不動産査定を受けてみると、査定価格と一緒にチャレンジ価格を提示されることがあります。
チャレンジ価格で売り出すことで高値で売却できる可能性がある反面、売れ残りのリスクも高まるので慎重な判断が必要です。
とはいえ、そもそもチャレンジ価格がどのような価格が分からないという方もいるでしょう。
査定を受ける際には、チャレンジ価格と適正価格の違いを理解しておくことが大切です。
この記事では、チャレンジ価格の基本やチャレンジ価格で売れる不動産の条件、売り出す際の注意点を詳しく解説します。
チャレンジ価格とは?
不動産会社の査定では、相場などを踏まえて売れるであろう価格が提示されます。
この際、適正価格や相場価格、査定価格などとは別に、チャレンジ価格が提示されるケースが増えています。
相場より高い価格で売りに出すこと
不動産の査定額を大きく分類すると、以下の3つに分けられます。
- 査定額・適正価格:不動産会社が売れるであろうと算出した価格
- 相場価格:近隣の類似物件の取引価格
- チャレンジ価格:査定額や相場よりも高値に設定されている価格
チャレンジ価格とは、相場よりも高く設定された価格です。
より高値での売却に挑戦することから、チャレンジ価格と呼ばれます。
たとえば、相場価格が3,000万円のところ3,200万円で売り出す場合は、チャレンジ価格での売り出しとなるのです。
チャレンジ価格には明確な定義はなく、相場の何割増しでチャレンジ価格になるといった規定はありません。
ただし、相場よりも少し高い程度では、チャレンジ価格とは呼ばれないことも多いです。
一般的には、「この価格では売れないのでは」と考えられるほど高めに設定するケースで、チャレンジ価格と呼ばれることが多いです。
不動産会社の査定を確認するときに注意すべきこと
不動産の売却を検討している方が査定時に注意したいのは、「チャレンジ価格に相当する金額が【査定額】として提示されることがある」点です。
チャレンジ価格は相場より10~20%程度上乗せした価格が提示されることがあり、値下げしないと売れない確率が高いと言えるでしょう。
「実はチャレンジ価格に相当する高額な査定額」を「売れる金額」と勘違いしてしまうと、売却が長期化し売れ残ってしまう可能性があることに注意してください。
特に一括査定サイトなどを利用する場合、他の不動産会社からもアプローチがある中で自社を選んでもらうために、チャレンジ価格に相当する金額が査定額として提示されるといったケースは珍しくありません。
- 査定額は売れる金額とは限らない
- 媒介契約を結ぶ目的でチャレンジ価格に相当する査定額が提示されることがある
- 高い査定額の不動産会社に任せれば高く売れるわけではない
不動産会社の査定を確認する際は、上記の点を踏まえて判断することで、相場を見誤って売却に失敗するリスクを低減できます。
チャレンジ価格で売り出しを開始する理由
相場よりも高いチャレンジ価格で売り出す目的としては、第一に少しでも利益を大きくしたいという点が挙げられます。
チャレンジ価格で売却できれば相場以上の売却となり、手元に残るお金も多くなるものです。
ただ、高値で売りたいだけではなく、買主の関心を引くための戦略という理由もあります。
高めの価格設定で売り出し、少し経ってから大幅に値下げすることで購入 希望者の目に留まりやすくなるでしょう。
チャレンジ価格で売り出しているので多少値下げしても相場に収まる可能性があり、適正価格での売却が期待できるのです。
しかし、チャレンジ価格での売り出しは基本的に短期間での売却は難しくなります。
また、売れ残りのリスクも高まるため、売り出し価格の設定や値下げ判断など、慎重な価格調整も必要です。
チャレンジ価格で販売している間は予算外という理由で買手の候補から外れてしまい、内見も入らないといった事態になるリスクもあります。
時間に余裕があり高値での売却を希望する場合に挑戦するとよいでしょう。
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チャレンジ価格で売れる不動産の条件
チャレンジ価格は相場よりも高いため、一般的な不動産では売却が難しくなります。
しかし、以下のような不動産であればチャレンジ価格での売却が期待できるので挑戦してみるとよいでしょう。
- 競合が少ないエリアであること
- 再開発等の予定があること
- 他の物件と比べて差別化された魅力があること
それぞれ解説します。
競合が少ないエリアであること
競合が多い場合、条件が類似しているなら買主は価格が大きな判断基準になります。
買主としては少しでも安く買いたいという心理もあるため、競合物件が相場価格で売り出していると、チャレンジ価格の物件は候補から外れやすくなるのです。
基本的に、買主は希望するエリアの相場や競合物件をよく調べています。
そのため、競合物件が多いエリアでチャレンジ価格で売り出しても、失敗しやすいので注意しましょう。
反対に、競合物件が少ないならチャレンジ価格でも売れる可能性が高まります。
まずは、近隣エリアの競合物件や相場について把握したうえで、チャレンジ価格に挑戦するかを判断しましょう。
再開発等の予定があること
再開発されることでエリアの需要が高まり、将来的に物件の値上がりが期待されます。
将来の値上がり材料があることを根拠にしたチャレンジ価格であれば、買主も納得しやすく売却の可能性があるでしょう。
また、周辺に大型商業施設などが建設されることによって土地の利便性が向上し、評価が高まることもあります。
再開発地区を調べる際の参考:全国市街地再開発協会|再開発マップ
▼関連記事:再開発で地価はどれくらい上昇する?
他の物件と比べて差別化された魅力があること
買主にとって相場より高くても、購入の価値があると判断される物件であれば、チャレンジ価格での売却が期待できます。
駅近など利便性が優れている、リノベーションにお金をかけているなど、他の物件とは異なる魅力があることが重要です。
また、売却活動中にはその魅力をしっかり買主にアピールする必要があります。
自分の物件の強みを洗い出し、競合物件との差別化ができるかを判断しましょう。
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チャレンジ価格で売り出す際の注意点
チャレンジ価格での売り出しを検討する際には、いくつかの注意点を押さえておくことが大切です。
ここでは、チャレンジ価格で売り出す注意点として以下の3つを解説します。
- 売れない期間は機会損失になる
- 売れない期間が続くと「売れ残り感」が出てしまう
- 不動産会社に「振り替え」用の物件として扱われないように注意
それぞれ見ていきましょう。
売れない期間は機会損失になる
チャレンジ価格は相場よりも高いので、買主から避けられやすくなります。
売れない期間は、もしかしたら相場で売り出していれば売れたかもしれない期間でもあり、短期間で売却できるチャンスを逃すことになりかねません。
とくに、売り出し当初は広告などの露出が多く購入希望者の目に留まりやすい時期です。
この時期にチャレンジ価格で買主から避けられると、その後相場に戻しても売りにくくなる恐れがある点にも注意しましょう。
売れない期間が続くと「売れ残り感」が出てしまう
長期間売れ残ることで、買主からは売れ残り物件の印象が強く、さらに避けられやすくなるので注意が必要です。
売れ残り期間が長かったり、何度も値下げを繰り返したりしている物件は、買主に「売れ残るのは何か原因があるのでは?」と勘繰られやすく、売れにくくなる要因にもなります。
売れない期間が長期になることで、最終的には大幅な値下げが必要となり、相場での売却どころか相場よりも価格が下がってしまうケースも多いものです。
また、相場を把握している買主にとって、相場 よりも高値を付ける売主はあまり信用しにくいともいえます。
この売主から買いたくないと思われてしまうと、売却にも影響が出るので注意しましょう。
不動産会社に「振り替え」用の物件として扱われないように注意
振り替え用の物件とは、買主を別の物件に誘導するために使われる物件です。
たとえば、チャレンジ価格に設定したAという不動産でみてみましょう。
購入希望者がAに興味を持って問合わせたときに、不動産会社は「Aは相場よりも高い」などとデメリットを伝え、条件の良い不動産Bを紹介してしまうのです。
この振り替えが行われる要因が、不動産会社の仲介手数料にあります。
売買契約時に支払われる仲介手数料は、契約している売主・買主から得られるため、両手仲介が成立すれば不動産会社の利益が大きくなります。
そのため、仲介手数料がより多く得られる物件が優先され、振り替え用の物件はその集客のために利用されてしまうのです。
振り替え用にされることで、売却が後回しになり売却が長期化しやすくなります。
とくに、買主の興味を引けそうな魅力的な物件で相場よりも高い物件は、振り替え用として利用されやすいので注意しましょう。
▼関連記事:高すぎる不動産の査定額には注意が必要
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不動産のチャレンジ価格に関するよくある質問
最後に、不動産のチャレンジ価格に関するよくある質問をみていきましょう。
チャレンジ価格で売れるの?
チャレンジ価格であっても売れる可能性はあります。
とはいえ、相場価格の物件よりは売却が難しくなり、容易に売却できないケースも多いので注意しましょう。
相場より高値ということは、買主からはその価格に納得するだけの価値を求められます。
また、チャレンジ価格は、定期的な値引きや値下げによって関心を引く戦略として使われることもあります。この場合、最終的には相場価格での売却を目指しているケースがほとんどでしょう。
適正価格とチャレンジ価格の違いは?
適正価格とは、市場の相場に対して適正とされる価格です。
不動産査定では、周辺の成約状況や地価、固定資産税評価額、市場状況などを踏まえて相場を算出し、それをもとに適正価格または査定価格が提示されます。
一方、チャレンジ価格は、相場よりも高値に設定された価格です。
また、不動産会社によっては、相場よりも低めに設定した「早期売却価格」を提示するケースもあります。
チャレンジ価格>適正価格・査定価格>早期売却価格の順で提示される金額が小さくなります。
査定価格と売出価格の違いは?
査定価格とは、不動産会社が不動産の価値を算出した価格です。
査定基準は不動産会社によって異なりますが、一般的には「おおむね3ヵ月以内で売れるであろう価格」が提示されます。
一方、売出価格は、実際に売り出す際の価格です。
売出価格は売主が自由に決められるため、査定 額とイコールになる必要はありません。
例えば、高く売りたい場合は査定額より高めに設定し、早く売りたい場合は査定額より低く設定するといった選択が可能です。
ただし、売出価格は売却に大きな影響を与えるため、査定額や相場を踏まえ、不動産会社と相談しながら決めることをおすすめします。
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まとめ
相場よりも高値で売り出すチャレンジ価格なら、売却することでより多くのお 金を手にすることができます。
また、チャレンジ価格で売り出して定期的に値引きすることで買主の関心を引きやすいというメリットもあります。
ただし、相場よりも高値であるため、買主から避けられやすく売却が長期化しやすい点には注意が必要です。
相場よりも高値を付ける価値のある不動産や、売却の時間に余裕があるなら挑戦する価値はありますが、スムーズな売却を目指したいなら適正価格での売り出しをおすすめします。
なお、売出価格の参考になる不動産会社の査定額は、不動産会社によって大きく異なります。
できるだけ複数の不動産会社に査定してもらい、比較しながら売出価格を検討するとよいでしょう。











