上記の仲介手数料計算ツールでは、不動産売買で売主・買主に請求される仲介手数料の上限額を自動計算できます。
任意の売買金額を入力して確認可能です。
この記事では、不動産売買の仲介手数料について、計算方法やシミュレーションを分かりやすく解説します。
不動産売買の仲介手数料とは
不動産売買は、不動産会社が売主と買主の間に入る「仲介」という形態で行われるのが一般的です。
そして、仲介で売買した際に発生する手数料を、仲介手数料と言います。
ここでは、仲介手数料の仕組みや上限について見ていきましょう。
売買契約を締結した成功報酬として不動産会社に支払う手数料
仲介手数料は、売買契約成立時に不動産会社に支払う成功報酬です。
売主と買主は、それぞれで不動産会社と媒介契約を結んでおり、契約している不動産会社に対して仲介手数料を支払います。
不動産会社との売主・買主の契約パターンは、以下の2つです。
- 売主・買主ともに同じ不動産会社と契約している
- それぞれ別の不動産会社と契約している
このどちらのパターンであっても、売主・買主ともに仲介手数料を支払う必要があります。
仲介手数料は成功報酬として支払う
また、仲介手数料は成功報酬であるため、売買契約成立前に発生することはありません。
複数の不動産会社と契約している場合でも、支払うのは売買を成立させた不動産会社へのみです。
売主と買主が直接売買する「個人間売買」や、不動産会社が買主になる「買取」は仲介ではないので、仲介手数料が発生しない点も覚えておきましょう。
なお、仲介手数料は、成功報酬であると同時に、売買活動などにかかる必要経費も含んでいます。
そのため、基本的に不動産会社に支払うのは仲介手数料のみとなり、それ以外の名目で費用が請求されることはありません。
売買契約の前に費用は発生しない
売買契約前に仲介手数料を請求されたり、仲介手数料以外の費用を請求された場合は違法の可能性があるため、慎重に対応する必要があります。
ただし、特別な広告や遠方に出張してもらったなど、通常の業務以上の依頼をした場合は、別途費用が請求されるケースもあります。
とはいえ、そのようなケースはごく稀で、基本的には仲介手数料の支払いのみで済みます。
仲介手数料には上限が設けられている
仲介手数料は不動産会社がいくらでも請求できるわけではありません。
法律によって上限額が決められており、不動産会社はその法律に則って請求されます。
第四十六条
宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買、交換又は貸借の代理又は媒介に関して受けることのできる報酬の額は、国土交通大臣の定めるところによる。
また、仲介手数料の額は事務所ごとに見やすい場所へ掲示することも定められており、事前に売主・買主がチェックできるようになっています。
仲介手数料の額についてもきちんと確認したうえで、不動産会社と契約するようにしましょう。
なお、法律によって定められているのは上限額のみで、下限については定められておりません。
そのため、不動産会社は上限の範囲内であれば自由に設定することが可能です。
極端な話、上限ギリギリでも、反対に0円でも問題ありません。
とはいえ、仲介手数料は不動産会社にとって重要な利益となるため、一般的には上限ベースで設定している不動産会社がほとんどです。
ただし、設定については不動産会社よって異なるので、事前にしっかり確認するようにしましょう。
仲介手数料の計算方法
仲介手数料は売買金額に応じて異なるため、自分が払う仲介手数料を知るためには、計算方法を理解する必要があります。
ここでは、仲介手数料の計算方法を紹介します。
売買価帯ごとに料率が異なる
仲介手数料の計算式は以下の通りです。
売買価格 | 計算式 |
200万円以下の部分 | 売買価格×5%+消費税 |
200~400万円の部分 | 売買価格×4%+消費税 |
400万円以上の部分 | 売買価格×3%+消費税 |
売買価格を上記の価格帯に分けて、それぞれ計算し合算した額が仲介手数料の上限となります。
例えば、売買価格2,000万円の場合は以下の通りです。
売買価格 | 計算 |
200万円以下の部分 | 200万円×5%=10万円 |
200~400万円の部分 | 200万円×4%=8万円 |
400万円以上の部分 | 1,600万円×3%=48万円 |
合計 | 66万円+消費税 |
上記の場合は、「66万円+消費税」が仲介手数料の上限となります。
仲介手数料の速算式
上記の計算するのは、複雑で手間がかかります。
そのため、仲介手数料を簡単に計算できる速算式を用いて計算するのが一般的です。
速算式での計算方法は以下の通りです。
売買価格 | 計算 |
200万円以下 | 売買価格×5%+消費税 |
200~400万円 | 売買価格×4%+2万円+消費税 |
400万円以上 | 売買価格×3%+6万円+消費税 |
例えば、売買価格2,000万円の場合の速算式での計算は以下のようになります。
先述の例と同じ金額になることが分かります。
売買価格800万円以下の場合は上限を33万円にできるケースも
令和6年7月1日より仲介手数料の上限が見直され、売買価格800万円以下の取引において、上限を33万円(税込)まで請求できるようになりました。
これは、廉価な不動産の売却を促進するために、法改正が行われたことが要因です。
空き家問題が深刻となっている今の日本では、築年数の古い不動産は売買価格が低く、仲介手数料もそれほど見込めません。
そのため、廉価な売却になる不動産の売 買に積極的ではない不動産会社も少なくありません。そこで、廉価な不動産の売買を積極的に行い、空き家問題を解消するために、仲介手数料の見直しが行われたのです。
なお、それまでも廉価な不動産の売却については、売買価格400万円以下で最大18万円(税抜)を売主に請求できていました。
今回の改正では、取引額・上限額が拡充され、さらに買主にも請求できるようになっているのです。
ただし、上限を33万円にするには、事前に売主・買主と不動産会社が合意している必要があります。
説明・合意なしに上限額を超えて33万円が請求されるわけではありません。
仲介手数料の早見表
以下は、不動産取引の主な売買価格帯での仲介手数料の早見表です。売買時の参考にしてください。
なお、仲介手数料の上限額で作成しています。
売買価格 | 仲介手数料(税込/消費税10%) |
500万円 | 23.1万円または33万円 |
800万円 | 33万円 |
1,000万円 | 39.6万円 |
1,500万円 | 49.5万円 |
2,000万円 | 72.6万円 |
3,000万円 | 105.6万円 |
4,000万円 | 138.6万円 |
5,000万円 | 171.6万円 |
7,000万円 | 237.6万円 |
1億円 | 336.6万円 |
仲介手数料は消費税のかかる取引です。
基本的に不動産業者は税込価格で表示していますが、なかには税抜表示の可能性もあるので、税込価格かどうかまでしっかり確認するようにしましょう。
また、上記の早見表は上限額で作成しているので、実際に請求される金額がそれより下回るケースもあります。
仲介手数料は売買が確定しなければ正確な額も算出できないので、あくまで目安として活用するようにしましょう。
仲介手数料のシミュレーション
ここでは、仲介手数料をいくつかのパターンで実際にシミュレーションしてみましょう。
売買額500万円
売買額500万円の場合の仲介手数料上限は、以下の通りです。
- 200万円以下の部分:200万円×5%=10万円
- 200~400万円の部分:200万円×4%=8万円
- 400万円以上の部分:100万円×3%=3万円
- 10万円+8万円+3万円=21万円
よって、上記の場合の仲介手数料上限は21万円(税込23.1万円)となります。
なお、売買額800万円以下の取引では、売買主と不動産会社間での合意があれば最大33万円(税込)を請求可能です。
売買額2,500万円
売買額2,500万円の場合の仲介手数料上限は、以下のようになります。
- 200万円以下の部分:200万円×5%=10万円
- 200~400万円の部分:200万円×4%=8万円
- 400万円以上の部分:2,100万円×3%=63万円
- 10万円+8万円+63万円=81万円
この場合の仲介手数料上限は、81万円(税込89.1万円)です。
ちなみに、速算式でも計算してみましょう。
速算式での仲介手数料上限額:2,500万円×3%+6万円=81万円
上記のように、どちらの計算方法でも同じ額となります。
売買額6,000万円
売買額6,000万円の場合を速算式で計算します。
速算式での仲介手数料上限:6,000万円×3%+6万円=186万円
よって、186万円(税込204.6万円)が上限となります。