう。
キッチンやトイレ・お風呂の電気代
主に換気扇は、キッチン、トイレ、お風呂に設置されています。
1kW単価を30円としたときのそれぞれの電気代は以下のとおりです。
設置場所 | 消費電力(1時間) | 1ヵ月の電力消費量 | 1ヵ月(30日)の電気代 |
キッチン | 30W | 21.6kW | 648円 |
トイレ | 3W | 2.16kW | 64.8円 |
お風呂 | 15W | 10.8kW | 324円 |
すべてつけっぱなしにした場合で、1036.8円になり ます。
ただし、換気扇の強弱や種類・状態、契約の電気プランなどによって電気代は変わってくるので注意しましょう。
24時間換気システムの電気代
24時間換気システムとは、一日中自動で換気を行う設備です。
2003年の建築基準法改正により、シックハウス症候群の予防を目的として設置が義務化されました。
シックハウス症候群とは?
シックハウス症候群とは、新築やリフォーム後の住宅に入居した際に、頭痛・めまい・喉の痛み・目のかゆみ・吐き気などの体調不良を引き起こす症状の総称です。
主な原因は、建材や内装材に含まれるホルムアルデヒドなどの有害な化学物質や、カビ・ダニなどによる室内空気の汚染です。
とくに気密性の高い現代住宅では、換気が不十分だと有害物質が室内にこもりやすく、症状が出やすくなります。
これにより、空き家であっても24時間換気システムが導入されているケースは珍しくないでしょう。
24時間換気システムの電気代は、部屋の広さなどによっても異なりますが、一般的に1ヵ月500円程度が目安です。
そのため、単体で換気扇を回すよりも、24時間換気システムを利用したほうがお得になる可能性が高いでしょう。
ただし、24時間換気システムは住宅全体の空気をゆっくり循環させるのに対し、トイレやキッチンなどの換気扇は短時間でその場の空気を入れ替えることを目的としています。
仕組みや用途が異なるため、それぞれの特性を理解して使い分けることが大切です。
また、24時間換気システムは居室への設置が義務づけら れていますが、トイレやお風呂には適用されていない場合もあります。
併用することで換気効果の向上が見込めるので、事前に換気システムの設置場所を確認しておきましょう。
空き家の換気扇に関するよくある質問
最後に、空き家の換気扇に関するよくある質問をみていきましょう。
空き家はどれくらいの頻度で換気すべき?
空き家の換気頻度は、一般的に1ヶ月に1回以上、夏場や梅雨時期などは2回以上必要だといわれています。
換気する際には、家じゅうの窓を開放して家の中の空気を入れ替えるのがおすすめです。
空き家は冬でも換気する必要はある?
冬場は空気が乾燥するため換気は不要と考える方もいますが、室内と外気の温度差で結露が発生しやすく、湿気も溜まりがちです。
冬場であっても最低1ヶ月に1回以上は換気するようにしましょう。
また、結露を放置していると壁紙の剥がれや木材のいたみ、カビなどの原因となる点にも注意しましょう。
空き家の換気は雨の日だけでもいい?
室内に雨が入り込むような換気はおすすめできません。
室内を濡らしてしまうと、逆に湿度が高くなり、カビの原因となります。
一方で、室内に雨が入ってこないのであれば、換気を行ったほうが室内に湿気が溜まるのを防ぎやすくなります。
雨の日の換気は、雨の状況に応じて行う必要があるので注意しましょう。
空き家で換気扇の代わりにエアコンをつけっぱなしにするのはどう?
エアコンのつけっぱなしは、電気代が高くなるのでおすすめしません。
そもそも エアコンは室温調整を目的としており、基本的に換気機能はついていません。
送風運転でも室内と室外の空気を入れ替えているわけではないので、別途換気は必要です。
空き家の風通しを業者に委託することはできる?
空き家の管理サービスを提供する業者であれば、契約内容にもよりますが、換気を含め見回りや清掃、通水なども対応してくれます。
遠方に住んでいるなど、定期的に出向くのが難しい場合は、業者への委託を検討するとよいでしょう。
ただし、業者への委託は費用がかかります。
委託内容にもよりますが、月額5,000円~1万円程度が相場となるため、複数の業者から見積もりを取って、比較・検討を行いましょう。
まとめ
空き家の換気扇をつけっぱなしにすることで、カビやホコリ・悪臭の予防につながります。
電気代もそれほどかからないので、空き家管理の1つの方法として検討するとよいでしょう。
ただし、換気扇をつけているだけでは空き家管理としては不十分です。
適切に管理するには換気だけでなく、定期的な掃除や通水、点検なども必要になるので、換気扇をつけて終わりとならないように注意しましょう。
空き家管理には手間やコストがかかります。
手間やコストをかけたくないのであれば、売却して手放すことも検討するとよいでしょう。
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