タワーマンション(タワマン)の低層階は、高層階と比べて価格が安く、エレベーター待ちのストレスも少ないなど多くのメリットがあります。一方で、眺望が期待できない、騒音が聞こえやすいといったデメリットも存在します。物件選びの際は、これらの特徴を理解することが大切です。
本記事では、タワマンの低層階に住むメリット・デメリット、向いている人の特徴、物件選びで後悔しないためのポイントなどを詳しく解説します。タワマンの低層階での生活を検討している方は、参考にしてください。
タワマンの低層階は何階まで?
タワマンの低層階の定義について解説します。「そもそも低層階って何階まで?」と疑問を抱いている方は確認しておきましょう。
- 低層階の階数は建物の高さによって決まる
- 一般的なマンションの高層階でもタワマンでは低層階扱い
低層階の階数は建物の高さによって決まる
タワマンの低層階は建物全体の高さによって異なります。明確な定義はありませんが、一般的に建物の全階数のおおむね下位30%程度が低層階として扱われることが多いです。例えば30階建てのタワマンなら1階から9階程度、40階建てなら1階から12階程度が低層階の目安となります。
一般的なマンションの高層階でもタワマンでは低層階扱い
一般的な10階建てマンションでは8階や9階は高層階とされますが、30階建てのタワマンでは同じ8階や9階でも低層階として扱われます。これは建物全体の高さを基準に判断するためです。
そのため、一般的なマンションより高い階に住んでいても、タワマンでは低層階の価格設定となり、購入費用や賃料を抑えられる可能性があります。
タワマンの低層階に住む5つのメリット
タワマンの低層階に住むメリットは以下の5つです。
- 購入価格・家賃が高層階より安い
- エレベーター待ちのストレスが少ない
- 地震や停電時でも安心して避難できる
- 高層階より室温が上がりにくい
- ジムやラウンジを自由に使える
低層階の購入・引っ越しを検討している方は把握しておきましょう。
購入価格・家賃が高層階より安い
低層階の最大のメリットは価格の安さです。同じ間取りでも高層階と比べて購入価格では数百万円から1,000万円程度安く購入でき、賃貸でも月額3万円から10万円程度の差が生まれることが多いです。
また、購入の場合は固定資産税や都市計画税も高層階と比べて安くなる傾向があります。タワマンの豪華な共用施設やセキュリティは高層階と同等に利用できるため、コストパフォーマンスに優れた選択肢となります。
エレベーター待ちのストレスが少ない
低層階なら階段での移動も現実的であるため、朝の通勤ラッシュ時や点検でエレベーターが止まった際でも外出や帰宅がスムーズです。特に3階から5階程度なら階段での移動も苦になりません。
エレベーターを待つ時間が短縮されるため、日々の生活でストレスを感じにくくなります。頻繁に外出する方や、エレベーターが苦手な方には大きなメリットとなるでしょう。
地震や停電時でも安心して避難できる
低層階なら、地震や火災、停電などの非常事態でも階段を使って容易に避難できます。また、低層階は高層階に比べて地震の揺れが小さく、体感的な不安も軽減されます。
特に、小さなお子様や高齢の方がいる家庭では、災害時の避難のしやすさは大きな安心材料となります。エレベーターが使えない状況でも安全に建物から出られる点は重要です。
高層階より室温が上がりにくい
低層階は高層階に比べて風圧や気圧差が少ないため、窓を開けて自然換気しやすい環境にあります。また、バルコニーで洗濯物を干しやすく、強風の影響も受けにくいため日常生活が快適です。
さらに、夏場の室温上昇も高層階ほど厳しくならない傾向があり、エアコンの使用頻度を抑えられる可能性もあります。自然の風を活用した省エネ生活を送りたい方に適しています。
ジムやラウンジを自由に使える
低層階でもタワマン共通の豪華な共用施設を高層階と同等に利用できます。ラウンジ、フィットネスジム、コンシェルジュサービス、ゲストルームなどの充実した設備を安い価格で利用できるのは大きな魅力です。
セキュリティシステムや管理体制も高層階と変わりません。住居費を抑えながらも、タワマンならではの高級感のある暮らしを実現できます。
タワマンの低層階に住むデメリット
タワマンの低層階は、メリットがある一方で以下のデメリットもあります。
- 眺望は高層階に比べて期待できない
- 車の音や騒音が聞こえやすい可能性がある
それぞれを詳しく解説します。
眺望は高層階に比べて期待できない
低層階の場合、周辺の建物や樹木に視界が遮られ、高層階のような開放的な景色は期待できません。特に都市部では隣接する建物により、窓からの景色が壁や他の建物と被ってしまう可能性があります。
夜景や遠くの景色を楽しみたい方には物足りなく感じるかもしれません。それでも、立地によっては公園や川が見えるなど、良好な眺望を確保できる場合もあります。
車の音や騒音が聞こえやすい可能性がある
低層階は地上に近いため、車の走行音やクラクション、歩行者の声などの生活音が聞こえやすくなります。特に大通りに面し た物件では、交通量の多い時間帯の騒音が気になる場合があります。
また、1階や2階では防犯面での不安を感じる方もいるでしょう。それでも、最近のタワマンは遮音性能が高く、二重サッシなどの対策により騒音を軽減している物件も多くあります。内見の際には、壁の厚さや外からの騒音をチェックしておきましょう。
タワマンの低層階が向いている人の特徴
タワマンの低層階に向いている人は以下のとおりです。
- 住居費を抑えつつタワマンの魅力を味わいたい人
- 小さな子どもがいる家庭
- よく外出する活動的な人
上記に該当する方はタワマン低層階の生活を前向きに検討しましょう。
住居費を抑えつつタワマンの魅力を味わいたい人
予算を抑えながらもタワマンの上質な生活を送りたい方に低層階は最適です。購入価格や賃料は高層階より安く設定されていますが、共用施設やセキュリティは同等に利用できます。
コストパフォーマンスを重視し、眺望よりも実用性や経済性を優先する方には理想的な選択肢となります。将来的な住み替えも視野に入れている方にも、初期費用を抑えられるメリットがあります。
小さな子どもがいる家庭
小さなお子様がいる家庭には低層階が向いています。階段での移動が可能なため、ベビーカーでの外出時にエレベーター待ちのストレスがありません。
災害時の避難も安心で、子どもが走り回っても階下への騒音を気にする必要が少なくなります。また、公園や買い物への外出頻度が高い子育て世代にとって、気軽に出かけられ る環境は大きなメリットとなるでしょう。
よく外出する活動的な人
仕事や趣味で頻繁に外出する活動的な方には低層階がおすすめです。エレベーター待ちの時間を短縮でき、状況によっては階段を使って素早く移動できるため、忙しい日常生活がスムーズになります。
朝の通勤ラッシュ時でもストレスを感じにくく、外出のたびにエレベーターを待つ煩わしさから解放されます。アクティブなライフスタイルを重視する方に適した住環境といえるでしょう。
タワマンの物件選びで後悔しないための重要ポイント
タワマンの低層階を選ぶ際は、いくつかの重要ポイントがあります。物件選びで失敗しないためにも以下のポイントを理解しておきましょう。
- 平日と休日の両方で音や環境をチェックする
- 昼と夜の時間帯で日当たりや景色をチェックする
- 将来売るときや貸すときのことも考えて選ぶ
平日と休日の両方で音や環境をチェックする
物件内見は、平日と休日の両方で行いましょう。平日は通勤ラッシュ時の交通量や周辺のオフィスビルからの音を確認でき、休日は近隣の商業施設や公園の利用状況を把握できます。
時間帯によって騒音レベルが大きく変わる場合があるため、実際に住む時間帯での環境チェックは欠かせません。特に低層階では地上からの音の影響を受けやすいため、入念な確認が必要です。
昼と夜の時間帯で日当たりや景色をチェックする
日当たりと眺望は時間帯によって大きく異なります。昼間は明るくても、周辺の建物により夕方には日が当たらなくなる場合があります。また、夜景の美しさや室内への明かりの影響も確認しておきましょう。
特に低層階では周辺建物による日照の遮蔽が起こりやすいため、一日を通しての採光状況を把握しておくことが大切です。季節による日光の入り方もチェックしておきましょう。
将来売るときや貸すときのことも考えて選ぶ
物件選びでは将来の資産価値も重要な要素です。駅からの距離、周辺の開発計画、学区などは将来の売却や賃貸時の価値に大きく影響します。
低層階は購入価格が安い分、売却時の大幅な利益は期待しにくいものの、賃貸需要は比較的安定している傾向があります。立地の将来性や管理体制の質も含めて、長期的な視点で物件を評価することが重要です。
【Q&A】タワマンの低層階に関するよくある質問
タワマン低層階に関する質問・疑問をいくつかご紹介します。物件選びの際は参考 にしてみましょう。
- 低層階でも日当たりは確保できますか?
- 低層階だと虫が多く発生しますか?
- 高層階と低層階はどのくらい価格が違いますか?
- 低層階でもタワマンの高級感は味わえますか?
- 将来価値は下がらないですか?
低層階でも日当たりは確保できますか?
低層階の日当たりは立地と周辺環境によって大きく左右されます。南向きの部屋でも周辺に高い建物があれば日照時間は短くなります。それでも、公園や川沿い、角部屋などの条件が揃えば良好な日当たりを確保できる場合もあります。
物件内見時は一日を通しての採光状況を確認し、季節による変化も考慮して判断しましょう。日当たりを重視する方は事前の確認が特に重要です。
低層階だと虫が多く発生しますか?
低層階は地上に近いため、高層階に比べて虫の侵入リスクは高くなります。特に、緑の多い立地では蚊や小さな虫が入りやすい傾向があります。
それでも、最近のタワマンは気密性が高く、適切な虫対策により問題を軽減できます。網戸の設置や定期的な清掃、虫よけ対策により快適な住環境を維持できるでしょう。完全に虫を避けるのは難しいものの、過度に心配する必要はないといえます。
高層階と低層階はどのくらい価格が違いますか?
価格差は物件や階数によ って異なりますが、一般的に同じ間取りでも購入価格で数百万円から1,000万円程度の差が出るケースが多いです。賃貸の場合は月額3万円から10万円程度の差になることが多いです。
最上階と低層階では価格が1.5倍から2倍程度違う場合もあります。購入時は固定資産税や都市計画税なども階数に応じて変わるため、トータルコストでの比較が重要です。具体的な価格差は各物件で確認しましょう。
低層階でもタワマンの高級感は味わえますか?
低層階でもタワマン共通の豪華な共用施設を同等に利用できるため、十分に高級感を味わえます。エントランスの豪華さ、コンシェルジュサービス、ラウンジやジムなどの設備は階数に関係なく利用可能です。
セキュリティレベルも高層階と変わりません。眺望以外のタワマンの魅力は低層階でも十分に感じられるため、価格を抑えながら上質な暮らしを実現できます。
将来価値は下がらないですか?
低層階の資産価値は立地や管理状況により大きく左右されます。一般的に、低層階は購入価格が安い分、大幅な値上がりは期待しにくいものの、安定した需要があるので急激な値下がりリスクも比較的低い傾向があります。
特に、駅近や人気エリアの物件であれば資産価値の維持が期待できます。管理組合の運営状況や修繕計画も将来価値に影響するため、これらの要素も含めて検 討することが重要です。
▼関連記事:タワマンの管理費・修繕積立金は高額?
まとめ
タワマンの低層階のメリット・デメリット、向いている人の特徴、物件選びのポイントなどを解説しました。低層階は高層階と比べて購入価格や家賃が安く、エレベーター待ちのストレスが少ない、災害時の避難が安心といったメリットがあります。一方で、眺望が期待できない、騒音が聞こえやすいといったデメリットもあります。物件選びでは、これらの点を理解することが大切です。
また、内見時には平日と休日の両方で音や環境をチェックし、昼と夜の時間帯で日当たりや景色を確認することが重要です。将来の売却や賃貸時のことも考慮して選びましょう。
「タワマンに住みたいけど費用を抑えたい」「眺望よりも実用性を重視したい」という方は、ぜひこの記事を参考にしてタワマンの低層階を検討してみてください。